21th KEYWORD

高品質豚肉づくり
旭食肉協同組合理事長
井上晴男さん
千葉県食肉公社代表取締役社長
椎名慶夫さん
潟Zブンエイト代表取締役
高橋源次さん
中部飼料滑J発営業部次長
田辺常夫さん
褐誌髣ャ通研究所代表取締役
月城聡之
丸大食品且都圏西食肉販売課課長
津田 稔さん
鞄y屋フーズ代表取締役
土屋英雄さん
麦香豚(ビタミントン)は一貫したコンセプトで
(編集部):今日は生産から販売まで一貫したコンセプトをもって、健康、安全、安心プラス美味の「麦香豚」に取り組んでいらっしゃる皆さんにお集まりいただきました。お忙しいところをありがとうございます。高品質な豚肉づくりの課題はどこにあるのか。月城先生に司会をお願いし、生産、処理、流通、販売のそれぞれの現場で連携をもって取り組んでいるみなさんの肉声をお聞きしたいとこのような企画をもちました。企業秘密にかかわる部分もあるかと思いますが、出来る範囲で取り組みの現状をお話いただければ幸いです。
では月城先生、お願いいたします。
対談
(月城):まず、国内では今、年間1600万頭くらいの豚がと畜されてまして、一人当たりだいたい10kgから11kg程度の消費でここ5年ぐらいは横ばいで推移している状況です。国内生産が減った分、加工向けだけでなく、テーブルミートも輸入物で補っているという現状があります。
農家数が減少して、個々の規模はある程度拡大しているけれど、全体として消費量を補うだけの拡大ではない。そういう中でこれから、豚肉の生産がどうなっていくのかということで、井上さんからお願いします。

(井上):まず、日本の養豚のコストは、諸外国と比べたら話にならないくらい高くて、コストの競争をやったら勝つわけが無いというのが現状です。今私のところで一番解決しなければならないのが、まず環境問題。そこに相当なコストを取られる。それと病気を無くして、成績を上げるためにはどうしてもスペースがいる。一昔前は、病気はなかったので、母豚1000頭とか2000頭とか一カ所に集めて、効率のいいレイアウトをして繁殖成績を上げれば、コストが安くあげられた。
今はその方式だと病気が出て、成績が上がらない。効率が悪くても、ある程度余裕をもってやらなければならない。前は0.8uで1頭飼えたのが、今は1.2u以上は必要だ。それも年に3回転した豚舎が今は2回転しかできない。そうすると成績は上がるけれど、豚舎の消毒、従業員の人件費などを考えたらジレンマがある。ただ、輸入品と肩を並べるには、コストではなく品質で競争するしかない。飼料メーカーの中部飼料さんにも協力してもらって、おいしい肉、安全な、やわらかい肉を、とやっているが、消費者ニーズを十分にとらえたものをつくっていかなければ、日本の養豚の生きる道はないと考えている。

(月城):3回転から2回転というのは、やはり病気対策ですか

(井上):最大の消毒効果は豚舎に豚がいないことなんです。からにした状態を何日かつくらないと、前の病気が残ったりしているんです。

(月城):高品質の豚肉づくりという点から、繁殖、肥育、処理の連携はどうでしょうか。

(井上):まず、輸送距離の短い所でと畜する、これが品質を悪くしない秘訣です。ここでは畜産の現場がと畜場の10km以内にあるので、だいたい10分以内に畜場までいけるのでストレスがたまらない。これは絶対に品質に影響する。青森辺りから持ってきて東京市場でと畜した豚を比べたら、この点だけで、優位性がある。ましてや内臓なんか全然違う。内蔵がダメなところは肉もダメなんですよ。

(月城):品質向上の鍵を握る「餌」という観点からは。田辺さんのところで改良しているところは。

(田辺):まず、今までは発育重視で、とうもろこしを主体に使ってきましたが、常に味の点で不満が残っていたので、今はとうもろこしを抜いている。あと、豚肉の味を重視したら、魚粉とかのマイナス効果が残るものを使っていない。それでは肉質のよくなるのは何かということで、1年くらい前にいろいろ取り組んだ、マイロであったり、タピオカであったり。そういうものを豚に食べさせますと、豚が食べてくれない。加熱処理することによって、ペレットにして食べやすい状態にしている。

(井上):その中部飼料の餌を使って感心した。1ヵ所で880から900頭入れている豚舎があって、そこで使ってみたが、3トンのバキュームで、毎日1台ずつくみ取りををやって発酵処理施設にもっていったのが、週7回やっていたのが、5回で済むようになった。そういうところの効果も顕著に出た。

(月城):とうもろこしを抜いたことで発育への影響は。

(田辺):マッシュの時は少し悪くて、普通のものと比べて4.5日遅れたんですが、今はむしろ出荷時期は少し早いくらいになった。

(月城):コストは?

(田辺):飼養コストはマッシュに比べて、ペレット加工費が1トンあたり2500円くらい上がっちゃうんですよ。しかし、それは要求率でカバーできる範囲だと考えていただきたい。

(井上):だいたい20Kgから115Kgになるまで280Kgから290Kgたべます、1頭が。それが260Kgから270Kgになりますから。

(田辺):今、そのプラントが鹿島にしかないので、今期全6工場で、その機械をつけるということで、工事に入っています。

(月城):単価が上がっても、結果としてコストダウンできるということですね。

(井上):中部飼料の実験農場なんですよ、うちは。だから数値はピタッと正確にでます。

(月城):さて、健康、安全、安心プラス美味をうたう「麦香豚(ビタミントン)」という価値の源泉なのですが、ビタミンの添加というのはどういうものなのですか。

(田辺):まず、飼料の方にビタミンEが通常飼料の10倍くらい入っております。

(月城):ビタミンEを入れることでどういう効果があるのでしょうか。

(田辺):最初はビタミンEの効果をねらったわけではなく、肉の変色を遅らせる効果があるということで使いました。

(月城):これは7年前、コロラド州立大学で、ビタミンEを添加した牛肉の発色が非常にいいし、トレーバックなんかにのせると日持ちも良いという実験結果が出た。日本で最初に実験したのは実は私なんですが。ビタミンEが通常の5倍、豚肉には最終的には3倍残ることがわかりました。

(月城):ビタミンEが通常の3倍あるということで、津田さんなんかはそれをどういう形で販売に結びつけようと考えられていますか。

(津田):その前にまず、この取り組みの背景から説明します。一番最初に当社が麦香豚に取り組んだのは、輸入物に押されている中、生き残っていくには、やはり生産から販売まで一貫したコンセプトをもって、顧客に満足を与えていかなければいけないのではないかということを考えていました。そうしたところ、中部飼料さんから、安全、安心、健康なおいしい豚を紹介されました。この豚ならと会議を重ねたうえ、いこうじゃないかという結論に達した。その説明は中部飼料さんの方からあるでしょうが、ビタミンEやクエン酸が豊富でコレステロールの沈着を予防しつつ、リノール酸を排除するという仕組みに感銘して、これでやっていこうということになりました。

(月城):ビタミンEが通常の3倍、結果として豚肉に残る。ポリフェノールが25%アップ、コレステロール値が通常の86%だというのは結果としてでていますが。

(田辺):ちょっと、私は研究畑の方ではないからはっきりしたことはいえませんが、オレイン酸が通常の豚肉より12%多いというのは確認しています。

(月城):津田さんはこれをどういう形でアピールして販売していこうとなさってるんですか。

(津田):中部飼料さんと最初に出会って、さっそく新しい肉ができたことで、新商品を販売戦略の基本に据えていて、しかも長いつきあいのあるセブンエイトの高橋社長にまず紹介したということです。

(月城):セブンエイトさんは販売して反響はいかがでしたか。

(高橋):千葉県の方に、そういう豚があるというのは、津田さんに去年の春先から聞いていた。我々も岩手県のほうで産直の豚を扱っていて、それも、ビタミンEがあるということだったんですけど。何故、津田さんの話に乗ったかというと、まずですね、肉色が非常によかった、麦香豚自体の。あと、肉質はもちろんのこと、油の硬さとかが非常によかった。それで半信半疑と言っては失礼ですけど、試食させてもらいました。それとやはり、バラとかロースとかが、非常に味があるんですね。価格も黒豚みたいに高くない。そういうことで、どういう豚なのか、そのコンセプトを津田さんに聞いて、という具合に始めました。

(月城):今までの豚に比べて販売しやすかったですか。例えば、農場、餌、そして販売ルートの確立などで。

(高橋):要するにですね、まず産地が近いということで、どこでも産直にはこだわっています。やはり千葉県というと、都心に遠くないということで、そういう面で鮮度ニーズに応えられるのではないか、ということも考えました。

(月城):地方から来ると1日余分にかかる。それはどうですか。ここでは10km先から来て、公社でと畜してすぐ津田さんのところに配送するわけですが。

(津田):問題はないですね。通常豚よりは高い商品なのだが、先ほどいったように、お客さまにその辺をアピールできれば、お客さまも納得して豚肉を買ってくれる。それと、まずおいしさから入っていますから、比べてみてくださいと、売場では必ず試食をやって通常の豚と麦香豚を食べ比べてもらう。それによって、おいしさをお客さまの舌で感じてもらう。そういうことをやらないと、やはり見た目だけでは分かりません。専門家からみれば、色とかしまりでわかりますが、やはりお客さまは味から入ってきますので、その辺を強調しなければ、やはり販売強化にはつながらないと思います。

(月城):味はいかがでしたか。

(高橋):味はですね、試食をやってみて、反響を聞いてみたんですが、まずおいしいと。やはり味があると。そういうことで、やはりこれは差別化ができるのではないかと。それで、価格も黒豚みたいに高くはないから、すんなりと売れていく要素があるのではないかと考えています。

(月城):今まで生産された豚と、味はだいぶ違いましたか。

(井上):私はどっちかというと、一般の人と違ってバラとかロースの油の多いところが好きなのですが、いろいろなところで試食会をやったところ、さっぱりとしていて、獣臭が無く、食べやすいというようなことをだいたいの人が言ってくれました。やわらかいとも。

(月城):最近、このビタミンEが多いとか、豚肉に少し機能性物質を乗せた豚肉が非常に増えてきましたが、共通して平均的に淡白なものが多いんですが、それは餌の影響ですかね。

(田辺):多分、そうでしょうね。

(津田):そうですね。必ず試食してもらって、反響を聞きますが、いろいろな意見がある。これはどうしてこういう風においしいのかという質問には、やはり餌が違うんですよ、と言いますね。一応販促資材で説明書きがしてあるけど、こういうことを言葉で説明することが必要ですね。

(井上):LWDをはじめいろいろな品種があるのが、やはり、餌を同じにすれば、同じ品質のものができるのですか。

(田辺):いや、できません。品種差はあります。

(月城):一番いい品種というのは。

(田辺):やはり、LWD、三元交配ですね。一番いい点は、ピンク色の芯もカルビにも同じような肉色がでます。

(井上):2トーンカラーがないのがLWDの特徴ですしね。肩を落としたときに。

(高橋):やっぱり、使ってですね、品質のばらつきが少ない。それで味も一定してくる。とくにソテーとかカツとかはストレートに味というのがわかる。スライスものというか、鍋物はたれによってわからなくなるが、やはりステーキ類とかとんかつというのは、ストレートに肉の味がでる。あと、やわらかいというのは、いろいろな人に食べてもらってみんな言いますね。

(月城):椎名さんはここの公社設立からずっといろいろな豚を毎日1500〜1600頭くらいと畜されているわけですけど、ここはできて何年くらいになりますか。

(椎名):12〜13年になりますね。設備を改善して今の状態にしたのは、3年前です。

(月城):一番最初はガスと畜ですね。

(井上):そのガスを3年前にやめましたよね。

(月城):この12〜13年の間に入荷してくる豚は変わりましたか。

(椎名):品質は確実に良くなっています。設備投資もした結果、病気も激減しています。繁殖でも3回から2回とコストはかかっている。設備投資はこれからも欠かせないから、結局、品質というのは、生産性の向上と一緒になってついていくものだと考えています。

(井上):細菌数はものすごく少ないですね。だから日持ちもするということです。

(月城):それは何か秘訣があるのでしょうか。

(椎名):これにはまともに取り組んできたし、金もつぎこんだつもりだが、むずかしいもので、まだ目標の90%くらいだとおもっています。それはなぜかというと、放血がまだ完璧じゃない。一番いい放血の仕方は気絶させる状態がいいのですが。施設産業ですから、必ず施設だけはよくないといけない。みなさんのおしかりをそののまうけて、愚直にやって。それが原点ですけど。次から次へと問題がでてきます。

(編集部):豚の整備はまだ時間がかかりますか。

(椎名):さらに高品質ということで、お客さまに満足していただけるというのはなかなかきりがないんじゃないかなとも思います。

(編集部):食肉の処理場名をつけるような時代が来るのでは。

(椎名):我々の立場としては早くそういう時代になって欲しいと思っています。

(井上):信用だからね。

(月城):だから、さっき言ったようにこんな近場でいい産地があるのだから、ここをもっとクローズアップしたい。それとここの施設は何回もきているけれど、非常にいい環境なんです。餌も供給している鹿島も近いし、風土はいい。暖かく、いい餌があって、そして輸送の距離も非常に近いし、消費者も近い。だから、養豚農家がたくさん増えていけばいいなと思う。販売する方もこの地域こそ、という形でやっていきたい。公社の売り上が伸びていっているそうですが、集荷数が増えているということですか。

(椎名):そうです。集荷数、処理数が増えています。4年間毎年3%ずつ、去年は5%増えています。品質の良さを買っていただいている。処理施設の安心をですね。処理施設もそうですが、働く人間しだいです。結果的に人数が5人減りましたけど、処理の時間が1時間早まっています。時間が早くなるというのは、品質がそれだけいいということです。能率が上がっていくというのが、いい品質ができる元だと思います。

(月城):再び豚に返ってみたいんですけど、先程、内臓がおいしい豚肉はおいしいという話もでていましたけど。ここで内臓処理している土屋さん、どうですか。

(土屋):私も同感ですね。やはり人間でも健康でなければダメだし、肝臓を悪くしたり胃潰瘍とか大腸癌とかいろいろありますよね。結局いい豚がでた場合、私の方は内臓をみてますが、そうすると一番それが明確にでるというのが、廃棄率なんですよね。検査に通らない豚舎の豚はイコール肉も悪いと思っています。私の持論でもあります。

(井上):食肉公社の方で、各農場の内臓の廃棄率のデータをつくってくれます。それで、たとえば井上本店の農場の豚は1ヶ月にこれだけの廃棄率というのがでてきます。

(土屋):ですから、大事に育てた豚というのは、白モツでしたらより白く仕上がるし、レバーにしても斑点がでたりしない。事業者の人と内臓の部分から話しますが、枝肉に獣臭がないといった話がでていますが、大事に育てれば内臓も臭いが消えるんです。

(月城):廃棄率の高い豚がでてきたり、枝の成績が悪い豚がでてくるというのはどこに原因があると思いますか。

(井上):病気の無い豚が非常に増えてきた。健康な豚を生産者がつくるようになってきた。それでも、さっきいったような詰め込みの豚舎がまだある。

(土屋):ある豚舎で、抗生物質を、何をうっているか、私にはわかりませんが、焼いたときに薬の臭いがするものもある。O157がでて以来、今は生食というのは一切ピーアールしてないわけなんですけど、やはり未だにレバ刺しが好きだっていう人がいっぱいいる。そういう方が一番分かるんですよ。薬臭いんじゃないかと言うんです。ですから、話にでたようにと畜場番号制にするとか、または豚舎を明確にして、これはこういう所で、こういう風に育てた商品ですということになれば、私はそれでいいものが本当に出回ると思います。

(井上):枝肉は個々でいいものをつくれば、高く売れるが、内臓はいくらいいものをつくったとしても、いっしょくたんなんですね。

(土屋):ですから、きっちりとしたラインじゃないと。消費者の方は敏感だから、すぐわかるんですよ。最初はいいと思ったけど、この銘柄でもたいしたことないという話をよく聞きます。黒にしてもエックスにしても。本来いいものは私は絶対にいいと思うんですよ。途中の流通を明確にしたきっちりとしたなかで流れる組織というのが、これから大事になると思いますね。

(月城):内臓に格付けというのはないですよね。

(土屋):今は時間で価格が違います。その日に処理したのを冷やしてその日にすぐ届けられるかどうか。ですから、先ほどのと畜場までの時間と、販売までの時間が大事。極端に言えば、午前中で大物を3時までにとどけて、4時、5時のオープンには、今日のフレッシュがでるというシステムが取れたら、内臓はとくに違いますね。
施設をかいろいろ言われたように、検査を厳しく、よりよくやっていくと、当然コストが高くなる。それと、よそのセンターでは、雨漏りがしようが、検査が緩いとかいうところで、そういうところと同じであれば、逆にそこで利益が全然違うわけですよ。そういうところの方が、安く売ってくるとほぼ一律同じだと思われるわけですよ。それだけこういうものにコストをかけているということを伝えて欲しい。

(月城):スーパーもO157以来、処理場の設備をみて牛、豚を買うようになりましたね。

(編集部):よく流通の側から産地開発ということが発言されてきましたが、むしろ、既存の取引の中で精度を高めたほうが、データを農場にバックしたりしていいものができるような気がしますね。新しいものを探すより。

(月城):結局関東の人が新しいものを探すとしても、東北か、九州にいっちゃうんですよね。関東をみないんですよ。椎名さんや土屋さんの話はスーパーの人にフィードバックしたい。

(椎名):と畜場の徹底した整備というのは、金融機関からすると金を貸そうかということで、インフラの整備なんですよね。今非常にインフラが進んでいると。ここの生産者には金を貸して安全だということになる。

(月城):ここの公社というのは非常に安全で、ここでと畜しているものに関しては非常に信用がある。そういう情報をもっと出すべきですね。

(津田):要はやはり販売するにあたっても、生産との一体がなければお客さまに安心して売れないと言う状況になってきています。それをどうやって育てていくかというのが、問題になってくると思います。

(編集部):黒豚の表示の問題とか、消費者は敏感になっています。

(津田):やはり、消費者団体も結構突っ込んできてますから。

(月城):こういう取り組みをもっと消費者に伝える方法というのは無いのですかね。

(高橋):実際主婦の目は非常に厳しい。やはり何をみるかというと、鮮度なんです。価格もそうだけど、今日も豚肉についての座談会があるということで、どう、何を買うか聞いたら、国内物と言うんですよ。なぜっていうと、安心というのをやはり重視している。安全安心というのは付き物ですけど、これから高齢化社会になっていくと、とくに健康ということがマスコミとかメディアに流されるわけじゃないですか。やはりすごい感心があると思う。だからそういう面からいくと、豚肉に関しても、やはり安全安心、栄養はとくに必要じゃないですかね。価格もそうですけど、年をとればとるほど、健康志向に消費者は目を向けるのではないかと。

確かに、今日分析したんですけど、豚肉の国内物と輸入物とどちらが多いのかということを。それは店長の意思の高さとか、売り込みにもあるんですよ。それから、量販店だとどうしてもパートを使います。例えば、量販店で一番使うのはロース系です。これは特売にバンバン入ってきます。昔は国内の豚でもセットで買ってバラしていってたんだけど、量販店だとそれは間に合いません。ロースが何百本とでていきますから。そうなると今、国内の豚というのは大量販売といのは難しい。価格もそうですし、流通経路も違いますから、だからそういう点では大量に安く売ることはできませんけど、ただ安全安心は消費者から必ず支持されてますから、我々はそれをどういう形でお客さまに販売するかという問題になります。

私も今後は店長の意思をしっかり高めて、要するにコンセプトをしっかりして、それでこういうシナリオでいくからと、それは豚のブランド化ですね。ブランドというのはなかなか育たないけど、一回育てたら、消費者から強い支持をいただけると考えています。とりあえずは販売者の意識を育てていかなくてはダメだと思うんですけど。

(月城):販売する方も、この豚をたどっていくと、どういう餌で、どういう育て方をして、どういう豚肉がでてきているかというのをはっきり知って販売するというのが意識改革のひとつになると思います。

(津田):また、知らなければいけないでしょうね。そういう問題がでてきたときに、応えられるようにしていないと。何が悪いのかとか。

(高橋):我々は「食」を売っていますから、やはり「食」っていうのは味です。最終的には、それを忘れてはいけないですよね。おいしいものはおいしい。価値があるものには価値があると、消費者に訴えていかないと、ただ価格とか、安さでいくと、今デフレですが、本当に安いものを安く売っては商売になりません。差別化というのはそうじゃないと私は思います。消費者の人は買うときは価格で買うって言うんですよ。確かに、でも使ったときには値段を忘れちゃうわけですよ。それであの品はやはりダメだとなるんです。そのへんを我々しっかり覚えておかなくては。

(津田):おいしい商品というのはそれなりの価格であるということを知っていたら、かなり強いもので、売れているから安いからというのでは、消費者も安心して買えないんじゃないですかね。

(月城):僕は逆に麦香豚をせっかく販売しているのだから、そのコンセプトを一緒に売りたい。そういう流通も考えていってはどうですかね。お客さまはもっともっと安心するんじゃないですか。ということで今日はどうもありがとうございました。

(編集部):ありがとうございました。