イギリスの狂牛病も快方へ
 
英国産牛肉・狂牛病後から快方に

 BSE(牛海綿状脳症)は、1986年に始めてイギリスで報告され、1994年には月間2000頭をピークにその発生は確実に減ってきている。

 20001年6月現在で、英国でのBSEの発生頭数は18万1255頭で、これは、世界のBSE発生頭数の98%以上にも上る数字で、圧倒的に英国が多い。(WHO調べ)

 英国はBSEが見つかっても当初 厳しい対応を取らなかった事も事実で、その対応の不手際がヨーロッパからそして日本への発生の要因になっていることも事実である。
英国では、88年には、BSEの原因と考えられている「牛骨粉」を飼料とすることを禁止し、89年には、プリオンが多く含まれている内蔵肉を食べることを禁止した。

 そして、牛肉消費が回復しかけたと見えた、95年に、牛の病気のBSEが人間に移った可能性が言われ、1996年3月20日英国政府は、新変異型クロイッツフェルト・ヤコブ病で、若者中心に10人のうち8人が死亡したと伝えた。

 この「BSEが人間にうつる」と言う発表で、英国で大騒ぎになり、後ヨーロッパに衝撃が走り、
大きな混乱が生じたのだ。
(2001年10月1日現在 英国では、107人が発病し101人が死んでいる。
日本国内では、自然発生的に生じるヤコブ病で1985年から2000年3月まで1029人(脳硬膜移植による感染含む)の患者が確認されている。)

 そこで、欧州連合は、英国産の牛肉を全面的に規制し、生後2歳半以上の牛を全面的に処分し対策を講じた。
そして、英国を中心に牛肉の消費離れが始まったが現在は発生前と同水準まで回復している。

また、フランスでは、2000年11月にBSEにかかった牛はわずかではあるが市場に出回った可能性を認めたが、これによってフランスの牛の消費量は60%も減った。が、これも現在は平常に戻りつつある。

現在、フランスには1100万の牛がいて100頭がBSEにかかっていたのだが、日本には、459万頭(対象農家14万2400戸)の牛がおり、現在は1頭が出ただけだが、これからも発生する可能性はあるので、落ち着いて対処しなくてはならないことは言うまでもない。

表1. イギリスの牛の飼養頭数・屠畜頭数・生産量・生態価格の推移

西暦年度 @飼養頭数(千頭) A屠畜頭数(千頭) B生産量(千トン) C去勢牛生体価格
1991
11,902
3,442
980
@\192/KG   
1992
11,922
3,528
1,003
@\197
1993
11,843
3,386
959
@\230
1994
11,623
3,064
888
@\219
1995
11,893
3,420
988
@\222 (100%)
1996
11,735
2,315
712
@\190 (85.6%)
1997
11,430
2,284
694
@\174 (78.4%)
1998
11,347
2,302
697
@\155 (69.8%)
1999
11,237
2,293
678
@\166 (74.8%)
2000
11,268
2,463
715
@\161 (72.5%

*尚、C価格については、¥180/一ポンドにて算出==========

・飼養頭数には、変化が見られない。食用にまわる牛肉の頭数が96年以降減少したといえる。


英国食肉家畜委員会(MLC)の調査

 英国では、96年3月の発表から急速に牛肉離れが生じるのですが、96年8月下旬にロンドン郊外のセーフウェーを訪問したときは、牛肉は特売中で、センターからのケースレデイミートを含めて、店舗では 非常に牛肉が良く売れていた。

ロンドン市内の有名ステーキハウスが、イタ飯屋やパスタ専門店に転換している中でも、牛肉をよく販売している店舗があった。

 当時、セーフウェーでは、牛肉の売価は昨年の約半分であるが、この価格帯で、安全な牛肉を告知して販売すれば、量的には問題なく前年並みに売れているということだった。

 英国人は、牛肉を年間20キロ近く食べるが、豚肉も25キロ食べ、日本人と同じく魚もよく食べるので、牛肉以外の食品の消費が増えている。少しは売り上げが落ちているが 「ピンチこそチャンス」と、セーフウェーのマネージャーは語ってくれた。

 MLCの調査では、97年6月29日までの4週間で、英国産牛肉の販売量は前年同月比32%の増加、対95年比でも、0.6%増加した。と、報告している。

 英国の牛肉消費は、96年こそ減少したが、表にもあるように消費は回復基調になっている。

 英国は牛肉輸出国でもあったが、現在は統計でも判断できるように英国産牛肉に興味を示す国は無い。

 英国のマクドナルドやバーガーキングも97年7月から英国産牛肉の使用を再開した。

このことは、MLCによる広告キャンペーンで、英国産牛肉の安全性を消費者が再確認したことが大きい。

スーパーも狂牛病に関する情報を店頭で提供し、精肉業者だけでなく酪農家までさかのぼって管理していることを消費者に伝えたのか功を奏したといえよう。

しかし、一部消費者に不信感も残っている事も事実である。

日本は、「全頭エライザ ELASA法検査」を採用し、すべての牛を検査し、安全な牛肉しか出回らないシステムを確立しつつある。

この点を消費者によく理解してもらえるような、継続的な投げかけが、店舗においても必要で、安心して牛肉の購入が出来る店舗の信用の確立こそが重要である。

表2.イギリス人の牛肉年間消費量 (KG/1人当たり)

表3.イギリスの年間牛肉輸入量と輸出量
年度 @英国の輸入量(千トン) A英国への輸出量(千トン)
1991
277
123
1992
304
139
1993
335
145
1994
331
175
1995
313
176
1996
147
17
1997
160
2
1998
133
1
1999
139
1
2000
150
1

・英国からの牛肉輸出は殆んどなくなった。