19年12月流通その他情報

小売り、踏み切れぬ値上げ、仕入れ値上昇、顧客離れ懸念
穀物や原油価格の高騰を背景にした製品値上げを巡り、メーカーと小売り間のせめぎ合いが激しくなっている。一部商品の店頭価格が上昇するなか、大手スーパーなどは集客のため価格凍結や割安な独自商品投入で対抗する。制度上、コスト増を自動的に転嫁できる業界で、全日本空輸のように値上げを回避するところも出てきた。食品などに本格的に値上げが波及する十二月以降が価格攻防の本番となりそうだ。
セブン&アイ、自主企画商品   セブン&アイ・ホールディングスは週明け二十六日からPB(プライベートブランド=自主企画)「セブンプレミアム」のティッシュペーパーやトイレットペーパーを発売する。価格は大手メーカー品より二―三割安い。イトーヨーカ堂などのスーパーで扱うほか、十二月以降はコンビニエンスストアのセブンイレブンでも販売する方針。 トイレットペーパーは今年に入って二度、メーカーが値上げを打ち出した。「値上げ要請が止まらないなら、PBを増やして割安感を出す」(セブンイレブン幹部)
 大手小売りでは月間特売品の拡大や、メーカーが値上げを表明した商品の価格を凍結する動きも目立つ。「ガソリン価格上昇などで消費者の可処分所得が減っており、値上げは難しい」(イオン)
ツナや食用油  一部で上がる
 ただ、一部商品の販売価格は上がっている。十月からメーカーが一割程度の値上げを打ち出したツナ缶詰。日経POS(販売時点情報管理)データによると、売れ筋の一つ、はごろもフーズの「シーチキンLフレーク(八十グラム缶四個入り)」の実勢価格は七―九月の三百五十―三百七十円台に対し、十月には三百九十四円に跳ね上がった。
 同じく十月に値上げされた日清オイリオの家庭用サラダ油「キャノーラ油(一キロ)」も七―九月の平均二百二十三―二百二十四円に対し、十月は二百三十円。中堅以下が「合理的な理由があれば受け入れる」(都内のスーパー)と店頭価格に転嫁したためだ。
 大手では、一部商品で「値上げ要請を受け入れる代わり、メーカー協賛の特売対象にして消費者の割高感をなるべく減らす」例も出ている。仕入れ価格は上昇しても、店頭でそのまま反映されるわけではない。六月に値上げされたキユーピーのマヨネーズ(五百グラム)の場合、夏場に実勢価格は二百円を上回っていたが、九、十月は百九十円台に落ち着いた。特売の目玉商品になる頻度が高まっているようだ。
食料品など  来月から本番
 食品は十二月にパン、二〇〇八年一月にインスタントめん類、二月にはビールとメーカーによる値上げ予定が相次ぐ。大手スーパーは引き続き価格転嫁をなるべく抑えたい意向。消費者の反応をにらみながらの厳しい交渉が続きそうだ。

マックよ、おまえもか、調理日時改ざんなど食の不正――FC店、廃棄ロス減へ禁じ手
売上高最高「利益なき繁忙」
 日本マクドナルドの東京都内のフランチャイズチェーン(FC)四店舗で、売れ残ったサラダの調理日時を改ざんしていたことが二十七日、明らかになった。賞味期限切れの食材を利用した疑いもある。マクドナルドは十月まで売上高が十カ月連続で過去最高を更新するなど絶好調だ。にもかかわらず、なぜ不正を働いたのか。問題の裏には“利益なき繁忙”に苦しむFC店の実態がある。
 ■FC利益率1%前後 同社はFC契約を同日付で解除し、直営店に切り替えた。
 「一九七一年からの三十六年の歴史の中で初めての経験。海外でもこのような事例はない。FCのビジネスモデルではなく一FCの問題と考えている」。同日会見した原田泳幸CEO(最高経営責任者)は今回の問題が特定FCによる特異な事例との見方を示した。不正が発覚したFC店のオーナーは元同社の社員。二十二年前に独立した後、徐々に店舗を増やし、直近では早稲田、大塚駅前など四店をFC店として運営していた。
 既存店売上高二十一カ月連続プラス、十四カ月連続で月間の客数記録更新――。快進撃を続け、外食の勝ち組代表に見えるが、FCの立場から見える風景は実は異なる。「確かに売り上げは二ケタ近く伸びているが、FCの利益率は一%あるかないか。特に夏以降厳しい」。あるFCオーナーは打ち明ける。原因は皮肉にも客数と売り上げ増の原動力となっている割引クーポンと二十四時間営業の拡大にある。同社は携帯電話を使い電子クーポンを配布している。昨年十二月に百万人だった会員は九月には五百万人に急増した。例えば、フィレオフィッシュとポテト、ドリンクのセットは都内であれば通常五百八十円だが、電子クーポンを示せば十二月十三日まで四百五十円で買える。そのため、若者を中心に店頭で携帯電話の液晶画面を示す姿が当たり前になりつつある。
 ところが、マクドナルド本部からFCが仕入れる食材原価は同じ。その結果、通常三割程度の食材原価の比率が「五ポイント程度は上昇」(他のFCオーナー)し、店の収益の圧迫要因になっている。二十四時間営業の拡大も人件費や光熱費などの増加につながり、人手不足による時給上昇とのダブルパンチという。売り上げ増のための施策で来店客は増加、実際に売り上げも伸びているが、FC店は忙しいばかりで利益がついてこないわけだ。
 ■食材ロスは1―2%? 問題のFC店は本来、廃棄すべき食材に手を出した。マクドナルドは味の管理のため食材の廃棄には厳しい基準を設け、「ポテトはフライにして七分、ビーフパティは調理後十五分たつと廃棄」(原田CEO)する。
 現在、ハンバーガー類は作りおきせず、注文を受けて最終商品に仕上げる方式を導入し、廃棄量を減らしている。それでもこうした食材のロスは「売上高の一―二%に達する」との指摘もある。
 関係者によると、「ミート類の原価率が二〇―三〇%に対し、サラダは生野菜を使う特性上、四〇―五〇%に達する」。利益をも上回る食材のロス。中でも原価率が高いサラダ。複数のFCオーナーは「改ざんは許されないし、自らやるつもりは決してないが、もったいないと魔がさしたとしても背景は理解できる」と口をそろえた。
 マクドナルドは問題発覚後、全店で安全監査を実施、「(同様の)問題が起きていないことは確認済み」(原田CEO)という。問題を起こしたFCの収益は高かったとの指摘もある。だがFCオーナーの間に疲弊感が広がっているのは事実。利益拡大へFC店比率の引き上げを目指すマクドナルドは成長の果実をいかに分け合うかが問われている。

朝食とれば、1・5兆円市場? 農水省試算
 もし日本で朝食を食べない人が、毎日食べるようになれば、年間約50億食、総額約1兆5000億円の市場が生まれることが、農水省が初めて実施した試算で分かった。裏を返せば同等の経済的損失が生じていることになり、若者のコメ離れや自給率低下に頭を悩ませる同省は、タレントの優香さんを起用したテレビCMなどで「めざましごはんキャンペーン」を展開中だ。 農水省は、平成17年度の人口や各種調査を用いて、総人口に占める朝食をとらない人の割合(欠食率)を10・7%と試算。とくに、20代が28・3%、30代は20・8%と若い世代の欠食率が高いことが浮き彫りになった。朝食を食べない人約1367万人が朝食(1食300円)を食べたと仮定すると、年間50億食以上、約1兆5000億円規模の市場に匹敵することが分かった。
 コメの消費低迷や自給率向上を目指す農水省は「朝食」に着目。食品関係業界と連携し、12月にかけてテレビCMやウェブ、マンガ、キャンペーンソングなどを用いて20〜30代を中心に、朝食を軸に「日本型食生活」の普及に取り組む。同省は「一口でも1杯でも、ごはんを多く食べてもらうきっかけになるようにしたい」としている。

テスコやウォルマート、海外展開を加速、自国市場の飽和背景
欧米の大手小売りが自国外での店舗拡大や買収を拡大している。世界四位の英テスコは初上陸した米国で年六百億円規模を投資、世界最大手の米ウォルマート・ストアーズは米国外への投資額を三年間で約七割増やす。自国市場で店舗が飽和状態となり高成長が見込めないことが背景にある。一段の規模拡大で食品メーカーへの価格交渉力を高める狙いもある。
 英小売り最大手のテスコはロサンゼルスなど米西部の主要都市にコンビニエンスストアを大量出店する。既に百二十店を超える出店地を確保。「一―二年以内に黒字化させる」(リーヒー最高経営責任者=CEO)という。商品の半分を利益率の高い自主企画商品とし、低価格にこだわった。マレーシアやインドへの進出も視野に入れる。
 米ウォルマートは今後三年間、米国外への投資額を毎年一割のペースで増やし二〇一〇年一月期に最大五十八億ドルとする。店舗数の拡大や物流拠点建設に充てる。現在、日本の西友をはじめ米国外十三カ国に約三千店を持つ。中国、メキシコ、カナダの三カ国でシェアを拡大する戦略で「ロシアにも近く参入したい」(リー・スコットCEO)との意向だ。
 世界二位の仏カルフールは来年ロシアに一号店を開く。参入を狙うインドでは提携先を探して交渉に入った。昨年末にも買収でポーランドに進出、ブラジルで小売りチェーン買収を決めるなど新興国に注力している。
 小売り各社が世界シェア拡大を急ぐのは、自国での成長が難しいことがある。テスコは英国内のシェアが三割強と高い。ウォルマートは米国にすでに約四千百店を出店、新規出店の余地が小さい。穀物や原油価格の上昇により食品や日用品の値上げが相次いでいることもある。食品や日用品メーカーは買収・合併で巨大化しており、規模拡大で価格交渉力を高めることが急務となっている。

コンビニ各社、PB商品拡充、値上げ要請受けた食品など――値ごろ感を演出
客離れ警戒  セブン―イレブン・ジャパンなどコンビニエンスストア大手が、大手メーカーから値上げ要請を受けている食品や日用品で、自主企画のプライベートブランド(PB)商品を重点的に投入する。コンビニ大手は定価販売を基本としてきたが、低価格販売を売り物にするドラッグストアなどとの競合が激しい。値上げによる客離れを警戒、低価格のPB商品を増やすことで値ごろ感を演出する。セブンイレブンは十二月以降、値上げ要請のあるティッシュペーパーやドレッシング、サラダ油で、セブン&アイグループのPB「セブンプレミアム」を投入する予定。価格は大手メーカー商品より安くする。食パンも「セブンプレミアム」と異なるPB商品を投入する。同社は弁当を中心にPBを開発してきた。今後は調味料、加工食品、日用品の各商品カテゴリーに、一商品はPBを入れて低価格志向の顧客に応える。売上高に占めるPBの比率は二〇〇八年中に現在より五ポイント高め六〇%にする方針だ。
 ファミリーマートは値上げ要請が相次いだことを受け、PB比率の目標を当初の四〇%から五五%に引き上げた。カップめんやパンなど値上げが計画されている商品群で、スーパーとの違いが出せるPBの開発を急ぐ。
 イオン系のミニストップもイオンのPB「トップバリュ」販売を拡大、今冬にもカップスープと缶コーヒーを発売。現在三五%のPB比率を四〇%にする方針だ。ローソンも資本提携した九九プラスと商品開発を強化しており、既存店舗で冷凍食品や調味料など低価格PBの取り扱いを拡大している。コンビニ各社はPB拡充により、大手メーカーの値上げをけん制したい考え。「値上げする大手メーカー商品の売り場を大幅縮小する」(大手コンビニ社長)という声もあり、売り場でもPBを重点配置する見通しだ。

ローソン既存店伸び悩みの打開策
ローソンは、2001年から開始した店舗形態の多様化路線を進化させる。ローソンは他のコンビニエンスストアチェーンに先駆け、従来型店舗のローソンのほか、健康食品などを充実させた「ナチュラルローソン」では女性客、生鮮食品を充実させた「ローソンプラス」などで主婦や高齢者の獲得に力を注いできた。ローソンは、子会社だったナチュラルローソンを解散し、本体に吸収して、今後は積極的にFC(フランチャイズチェーン)展開する。また、ローソンプラスは今期中に既存店の700〜800店を改装していく。ローソンの2007年8月中間決算は、売上高は前年同期比7%増の1533億円、営業利益は同5%増の255億円と増収増益で、営業利益は中間期としては過去最高となった。
 好決算の背景には、ローソンが進めてきた顧客層の拡大戦略が奏功した面もある。「ローソンの客層拡大に対する施策は、一番積極的」とモルガン・スタンレー証券の清水倫典アナリストは評価する。 ナチュラルローソン、ローソンプラスの店舗展開に変化を加えていくのは、これまでの拡大戦略を基本的に踏襲しつつ、質の向上でさらなる収益拡大を図るという見方はできる。その一方で課題も見えている。

前年を超えられない既存店売上高
ナチュラルローソンやローソンプラスなど新たな収益源は築き上げられつつある一方で、店舗の大半を占める通常のローソンの売り上げが伸び悩んでいる。最新の中間決算の集計では、既存店の売上高は前年比で99%と微減している。 こうした事態を打開するため、ローソンは、顧客の来店頻度や1回当たりの購入単価を上げるため、新たなサービスを始めることにした。店内調理だ。 コンビニの総菜というと、どうしても「冷たい」とか「健康に良くない」といったイメージを抱かれがちだ。ローソンは店内調理による商品を導入することで、そうしたイメージを払拭できると踏んでいる。店内調理を進めるため、ローソンは食材を電子レンジで温めれば、3分以内に出来上がる新商品を開発した。アルバイトの店員でも簡単に調理できるようにするためだ。 現在のところ、70種類のメニューを用意している。野菜炒めや温野菜といった商品があり、野菜を多く使用することで健康にも配慮している。 店内調理のメリットはほかにもある。弁当や総菜類の廃棄処理の減少だ。総菜を店頭に並べて廃棄までと決められている時間は、30時間。約1日しか店舗に並べられない。しかし、店内調理の素材の寿命は、従来の総菜類より長くなる。 ただこの店内調理の開発は、一筋縄ではいかなかったようだ

試行錯誤を繰り返した開発
実はローソンは数年前にも店内調理の実験をし、いったん見直したこともある。その当時実施していた実験は、電子レンジを用いるのではなく、店頭でフライパンなどを用いて作り上げるというタイプだった。 ただこの形態では、調理に不慣れな学生バイトなどにはハードルが高い。実際に作ろうとしても、調理時間には10分を要していた。また、せっかくアルバイトが覚えたメニューを容易に変えることができなかった。そのためメニュー改変には及び腰となってしまった。 こうした試行錯誤の末、現在の店内調理の形に変えた。既に実験店では成果も出ている。導入前に比べて売り上げが20%ほど伸びたという。 店内調理は伸び悩む従来型店舗の収益を改善する材料になると期待が膨らむが、コンビニ業界には食料品の価格高騰により商品の価格を値上げせざる得ない逆風が吹いている。 ローソンの株価は2月19日に4830円と年初来高値をつけた後、9月21日には3440円にまで下がった。伸び悩む株価にローソンは全体の約5%に当たる210億円分の自社株買いを実施するなどの資本政策も講じ、11月に入って4100円台につけたが、現在は4000円台に戻っている。  取り巻く環境を考えれば、株式市場は既存店の活性化と新規店舗による顧客層の拡大の路線のさらなる進化を注視している

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