「ベーコン」素材型から料理提案型で新需要の創造

「料理用途提案」訴求で潜在需要の拡大

 日本の食肉加工品の生産量は平成7年の55万3771トンをピークに、平成15年度は50万トンを切り49万0499トンにまで減少し、18年は約49万トンまで生産量は減少しました。

 15年度は、業界の不祥事もあり大手食肉大手加工肉メーカーが、年末ギフトを自粛したことでの大きな減少となり、16年からは生産量が回復しましたが、いまだ斬減傾向にある食肉加工品ではありますが、食肉消費の一端を担い、量的に拡大することから、品質的に大きく拡大して途上にあるのではないかと思われます。

 従来の価格訴求の食肉加工品から、「品質重視」の加工品に変化し、新しい需要を獲得しようという業界を挙げての取り組みが進んできているからです。

 そのためには、従来の「素材型加工品」から「惣菜型料理提案加工品」へと食肉加工品も「料理用途訴求」していく必要があります。

 業界でも、コンシュマーパックに調理例をカラフルに印刷し、食べ方を提案する。

 商品名にダイレクトに「スープ、鍋、そのまま食べる、サラダ」等、の用途そのものを付ける。

 インストアーパックのロースハム・ベーコン・ウィンナー・焼き豚などに、食べ方例のレシピを書いたセールスプロモーションシールをトレイに貼って売り場に陳列する。そのレシピは季節によって絶えず交換する。

 などの努力はされて来ているので、素材として販売するのではなく、料理用途訴求提案で食肉加工品を販促することで新しい需要を創造することができます。

 そうすれば、まだまだ食肉加工品の消費量は増えるはずです。


加工肉生産量とベーコンの生産比率

生産量 前年比 ベーコン 前年比 構成比
平成6年 548,090 100.4 76,597 99.0 14.0
平成7年 553,771 101.0 76,649 100.1 13.8
平成8年 544,258 98.3 78,313 103.7 14.4
平成9年 530,944 97.6 78,304 100.0 14.7
平成10年 527,924 100.1 78,074 98.4 14.8
平成11年 522,113 103.4 76,517 98.0 14.7
平成12年 520,403 99.7 77,768 101.6 14.9
平成13年 519,078 99.7 75,841 97.5 14.6
平成14年 503,009 96.9 74,711 98.5 14.9
平成15年 490,499 97.5 70,494 94.4 14.4
平成16年 503,579 102.7 75,468 107.1 15.0
平成17年 493,800 98.1 76,287 101.1 15.4
平成18年 490,656 99.5 78,241 102.6 15.9


「ベーコン」の生産量と構成比が増大

 食肉加工品の生産量の中で「ベーコン」の生産量と、前加工品の生産量の中での構成比が年々堅調に伸びてきています。

 「ベーコン」は朝食ばかりでなく、「サラダ・パスタ・焼肉・オムレツ・シチュー」など、幅広く料理の材料として認知されてきているからです。

 また、「ベーコン」消費が定着してきたのは、日本のBSE発生で豚肉消費が定着し、「脂肪ばかり」と思われ敬遠がちであった「豚バラ肉」の美味しさが見直しされ、豚肉といえば、「疲労回復や物忘れの改善に効果」がある「ビタミンB1」を多く含むビタミンB群が豊富な食材であるということが、広く消費者に認知されたことも大きな要因です。

 豚バラ肉と、バラ肉を原料として作られる「ベーコン」はスモークすることで素材のもつ味を何倍にも高めることができ、美味しさと用途の幅が広がったことが需要の増加につながってきているといえます。

 「食育」のイメージで、食べて心体ともに健康になると言う意識は広くいきわたっています。

食肉加工品も、加工することで豚肉以上にアミノ酸が豊富になり体に良い食品であると言うアピールをすることが必要です。食肉加工品には、食品添加物が多く使用されており危険な食品と言う誤解のイメージも残っていることは事実です。食肉加工品に使われている添加物の量は、実は、基準値を大きく下回っていることが多いので、それらの情報を正しく消費者に伝える努力が必要です。豚肉をハムに加工すると、豚肉の疲労や脳の疲労を解消してくれるバリンなどの体力アップアミノ酸が平均で2.4倍になり、ダイエットの味方、脂肪燃焼アミノ酸も同じく2.4倍に増加していたのです

 「ベーコン」をはじめ、食肉加工品は豚肉よりも加工することで「食べて健康になる食品」であるという訴求などもしていかなくてはなりません。

銘 柄 平成17年
平成18年
生産数量 前年比 生産数量 前年比
ベーコン 66,060.10 103.8 68,688.40 104
ロースベーコン 103.2 77.7 85.9 83.2
ショルダーベーコン 7,988.70 86.2 7,383.50 92.4
その他のベーコン 2,135.40 88.9 2,082.80 97.5
小計 76,287.40 101.1 78,240.60 102.6
ロースハム 80,567.70 99 80,153.60 99.5
ボンレスハム 13,027.30 94.7 11,583.20 88.9
プレスハム 10,580.20 110.2 10,549.60 99.7
チョップドハム 18,468.20 94.3 18,222.90 98.7


「用途別カット」で「ベーコン」需要を掘り起こす
ベーコンの需要が伸びている中で、ブロックベーコンなどが特に注目されています。

ベーコンに関してはその厚さによって適したメニュー提案が存在しベーコンの原形原木から、幅広いメニュー用途が存在する事を訴求することで新しい需要の掘り起こしができます。

様々なカットによりメニュー用途が多種多様に変化を帯びてきます。

訴求効果の高い売場にするには、テーマを決めた「料理用途提案」を行うことが大切で、とりわけ、「炒める、焼く、煮込む」ベーコン料理に着目した提案を行うのが効果的です。

ブロックの原木からインストアー加工で、その特性を活かした用途の提案を行い、平台の中心にベーコンの原木をそのままダイナミックに展示し、周囲に料理テーマに応じたアイテムを商品化し、レイアウトしたりすると効果的です。

幅広いメニュー提案によって訴求効果の高い売場提案と、販売効果の高いアイテムを生み出していくコーナーの充実を実践してほしいと思います。

そうすることで、加工ハム・ベーコンの安売り時代からメニューの提案で売上粗利確保を狙う時代へ進化させることができます。

 テーマを決めた販促で関連販売による相乗効果の期待と生鮮食品(特に野菜)とのコラボレーションにより加工肉売場に鮮度感のある売場作りとメニュー提案を確立させて売上向上に一躍買う販促がおこなえます。
「ベーコン原木からの、ブロック、ダイスカット、厚切りの商品化。」
 ブロック・スライスから焼肉用、ステーキ用、シチュー用、パスタ用、サラダ用等に商品化することで効果的にメニュー提案を行い、関連商品を併売することで付加価値を付け、季節に合わせ温度や行事のニーズにあった売場作りをすることで季節感や「ベーコン料理」を作りたい気持ちを大きく変化させることになります。
  1. ステーキ・焼肉用カット
    厚さを「8ミリ」して商品化します。
    最適な厚さについてはベーコンを作る工程や原材料の影響があり、「8ミリ」とは必ずしも言い切れませんが、取り扱いベーコンの最適な「厚さ」を検証して下さい。
    原木ベーコンを8ミリにスライスすると平均で1枚50g位になります。
    「ステーキ用」に1枚のまま、3枚程度をトレイや真空で盛り付けると約1人前になります。  また、これを2等分、ないし、3等分して「焼肉用ベーコン」として商品化し、ステーキ用カットと併売すると効果的です。
    ダイナミックにステーキ用や焼肉用として、厚切りベーコンを網で焼いて豪快なアウトドアをイメージさせる商品も提案できます。




  2. シチー用15ミリダイスカット
    煮込んだ時に、ベーコンの食感と美味しさをその塊から感じられる厚みが「15ミリ」にダイスカットしたものでした。
    ダイスカットした商品は家庭によって大きさも変化しますし、子供が小さな家庭では角切り(小)やスライスを用いますが、子供が大きくなるとボリューム感のあるサイズのベーコンも利用できます。従って、「8ミリ」でのダイスカットアイテムと併売します。
    15ミリのダイスカットは「シチューやポトフ」にも使え、ベーコンの存在感があふれる商品となります。1パック150g、300g入りの2アイテムでの展開が選択肢を広げるので効果的です。




  3. サラダトッピング用8ミリダイスカット
    ベーコンの8ミリのダイスカットは、活用範囲が幅広いアイテムです。
    「炒飯やオムライス」にも使え、他の素材とうまく絡みメニューの具材の一品として一役買う商品に変わります。



    カリカリに焼くことで香ばしさが増し、サラダのトッピングには最適で、8ミリの厚みがあるだけにカリカリにしてもジューシーでベーコンの美味しさを楽しめます。
    「コロコロベーコン」というネーミングで商品化もされ始め、料理とともに需要が期待されるカットです。


  4. パスタ用8ミリベーコン短冊カット

    厚さ8ミリのベーコンの短冊カットはパスタに活用するには最適です。ベーコン切り落としもそうですが、パスタによく絡み、カルボナーラ(写真)などに使いやすい仕様です。短冊切りのベーコンでカルボナーラを作った後に、焼き肉用の大きさの8ミリカットのベーコンを2枚乗せると、美味しさと豪華さが増します。



     ベーコンは朝食を含め、新しい食べ方提案で需要をを掘り起こせる可能性があると言えます。
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