<牛乳>飼料高騰で酪農経営に限界 30年ぶり値上げ
明治乳業など大手乳業メーカーが30年ぶりとなる牛乳値上げの方針を固めた。穀物の高騰に伴う飼料価格の上昇で、原料の生乳をメーカーに供給する酪農家の経営が限界に来ていることが背景にある。値上げによる牛乳離れの加速が心配され、各社にとってぎりぎりの決断だった。 明治乳業と森永乳業、日本ミルクコミュニティは、一部の酪農家団体と生乳の買い取り価格(乳価)の約3%の引き上げで合意。これを受け、明治と森永乳業は来春、値上げの方針で、日本ミルクも検討を進めている。米国でバイオエタノールへの転用が進んでいることなどでトウモロコシの価格が急騰し、乳牛に与える配合飼料の価格は、この1年で2割以上高騰している。零細な酪農家の廃業が相次ぐなど厳しい状況に陥っており、生産者団体は乳価の10%程度の引き上げを要求していた。
乳業メーカーにとっては、牛乳の消費量が減少傾向にある中での値上げに抵抗感が強かった。だが、酪農家の経営悪化は生乳の安定供給に影響を及ぼしかねず、「消費者の理解を得られる値上げ幅」(森永)として、3%の乳価引き上げを受け入れた
チーズ、マーガリンなど最高25%値上げ 明治乳業
明治乳業は12日、牛乳に続いてチーズ、マーガリン、冷凍食品類、アイスクリーム、粉ミルクも来年3月から順次、最高で25%値上げすると発表した。価格引き上げと実質値上げとなる容量削減をあわせ、対象は計84品目。マーガリンでは87年以来、21年ぶりの値上げという。 値上げ幅はチーズで14~25%、マーガリンで6~13%、その他は3~20%。輸入乳原料の高騰が原因で、国産乳原料を使ったナチュラルチーズなどについては、生産者との今後の価格交渉次第で値上げを検討するという。
輸入頼み食料の需給見通す「食料短観」農水省が創設へ
農林水産省は、小麦や大豆、マグロなど輸入割合が高く国民生活に与える影響が大きい食料について、3か月ごとに需要と供給の1年後までの見通しを示す「世界食料需給動向総合調査」(仮称)を2008年度から始める方針を固めた。中国など新興国(BRICs)の経済発展やバイオ燃料用作物の需要急増、気候変動などの要因で不足しがちな世界の食料状況を伝える。企業の景気判断を指数(DI)で示す日本銀行の「全国企業短期経済観測調査」(短観)を参考に、食料別に需給の逼迫(ひっぱく)度合いを示す指標を作り、「食料短観」として定着を目指す。外国政府や国連食糧農業機関(FAO)などの公表情報に加え、直近の詳細な情報を収集。干ばつなどの天災被害が出そうな農地面積や映像、農業団体のストライキ期間などの情報も吸い上げる
何がすごい?但馬牛 流通過程で増す高級感
高級料亭船場吉兆(大阪市)が、産地を偽装してまで使用をアピールした「但馬牛」。食肉業界では「但馬牛」の読み方によって意味が異なるが、「但馬牛(うし)」は松阪(三重県)など各地の高級食肉のルーツとして、「但馬牛(ぎゅう)」は兵庫県産の黒毛和牛肉の総称として、いずれもブランド力は大きい。その流通ルートを探った。
兵庫県などによると「うし」は生きている牛、「ぎゅう」は加工処理された牛肉を指す。 「但馬牛(うし)」は、県農林水産技術総合センター(加西市)が管理する雄牛の精子を、但馬や淡路地区の繁殖農家が飼育する雌牛に人工授精して生ませた子牛。 繁殖農家は子牛を八-十カ月育てた後、但馬、淡路地域の家畜市場に。年間約九千頭が競りにかけられ、肥育農家に買われていく。八割は県内、残りは三重県松坂市などの県外農家が購入。約六十カ月肥育された後、松阪牛(ぎゅう)や近江牛(ぎゅう)などの高級牛肉に加工される。 一方、県産牛肉を推進する任意団体、神戸肉流通推進協議会(神戸市)などによると、「但馬牛(ぎゅう)」は、県内で肥育された「但馬牛(うし)」を、県内八カ所ある食肉センターのうち五カ所(神戸、西宮、三田、加古川、姫路)で加工した牛肉。 日本食肉格付協会(東京都)が、肉質などを検査し、一定基準をクリアした枝肉を、同推進協議会が肥育期間や血統なども調べ「但馬牛(ぎゅう)」と認定する。中でも霜降り度合いなどが優れた、四等級の一部と五等級の枝肉(全体の50%)は「神戸ビーフ(神戸牛(ぎゅう))」とも名乗ることができる。一キログラム当たり「神戸ビーフ」は約三千円、「但馬牛(ぎゅう)」は約二千二百円。一方、一般的な「黒毛和牛」の取引価格は約千八百円といい、「神戸」や「但馬」ブランドに認定されることのメリットは大きいという。
「但馬牛(うし)」「但馬牛(ぎゅう)」「神戸ビーフ」などは昨年、いずれも商標法の改正に伴いスタートした「地域ブランド」(地域団体商標)に登録された。勝手に商標を使用することはできなくなったが、これまで「神戸ビーフ」などの名称を使い、販売していた業者などに対しての制止力はない。「三田牛(ぎゅう)(三田肉)」も同ブランドに登録。「但馬牛(うし)」を三田市内で肥育し、三田の食肉センターで加工した枝肉は、「但馬牛(ぎゅう)」とも「三田牛(ぎゅう)」とも名乗ることができる。業者らはこれらのブランドを活用したPRを模索する。 地域ブランドの認定を受けた「淡路ビーフ」に加え、「丹波ささやまビーフ」、「黒田庄和牛」なども、独自のブランド戦略を展開している。 「閉鎖育種」という方法で血統を守り続け、各農家でも餌の工夫などを重ねて品質を高めてきた但馬牛。
農畜産業振興機構と12団体、国補助金4千億円をプール
農林水産省所管の独立行政法人・農畜産業振興機構(東京)と、同機構の各種事業を担当する公益法人など12団体に、2007年3月末時点で、総額3957億円に上る国の補助金が預かり金などとしてプールされていることがわかった。
同機構に限ると、プール金は年間の交付金を大きく上回る。機構側は「将来のBSE(牛海綿状脳症)対策などに必要」としているが、毎年、多額の交付金が投入されながら増え続ける一方のプール金について、独立行政法人改革を進める政府の有識者会議からも疑問視する指摘が出ている。
同機構は、肉牛や主要野菜の価格低落時や食肉流通の施設整備などの際、公益法人や自治体を通じ、業界や農家に補助金を支出している。06年度の国の交付金は総額約1247億円。年間予算(約3325億円)の約38%を占める。機構では、余った交付金や公益法人から一部返還された補助金を「長期預かり補助金」として保有している。
プールされた国の補助金は、機構が発足した03年度末にすでに1668億円あったが、06年度末は2434億円。こうした資金は、翌年度以降の補助金や、ワシントンなど5か所に設けられた海外駐在員事務所での情報収集、国債などで運用されている。巨額なプール金について、農水省や同機構では「新たなBSEや鳥インフルエンザなどが発生すれば膨大な資金が必要となる」と強調するが、BSE対策の補助金は、特殊法人時代の02年度に1517億円を支出したが、その後は318億~85億円でとどまっている。同省は「来年度以降の予算では、預かり補助金の残高が増えすぎないよう、見直しも検討したい」としている。
一方、機構からの補助金を基金としてプールしているのは、財団法人「畜産環境整備機構」(東京)、社団法人の「全国肉用牛振興基金協会」(同)や「中央畜産会」(同)など12団体。06年度末の残高は総額1523億円。701億円と最も多額の残高がある畜産環境整備機構では「今後の補助事業に必要で、過大ではない」とするが、過去の実績を上回る見込み額となっている。独立行政法人の会計に詳しい米谷斉・多摩大客員教授の話「国からの交付金に比べプールされている金額が大きすぎる。いつの時期までに何に使うか目的を具体的に説明するべきで、それができなければ国庫に返納すべきだ。法人の運営が不透明であることを示している」
「食品表示Gメン」新設へ 監視協議会も
政府は17日午前、首相官邸で「生活安心プロジェクト」関係閣僚会合を開き、消費者保護のための緊急対策を決定した。食品偽装事件が相次いでいることを受け、農水省に20人規模の「食品表示特別Gメン」を新設することなどが柱。平成20年度予算に必要経費を計上し、次期通常国会への関連法案提出を目指す。
緊急対策は、食品表示や耐震強度の偽装事件などを踏まえ、「消費者の視点」を掲げる福田康夫首相が年内のとりまとめを指示していた。食品偽装対策では、北海道や近畿などのブロックごとに「食品表示監視協議会」を組織し、県警や自治体との連携を強化する方針を明記。農水省や警察庁、公正取引委員会など関係省庁間の「連絡会議」も発足させ、一体的な対策を進める。
また、ガス器具やシュレッダーなど家庭用品による事故を防ぐため、消費者からインターネットを通じて寄せられた情報を「事故情報データバンク」に蓄積。首相の諮問機関である国民生活審議会に有識者からなる「重大事故オンブズマン」を設置し、所管省庁の事故対応が適切だったかどうかを審査する。
このほか、社会的関心を高めるための「4つの国民運動」として、(1)食の安全に関するシンポジウムの開催(2)子供が使う遊具などの施設の一斉点検(3)「交通事故死ゼロを目指す日」の制定-などを盛り込んだ。
ガソリン高騰、買い物・外食マイカー離れ――郊外外食、徒歩客増える
スーパー 重い物は宅配
一リットル百五十円を超す過去最高のガソリン高に対応し、マイカーの利用を控える消費者が増えている。スーパーでは自転車、徒歩による来店客の増加を受けて、店で買った商品を自宅に配達するサービスが人気。マイカー派が多い郊外の外食店には徒歩客が目立ち始め、行楽地周辺のタクシーも好調だ。食品値上げが加速する年明け以降は、家計を預かる主婦層を中心にマイカー離れが進む可能性がある。
イトーヨーカ堂が約百八十店全店で実施している購入商品の宅配サービス「きいろい楽だ」(料金百―三百十五円)の利用者が急増している。十、十一月の利用者は前年同期比で三割近い伸びとなった。地域別では北海道、東北、店舗規模別では大型の商業モール「アリオ」の伸びが際立つ。いずれもマイカー客が多い店舗だ。同社は「ガソリン高の影響が考えられる」としている。アリオ亀有(東京・葛飾)一階のサービスカウンター。レジで会計を済ませた商品を持ち込むと店員が黄色い専用ケースに詰めてくれる。同店では午後五時までに依頼すれば当日の同九時までに商品が自宅に届く。「ペットボトルの水など重量物の依頼が多い。中高年のお客様の利用が増えている」(担当者)。
スターバックスコーヒージャパンのドライブスルー型の店舗(全四十六店)は十一月下旬以降、既存店売上高の伸び率が鈍化している。同じ期間の通常店舗と比べると、伸び率は二―三ポイント下回る。本格派のコーヒーが車に乗ったまま買える利点が支持され好調を続けてきたが、ここに来て勢いが落ちてきた。
約二百五十店を展開する焼き肉チェーン大手の安楽亭では平日、最も込む夕食時間帯でも駐車場が満車にならない店舗が目立ち始めた。座席は埋まることが多いため、徒歩客の増加が考えられる。同社は今後、外部から駐車場を借りている十数店舗で駐車場を縮小する方針だ。同社の千葉県浦安市の店舗を利用する男性(36)は「家から一キロ強の距離なので車で行くことが多かったが、最近はもっぱら歩く」と話す。〇六年度で二千五百八十一万人が訪れた国内最大のテーマパーク、東京ディズニーリゾートはほぼ半数が車(マイカー、観光バス)で来園する。同園を運営するオリエンタルランドは「車による来園者の比率はそれほど変わらない」と話すが、同園周辺を地盤とする大手タクシー会社の九、十月の売上高は前年同月比一〇%近く伸びた。割安な電車で来園し、ホテルなど近距離の移動はタクシーを利用する消費者が増えているもようだ。
伊藤ハム、直接納入に
伊藤ハムは消費者向け加工食品の供給体制を見直す。2008年度中に全国に95ある営業所から商品在庫をなくし、全国6箇所の大規模物流センターから取引先に直接納入する体制に切り替える。スーパーなど大手小売店の再編が進み、本部集中仕入れが進んでいることに対応する。
赤身に脂注入「霜降り馬肉」=大手居酒屋チェーンに排除命令-公取委
馬の赤身肉に脂を注入し、「霜降り馬肉」と称して販売したのは、景品表示法違反(優良誤認)に当たるとして、公正取引委員会は14日、居酒屋チェーンなど5社に再発防止を求める排除命令を出した。
命令の対象は居酒屋「白木屋」「月の宴」などを運営するモンテローザ(東京)、「村さ来」の村さ来本社(同)、「酔虎伝」や「八剣伝」のマルシェ(大阪市)。ほかに食肉製造販売のファンシー(東京)と業務用スーパーのトーホー(神戸市)も命令を受けた。
公取委によると、5社は2005年から今年にかけ、居酒屋のメニューやチラシで、馬のたてがみ脂を注入した馬肉を「霜降りとろ桜刺し」「国産霜降り馬刺し」などと記載し、天然の霜降り馬肉のように表示した。
居酒屋チェーンは、加工肉であることを認識していた。3社合わせて約1000店舗で、計約7億2000万円を売り上げた。また、ファンシーとトーホーの売り上げは計約8億7000万円だった。
居酒屋では1皿600円程度で販売していたが、馬産地の天然霜降り肉は2000-3000円するという。
吉野家が「どん」買収へ 単品経営リスクが教訓
吉野家ホールディングスがM&A(合併・買収)で再攻勢をかけている。吉野家は12日、大証2部上場のステーキチェーン最大手、どんを買収する方針を固めた。15億円程度の第三者割当増資を引き受けと創業者一族からの株式取得で過半数を出資し傘下に収める方針だ。
≪ゼンショーを追撃≫
吉野家は2003年末に起きた米国産牛肉のBSE(牛海綿脳症)問題で、牛丼販売休止に追い込まれ、対応に追われてきたが、牛丼復活で業績も回復してきたことを受け、M&Aによる多業態展開を加速。牛丼休止中に同社から牛丼チェーン首位の座を奪った「すき家」を展開するゼンショーを追撃する。
「消費者に密着した分野で(外食チェーンの)総合化を目指す。お互い有効に機能すると判断しあえる部分があると判断すれば(買収も)考える」吉野家の安部修仁社長は、今年10月に持ち株会社に移行したのに合わせ、積極的なM&Aに打って出る考えを表明した。これまでも00年の持ち帰りすしチェーン「京樽」などM&Aを活用してきたが、今年は8月に「ラーメン一番本部」の主要事業買収で合意したのに続き、9月には焼き肉チェーンの「牛繁ドリームシステム」に出資、今回のどん買収と立て続けだ。
牛丼復活に合わせるようなM&A攻勢は、BSEによる牛丼販売の長期休止が教訓になっているとみられる。
休止中は、「豚丼」などのメニューを開発し多様化を進めたが、赤字に転落するなど業績悪化は避けられなかった。
「財務体質が万全だったので、倒産するとは考えなかった」(同社幹部)というものの、それまで強みとしてきた効率的な“牛丼単品経営”のリスクを思い知らされた。
≪牛肉調達で相乗効果≫
多業態化を図れば、リスク分散ができるうえ、同じ牛肉を食材とするどんを傘下に収めれば、共同調達などの相乗効果も期待できる。さらに吉野家は、牛丼チェーンの“パイオニア”として業界トップの座に長年君臨してきたが、04年度に連結売上高でゼンショーに抜かれている。
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