20年5月 流通情報クリップボード

商業統計 小売業の就業者数3.7%減
二〇〇七年の商業統計で、小売業の就業者数は八百七万人と前回(〇四年)比三・七%減った。専門店・中心店が四百八十五万人強と全体の六割を占め、専門スーパーは百二十三万人(一五%強)、コンビニが六十四万人強(八%)だった。
 一般商店が中心の専門店・中心店が前回比七・一%減と、商店街の衰退傾向を映して大きく減少。総合スーパーも五・六%減、百貨店は二・〇%減となった。
 一方、就業者を大きく増やしたのがドラッグストアと、その他のスーパー。伸び率はそれぞれ二〇・二%、一七・九%。ドラッグは盛んな新規出店による雇用増が背景だ。
 就業者数の内訳を業態別に見ると、総合スーパー、コンビニ、専門スーパーは「パート・アルバイト等」が八〇%前後に達し、百貨店は「ほかからの派遣・受け入れ者」が六〇%台と業態による差が浮き彫りになった。
 「正社員・正職員」の比率は専門店・中心店、百貨店、ホームセンターなどで増加したが、「パート・アルバイト等」は百貨店を除く全業態で増えた。今月一日施行された改正パートタイム労働法を受け、今後はパートの正社員化が小売業全体の課題となる。

商業統計 小売業転廃業、HCは4割超
二〇〇四年から営業を続けている小売業事業所(継続店)は九十一万九千七百店強で、〇七年商業統計の小売店の八〇・九%を占める。新規開設と小売業以外からの転業(開業等)は二十一万六千九百店強(一九・一%)。小売業以外への転業と廃業(転廃業等)は三十一万八千二百店強で、〇四年調査の小売店の二五・七%に達する。
 業種別で転廃業割合が高いのは写真機・写真材料小売業で三二・七%。織物・衣服・身の回り品小売業が二九・六%でこれに続く。飲食料品小売業の転廃業は十一万三千店強(二五・五%)と十万店を超えている。小規模の個人店の転廃業が多いことに加え、多角化による業種移動などが要因として挙げられる。
 業態別ではホームセンター(HC)の転廃業割合が四割を超える。HCは一方で開業等の割合も三二・五%と高く、スクラップ・アンド・ビルドが進んでいることがうかがえる。コンビニの転廃業も二七・〇%と高い。
 専門店・中心店は〇七年までに二十八万二千五百店(二六・〇%)が転廃業した。就業者が二人以下の事業所の転廃業割合が小売業平均を上回る二八・〇%となるなど、小規模な個人店の淘汰が進んでいることがうかがえる。

松屋、売上高1000億円超へ、中期計画、銀座本店核に自力成長
松屋は、二〇一一年二月期に連結売上高を一千億円超に引き上げることなどを内容とする中期経営計画をまとめた。百貨店業に四十億円を投資し、旗艦店の銀座本店(東京・中央)の買い回りを向上。一〇年秋に銀座店を増床する三越伊勢丹ホールディングス傘下の三越などとの競争を見据え、地盤固めを急ぐ。
 一一年二月期は連結売上高が〇八年二月期比五%増の千二十億円、同営業利益が過去最高となる三九%増の二十九億円を見込む。連結売上高のピークは一九九二年二月期の千三百三十六億円。うち銀座本店と浅草支店(東京・台東)の二店からなる百貨店業で、売上高八百五十億円(四%増)、営業利益二十一億円(三五%増)を目指す。
 銀座本店では衣料品や食品、生活関連などでまちまちだったMD(商品政策)の水準や方向性を合わせ、買い回り性を高めて既存顧客の需要を深掘りする。自主企画商品は二百点以上と、現状の倍近くまで増やす。浅草支店でも化粧品売り場や食品売り場を改装し、競争力を高める計画だ。
 松屋銀座本店は〇八年二月期、三越を抑え五期連続で東京・銀座地区での売上高首位を確保した。だが三越が増床するほか、J・フロントリテイリングの松坂屋も一三年度以降に建て替えを計画。競争激化は必至だが、「銀座地区の集客余力は拡大が見込める」(秋田正紀社長)として、銀座本店のてこ入れによる自力成長を継続する考え

エコス、精肉・鮮魚売り場の一部、食品トレー不使用に、CO2削減PR
コスト削減も
 首都圏を地盤とする食品スーパーのエコスは、食品トレーを使わない精肉や鮮魚売り場の展開に乗り出した。ビニールの簡易パックを代わりに用いて包装材を減量。二酸化炭素(CO2)排出量を減らし、環境にやさしい店舗運営をアピールする。まず千葉県と東京都の二店舗で実験を兼ねて導入。今後は新規店舗に原則として導入するほか、既存店への拡大も視野に入れる。食品トレーを用いない売り場は一月から三月にかけて佐倉店(千葉県佐倉市)、奈良橋店(東京都東大和市)で始めた。従来のトレーに入れた商品を扱う売り場に併設する形。精肉・鮮魚売り場全体の六分の一程度に当たるスペースで扱う商品をビニールの簡易パックで提供する。
 精肉は「国産若どりひき肉」「豪州産牛肉のこま切れ」など十二品目で、鮮魚はサンマやアジの開きなど六品目。精肉は店内加工時にビニールに入れて熱で封をして陳列。鮮魚は顧客自身が備え付けのビニールに入れる。週末にはさつま揚げなど総菜数品目も対象とする。
 エコスは全社や店舗ごとのCO2削減量の目標は打ち出していないが、売り場ではトレーを使っていないことを伝える掲示をし、顧客に環境保全への取り組みを訴える。「簡易パックが浸透すれば、廃棄物全体の削減効果が見込める」
 同時にビニールの簡易パックは、発泡スチロールのトレーに比べて一枚当たり原価が二円安い。軌道に乗れば店舗コストの削減にもつながるとみている。四月下旬には茨城県内の店でも始める。今後一年で新店と改装店をあわせて十店程度に導入する方針。先行した店舗では、商品の見た目がやや悪くなることから、対象商品の売り上げが落ちる例もあるが、ビニール袋の透明度を上げるなどしてイメージ改善を図っている。導入状況を見極めながら既存店にも広げる予定だ。
 肉や魚を提供する際に食品トレーから簡易パックに切り替えるのは食品スーパーでは珍しい取り組み。小売業にレジ袋や食品トレー、ポリ容器などの削減を義務付けた容器包装リサイクル法や、温暖化ガスの排出量削減は各社にとって大きな課題の一つであるだけに、今後他のスーパーにも広がる可能性がある。
 エコスはグループで計約百二十店を展開。これまで自社の廃棄食品から作った肥料・飼料で育てたコメや豚を販売するなど、環境配慮型の商品にも力を入れている。

売れる食品スーパーの工夫――商品を目立たせる、クロスMDでメニュー提案
テレビで仕入れの様子を見せる
 相次ぐ食品値上げはスーパー店頭に少しずつ浸透しているうえ、今後も小麦粉を使った食品中心に値上がりが続きそう。半面、賃金は伸び悩んでおり消費者の生活防衛への意識は高まる一方だ。中国産ギョーザの中毒事件をきっかけに商品に対する目も一段と厳しくなるなか、少しでも多くの品を買ってもらうための技術はスーパーの命運を左右しかねない。業績好調な店舗を例に売り上げを伸ばす秘訣を探った。
 食品スーパー最大手ライフコーポレーションの「ライフ経堂店」(東京・世田谷)は、売り上げを前年比三%増やしたという同社店舗の中でも好調組の一つだ。同店の特徴は、客層や志向など地域特性に合った商品の売り出し方とメーカー品と食材を組み合わせて売り出す「クロスマーチャンダイジング(クロスMD)」の多用だ。着任して約一年となる同店の新井伸利店長は「本部の商品政策(MD)に店の意思を込めることが重要」と力説する。
 ライフでは、数年前から「52週MD」と名付けた週替わりで重点商品を打ち出す施策を実施。本部の商品部が過去の販売データをもとに、重点商品を決定し、売り上げ予測や展開方法を立案。各店舗に資料を配布したうえで共通で売り出す戦略だ。例えば、行楽シーズンに「炊き込みご飯」を重点商品として、生タケノコや「国産キノコご飯のもと」など関連する商品を同一の売り場で展開するといった具合だ。
 新井店長は52週MDをもとにしながら、売り場責任者とも協力して商品ごとに売り出し方をアレンジする。その際のポイントはまず「商品を目立たせる」ことだ。「割安感」「品ぞろえ」「鮮度」「ボリューム感」といった要素を自分なりに抽出。要素を満たすような展開を考える。
 目立たせるのは必要条件としてもそれだけでは押しに欠ける。次に考えたのが「メニュー提案」。消費者に主食やおかずの組み合わせのイメージを持たせることで漫然と並べただけの商品との違いを打ち出す。
 カニのむき身やつめなどをセットにした「カニざんまい」は、カニのちらしずしのPOP(店頭販促)広告と実際に作ったメニューサンプルに加え傍らにイクラも展開したことで「前日まで売れ残っていたのが、午前中で売り切れる人気商品になった」(新井店長)という好例だ。
 消費者に目新しさを提供するのも売り上げ増につながる。牛肉とセットにして売り出す春雨のいため物「チャプチェ」は一躍ヒット商品になった。三月中旬に実施した大手外食チェーンの人気メニュー「オニオングラタンスープ」と、セットにした店内焼き上げのフランスパンの販促は「フランスパンの需要期であるクリスマスの売り上げを上回った」(同)という。旬をとらえた商品展開も多用している。手作り回帰のなか鳥肉とかたくり粉、ウインナーとコンソメスープなどメニュー提案も兼ねるクロスMDも奏功し、かたくり粉やコンソメはそれぞれ前年比二―三倍の売り上げを記録した。
 類似の事例は他のスーパーでもみられる。サミットが新店で導入を進める「おさかなキッチン」は、少子高齢化を背景にした鮮魚部門売り上げの縮小傾向に歯止めをかける切り札だ。
 入り口から見えるところで、鮮魚売り場と加工場を一体にしたブースを設置。さし身や切り身など商品自体を目立たせるほか、ブース内には店員を常駐させ対面で商品の説明や加工を請け負う。メニュー提案も兼ねており「『食べ方がよくわからない』といった消費者に好評」(サミット)だ。
 ブースには「サミットビジョン」と呼ぶ液晶テレビも設置。朝、仕入れ担当者が市場で旬の魚を仕入れる様子を撮影しておいて映し出し、消費者の目を引くようにした。鮮魚は商品のよしあしがスーパー全体の評判に直結しかねないだけに、同社では売り上げアップのための試金石と位置づけている。
 日本チェーンストア協会によると、二月の全国スーパー売上高は前年同月比一・九%増(既存店ベース)の一兆八億円と二十六カ月ぶりに前年を上回った。市場縮小が続き状況は厳しい。ライフやサミットのように、消費者と直接向き合う各店舗での細かな工夫が、低迷する市場で勝ち残るヒントになるかもしれない

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