20年5月 牛肉情報クリップボード

5月の牛肉需給展望−連休明けの在庫増で当面は在庫の消化優先
4月の牛枝肉相場は、5月の大型連休需要が不振のまま終わったため相場の回復はみられず、和牛3等級、2等級物を中心に下落相場となった。問屋筋では、連休前に在庫を消化する予定だったが、連休需要の不振で在庫を抱えたままの連休明けとなった。このため、当面は在庫消化が優先となるため、5月の枝肉相場は上げ材料が乏しく、ジリ下げ又は弱保合の相場展開となりそうだ。
[価格動向]連休需要が空振りに終わったため、中間流通段階ではかなりの在庫を持ち越した模様。特にカタロースは畜種にかかわらず在庫が多く、そのほか和牛は外モモ、ウデ、交雑種はロース、ヒレなどの在庫が多い。このため当面は在庫消化が優先となり、部分肉ベースでは投売りの動きが強まってきそうだ。在庫がある程度消化されるまでは枝肉相場の上げ材料はなく、また大型連休の消費疲れで末端消費も鈍るため枝肉相場は弱気の展開となりそうだ。
 特に和牛スソ物と交雑種の3等級以上はジリ安展開と予想される。和牛4等級以上は大きな下げはなく、乳雄は出荷動向次第というところ。業界内でも「5月は上げ材料はなし」(市場筋)、「在庫消化で枝肉相場は厳しい」(卸筋)との見方を強めている

エサ高、枝肉安で和牛の素牛価格大幅下落、今後の生産への影響懸念
肉用子牛相場は、これまで交雑種、ホルスの値下がりが続いてきたが、ここへ来て和牛の値下がりが顕著となってきた。交雑種とホルスはマルキンの補てん発動により子牛相場も下げ止まり感が出てきているが、和牛はこのところの枝肉相場低迷推移が大きく影響してきているものとみられる。このエサ高情勢下で枝肉相場低迷が長期化すれば、今後の肉牛生産、素牛生産への影響がさらに強まるものとみられる。農畜産業振興機構が調べた3月の家畜市場における肉用子牛取引価格によると、黒毛和種は前月より2.4万円も値下がりして46.2万円となり、前年比でも10%安となった。ここ1年以上続いた3等級以下の枝肉相場値下がりとエサ価格高騰による肥育農家の採算悪化が大きく影響してきたものとみられる。平成18年12月の57.8万円と比べて10万円以上も値下がりしている。褐毛和種も前月比3.2万円安、前年比18%安の28.2万円となった。これに対して、交雑種は前月より3,000円値上りして19.6万円となり、ホルスは6,000円の値下がりにとどまった

牛高級部位の需要低迷続き在庫圧迫、GW需要、相場回は期待薄
当初、4月半ば頃から末端の動きが活発化して、枝肉相場も強気に転じるとみられていた牛肉相場だが、4月半ばになっても末端の動きは弱く、高級部位を中心に中間流通の在庫圧迫も出ている。このため、ゴールデンウィーク需要に向けた牛肉の末端の手当ては4月末にかけての短期間とみられ、枝肉相場の回復も見込み薄の状況となってきた。
例年、牛肉の需要は、4月中旬から末端需要が強まり、5月ゴールデンウィーク需要で弾みをつけ、夏場の需要へとつながっていくところだが、今年は半ばに入っても末端の動きは鈍く、ロース、ヒレ、カタロースの高級部位は、問屋段階での在庫が増加している。動いているのはウデ、モモ、ともバラ、そしてホルスの経産ものなど単価の安い部位が中心。「末端の先物の引き合いが出てきてもいい時期だが、当用買いのスポットのみ」(卸筋)という状況にある。
枝肉相場が低迷し、部分肉の仲間相場も値下がりし、末端では特売が打ちやすい状況となっているが、最近の消費マインドの冷え込みを反映して、相対的に単価の高い牛肉、特に高級部位ほど消費離れの状況が続いている

小作料下げ進む 米価低迷を反映/農水省報告
 水田の「標準小作料」の引き下げが新潟県はじめ、秋田県や宮城県などの米どころで進んでいる。2008年産で、新潟県内の19地区・市町村が引き下げたのをはじめ、秋田や宮城県内でも、最も高い農地区分(上田や基盤整備済みなど)で、前年に比べ10アール当たり1000〜1万円下げた市町村があった。農水省が25日、販売を軸とした米システムのあり方検討会で報告した。標準小作料は、市町村の農業委員会が公示する小作料の標準となるべき額。原則、3年に1回の改訂が行われ、その額は粗収益から生産費と経営者報酬を差し引いて算定する。これを参考に、実納(実際の)小作料は、当事者間の自由な契約で決められる。

飼料基金赤字550億 借入めど立たず/畜酪追加対策の焦点
農水省は23日、配合飼料価格安定制度について、配合飼料価格が現在の4〜6月期の水準で今後も推移した場合、通常補てん基金の赤字額が2009年6月末には約1450億円に達するとの見通しを明らかにした。赤字分のうち550億円は、金融機関からの借り入れのめどが立っていない。配合飼料価格の長期にわたる高騰を受けて、政府・自民党は5月末までに畜産・酪農追加対策をまとめる予定だが、通常補てん基金の財源不足問題が大きな課題に浮上した。

飼料自給率で合同会議 米利用拡大 柱に/農水省
 配合飼料価格の高騰を背景に畜産業の抱える問題を生産から消費までの各業界や団体、畜種を横断して考えてもらおう――と、農水省は22日、東京都内で、飼料自給率と生産性の向上を考える会議を開いた。意見交換では、飼料米の生産と利用の拡大などを柱に、飼料自給率向上の重要性を指摘する声が相次いだ。
 今回の会議は、生産者団体や消費者団体でつくる「全国飼料増産行動会議」、弁当や総菜の製造といった食品関連団体などを含めた「全国食品残さ飼料化(エコフィード)行動会議」、畜産業界団体を中心にした「配合飼料価格上昇対応生産性向上推進会議」の3組織が初めて合同で開催。委員約40人が出席した。

豚肉・鶏肉在庫事情 夏場にかけて輸入・国産冷凍品在庫はひっ迫か
今年に入ってフローズン豚肉の輸入量が急減し、輸入豚肉の在庫量は減少の度合いを強め、さらに国産の凍結在庫も、この間の枝肉相場高で大幅な減少となっている。また、鶏肉在庫も輸入鶏肉、国産凍結在庫とも同様の状況となっており、需要が強まる夏場にかけて豚肉と鶏肉の冷凍品在庫がショートする懸念が強まりつつある。冷凍品の需要筋である加工メーカー、外食、惣菜、コンビニなどの手当てが難しくなってくるのではとの憶測も出始めている。
農畜産業振興機構の在庫調査によると、2月末の輸入フローズン豚肉の在庫は前年比11.0%減の14.6万t、国産の冷凍品在庫は31.9%減の1.2万t、合計で13.0%減の15.8万tと大幅な減少となっている。フローズン豚肉の輸入は、最近、米国産のスソ物(ピクニック)とロインの輸入が多かった模様だが、その反動でEU、特にデンマークからの輸入が減少しているといわれており、全体でも月4万tを下回る水準とみられている。
国産の冷凍品在庫は、フレッシュ物相場高続きから凍結回しが少なく、今後夏場の需要期に向けて枝肉相場はさらに値上り予想にあるため、今後の在庫積み増しもできず、在庫量はさらに減少する見通しとなっている

<4月の牛肉需給展望> 末端上向きも出荷増で相場の上げは小幅か
3月の枝肉相場は大きな変化はなく概ね前月比横ばいとみられていたが、末端消費が予想以上に悪く、和牛3等級、2等級を中心に大幅安の展開となった。特に焼肉需要が低迷し、バラ系部位の不振が目立った。
4月は、末端需要は強まりそうだが、当面は中間流通段階の在庫消化が優先となるため、相場の上げはゴールデンウィーク手当てが強まる中旬以降となりそうだ。ただ、この時期にかけて出荷頭数の増加も予想されるため、相場の大幅な上げは見込み薄で、月間平均では小幅な上げにとどまる可能性が高い。
[価格動向]3月の末端消費低迷で、バラ系を中心に各部位ともに在庫を抱えているため、当面は、在庫消化の動きとなりそうだ。枝肉、部分肉相場とも値下がりしたことで、末端の販促が期待(特に和牛スソ物)されるが、枝肉相場に反映してくるのは在庫消化の後。ただ、売れ筋はモモ、ウデなどの低級部位が中心となりそうだ。
20日以降はゴールデンウィーク需要の手当て買いも出て、さらに需要は強まりそうだが、この時期にかけて和牛中心に出荷の集中が予想されるため、和牛枝肉相場は小幅な上げにとどまりそうだ。交雑種は横ばい、ホルスは産地で値上げの動きが強まっていることや、輸入の減少で一段高の可能性も。

4月の食肉需給展望<豚肉>在庫補充買いで反発し550〜560円の展開
月早々は580円台の高値推移を続けていたが、下旬に入って一転し520円台まで急落した。それでも3月の平均相場は577円(東京市場・上物)と、前年比97円高の過熱相場となった。中国産の代替需要が相場高の要因だが、その反動と年度末が重なって下旬の急落となった。4月も前年比では大幅高の推移が予想されるが、末端消費は一時の勢いがなくなっていることや、特売を輸入チルドに切り替える動きもあり、3月の相場を維持するのは難しい状況となっている

4月の鶏肉需給展望 高値安定の基調変わらず、下旬はジリ高予想
鶏肉の末端需要は引き続き好調で、3月も相場の崩れはなく高値安定の推移となった。4月から食料品を中心に値上げラッシュとなっており、消費者の財布の紐はさらに固くなりそうだが、これが単価の安い鶏肉にプラスに作用しそうだ。好調な末端需要に対して国産、輸入品とも供給不足解消の見込みがないため、4月相場は引き続き堅調相場を維持しそうだ。
[価格動向]例年、この時期は相場が下げに向かい、冷凍品の在庫積み増しに動く時期。だが、3月末時点の相場は、モモ正肉が746円、ムネ正肉が310円と、前月より上昇し、前年比ではモモ正肉で116円高、ムネ正肉で97円高と過熱相場を続けている。好調な末端消費に加えて中国産鶏肉調製品の輸入減少が相場高に拍車をかけている。
4月もこの傾向は引き続くものと予想されることや、供給もそれほど増えないため相場の中だるみはないものとみられる。特に、下旬にかけては稼動日が少ないことや、ゴールデンウィークの手当て買いにより、供給不足感がさらに強まりモモ、ムネ正肉とも相場は上げに向かいそうだ。ブラジル正肉も先物高にスライドしてじり高予想にある。

トウモロコシ最高値 期末在庫を下方修正/米国
 米国の2007/08年度のトウモロコシ期末(8月末)在庫量が、前月の見通しに比べ下方修正された。米農務省が9日発表した4月分の世界の穀物需給予測で分かったもので、シカゴ相場は「予想を上回る減少幅となった」(大手商社)ことから、トウモロコシのシカゴ相場は上昇、一時、1ブッシェル(25.4キロ)6j16kの最高値をつけた。
 トウモロコシの相場は昨年10月から上げ足を速め、今年3月後半にいったん下落したものの、「損耗が多く、実際の在庫は多くない」(同)という見方が市場関係者の間に広がって、再び値上がりしていた。

食肉卸売業8.6%減の7,426件、小売業も7.7%減少−07年商業統計
経済産業省が3日発表した平成19年の商業統計調査によると、2007年6月1日現在の食肉卸売業の事業者数は、前回調査の04年と比べて8.6%減少して7,426件となり、食肉小売業も同様に7.7%減少して1万3,679件と大幅に減少した。
01年9月のわが国でのBSE発生、03年12月の米国産牛肉の輸入停止の影響が尾を引いているものとみられる。食肉卸売業の年間販売額、1事業所当たりの販売額は前回調査より増加しているものの、相場高で利益率はかなり悪化しているものと想定される。BSE発生前の1999年と比べて卸売業の事業所数は15.9%減少し、小売業は28.3%も減少している。

処理費用 重荷に/死亡豚不法投棄で農家逮捕
亡した大量の豚を不法投棄したとして、千葉県旭市の農家が8日、廃棄物処理法違反で逮捕された。警察の調べに対しこの農家は「赤字が続き、処理費用が払えなかった」と供述している。養豚歴30年を超すベテラン農家だが、関係者によると厳しい経営に直面していたという。豚が投棄された現場は、人目に付かない山林の奥にある畑。長年耕作されず、やぶが生い茂る。一部はブルーシートで覆われているが、白骨化した豚の骨などが今も散乱している

生乳生産 目標届かず/07年度 飼料高、猛暑響く
飼料高騰が酪農現場を直撃した2007年度の生乳生産量は、約769万トンにとどまり、計画生産目標に届かなかったことが15日、中央酪農会議のまとめで分かった。過去5年で最も低い水準。生産コスト上昇分の価格転嫁ができず、酪農家の生産意欲が落ち込んだことに加え、昨夏の記録的な猛暑も影響した。生乳は急激な増産がきかず、飼料高に歯止めの見通しが立たないことから、今後も乳製品需給の逼迫(ひっぱく)傾向が続きそうだ。

食料価格 高騰続く/FAO調査 3月前年比57%高
世界中で食料価格の高騰が止まらない。国際食糧農業機関(FAO)が11日発表した食料価格指数によると、3月の指数は総合で220となり、1年前に比べて57%高いことが分かった。新興国の需要拡大などを背景にして需給が逼迫(ひっぱく)している。2008年に入って以来の穀物別値上がり率は米が一番大きく、トウモロコシがそれに次いでいる。一方、小麦は「今年の生産拡大を見込んで4月になって値下がりの圧力がかかり始めた」と指摘した。

経営難で売りに出されるフィードロット
昔からの取引先(肉牛肥育業者)の減少、トウモロコシ価格の高騰、肉牛の供給薄といった経営の圧迫で、多数のフィードロットが売りに出されている。大規模フィードロットは売却で所有者が変わっても経営は続くが、小規模では、現在25〜30%の余剰生産能力が更に拡大しているため、廃業が多発しそうだ。飼育頭数4,000頭以下の小規模フィードロットは稼働率が低いところが多く、大規模な商業フィードロットのような通年肥育はしないものの、同じように他と張り合って肉牛を確保する必要がある。通年肥育のフィードロットでは、肥育頭数1万5,000〜3万頭規模が最も経営リスクにさらされている。蒸留カスの入手先やパッカーとの距離、出荷網へのアクセス、飼育している肉牛の種類に左右されるとアナリストは指摘している

米経済の低迷が牛肉業界に影響
米国経済の混乱が、様々な形で牛肉業界に打撃を与えている。最も深刻な問題は消費者の購入パターンの変化だ。外食頻度の減少でファミリーレストラン、ステーキチェーンが痛手を受け、商品先物市場も変動が高まっている。3月17日の週の急落は、信用危機が先物市場にまで波及していることを示している。今後1〜2年は不況になると予測するアナリストもおり、主要蛋白源の中で最も価格帯が高い牛肉の需要を鈍らせる可能性もある。一方、ガソリン価格の高騰は、生産者から消費者に至るまで、産業界全体に影響を与えている

関連コストを押し上げるエタノール
米国のエタノール政策の影響で、食肉・鶏肉の価格や家畜の飼育コストの上昇が続いている。再生可能エネルギー事業が食品産業に与える負担は、2005〜2010年累積で約1,000億ドルになるとエコノミストは予測している。今年の投入原価の増加は、豚で29億ドル、肉牛で22.4億ドルに達し、1頭当たりのコストに換算すると、各々38ドルと117.50ドルにもなる。その一方で、今年のトウモロコシ作付け計画を価格動向を占う根拠とすると、今年は予想以上に高騰する可能性もある。大規模農業対象のFarm Future誌が2〜3月にかけて974社に対し行ったEメール調査の結果、作付面積はいずれも前年比で春小麦は6.9%、大豆は12.4%増加するが、トウモロコシは6.3%減少している。しかし昨年の例では、実際は調査で回答した以上の作付けをしている。そのためか米国農務省(USDA)の2月度予測は、関係者が可能と考えるより大幅な伸びになっている。

米国産牛肉・豚肉輸出の動向
2007年度、牛肉輸出はグローバル経済の拡大、蛋白源の需要増、米国ドル安に助けられて前年比で25%増加した。しかし2008年、特に後半は世界市場の状況から頭打ちになり、通年では8%増で、2003年以来最小の伸びになる模様だ。(3月19日付米国農務省発行のLivestock, Dairy and Poultry Outlook)
一方、米国食肉輸出連合会(USMEF)調べによると、2007年度の豚肉輸出は輸出量で3%、輸出額で10%伸びて連続16期目の増加を記録した。輸出先は引き続き日本、メキシコが各々1位、2位を占め、中国/香港が最大の伸びを示した。2006年に倍増したロシア向け輸出も、ドル安と高値のブラジルを敬遠した影響で21%増と好調だ。

免疫学的去勢法で豚の肉質向上
競争の激しい食肉業界では、新たな法律や技術の導入がもたらす変化やビジネス機会への注視が欠かせない。その良い例が豚肉生産に取り入れられた免疫去勢の手法だ。若年で去勢する代わりに、ワクチン接種で雄豚の代謝をコントロールすることで、去勢豚に近い、脂肪やムダの少ない良質の枝肉が得られる。最近は動物福祉や食品の原産地表示への消費者意識が高まっている。そのため、免疫去勢の技術は生産者から消費者まで、ポークのサプライチェーン全体へのメリットがあり、既に多数の国で実施・認可が進んでいる。

消費者動向 -価格重視と外食減少-
今年で3年目となる米国食肉協会(AMI)と食品マーケティング協会(FMI)の共同調査によると、家計のやりくりに窮する消費者は、外食を減らし価格を基準に食肉を購入する傾向が強まっている。エネルギー費の高騰、信用危機、住宅市場の低迷、不況感の影響で、消費者の買い物・外食パターンや食肉購入店に変化が出ている。食肉購入店のトップは相変わらずスーパーで、また回答者の30%が「肉汁が洩れないパッケージなら食肉の購入量を増やす」と述べている。お得な買い物を求めて、消費者は店舗間は勿論、同じ店舗の食肉売り場内でもカットや肉の種類別に価格を比較しているそうだ

価格安定制度維持に向け近々に方向性示す−自民飼料PTの葉梨座長
自民党の配合飼料高騰対策プロジェクトチーム(PT、座長・葉梨康弘畜産・酪農対策小委員長)が9日、東京・永田町の同等本部で開かれた。配合飼料メーカーや商社など業界関係者から、配合飼料価格の推移や、厳しい取引実態について説明がなされた。同PT終了後、葉梨座長は記者団に対して、「このままだと、配合飼料価格安定制度は破綻してしまう。近々の話としてどういう形にするか方向性を示し、畜産・酪農業界の先行き不安を解消したい」と述べるとともに、「穀物の大半を輸入に頼っている畜産は海外の土地を使っている産業であり、国内対策では収まらない問題を抱えている。まさに食料戦争になってきたといえる。その意味で財政が厳しい中、あらゆる方面から対策を講じなければならない」と、食糧安全保障の問題として消費者を巻き込んだ議論に展開していく考えを示した

全畜種平均で4660円値上げ 生産者の実質負担は約1960円増 4〜6月期配飼価格

 主原料のトウモロコシや大豆粕、海上運賃の高騰などから注目されていた4〜6月期の配合飼料価格について、全農と専門農協連は3月19日、商系各社は21日に相次いで値上げを発表した。11団体(社)の全畜種総平均値上げ額はトン4660円。飼料基金からの補てんがトン1万500円(通常補てんが約7900円、4%ルールの追加分が約2600円)となるため、農家の実質負担は約1960円増となる。

小作料下げ進む 米価低迷を反映/農水省報告
 水田の「標準小作料」の引き下げが新潟県はじめ、秋田県や宮城県などの米どころで進んでいる。2008年産で、新潟県内の19地区・市町村が引き下げたのをはじめ、秋田や宮城県内でも、最も高い農地区分(上田や基盤整備済みなど)で、前年に比べ10アール当たり1000〜1万円下げた市町村があった。農水省が25日、販売を軸とした米システムのあり方検討会で報告した。標準小作料は、市町村の農業委員会が公示する小作料の標準となるべき額。原則、3年に1回の改訂が行われ、その額は粗収益から生産費と経営者報酬を差し引いて算定する。これを参考に、実納(実際の)小作料は、当事者間の自由な契約で決められる。

飼料基金赤字550億 借入めど立たず/畜酪追加対策の焦点
農水省は23日、配合飼料価格安定制度について、配合飼料価格が現在の4〜6月期の水準で今後も推移した場合、通常補てん基金の赤字額が2009年6月末には約1450億円に達するとの見通しを明らかにした。赤字分のうち550億円は、金融機関からの借り入れのめどが立っていない。配合飼料価格の長期にわたる高騰を受けて、政府・自民党は5月末までに畜産・酪農追加対策をまとめる予定だが、通常補てん基金の財源不足問題が大きな課題に浮上した。

肥育牛価格が値下がり
肉牛肥育の大幅赤字と過去最高のトウモロコシ価格に押され、肥育牛・肥育素牛価格の値下がりが予想される。肥育牛価格はすでに前年同期比で5〜7%下がっているが、肥育業者からの需要や供給不足気味なことから、予想より持ちこたえている。しかし今後は、1週間で1億ドルとも予想される肥育事業の赤字や、1ブッシェル5.50ドルを超えるトウモロコシ価格の高騰で、肥育牛価格が急落して飼育牛価格を下回る可能性もある。米国農務省(USDA)からは、全国トウモロコシ作付予定面積は、予想より少ないという報告が出されている。仮に昨年を上回る収穫量があっても、需要を満たすには不十分と見られる。そのため、備蓄トウモロコシの量が過去最低に落ち込み、トウモロコシ価格の更なる値上がりは避けられない。2009年は1ブッシェル7ドルもあり得るという予測もある。そこまで値上がりすると使用が制限されるが、その前に肥育のマージンと肥育牛価格が大打撃を受けるだろう。

春先の低温、雨で、トウモロコシ収穫に懸念
トウモロコシの需要が増大するなか、今年の予定作付面積は8,600万エーカーで、当初予想より140万エーカー、昨年実績より8%少ない(第1回USDAトウモロコシ作付予定報告書)。そのため、期末の在庫量が大幅に減少するのは確実とアナリスト達は見ている。1ブッシェル7.50ドルまで値上がりする可能性もあるため、肥育業者は年内の値上がりを見込んで、必要量のトウモロコシを確保する必要がある。
今のところ低温と雨のためコーンベルト地帯で植え付けが遅れ、収穫量への影響が心配される。また肉牛、豚、鶏の飼育事業に大幅赤字が出ている。今後は食肉生産量が減少して、2008年後半から2009年には飼料としての需要が鈍るだろう。しかし、2009年にエタノール向けの需要が減っても、今年の作付面積や前期収穫分の在庫減少で、2008〜2009年の期末供給量は多くはないだろう。一方、トウモロコシ価格が1ブッシェル5ドル後半まで値上がりが進むと、フィードロット・コストは、95〜100ドル(100ポンド当たり)まで上昇しそうだ

豚の在庫増で先物相場下がる
USDA発行 Hogs & Pigs Report最新号によると、予想を上回る豚の在庫量で、豚の先物相場が値下がりしている。3月1日現在の在庫は、アナリスト予測の前年比4.5%増を上回り、7%増となった。また、2007年12月〜2008年2月期の子豚産出量は前年比6%増だった。同期は雌豚が多く生まれ、同腹の子豚の数も多かった。関係者は、9月までは大量の供給が続いて成豚価格を圧迫し、一方トウモロコシ作付面積の減少で飼育コストが上昇すると見ている。唯一の朗報は、雌豚頭数に減少の兆しがあることで、出産予定は3〜5月期が前年より微増、6〜8月期は2%減少と報じている。

和牛低迷脱せず、豚肉はばらつき、鶏肉は好調維持−連休前末端需要
ゴールデンウィーク需要手当ても終盤に入ったが、今年の末端の大型連休に向けての手当ては、鶏肉は引き続き活発だが、豚肉は終盤に入っても「良い」「悪い」のばらつきが大きく、牛肉は和牛2〜3等級物を中心に動きは鈍く、ロース、カタロースなどの高級部位は中間流通段階で在庫を連休明けに持ち越す形となったようだ。
 [牛肉]連休需要で在庫を消化したいとの期待が強かった牛肉は、終盤に入ってホルスの動きは上向いたものの、和牛の2等級、3等級物は末端の目立った引き合いはなく「例年にない不調」(問屋筋)となった。特にロース、カタロースの高級部位の動きが鈍いままで、連休明けに在庫を持ち越す状況となった。ホルスは終盤に入って上向いたが、スソ物部位が中心で、ロース、カタロースはやや上向いたという状況

牛肉輸入4万t、豚肉6.7万t、鶏肉2.9万t―3月輸入通関
財務省が28日に発表した3月分の通関統計によると、3月の牛肉の輸入量は前年同月比2.3%減の4万459t、豚肉は9.7%増の6万7,066t、鶏肉は40.4%増の2万9,389tとなった。中国産冷凍ギョウザ問題で注目されていた鶏肉調製品は、18.0%減の2万464tと、2月よりも3,517t減少。うち、中国産は29.0%減と大きく減少した
牛肉は春先需要を前に焼き材関係の引合いが高まったことなどもあり、フローズンは増加したものの、チルドは豪州グレインの供給減や国内牛肉マーケット事情を反映してチルドは12.2%減少した。豚肉は、国産物相場高や加工用のひき材の需要が強く、これまで前年割れで推移していたフローズンが16.3%と大幅に増加した
鶏肉は40.4%増の2.9万t。現地ブラジルの先物オファーの値上がりが見込まれているために4割増しの大幅輸入となった。羊肉は現地の生体出荷が少なく、馬肉も現地相場も高止まりしており、ともに前年を下回った。鶏肉調製品は、中国産は前年比29.0%減の8,953tと大幅減少、中国からシフトしたとされるタイも7.5%減の1万1,315tとなった

米牛肉輸入、韓国で反対論拡大・BSEにかかりやすい説拡散
韓国政府が米国産牛肉の輸入制限措置を段階的に撤廃すると決めたことについて、反対論が急速に広がっている。韓国MBCテレビ番組などが伝えた「大部分の韓国人はBSE(牛海綿状脳症)にかかりやすい遺伝子を持つ」という説がインターネットで拡散。ネット上の「大統領弾劾要求の署名」は2日夕までに約60万人に達し、反対派は同日夜にソウル中心部で抗議集会を開いた。 李明博(イ・ミョンバク)大統領は4月19日の米韓首脳会談で、輸入再開合意をテコに米韓自由貿易協定(FTA)の年内批准方針を確認したばかり。だが、今月29日まで任期を残す現国会で最大勢力の野党、統合民主党は2日に「今国会ではFTA批准案を処理しない」と決めた。大統領は同日、米韓FTAの早期批准が必要だと強調。韓国政府は専門家も同席する緊急記者会見を開いて「番組内容は根拠がない」と説明するなど火消しに躍起だ

フィードロット、赤字でも肉牛導入
各地のフィードロットは、現在出荷している肉牛で大幅な赤字を出している。そのため飼育頭数1,000頭数以上のフィードロットの3月度導入頭数は前年より7〜10%減少した。昨年秋に前年を上回る肉牛を導入したことも影響して、今後確定する4月1日現在のフィードロット内頭数は過去最高になる可能性もあるため、初期の供給量は年間のこの時期としては多くなっている。また枝肉重量やチョイス等級の割合が多いため、もっと積極的に出荷する必要がある。しかし肥育業者が1頭当たり150〜200ドルの赤字を抱える一方で、パッカーは一定数の肉牛しか必要としないため、それも難しい。また先物契約のプレミアム価格も変動がないため、初期供給量の消化や先取りの予約にはつながっていない。

好調続く米国産豚肉・牛肉輸出
4月3週の生体牛先物相場は、牛肉市場や商品ファンドの動きをにらんで横這い、急落、回復と動いたが、アナリスト予測はサザン・プレーンズ(オクラホマ南部〜テキサス北部)で87ドルだった。ボックスビーフ価格は一部低迷したカットもあったが、特にスポット市場の活発な取引があり、バーベキューの季節を控えて、久し振りに好転した
米国農務省(USDA)発表のデータ[米国食肉輸出連合会(USMEF)まとめ]によると、今年1〜2月、豚肉業界は好調が続く輸出に支えられ、また牛肉輸出も堅実に前年を上回る利益を上げている。USMEFは「今後も輸出市場が米国食肉業界の成長の原動力となるだろう。米ドル安、価格の優位性、競合の生産量低下があいまって、世界各地での継続的な伸びを後押ししている」と述べている。2月の豚肉輸出(バラエティーミート含む)は1月を6%上回り5ヵ月連続で記録を更新し、前年比では55%も伸びた。豚肉生産量は前年より12%増加して、上昇が続く生産コストをカバーするための値上げができない。仮に輸出なしで今の生産ペースが続くと、さらに1日6万頭を国内で消化する必要があり、大幅な値下がりになる。今年1〜2月で豚肉輸出量は41%増加して30万4,651トン、輸出額は6億8,500万ドルだった。
一方牛肉のマッスルカットは前年比36%増加して7万6,445トン、バラエティーミートは17%増加して5万3,529トンで、合わせて前年比40%増加して12万9,974トン、4億4,200万ドルだった。
輸出の好調が続く一方で、豚飼育の赤字は過去最高レベルに迫っている。3月の飼育コストは54.19ドル(100ポンド当たり)で成豚価格40.62ドル(同)を上回り、一頭当たり39.49ドルの赤字を出した。秋には60ドルに達する可能性を示唆するエコノミストもいる。

韓国、米国産牛肉の輸入規制改定を発表
米韓自由貿易協定(KORUS・FTA)の前提条件とされていた、米国産牛肉の韓国輸入交渉が妥結した。早ければ5月中旬から輸入が再開される。新たな輸入衛生条件は国際獣疫事務局(OIE)の指針に沿ったもので、規制は段階的に改定されることになる。最初は生後30ヵ月齢未満の牛由来のボーンイン、ボーンレス、バラエティーミートの輸入が認められる。その後、米国が動物飼料措置の強化を交付した場合は月齢制限が撤廃される。ただしOIE規格では安全とされる特定部位(SRM)などは輸入品目から外される。
【今後の見通し】
輸入再開により、特にこれまで韓国が輸入していた上位2カットであるショートリブとチャックロールなどの値上がりが予想される。輸入全体のうち、ショートリブは40%、チャックロールは15%、リブフィンガーは9%を占めていた。既に牛肉が供給不足の上に韓国の需要が加わると、牛肉全体の値上がりの可能性も考えられる。
今回の妥結は、米ドル安、米国ミートの生産過剰、韓国市場の高い牛肉需要は勿論、出荷可能牛が増える夏に向かう、絶好のタイミングといえる。米国食肉輸出連合会(USMEF)は、今年5〜12月の韓国向け牛肉輸出は8万トンと予測している。これは2003年実績の5〜6割に相当する。全面的に解禁すると、通年ベースのビーフ・ビーフバラエティーミート輸出量は24万6,595トン、輸出金額8億1,500万ドルとなり、3番目に大きな米国産牛肉輸出先に復帰する数字だ。
また牛肉禁輸の間、主要蛋白源であった豚肉の主役交代や、マーケットシェア7割を占めていたオーストラリア産に対し、グレインフェッドのショートリブを大量に提供できる米国の供給能力の優位性も期待される

機能性食品利用のトレンド
米国では肥満の蔓延や医療費の高騰を背景に、食生活の補強に機能性食品の利用が広がっている。食品マーケティング協会(FMI)の調査で、予防を心がけた食生活を送る(69%)、既にある健康障害の治療に食品を利用(27%)、健康障害発生のリスク軽減に努力(36%)、医者の助言に従う(30%)もしくは自己対応(25%)-という結果が出ている。食品トレンド・市場予測会社のスローン・トレンド&ソルーションズ社は、以下の機能性食品の利用傾向トップ10を挙げている:
  1. 健康的な家庭生活
    ヘルシーな食生活を心がける(57%)
    脳や目によいDHAや消化を助けるプロバイオティクスの摂取。
  2. スーパーフード *
    最近になってスーパーフードの健康効果が科学的に実証され、人工的な栄養素添加ではなく、食べ物丸ごとの栄養分に注目する傾向が生まれた。例えばブラッドオレンジ、クコの実、マンゴスチン、ひよこ豆など。
    *抗酸化物質やフィトケミカル(植物栄養素)が豊富に含まれ、生活習慣病の予防や免疫力の向上など、健康に関する効能が期待できる食べ物の総称
  3. あっさりした満足感のある食品
    2010年までに690億ドル規模に成長すると予想されるダイエット市場は、単なる減量から製品少量化、特定食品の制限、ローファットで満腹効果のある製品摂取による体重管理へとシフト。満腹効果、満足感のある製品に人気。
  4. 団塊世代向け食品
    今後10年間に3,100万人が65才になり、団塊世代7.600万人の最年長組が60代に突入する。健康障害に特化した食品の需要が急増。高コレストロール、高血圧、骨粗鬆症、糖尿病に対応・治療する機能性食品のニーズ。
  5. 健康を意識した製品選択
    栄養強化食品・飲料が当たり前になる。普段の食事でビタミンA/B/C/E、カルシウム、食物繊維、酸化防止剤、オメガ3・DHA・魚油、カリウム、鉄分、葉酸の摂取に努める。
  6. グリーンライフ
    より簡素で自然な食生活を目指し、時間と予算に余裕があれば、原材料があれこれ入っていない、産地に近い新鮮な食品を求める。2007年に13%増加したオーガニック食品の売り上げは、2018年まで2桁成長の予想。
  7. スマートスナック(賢いスナック)
    栄養分が高いもの(66%)、低カロリー(63%)、100カロリーパック(25%)を探す。ここ2〜3年でヘルシースナックVS従来型スナックの売上比は3:1と前者が優勢。
  8. 食品アレルギー
    自分や子供が食品アレルギーや過敏症に悩むと感じる大人が増加し、それに対応した市場が潤う。7,000万人が消化器系の病気を抱え、食物繊維強化で無グルテンの食品の増加を期待。
  9. 忙しい毎日のエネルギー補給
    食生活を見直す理由のトップはエネルギー。活力増進(55%)、スタミナ・耐力増強(48%)や目覚めを助ける(46%)ためなどに必要。
  10. 簡便な製品の普及
    手軽に買えるコンビニが原動力。さらに売り上げアップの新企画を導入中

大豆入札 納豆用が続伸/中国の輸出規制 影響
国産の納豆用大豆が、じわり値上がりしている。日本特産農産物協会が30日発表した2007年産大豆の4月の入札取引(9、23日実施)結果によると、納豆用の代表銘柄とされる北海道「スズマル」(小粒)が前月比27%高と続伸し、60キロ2万2279円と過去最高値を付けた。茨城「納豆小粒」は26%値上りし、1万9709円となった。他の大豆が軒並み60キロ7000円前後で推移しているのに対し、納豆用だけ特異な値動きとなっているのは、「中国が1月から大豆など穀物の輸出規制を始めたことの影響などで、国産大豆の需要が高まっている」(同協会)とみられる。

年度外食売上高1.1%増 業態で明暗分かれる
日本フードサービス協会が24日発表した2007年度(07年4月から08年3月)の外食産業市場動向調査によると、既存店ベースの売上高は前年度比1・1%増となり、2年連続で前年実績を上回った。ファストフードを中心に来店客数が1・1%増加したが、ファミリーレストランなどは前年度実績を下回り、業態によって明暗を分けた。業態別では、「洋風ファストフード」が7・1%増で、07年1月から15カ月連続で月別の売上高記録を更新。「和風ファストフード」も12・5%増となり、牛丼の販売時間を延長した吉野家が牽引(けんいん)した形だ。ファミリーレストランやパブ・居酒屋業態は苦戦を強いられた。中国製のギョーザ中毒事件や食品価格の相次ぐ値上げで家計が圧迫され、外食を控える人が増加したのが要因。ファミリーレストランは2・6%減、パブ・居酒屋も3・4%減だった。独り勝ちのファストフード業界だが、08年度は、23日に米国産牛肉からBSEの危険部位が見つかったことで、「米国産牛肉の輸入規制が強化されれば、牛肉の需給バランスが崩れ豪州産や国産牛の調達価格も上昇する」(松屋フーズ)との懸念が浮上。低価格をウリにしてきた業界だけに、値上げとなれば一気に客離れを引き起こしかねない状況だ。

バター品切れ騒動で露呈した日本の食料供給構造の脆さ
 店頭からバターが消える異常事態が続いている。国内の小売店の多くが「一日の入荷はせいぜい数個。少量パックで対応しているが、入荷当日中には売り切れる。“お一人様一個まで”の札を常に出している」(大手小売店)という。
 これまで、バターの原料となる生乳の一人当たり消費量は1990年以降、毎年落ち続けていた。これを受け生産者団体は2006年度、07年度連続で減産計画を策定。いっせいに減産した。
 ところが、想定外の事態が起きた。昨年来からの飼料価格の高騰で、経営を維持するためにウシに食べさせる飼料を絞る酪農家が増え、さらに昨年の猛暑でウシが体調を崩して乳量が計画以上に減ったのだ。
 オーストラリアの干ばつなどによる世界的な生乳不足もこれに拍車をかけた。その結果、世界的に需給がタイトになり、生乳と乳製品の価格が高騰。従来は余剰気味だった国内製品に一気に需要が集中したのである。
ここで影響をもろにかぶったのが、「メーカーからの生乳の買い取り価格が最も安く、消費期限も長いため、需給の調整弁として使われている」という(酪農家団体関係者)バターだった。乳製品の原料用の生乳は、牛乳用のものよりも安い値段でしかメーカーに買い取ってもらえない。店頭での価格競争に対応するため、加工コストを含んだ原価を抑えなければならないからだ。
 生乳の最大産地である北海道では、それでも3月には約3%ほど乳量生産が増加しているものの、小売店での品不足はいっこうに解消されない。「大手製パンや菓子メーカーが、輸入品の価格高騰や国産品の品薄状況を見越して買い占めているのでは」(業界関係者)と見る向きもある。「一円でも高く生乳を売らなければ経営が成り立たない」(酪農家)までに疲弊した生産者。さらに、原材料の需給状況を無視して店頭で安売りされる商品。飼料高騰という国際的な要因で起こった異変に対し、確たる防衛策や対策を持たない生産者やメーカー、そして国――。5月に入り、農水省はついに乳業大手にバター増産を要請。各社ともこれに応じる意向だが、関係者の不安は消えない。今回のバター騒動は、日本の食料供給構造の脆さをあらためて浮き彫りにしたとも言える。

中国ギョーザ騒動のあおりを受けるコンビニ弁当の苦境
 コンビニエンスストア業界の中国食材不安への対策は、これからが本番といえそうだ。
 コンビニ大手各社では、差別化のために弁当やおにぎり、総菜類など多くのプライベートブランド(PB)を開発している。各社で差はあるが、売上高の4〜6割を占める。言うまでもなく、これらの製造・販売の責任を負っている。
 コンビニのPBでは天洋食品の製品は使用しておらず、安全性の確保された食材を使用していることから、現在のところ販売を中止した商品はない。ただ「世界各地から原材料を調達しており、そのなかに中国も当然含まれる。安全だとはいっても今回ばかりはしっかり検査をしないと心配」(大手コンビニ幹部)と本音を漏らす。中国食材の使用比率は明らかにしていないが、おおよそ1割程度と見られている。「1日に2〜3件、弁当に中国製品を使っているのかなどの質問を受ける」と都内大手コンビニの店長が語るように、依然としてはっきりと原因がわからないなか消費者の不安は増すばかりだ。「いくら安心だと説明しても、中国食材を使っていることに変わりはない。すべて検査しなければ信頼してもらえないだろう」(同店長)と店舗の最前線では危機感が高まる。
 だが、今後の検査を進めていくにも、そのコストを誰が負担するのかという点が問題になるだろう。現在大手各社はすべての原材料の洗い出しをしているが、中国食材は数百品目に上ると見られる。今回問題となっているメタミドホスの残留農薬検査は一品目当たり1万5000〜2万円。他のあらゆる農薬に関して一つひとつ検査を行なっていけば、そのコストは決して無視できない額になってくる。 コンビニ側は「ベンダー(製造を委託している食品加工会社)が負担するのが筋」と言うが、ベンダー側は「そのつど話し合いで決まること」と語り、早くも両者間の認識は一致していない。 一連の騒動で、業界各社はコスト増を強いられている。いかにそれらを吸収し、早期に安全性を消費者に訴えることができるか。時間がかかれば、売り上げに響きかねない。コンビニ大手にとってもまた、今回の騒動のインパクトは大きい。

伊藤ハム「女子高生」を商標登録 「一体何の目的」とネットで話題
伊藤ハムが「女子高生」を商標登録していたことがネットで話題になっている。食品メーカーが何の目的で、というわけだが、あるブロガーは「コンテンツメーカーに商標使用料を請求すれば、莫大な利益になる」などと書いている。しかし、当の伊藤ハムの思惑は、全く別だった。

莫大な利益を得る日が来るかもしれない??
特許庁の商標検索サービスでも「女子高生」が確認できた。 この話題は08年2月頃から様々なブログで取り上げられてきた。その「震源地」を探ると、どうやら、携帯電話向け総合支援サービス・クレイジーワークスの村上福之代表取締役総裁のブログのようだ。08年1月23日付けの「クレイジーワークス総裁日記」には、仕事で商標を調べていたところ、偶然に伊藤ハムが「女子高生」を商標出願していたのを見つけた、と書かれている。
村上総裁はブログで、「女子高生」が登録されている以上、「女子高生」を題材にしたサイトは末尾に「※『女子高生』は伊藤ハムの商標登録です。」と書かなくてはいけないのかもしれない。また、テレビアニメ「ヤッターマン」のキャラのボヤッキーが「全国の女子高生の皆さん」と簡単には言えなくなる日が来ている、などと説明。そして、サブマリン商標登録の可能性を示唆している。
サブマリン商標登録とは、人知れずに商標を取り、それが広く使われるようになってから商標権を主張。ライセンス管理をし始めるやり方で、伊藤ハムが今後、「女子高生」の商標使用料金を大々的に請求し始めた場合、莫大な利益を得る日が来るかもしれないとし、「伊藤ハムはすでに、単なる食品メーカーではなく、巨大な女子高生ライセンスホルダーになるでしょう。世界同時株安の今、買うべき銘柄は伊藤ハムです。きっと....。」と村上総裁は述べている。

食品のネーミングに使おうとしたのだが…
J-CASTニュースが伊藤ハムに取材すると、同社広報は、「女子高生」の商標を99年に登録したのは事実だと認めた。しかし、ネットで話題になっている商標権で儲けようなどという思惑は無く、商標権を主張できるのは弁当、ピザ、ハンバーグなど食品に限った狭い範囲。「あくまで商品化しようというのが目的です。女子高生は健康的なイメージがあり、ヘルシー志向食品やダイエットをイメージした食品のネーミングに使おうとしたわけです」と話した。ところが、「女子高生」商標を使った伊藤ハムの商品はゼロ。これは、同社製品の顧客は主婦層が中心のため、「女子高生」のネーミングは「使いようがない」ということに気付いたからなのだそうだ。同社の「女子高生」の商標権は来年で期限切れ。継続を申請するかどうかは未定だが、使う予定が無い以上、手放すことになりそうだという。

エジプトでも牛肉偽装 イスラム禁断のロバ混ぜる
ひき肉を串に刺して焼くエジプトの人気料理「コフタ」などの材料のミンチ肉に、イスラム教が禁じるロバなどの肉を混入させていた「偽装事件」がこのほど発覚。同国の警察当局が精肉店経営者ら3人を逮捕した。3人は「貧しい住民に肉を安価で提供するためにやった」などと供述しているという。 調べでは、3人は牛肉のミンチをつくる際にロバや犬などの肉を混入。風味をごまかすために大量のスパイスを混ぜ、市価の数分の1程度の値段で住民や食堂に販売していたという。3月、容疑者の1人がロバを解体しているところが目撃され、偽装が発覚した。 エジプトでは今年に入り食料品の値段が上昇。1キロ35エジプトポンド(約660円)近い牛肉は貧困層にとってぜいたく品になり、偽装ひき肉を使っていた食堂は「激安価格」で人気を博していた。だが、偽装事件の発覚後は風評被害で他の食堂まで売り上げが減少。コフタが売り物の食堂従業員は「自分の店では客を裏切るような料理は出していないのに」と迷惑顔だ

遺伝子組み換えトウモロコシ製品 食用に供給開始 日本食品化工、原料入手困難で
世界的な穀物価格高騰を受け、原料に価格の安い遺伝子組み換え(GM)トウモロコシを使った食品が相次いで販売される見通しになった。スターチ(デンプン)最大手、日本食品化工は米国産GMトウモロコシを原料とするコーンスターチを製造し、17日までに飲料メーカーなどへの供給を開始した。他社もGMコーンスターチ量産の検討に入った。GM穀物を原料とする食品は消費者に敬遠されるとして食用油などを除きほとんど製品化されていなかった。
 日本食品化工によると、輸入元の米国で非GMトウモロコシの必要量確保が困難になったことを受け、今年2月に初めてGMトウモロコシを輸入。年内に調達予定の75万トンのうち、15万トンをGMでまなかう計画だ。
 工業用途の非GM製品をGM製品に切り替え、余裕のできた非GM製品を食品用に回すなどの対応をしているが、「すでに飲料メーカーを含む複数の食品メーカーからの要請に応じる形でGM製品の供給を始めた」という。供給先は明らかにしていない。農林水産省によると「国内では天ぷら油などの食用油を除き、GM穀物を食品に使う例はほとんどない」(総合食料局)という。
 一方、王子製紙グループの同業、王子コーンスターチは、大口ユーザーであるビール各社などと値上げ交渉を進める中で、値上げを回避するための有力な選択肢として、GM原料を使った製品供給の検討に入った。
 同社はすでにGM製品の需要拡大を見越し、コーンスターチ製造設備を持つ化学大手、群栄化学工業などとと提携。今後、GM製品需要が拡大した場合、両社の製造ラインの一部をGM製品専用とし製品を分け合う考えだ。
 日本が9割を頼る米国のトウモロコシは、石油代替燃料のバイオエタノール向け需要の拡大で生産量は年々増加しているが、非GMトウモロコシは作付面積が昨年の約3割から今年は2割弱に減少。スターチ各社は契約農家に「ジャパン・プレミアム」と呼ばれる上乗せ料金を支払い食用向けの非GMトウモロコシを確保している。
 しかし、「2〜3年後には入手が困難になる」(日本食品化工)見通しで、今後、さまざまな食品にGM原料の使用が広がるのは避けられないとの見方もある。

■ビール・飲料各社、利用に慎重
 ビール・飲料各社は遺伝子を組み替えていないコーンスターチの調達難と価格高騰という厳しい環境の中で遺伝子組み換え(GM)原料の使用に慎重姿勢を崩していない。当面は値上げで難局を乗り切る構えだ。
 大手ビール・飲料各社はGM原料に慎重な理由に「安全性が確保されているというイメージがまだ定着していない」(サッポロビール)ことを挙げる。GM原料を使用していると表示した場合、売り上げが3〜4割減少するとの予測もあり各社とも製品・企業イメージの悪化を恐れている。
 しかし、現状を維持したまま今後の急激な原料高にどこまで対応できるかは未知数だ。非GMコーンスターチは昨年1月以降、約2割も上昇した。それでも過去2年で約2・6倍に急騰したトウモロコシ価格や原油高の悪影響は吸収しきれずスターチ業界は「存亡の危機にある」(日本スターチ・糖化工業会)という。
 こうした中でスターチ各社はビール・飲料業界に対し非GMトウモロコシの値上がり分を負担するか、低価格のGMに切り替えるかの二種択一を迫っている。値上げ交渉の激化に伴い、「ビール各社はGM使用に慎重姿勢を崩していないが、ジュースなどについては柔軟なユーザーもあり、温度差が出ている」(王子コーンスターチ)という。
 ビール各社は2月以降、相次いでビール類(発泡酒含む)の値上げを実施しているが、キリンは「原料価格の高騰が続き、利益を圧迫する事態が生じれば、当然、再値上げを考えることになる」としている。
【用語解説】遺伝子組み換え(GM)穀物
 遺伝的特性を変え、害虫や除草剤などへの耐性を強くし収穫量を上げたトウモロコシやダイズなどの穀物。日本では主に家畜飼料用に多く利用されている。政府が安全性審査などを経て承認した種は食品に使用できるが、GMダイズは食用油などを除き、ほとんど食用に使われていない。GMトウモロコシは主に家畜の飼料や工業向けが中心。コーンスターチはビールや焼酎、ジュースの甘味料(異性化糖)など食用のほか製紙など工業用にも使われる

戻る