韓国農水相、BSE発生なら「牛肉輸入即中断」
韓国の鄭雲天(チョン・ウンチョン)農林水産食品相は7日、米国産牛肉の輸入制限撤廃を巡る国会の聴聞会で「今後米国でBSE(牛海綿状脳症)が発生したら即刻輸入を中断する」と表明した。韓国では米牛肉の輸入自由化への反対論が急速に拡大し、政府が対応を迫られた格好だ。 米韓両政府が4月18日に合意した内容には、食肉貿易の安全基準を決める国際獣疫事務局(OIE)の規定に反していない限り、輸入を即時中断するという項目は盛り込まれていない。米政府が農水相の発言に反発する可能性もある
<米国産牛肉>政府、消費者不安火消しに躍起 危険部位混入
輸入された米国産牛肉に牛海綿状脳症(BSE)の病原体が蓄積しやすい特定危険部位が混入したことに対し、政府は「安全システム上は問題はない」と、事態の沈静化に躍起になっている。日本が世界で最も厳しい水準の輸入条件を維持していることに米国内の反発は強く、日本の過剰な反応が両国間の摩擦を生むことを懸念しているとみられる。
今回、危険部位が混入していたのは吉野家が輸入した700箱のうちの1箱。米農務省の衛生証明書が添付されていたが、1箱だけ誤って箱詰めされた可能性が高いと農林水産省はみている。06年1月に危険部位を含む牛肉が輸入された際は、米国の検査官が背骨付きであることを確認しながらも、衛生証明書を発行していた。このため、検査体制の不備が問題になって全面的な輸入禁止措置を取ったが、今回は当該の加工工場のみにとどめた。
若林正俊農相は「誤って危険部位などが混入することを想定し、流通段階で確認するよう指導している。今回は吉野家が見つけたことでチェック体制が機能した」と強調する。
日本は「月齢20カ月以下」という厳しい輸入条件を採用しているが、米国は条件の撤廃を要請している。今月に入って日本と並ぶ米国産牛肉輸入国の韓国が条件緩和で米国と合意したこともあり、米食肉業界などは「特異な国」と日本に対する強い不満がある。日本側は「月齢30カ月未満」に条件を緩和することを妥協点に交渉を進めたい考えだが、今回の問題で消費者の不信感が高まれば、緩和に応じるのは難しい。すでに「米国はきちんとチェックしているのか」(自民党議員)との批判が出ているほか、スーパーなどで販売停止の動きが相次いでいる
米国産牛肉:「忙しい」と取材拒否 出荷工場
【ブローリー(米カリフォルニア州)吉富裕倫】特定危険部位の背骨(脊柱)がついた牛肉を「発送ミス」で日本へ出荷した米食肉大手、ナショナルビーフ社の工場(カリフォルニア州ブローリー)は23日、多忙を理由に記者の取材に応じず、ミズーリ州にある本社での「取材窓口一本化」を繰り返すばかりだった。ブローリーはロサンゼルスの南東約340キロ。工場はメキシコ国境から50キロ足らずの場所にあり、ヒスパニック(中南米系)の従業員が多い。工場関係者の女性は「日本向け牛肉の出荷は22日に止められたと聞いた」と話す。ひき肉の加工担当者(28)は、日本向けの出荷が止められたことについて、「何と言っていいか」との表情で肩をすくめるだけだった。
政府、検査を強化・米産牛肉に危険部位
BSE(牛海綿状脳症)に関係するとされる特定危険部位の脊柱(せきちゅう)を含む米国産牛肉の輸入が発覚したことを受け、政府は24日、輸入時の検査の強化に乗り出した。検査は農林水産省の動物検疫所と厚生労働省の検疫所で実施しているが、検査の抽出率を上げたり、国内の輸入業者に流通段階の検品の徹底を指導したりする。
農水省の動物検疫所の場合、輸入量が多く、一定の検査を受けた実績があり、違反事例がなかった米国の加工施設からの輸入については、検査を緩めていた。検査割合の基準となる500や1200箱以上の輸入でも、実際に開けて調べるのは13箱だった。今回の事態を受け、輸入量の多い業者でも501箱以上では80箱、1201箱以上は125箱を開けて調べるようにする
吉野家再び「BSE危機」米国産頼みが裏目
やっぱり――誰もが起きるんじゃないかと恐れていたことが、現実になった。
吉野家が購入した米国産牛肉に、BSEの特定危険部位である脊柱が混入していた問題だ。米国大使館は農水省と厚労省に対し、「日本向けでない牛肉が間違って交じった」などと回答したというが米国での輸出作業がいかにイイ加減かを証明しているようなものだ。
消費者問題研究所の垣田達哉代表も呆れてこう言う。「やっぱり起きた、のひと言に尽きます。米国はBSEの危険部位だとかそういうことを気にしていませんから」 米国産牛肉は現在、国は抽出検査だけで、最終確認は肉を購入した業者の責任。今回は、消費者が口にする前に発見されたからよかったものの、「輸入するなら行政が全箱検査しないとダメ」と、垣田氏は力説する。 それにしても、問題発覚の舞台が吉野家だったのは皮肉だ。5年前の輸入禁止後も「米国産でしかおいしい牛丼は提供できない」と、ライバル他社が豪州産などにかえるのを横目に最後まで米国産にこだわってきた。そこには深い事情がある。「米国は部位単位で取引するので都合がいいということもありますが、吉野家向けの肉は、吉野家用に加工されたもので、特別な技術もあるようです。だから、米国以外からの輸入は考えられないし、価格面でも商売にならない」(内情に詳しい経済ジャーナリスト)
吉野家は、先月20日にようやく24時間の牛丼販売を再開し、今期(09年2月期)業績のV字回復を予想していた。頼みの綱の牛丼を、わずか1カ月の完全復活でやめるわけにはいかないのだろう。安全性に問題はない、と牛丼販売の継続を早々に表明した。
だが、食品の安全に対して、かつてないほどに消費者は敏感になっている。スーパーのダイエーやマルエツは、問題の出荷元からの米国産牛肉の撤去を昨夜のうちに決定した。波紋がこれからまだ広がる可能性は高い。「当分は米国産牛肉を敬遠する人も出てくるでしょう。スーパーは他のものを売れるが、吉野家は牛丼あってこそですからね」(外食業界関係者) 吉野家、再びピンチである。
米牛肉、全箱検査を 自民「政府対応は不十分」
米国産牛肉から牛海綿状脳症(BSE)の特定部位が見つかった問題で、自民党動植物検疫・消費安全小委員は25日、政府の対応を「不十分だ」と批判、全箱検査を求める声が相次いだ。政府は今回の混入を「システムの問題ではない」とし、大幅な検査強化には慎重な姿勢。今後、政府と自民党の間で綱引きになりそうだ。 政府は、(1)輸入牛肉の検疫で検査の抽出割合を10%に引き上げる(2)問題を起こした工場の輸入停止――の措置を取った。保利耕輔総合農政調査会長は「(これで終わりというのは)“逃げ”であり、承認できない」と厳しく批判した。
全箱確認の再開・日米協議への影響もナシ―米牛肉混載問題で農相
米国産牛肉の混載問題について若林正俊農相は24日の会見で、今回の問題はシステム上の問題ではないとの見方を示し、全箱確認などを実施する考えはないと述べた。今後の対応に関しては、米国側からの調査結果を踏まえて厚労省と協議していくとともに、消費者に対してシステム上問題がない旨のメッセージを発信して、不安の払拭に努める必要性を強調した。今回の問題を受けて若林農相は、「誠に残念だ。こういうことが起きると、本当に日米で合意したシステムが本当にきちんと行われるのか、お互いの信頼を傷つけることになりかねない。システムが守られるよう関係事業者などに徹底してもらいたい。米側からは“誤って混載された”と言われているが、米国内でさらに混載が行った事情をしっかり調査してもらい、その結果を踏まえて厚労省と連携して対応を協議していきたい」とし、輸入時検査の強化や輸入者などの現物確認の強化などを徹底していくと述べた。
せき柱の混載が国内の食肉加工業者の段階で見つかったことに対しては「(検疫検査では)サンプル検査であるため、システムを逃れて誤って入ってくることを想定した上で、流通段階でしっかりチェックする措置を取っている」と強調。その上で「(今回の問題は)想定したシステムの中で見つかったという認識だ。また「輸入条件に関しては、科学的知見に基づき日米間で専門家により協議してきた。今回の取り扱いの問題とは関係がない」と、輸入条件見直しなど日米協議への影響には影響しないとの見方を示した
米韓牛肉問題合意 骨付き30カ月未満解禁/市民団体から不満の声も
牛肉輸入をめぐる米国と韓国政府の交渉が月齢制限を撤廃する方向で合意した。今後、米政府は日本市場の開放に圧力を掛けてくることが確実だ。一方、韓国内では月齢制限撤廃に対し、韓牛生産者や市民団体から不満の声が広がっている。韓国政府は、来週中に畜産団体などの要請に基づいた総合的な対策を発表する予定だ。
韓国政府の発表によると、今回の合意で韓国は、2段階に分けて米国産牛肉の輸入に取り組む。第1段階では、月齢30カ月未満の牛肉の輸入で、部位に関係なく骨付き牛肉の輸入を認める。
米国産牛肉、安全性を改めて強調・米通商代表部
米通商代表部(USTR)のシュワブ代表は6日、先に米国と韓国両政府が合意した米国産牛肉の輸入制限撤廃に対し、韓国内で反対論が広がっていることについて「韓国政府は科学的で国際的な安全基準を受け入れただけだ」と述べ、米国産牛肉の安全性を改めて強調した。ワシントンでの講演後、質問に答えた。同代表は「韓国の消費者に届くのは、米国民が子供も含めて口にしているのと全く同じ牛肉だ」と説明。BSE(牛海綿状脳症)対策として「危険部位は取り除かれており、安全だ」と理解を求めた。米国はBSEのリスクのない牛の月齢などを定めた国際獣疫事務局(OIE)の基準を「科学的根拠」として韓国に市場開放を要求。BSE対策として米国産牛肉の輸入を月齢20カ月以下の牛肉に限っている日本についても、同基準を根拠に月齢制限の撤廃などを求める方針だ。
大手スーパーの米国産牛肉の対応分かれる、イオンは30日販売再開
米国産牛肉からせき柱がついた牛肉が見つかった問題で、大手スーパーでは米国産牛肉の販売を見合わせるケースもあるが、これまで販売を中止していたイオンが全国のジャスコなど約470店舗で販売を再開。西友、シジーシージャパンは引き続き販売を継続する。ダイエー、ユニーなどは販売を見合わせるなど、スーパーの米国産牛肉販売の対応は分かれている。ダイエー、マルエツは当該工場から仕入れていた米国産牛肉の販売を中止し、ユニーは米国産牛肉の販売を中止した。「消費者の不安に配慮した」というのがその理由。これに対して、西友は、「厳格な検査体制で安全性は確保されている」として販売を継続。シジーシージャパンも「加工工程でもチェック機能が働くので安全性は確保されている」として販売を継続。イトーヨーカ堂では販売を継続しているが、消費者の反応を見ながら今後の対応を決めるという
米韓自由貿易協定の最新状況
2月の政権発足後初の総選挙を終えた韓国の李明博新大統領は、4月17、18日に訪米してブッシュ大統領と首脳会談を行う。これに先がけ、米韓の事務レベルでの牛肉輸入条件について話し合いがなされたがこれまでに何ら合意するものは出ていない。また米国産牛肉問題、米韓自由貿易協定(KORUS・FTA)ともに今回の選挙の争点ではなかったが、後者は韓国議会の承認が期待されている。2007年度の米国産食肉の対韓輸出実績は、ポークが9,763トン、ビーフが3,896トン(いずれもバラエティーミートを含む)に達している。
BSE擬似患畜/基準見直し答申
農水省の食料・農業・農村政策審議会の家畜衛生部会は18日、牛海面状脳症(BSE)が発生した際に殺処分の対象となる「疑似患畜」の基準を見直し、感染牛が生んだ子牛を対象から外すことを答申した。国際獣疫事務局(OIE)が同様の基準を設けたのを踏まえた。
クローン食品、米の出荷自粛は初代だけ…子孫の日本流入も
体細胞クローン技術で作った牛の肉などの「クローン食品」について、米国が出荷自粛措置を継続しているのは、同技術で作った「初代」の動物だけで、子孫や精液は含まれていないことが3日、わかった。
日本政府の問い合わせに対し、米国側が回答していた。米国市場で出回れば、日本に輸入される可能性もある。体細胞クローン食品は安全性に問題がないとの研究結果が出ているが、消費者の不安も強いだけに、表示などのルール作りが議論になりそうだ。
米国では、食品医薬品局(FDA)が今年1月、牛、豚、ヤギなどの体細胞クローン食品について「従来の家畜に由来する食品と安全性は同等」とする最終評価を公表し、安全宣言を出した。その一方で、米国農務省は、市場の混乱を避けるため、出荷の自粛は当面続けると発表した。
この発表当初、米国の出荷自粛の範囲が不明確だったが、厚生労働省は3日の内閣府・食品安全委員会で、委員の質問に対し「1月までFDAで出荷自粛要請が行われていたが、その後は初代だけなっている。実際に市場にどう現れてくるのか明確な情報はない」などと答えた。関係者によると、米国側から2月、対象は体細胞クローン初代だけで、子孫や精液は対象外と通知された。FDAは安全宣言を出す1月までは初代と子孫の出荷自粛を要請していたが、その後は農務省が初代の自粛要請だけを継続させたという。
このため、米国では体細胞クローン動物の子孫から作った肉や乳製品は販売できる。厚労省は「安全性に問題がない以上、輸入制限は難しい」とし、「子孫の出荷自粛が解除されて間がないため、全くとはいえないが、それほど流通していないのではないか。日本に入って来るまでにもしばらく時間がかかるだろう」との見方も示している。
◇ 体細胞クローン=未受精卵の核を抜き取り、動物の皮膚や筋肉の細胞から取り出した核を移植して、代理母の子宮に入れ、その動物と同じ性質を持つコピーを誕生させる技術。その子孫は、通常の生殖により誕生する
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