8年6月度 流通・その他のクリップボード

「容リ法に合理性」地裁判決、再商品化の流れ不透明
容器包装リサイクル法(容リ法)の規定は違憲だとして、食品スーパーのライフコーポレーションが国などに損害賠償を求めた訴訟の判決で東京地裁は先週、請求を棄却した。「リサイクル促進のために合理性がある」という趣旨だが、「本当にリサイクルは進んでいるのか」という疑問は残されたままだ。
  • ライフは国と日本容器包装リサイクル協会を相手に約六億千六百万円の損害賠償を求めた今回の訴訟で、容リ法はレジ袋や食品トレーなどのリサイクル委託料について、容器メーカーなどに比べ小売業の負担を不当に重くしていると訴えた。また対象となる事業者約十六万社のうち実際に費用を払っているのは約二万七千社。費用を払わない「ただ乗り」業者が多数いるのに放置していると政府の不作為を批判してきた。

     判決は「(小売業者の負担割合は)リサイクル促進にとって合理性がある」という内容。ただ乗り業者対策についても容リ協会の「業務ではない」と突き放している。

     ライフの清水信次会長は「予想された判決。最初から国を相手に勝訴できるとは思っていなかった。社会に問題提起してリサイクルの仕組みが少しでも改善されればと思っただけ」としている。もっとも「ただ乗り業者を摘発しなくてよいというのでは(委託料を払っている)正直者がバカをみてもいいと言っているに等しい」と憤る。

     訴訟では「プラスチック容器類がどの程度再商品化されているか不明」という問題も指摘。ライフは「再商品化と言いながら容リ協会は再商品化を追跡調査していない。実際は焼却や不法投棄、中国などへの輸出が相当ある」と批判する。判決は「(不法投棄などの)主張を認めるに足りる証拠はない」としている。だが不法投棄や焼却のうわさは今も絶えず、リサイクル社会の推進という点で疑問視されていることは否めない。

     原因はリサイクル業者が廃棄物を引き取った時点でリサイクルが完了したとする容リ法の仕組みにある。その後焼却や埋め立て、輸出などに回ったとしても再商品化されたとみなされるわけだ。業者は再利用していなくてもリサイクル費用を得ている形で、社会的なむだや環境破壊を放置している懸念がある。
  • 産業廃棄物の不法投棄摘発のGメンとして活躍し、「リサイクルアンダーワールド」などを著した千葉県職員の石渡正佳氏は「廃棄物を再商品化し販売した時にリサイクル費を払う方式にした方がいい」と提案する。

     「リサイクル品はバージン原料を使った商品に比べコストがかかるので、その差を補助する。これだと不法投棄や焼却をすれば補助が得られないので不法投棄などが激減する一方、再商品化に努める企業が増えリサイクル社会が促進される」 司法判断はともかく、現場からの視点で具体的で建設的な改善がなされなければ、リサイクル行政への不信は解消されないだろう。
食品スーパー、販促に「食育」活用、献立本配布・関連総菜を拡充
消費者の「内食回帰」追い風に

 食品スーパー各社が「食育」を売り場作りに本格活用し始めた。四月からメタボリック(内臓脂肪)症候群対策で特定健診制度が始まったほか、消費者の「内食回帰」を追い風に関心が高まると判断した。サミットが「食育の日」を決めて販促を展開しているほか、ライフコーポレーションは総菜での訴求を開始。国が「食育月間」とする六月を前に各社の動きは一段と活発化しそうだ。
 サミットは昨年から毎月十九日を「食育の日」と位置づけて青果や精肉の特売を実施する販促を始めた。四月からは、管理栄養士が監修した献立を紹介する専用のリーフレットを店頭に備え消費者への訴求を強化。今後は、青果や精肉、鮮魚売り場が一体となった取り組みができるように「食育週間」として販促期間を拡大することを検討中だ。

 ライフの一部店舗の総菜コーナーは、国が作ったバランス良い食事を図式化した「食事バランスガイド」などの店頭販促(POP)が目を引く。同コーナーでは食育関連の野菜総菜を品ぞろえ。乳製品売り場でもヨーグルトなどと食育を結びつけた販促を強化している。こうした施策は少なからず収益貢献しており、例えば「朝食用食材の直近の売り上げは前年比一割増」という。
 商品開発やイベントで食育を活用する例もある。埼玉地盤のベルクは三月に女子栄養大学(同県坂戸市)と組んで、栄養バランスの良さをアピールした「春の和食バランス弁当」を発売。県内の小学生を対象に授業の一環として、スーパーの青果売り場で予算を決めて買い物をさせ、サラダを作る「食育体験ツアー」も始めた。「金銭感覚が身に付いた」「野菜が食べられるようになった」など参加者の反応も上々だ。

 変わり種は千葉が地盤のワイズマート(同県浦安市)が始めた、食育の資格者「食育コミュニケーター」による試食販売。社員やパート従業員が資格を取得し、全店で月一回実施する。栄養バランスを考えて主菜だけでなく幅広い食材を薦められるのが強み。例えばカレー鍋の付け合わせとしてサンマの梅煮やツナ缶と塩昆布の炊き込みご飯を一緒に陳列して売る。特売品ではないが「カレー鍋つゆのもとは(特売時より)十倍以上売れた」などの効果があるという。

 スーパーが食育というキーワードを活用し始めたのは三年前の食育基本法の施行がきっかけだ。ただ、当初はパンフレットやポスターを使った訴求が中心。法の施行前からローソンやすかいらーくグループの「ジョナサン」などと小売り・外食での導入実験に参画したライフは「最初はポスターなどの演出物に頼りすぎ消費者に分かりにくかった」と反省する。

 ここにきてすそ野が広がってきたのは、サミットやワイズマートのように、献立を店頭で示し、消費者に分かりやすくして購入を促す工夫が奏功し始めたからだ。中国製ギョーザ事件を機にした内食回帰も追い風になったほか、「(メタボ対策の)特定保健用食品の品ぞろえが充実し、売り場との連動がしやすくなった」(サミット)という事情もある。

 日本チェーンストア協会(東京・港)は食育をテーマにした活動を「今年の重点課題」(会長の林紀男イズミヤ社長)と位置づける。とはいえ、国や協会の後押しに漫然と乗っかるだけでは、数年前同様、本当の浸透は難しい。食育を収益拡大にどうつなげるのか、各社の手腕が問われる

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