| 流通が選ぶ「ブランド国産豚肉」4つのポイント | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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精肉の地域1番店は、「牛肉売り場」の展開がポイントといわれたが、消費不況、食品価格上昇のなかで、牛肉から「豚肉ブランドカテゴリー」を再構築し、収益性の高い売り場作りへと、SMなどの流通企業の方針は転換してきている。 そのなかで、流通企業が、どのような国産豚肉を求めているかについて、以下4つのポイントでまとめてみた。 1. 「豚肉」は精肉部門の売上・収益の柱 総務省家計調査によるここ15年の消費推移を見てみると、O-157やBSEの影響で牛肉の消費数量は顕著に減少しており、20年4月からは、可処分所得の減少・牛肉偽装・食料品の値上げで、一層、牛肉消費が減少し、牛肉より割安感のある、「豚肉・鶏肉」へと消費はシフトしてきている。 今年に入って、国産牛肉は100g500円を越えると、「嗜好品」扱いとなってしまい、「食卓の定番」からは、遠いものになりつつある。「和牛・交雑種」などの国産牛肉から国産豚肉に消費は推移しており、今後も有望な畜種であることがわかる。 また、輸入牛肉への漠然とした不安感、不景気による所得減で、豚肉の消費数量は15年前よりも徐々に増え、「消費金額」でも牛肉を上回った。 これは、消費者の意識が、「国産商品」へと変化したことと、豚肉に関しても品種だけでなく「生産時の飼料や投薬状況の開示」も盛んに行なわれるようになり、「産地・生産者・飼育方法」などの情報が開示され、牛肉のトレサビと同様の「安心感」を消費者に与えることが出来よう用になった事の影響が大きい・ また、「美味しい」豚肉ブランドが数多く出現し、豚肉も、「シャブシャブ」などは、ご馳走メニューとしても「牛肉」と遜色なく食べられるようになり、「食育」効果で、「食べて健康になれる豚肉」のイメージが消費者に定着してきたことの要因も大きい。 従って、精肉部門では、さまざまな「ブランド豚肉」をどのように位置づけ、売り場展開するか、ということが、「売上・利益」に最も大きな影響を与えることになってきている。 ![]() ![]() 消費金額に関しても、牛肉は15年前の約半分にまで減少し、平成13年を境に豚肉の消費金額が牛肉と逆転していることがわかる。 ポイントその1.「地産地消」から探し始める「特徴のある高品質豚肉」 量販店の売上の基盤となる部分は「通常豚」であったが、穀物飼料高騰からなる相場高の影響で、仕入れ価格が高騰し、利益を圧迫し始めた。 安易な値上げは消費者の信頼を欠くので、次にとられた対策が「豚肉ブランド化」への移行である。 「生産者、産地、飼料、トレサビ」など、特徴を持たせた、独自のネーミングでブランド化した「ブランド豚」を、通常の白豚よりもキロあたり200円〜500円上乗せした金額で、自社開発したようなPB商材として販売する。 ただ単に白豚にネーミングするだけでは、ブランド力に欠けるので「地産地消」「当社指定牧場」「独自配合飼料」など付加価値をつけた「オリジナリティ」のある商品を探し求めている。 特に配合飼料でビタミン含有量が変わったりすることも多く、かなりの付加価値商品としてブランド化されている豚肉は、「食育」とリンクさせ「健康食品」のイメージで消費者にアプローチしやすいからだ。 穀物も「麦・甘藷」などで、豚肉の色・味なども特徴が発揮され、ブランド化しやすくなってきている。 また、近年では環境意識の向上で廃棄コンビニ弁当をエコフィードとして再利用したり、ビール粕や焼酎粕をリサイクルして飼料にする工夫で、「エコ」を訴えた豚肉の提案も増えてきている。「エコ」はかなり消費者のイメージも良くなり、量販店の売場では販促パネルなどでも他店と差別化した豚肉ということを訴求をすることが出来る。 さらに地産地消商品は消費者の購買力に勢いをつける。 日本全国ほぼどの地域でも地元の商品を好んで買う傾向にある。 地産地消商品を積極的に取り組んでいる県も多く、地元銘柄豚として販売することで、豚肉の価値は格段に上がり、流通サイドも通常の白豚よりは、その分高く販売でき、固定客ファンを作ることができる。 欧米の量販店では、日本の地産地消に似た傾向があり、各商品にフードマイレージという数字が記載されている。 農場から量販店売場にたどり着くまでの距離を表している。遠ければ遠いほど燃料がかかりCO2の排出量の多い商品となる。結果的に地元の商品を食べることになり、環境にも優しい商品ということである。 ![]() ![]() http://www.asahi-shokuniku.or.jp/ の「しあわせ甘藷豚」・「いもぶた」のコンテンツから、販促用店頭パネルから ポイントその2.グレード別の豚肉カテゴリー展開 豚肉で売上と利益を多く獲得するために、量販店は国産豚肉を中心に、輸入豚肉を含め、4から5種類位の豚肉のブランドを組み合わせて販売戦略を組むことが多くなった。 それは、ボリュームゾーンと呼ばれる、販売量の多い豚肉で利益を多く上げるための仕組み作りである。 最近までは、 ・黒豚などの高級銘柄豚 ・国産豚肉 ・輸入豚肉 で展開していた。 現在は、安定供給可能な量販できる豚肉をブランド化することから、豚肉のカテゴリーの構築を始める。 ・黒豚にこだわらない、銘柄ブランド豚。 ・量販するブランド豚よりも、高級で銘柄ブランド豚との中間クラスのブランド化した豚肉。 ・量販するブランド豚。価格は通常の白豚より高く設定。 ・特売に使う国産部分肉。できるだけ県内産を中心に。 ・価格訴求中心の輸入豚肉。 これをコーナー化し、消費者に安心感を与え、信頼を勝ち取ることが精肉売り場の最大の課題である。 勿論、それぞれの豚肉のブランドに消費者が明確に区別できる判断ことが必要で、また、その区分を売り場で解りやすく、パネルやPOPで掲示しておくことも重要です。 ![]() http://www.asahi-shokuniku.or.jp/ の「しあわせ甘藷豚」のコンテンツから ポイントその3.生産→と畜→カット→店舗→店頭まで品質管理 ブランド豚を作る上で重要なのは、生産者まで「トレースバック」できる事で、生産から、と畜・解体、カット・スペック作り、輸送・納品、店舗バックヤード・精肉加工、店頭販売までの「ストーリー作り」である。 生産者が正確に、決められた基準の豚肉生産をし、安定供給できる事が基本であるが、「と畜」も重要で、流通の担当者は「と畜場」での作業・管理にも注目する。 やはり、衛生的で近代的な「と畜場」で解体される枝肉にはトラブルが少ないからである。 また、カット場の設備や衛生管理も、豚肉の品質を左右する重要なポイントで、生産者が丹精込めて作った豚肉を最高の状態で送り出そうという意識の高いカット場かどうかを、生産者も確認しておくべきである。 良い農場で、シッカリした給餌計画で、生産者が丹精込めて作った豚も、と畜・カットが悪ければ、元も子もないからである。 温度管理ができているカット場で、流通サイドが求めるスペックを作っても、シッカリ冷やし込みをしなければ、「締まり」の悪い豚肉になってしまう事がある。 輸送段階で、温度管理をあいまいに行い、乱暴に豚肉を取り扱われると、豚肉の傷みも早くなります。 ここで、重要なのは、生産者と流通サイドばかりでなく、その間の仕事をする「と畜場」・「カット工場」の一連の豚肉の流れも、消費者に解るように、インターネットなどで、照会できるようにしておくこともポイントです。 従って、豚肉が農場から移動する場所ごとに、担当者を設けて、何かあった場合や、消費者が確認したい場合などの対処ができるような準備も必要です。 また、最近は、そのHP上でロット管理した豚肉の生産履歴・投与した薬類、なども検索できるようにしているものもあります。 これらによって、関係者ばかりでなく、消費者にもより多くの理解が生まれることになります。 ![]() http://www.asahi-shokuniku.or.jp/ の「しあわせ甘藷豚」のコンテンツから ポイントその4.販促展開できる「ツール」の準備 と畜され各パーツに分けられた豚肉は量販店でスライスや切身など様々な形となって商品化される。 商品化された豚肉は、パックされ商品名の付いたラベルを貼られて店頭に並ぶ。 商品に貼られるラベルに記載される事項は、 「原産国名(産地)、商品名、部位、用途、内容量、100g単価、総額売価(税込)」 が表示される。 景品表示法やJAS法があるため確実に商品には記載される。 これに加えて「別途販促シール」が貼られる。 「販促シール」にはブランド名だけでなく、こだわりのポイントが記載される。 ブランド名とは黒豚や赤豚などの品種の違いだけではない。最近ではスーパーオリジナルのネーミングを付けた銘柄豚肉も多い。こだわりのポイントは“指定牧場”や“独自配合飼料”などで、通常の白豚とは違うということをアピールしている。 白豚でも物量が揃い牧場が指定出来るということだけでも、消費者が安心できるということである。 ブランド商品の販売促進はシールだけでなく様々な方法を使って、店頭で訴求されている。 例えば「販促パネル、POP、ライナーベルト、のぼり、エンドレステープ、液晶モニター」など多種多様な販促活動が行われ消費者の購買意欲を掻き立てるように展開される。 店頭でカテゴリー陳列(集合陳列)されて販売されていれば、「普通の肉よりもいい肉なのかな?」と注視され買ってみようという購買意欲にかわる。 ブランドを謳った販促シールには特徴があり、大抵はブランド名ともう一つ特徴のある売り込みの言葉が入っている。そのブランドを訴求するための一言が重要で、 「当社指定配合飼料使用」 「当社指定●●牧場」 「地元●●町産豚肉」 「●●さんの育てた豚肉」 などわかりやすいうたい文句をつけて商品を売り込んでいる。 この一文から消費者は安心感が生まれ、手にとってしまう。 「指定牧場」の文言は肥育頭数が多いことが前提であるが、別の農場から仕入れた商品には使うことが出来ない。裏を返せば、定期で納品が確定しているため、確実にその店舗数分の出荷頭数(納品数量)は常時保たれるということである。 「販促パネル」は、生産者の写真や農場の写真、また北海道産であれば北海道の風景写真なども使われる。 風景写真に「大自然で健康的に育った豚肉です」と書かれていると、このパネルを見た消費者は「北海道の自然でのびのび育ったんだな!」という勝手ないいイメージが湧く。 記載されている文言には銘柄ブランド名だけでなく、さらに詳しく商品の特徴を謳った説明を行っており、 「飼料は国産穀物肥料を与えています」 「●●酒造の焼酎粕をリサイクルして飼料にしています」 「国際認証規格SQF認証取得農場です」 など、安心感を与えるうたい文句で販促を行なっている。 飼料に特徴があれば豚肉の栄養素も変わる。 特に豚肉の栄養素で多いビタミンは消費者にも注目されているので、独自の配合飼料で特徴付けた豚肉を生産することは、消費者にとっても差別化商品として扱われることになる。 「豚肉」が本質的に良くても、「販促」という「表層機能機能」が伴っていなければ、一層の評価を受けることが少なくなるので、ツールという道具の準備も不可欠である。 ![]() ![]() 3−1.パネルや小旗、など販促用のツールが必要 3−2.安心・安全の訴求よりは、豚肉が持っている特徴を訴求したブランドに ![]() 3−3.売り場では、「コトPOP」と呼ばれる、商品を解りやすく説明するPOPが多くなっている 減少する、豚肉の購入ソース 最後に、流通が生産者に対して持っている心配事の一つは「後継者」である。 日本の飼養戸数は昭和42年の調査以降、毎年減少している。40年連続の減少である。最大の要因は高齢化による後継者不足と環境対策による休業と廃業である。 平成20年2月1日現在の豚の飼養戸数は7230戸で、前年比320戸減、4.2%減少した。飼養頭数は枝肉価格が堅調に推移したこともあり、975万5千頭で0.1%減であった。 このままで行くと、豚肉を継続して仕入れる事が出来るかどうかが、非常に心配で、現状のブランド豚が途切れた場合、なかなか、新しいブランドを作りつらくなってきているからである。 そのため、どうしても、大企業、大牧場、大きなブランド中心の選択になることが多い。 かえって、中小の生産者は、中小のSMなどに対して継続して供給できる新しいブランド作りに、安心して取り組んで頂けたらと思います。
*17年はセンサス年のため調査を中止、18年は16年比で前年比を算出。 単位:千頭、% |
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