21年 4月 食と農のクリップボード

景気停滞で生体牛価格が急落
生体牛先物相場は、低迷が続く株式市場の影響で2月4週に安値を更新し、売り値は前週比3〜4ドル安となった。この売り値の下落は、今後の生体牛の価格レベルが供給ではなく、一般の市場環境と牛肉の需要に左右されることを示している。しかし国内需要は、経済危機と個人消費不振のため冷え込んでいる。消費者の節約志向が進み、価格の高い牛肉は敬遠されがちだ。加えて主な牛肉輸出先の日本や韓国も景気後退で、輸出需要も痛手を受けている。そのため、現在でも5割を超えるメキシコとカナダへの依存度がさらに高まっている。

牛肉の値下り続く
処理頭数が需要を上回り、パッカーは在庫をさばくため、ボックスビーフ価格を引き下げて対応している。同時に生体牛を若干高値で買い付けているので、パッカーマージンは赤字が続くだろう。1頭当たり200ドル以上の赤字を出している肉牛肥育業者は、生体牛の高値で一息ついている。肥育牛価格はかなり下がったが、それでも肥育業者はまだ1頭当たり50〜75ドルの赤字で肥育牛を導入している。
今のところ先物相場は年末まで90ドルを割り込んでいるが、肥育業者は市場は上向くと楽観視している。処理頭数の減少と冬場に飼育環境が良好だったことで、枝肉重量が年間のこの時期としては最高になっている。この状況と需要低迷は、フィードロット内頭数が前年よりほぼ6%減にもかかわらず、肥育業者は市場での影響力がほとんどないことを意味している。需要が少しでも回復しない限り、年内に生体牛価格が90ドルを超えるのは厳しいとアナリストは見ている

消費者の健康志向に米小売業が「チェンジ」
業界団体*が毎年実施する"What's In Store"調査によると、消費者の健康重視に対応して、食品小売業が企業理念や店舗形態を変更している。スーパーでは特に、調理済み食品、総菜、乳製品、製パンへの影響が大きい。
小売各社は企業規模に関わらず、最近はフレッシュ、ヘルシー、ナチュラルのイメージを反映した店舗名で小型店を展開している。かつて人気のメガストアは、今後は土地専有面積が小さく、調理済み食品中心で限定的な品揃えのエクスプレスストアに取って代わるという見方をする人もいる。
小売店は、消費者の健康マインドを意識した多様な対応を行っている。(店内表示、セミナー・店内栄養士による相談、ストアツアー、料理実演、PB商品、独自の製品表示制度、WEBページ、特注レシピ・食事プランなど)
また三つ星ランキングや、30の栄養素を加重平均して評価したスコア制度も一部で導入されている。
従来の割高なオーガニック製品を敬遠する消費者を狙ったプライベートブランド(PB)も人気で、2007年7月までの4年間で、オーガニックPB商品の売上は600%も伸びている。(ニールセン調べ)

トウモロコシ価格は3〜4ドル台で 穀物関係者が見通し
アメリカ穀物協会(浜本哲郎日本事務所代表)は3月6日、東京都千代田区赤坂のグランドプリンスホテル赤坂で、米国産トウモロコシ(新穀)の需給動向などについてのシンポジウムを開いた。
 米国から招いた農業経済学の専門家らが、米国の農家やバイオエタノール業界の近況を報告し、今年のトウモロコシと大豆の作付けについては、「肥料価格の高騰や、経済状況の激変、バイオエタノール工場の収益性の急速な悪化などで、例年になく判断の難しい年となっているが、大豆の作付割合が昨年より増える」との見通しを示した。
 トウモロコシの価格については「世界の穀物在庫量は依然として大幅な低水準にあるため、長期的には、かつての2ドル台には戻らず、一段高いレベルで推移するが、昨年6月のような高水準は期待できず、いくつかの条件を想定すると、3ドル80セントから4ドルの水準で推移するとみられる」などとした。

4〜6月期配飼価格 全農トン4200円値下げ 商系各社は3150〜3350円
全農や配合飼料メーカー各社は、3月19日に4〜6月期の配合飼料価格の値下げを発表した。プライスリーダーの全農は、全畜種総平均でトン当たり4200円の値下げとしている。その他の商系各社や専門農協連の値下げ幅は3150円〜3350円。
 今回の値下げは、昨年10月以降のトウモロコシや大豆粕価格、海上運賃(フレート)の下落、為替の円高などを反映したもので、今年1〜3月期の1万1878円の値下げ(11団体・社の加重平均)に続くもの。 各社の値下げ幅がまちまちとなったのは、1ブッシェル3ドル75セントまで下落したシカゴのトウモロコシ価格が、今年の作付面積がはっきりしないことや、海外の需要増などの影響を受けて、最近は3ドル後半をうろうろしていること。大豆粕は搾油の減少で値上りが予想され、フレートも上昇に転じていること。為替相場も90円台前半で推移していたものが、国内の不況の深刻化と、有効な経済対策を打ち出せないことを反映して一時90円台後半になるなど、不透明感が強く、各社とも価格設定に苦慮したためとみられる

価格が下がるもなお高値水準/配合飼料 4〜6月期
 JA全農は19日、4〜6月期に供給する配合飼料の価格を1〜3月期に比べ、全国・全畜種平均で1トン当たり約4200円引き下げると発表した。主原料であるトウモロコシの相場下げや海上運賃の下落などを受けたもので、値下げは1〜3月期に続き2期連続になる。ただ、高騰が始まった2006年秋以前に比べて、なお7000円程度高い水準にある。値下げのため、配合飼料価格安定制度による補てんは行われない見込み。日本農産工業など大手飼料メーカーも同日、配合飼料の値下げを発表した。値下げ幅は1トン当たり3150〜3350円程度。

畜酪で追加対策の検討スタート/自民党の小委員会
 自民党畜産・酪農対策小委員会(宮下一郎委員長)は19日、追加対策の本格検討に入った。配合飼料価格安定制度の安定運用に向けた対策を講じることができるかが焦点の一つ。今後、具体策を詰め、追加経済対策をにらんだ農業振興策に盛り込む。農業振興策は、来週にも農業基本政策委員会がまとめる。畜酪小委はこの日の会合で、この振興策に盛り込む具体策について議論した。焦点になるのが配合飼料価格安定制度を安定的に運用していく対策だ。

和牛底を脱し大幅値上がり、交雑、ホルスも上昇−2月素牛価格
枝肉相場の長期値下がりにより下落が続いていた素牛相場だが、2月の取引では和牛を中心に値上がりに転じ、長期下落に歯止めがかかった。1月からの配合飼料価格の大幅値下がりに加えてマルキン、補完マルキンの交付により肥育農家の素牛導入意欲が強まってきたものとみられる。
 農畜産業振興機構が調べた2月の家畜市場における肉用子牛の取引価格によると、前月まで下落傾向を続けていた黒毛和種は前月より1万3千円値上がりして37万7千円となり、褐毛和種は3万9千円値上がりして26万3千円となった。配合飼料価格の値下がりと、マルキン、補完マルキンの交付により資金繰りが改善し、肥育農家の導入意欲が強まったものとみられる。また、交雑種も1万1千円ほど値上がりして19万1千円、ホルスも5,000円ほど値上がりして9万円となった。交雑種は昨年11月以降4カ月続けての値上がりとなり、ほぼ前年並みの水準に回復してきている。和牛は前年比でまだ20%前後の下落となっており、また枝肉相場の値下がりに歯止めがかかっていないとの不安材料もあるが、素牛相場の底は脱したものとみられる

[牛肉消費拡大への挑戦] 小売価格値下げによる消費刺激が有効手段
牛肉の消費をどう拡大するかが最大の課題。まず、牛枝肉相場の推移を見てみると、和牛と交雑種の枝肉相場は05年がピークとなり07年まで高値安定で推移し、08年以降は急落に転じた。和牛去勢B3で見ると05年の平均相場は1,981円。直近の09年1月には1,599円まで下げている。20%も下落している。これに対して和牛サーロインの05年の平均小売価格は1,200円、09年1月は1,229円(振興機構調べ)とわずかだが値上がりしている。カタ、バラ、モモについても同様の傾向にある。この枝肉相場と小売価格のギャップが消費拡大の大きな阻害要因となっていることは間違いない。
 小売筋では、「多少値下げしても売れない」「食肉売場全体の中での価格政策」との主張もあるが、この間、国産牛肉の販促を行った店舗では売上を3倍に伸ばしたケースや、外食でもリーズナブルな価格のステーキ店では客数が増えるなど実績をあけている。過去数年の相場高が・小売価格上昇が牛肉消費離れを招いたが、現在は供給過剰・相場安。消費を刺激するチャンスである。国の補助事業による消費拡大の取り組みも行われているが、末端の理解を得て「値下げ消費拡大」を全国的な流れにしていく必要がある

[牛肉消費拡大への挑戦] 直接販売で売り上げ3倍のケースも−肉事協
全国肉牛事業協同組合では第2次補正予算の「国産牛肉消費拡大緊急対策事業」による国産牛肉の新ルート開拓事業を展開し、実施店舗では通常の3倍以上の売上を確保するケースも出てきており、販促の効果が出てきている。また、経営の安定に資するたるめ預託事業、エサ供給事業の強化を図っていく方針である。
 同組合の第2次補正予算の「国産牛肉消費拡大緊急対策事業」の取り組みは、交雑種とホルスを対象に直接末端の流通に販売し、通常の3割引で販売すると同時に、のぼりやマネキンによる試食販売で販促をバックアップしている。これまで大阪、神戸、和歌山、熊本の百貨店で実施し、今後は首都圏のスーパーなどでも実施していく。大阪の百貨店では通常の3倍以上の売上となったケースもあり、周辺の他の百貨店も値下げ販売に踏み切るなど、実施店舗だけでなく周辺の店舗への波及効果も出ているという。
 同組合の伊藤専務は、「組合が直接新ルートを開拓して販売にトライしていくことで、既存の流通業者の値下げ販売につなげ、牛肉の消費拡大につなげていきたい」としている。今回は、約180頭の販売を予定している。また、平成21年度予算でも同事業の継続が決まったことから、来年度はさらに拡大していく方針である。今後、1、2年厳しい状況が予想される中で「将来に向けて直販のルート広げ、拡大していきたい」としている

09年度農林予算/37府県が減額 目立つ自給向上策
 2009年度の都道府県農林水産予算は、37府県で前年度を下回り、依然厳しい状況にあることが、日本農業新聞の調査で分かった。食料自給率の向上が大きな課題になる中、地産地消を柱に独自の取り組みに乗り出す県が目立つ。牛海綿状脳症(BSE)の全頭検査は、食肉処理施設を持つ全都道府県が継続する。
■――歳出抑制  知事選で骨格予算を組んだ山形、千葉を除く45都道府県のうち、28府県で予算総額は前年度より増えた。だが、農林水産予算を減額する県が多い。国の09年度農水予算案が9年連続マイナスなことも影響している

乳牛手放し その先は・・・/国際相場急落 安全網働かず
 乳製品の国際価格下落のあおりで、米国の酪農が危機に直面している。2年前に輸出拡大に足を踏み出したが、昨年後半からの国際価格の崩壊に見舞われた。酪農保護政策は、あまりの急落で安全網が機能していない。米国の酪農家を訪ねたら、悲鳴が聞こえてきた。
■全米酪農家が赤字 所得補償も焼け石に水
 「1973年にこの地で酪農を始めたけれど、その時と同じ乳価だね。問題はこの安値がいつまで続くかだよ」

輸出条件不備の県産牛肉 UAEに持ち込む/佐賀県
 佐賀県の担当者が昨年11月、同県産の牛肉をアラブ首長国連邦(UAE)に輸出条件を満たさず持ち込んでいたことが10日明らかになった。農水省は同県に詳細な報告を求めており、報告を待って厳正に対処する方針だ。日本とUAEは昨年11月16日、同国に輸出する牛肉はイスラムの宗教団体から定められた手順でと畜された「ハラール(合法的な)証明書」や日本の動物検疫所で輸出検疫証明書を受け取ることなどの輸出条件に合意した

景気停滞で生体牛価格が急落
生体牛先物相場は、低迷が続く株式市場の影響で2月4週に安値を更新し、売り値は前週比3〜4ドル安となった。この売り値の下落は、今後の生体牛の価格レベルが供給ではなく、一般の市場環境と牛肉の需要に左右されることを示している。しかし国内需要は、経済危機と個人消費不振のため冷え込んでいる。消費者の節約志向が進み、価格の高い牛肉は敬遠されがちだ。加えて主な牛肉輸出先の日本や韓国も景気後退で、輸出需要も痛手を受けている。そのため、現在でも5割を超えるメキシコとカナダへの依存度がさらに高まっている。

牛肉の値下り続く
処理頭数が需要を上回り、パッカーは在庫をさばくため、ボックスビーフ価格を引き下げて対応している。同時に生体牛を若干高値で買い付けているので、パッカーマージンは赤字が続くだろう。1頭当たり200ドル以上の赤字を出している肉牛肥育業者は、生体牛の高値で一息ついている。肥育牛価格はかなり下がったが、それでも肥育業者はまだ1頭当たり50〜75ドルの赤字で肥育牛を導入している。今のところ先物相場は年末まで90ドルを割り込んでいるが、肥育業者は市場は上向くと楽観視している。処理頭数の減少と冬場に飼育環境が良好だったことで、枝肉重量が年間のこの時期としては最高になっている。この状況と需要低迷は、フィードロット内頭数が前年よりほぼ6%減にもかかわらず、肥育業者は市場での影響力がほとんどないことを意味している。需要が少しでも回復しない限り、年内に生体牛価格が90ドルを超えるのは厳しいとアナリストは見ている

オバマ政権下のUSDA重点政策
ビルサック農務長官は、2月下旬に開催された農業展望フォーラムで、オバマ大統領が求める米国農務省(USDA)の3大重点政策(1.児童の栄養改善/2.代替エネルギー・燃料の生産に向けた農場・牧場・土地の活用拡大/3.化石燃料依存から脱却する研究の推進)を説明した。さらに以下の点について言及した。
【給食】学校給食(朝食・昼食)制度の強化と合わせて、野菜、果物、特殊農産物(キノコ類)の摂取を推進し、全米で6割を占める小規模農家を支援する。
【食品安全】食の安全・安心を向上させ、食品媒介の疾病の予防に取り組んで食品制度を改革する。
食品VS燃料】新たなエタノール原料を探す各種農業計画を進め、新原料を加工するバイオ燃料精製所の建設を全国で支援する

09年産米 平年収量案530キロ/品種転換で4道県が増
 農水省は8日、「水稲の作柄に関する委員会」を開き、2009年産水稲の10アール当たりの平年収量案を示した。それによると、毎年の気象変動を除いて計算した全国の平年収量案は前年と同じ530キロと見通した。都道府県別に見ると、前年産に比べて増えたのが北海道と千葉、神奈川、石川の4道県。逆に減ったのが埼玉、静岡、鳥取、佐賀の4県。佐賀県では「温暖化によるマイナスの影響があると推測する」(大臣官房統計部)としている。
 前年産を上回った4道県は品種構成が変わり、収量水準が上がったのが要因。良食味で収量水準の高い「ななつぼし」(北海道)、「ふさこがね」(千葉)、「さとじまん」(神奈川)、「ゆめみづほ」(石川)などに作付け転換が進んだのが大きい

畜ふん ガス燃料に 低温処理法を開発/群馬県が5年計画
群馬県は、家畜排せつ物をガス化しエネルギー源として有効利用する取り組みに乗り出す。実証実験を2009年度から5カ年計画で行う。県は堆肥(たいひ)を600度の低温でガス化することに世界で初めて成功。この成果を生かして、「国内外への普及を目指す」(企画課科学技術振興室)と意気込む。
 システムの処理能力は、1日当たり堆肥24キロ。13年度までに、1日当たり90トンをエネルギーに変換するシステムを確立する。実証実験地は、畜産・施設園芸農家が集積する赤城山南面地域を予定。

畜産物価格は据え置きに、国産牛肉の需要拡大対策に18億円‐自民小委
自民党は5日朝、畜産・酪農対策小委員会と農林部会、総合農政調査会の合同会議を開き、09年度の畜産物価格・関連対策の政府諮問案を了承した。牛肉・豚肉の安定価格は安定上位価格・安定基準価格ともに現行価格を据え置き、肉用子牛の保証基準価格・合理化目標価格、鶏卵補てん基準価格も現行通りの水準となった。関連対策では、国産牛肉の需要拡大など総額1,589億円もの関連対策を講じる。ただ、今回の畜酪小委の議論では農家の負債の返済問題も大きなテーマとなっており、こうした金融対策など積み残した課題は、09年度の一次補正予算編成を視野に引き続き対策を検討していく方針だ。委員内の終わりに、谷津義男・党総合農政調査会会長は「補正予算の編成についてはまだ決定されているわけではないが、特に金融対策など大事な問題が残っており、その時には皆さんと相談しながら補正を組んでいく」とあいさつ。西川公也・党農業基本政策委員会委員長も「昨日は難航して夜11時に決着がついた。(中川昭一)財務大臣がいたらもっと早く決着できたと思う。これからは、補正についてみんなで働きかけてゆきたい。特に畜産農家の負債問題を楽にさせないと、ここまで築き上げた日本の畜産の将来がなくなってしまう。今後もみんなで作り上げていく」と強調した

食肉 おいしさ測る時代へ/オレイン酸+BMS 消費者PRの材料に
 長野県は今月中にも、牛肉の脂肪に含まれるオレイン酸含有率を尺度に、県産牛肉のおいしさを科学的に認定する基準を導入する。認定した牛肉は消費者にも県のホームページで知らせる。消費者を意識し、基準を導入するのは同県が初めてだが、こうした指標を肥育などの生産現場に反映・活用させようという研究や取り組みは畜種、地域を問わず広がっている。果実や米と同じく、食肉もおいしさを測る時代が訪れようとしている。
■組み合わせ基準を設定
 長野県が基準に使うオレイン酸は肉の脂肪に含まれる不飽和脂肪酸の一種。融点が低く、口溶けの良さや牛肉の香りの口内での広がりに影響を与える。

牛肉需要さらに悪化しロース、ヒレ、カタロースの3部位の不振深刻
個人消費の冷え込みからここにきて牛肉の需要はさらに落ち込み、単価の安いスソ物部位はそこそこ動いているものの、ロース、ヒレ、カタロースの高級3部位は動きが止まり、末端の消費は当初予想以上に悪化している。問屋筋では「当初予想をはるかに上回る悪化」「2001年のBSE発生時に匹敵する悪さ」と指摘し、今後の消費回復の目途も立たないことから高級3部位の在庫対策に苦慮している。
 牛肉の末端需要は、3月に入って一段と悪化し、ロース、ヒレ、カタロースの高級3部位の動きが特に悪化している。高級3部位は多少価格を下げても買い手が付かず、在庫圧迫感はさらに強まっている。ホテル、外食需要の悪化に加えて、小売市場でも数量は落ちていないものの、末端での客単価値下がりを反映して売れ筋は低価格部位中心となっているため高級部位の動きが極端に悪くなっている。問屋筋では「末端不振は当初から予想していたが、最近の消費はその予想をはるかに上回るもの」としている。
 先行き消費回復の見通しが立たないことから凍結回しもできず、「高級3部位については買うところがあれば投げ売り価格でも売らざるを得ない」(問屋筋)という状況。また、「高級3部位は思い切って値下げし、その分スソ物部位を値上げしたい」との意向もあるが、そうなるとスソ物部位の需要も低下する恐れもあるためスソ物の価格も上げきれない状況に

牛肉0.6%減の117万t、豚肉3.4%増の241万−08年の食肉需給
08年の食肉の総供給量は前年比3.0%増の545.0万t(枝肉ベース)となり2年続けての増加となった。回復傾向にあった牛肉はわずかに減少したものの豚肉と鶏肉の増加で食肉全体の供給を底上げした。08年は、消費の冷え込みで末端消費は牛肉から豚肉、鶏肉にシフトし、さらに中国産の代替需要を反映した需給となった。
 農水省・食肉鶏卵課がまとめた08年の食肉需給(概数)によると、牛肉の総供給量は前年比0.6%減の117.4万tとなり、過去3年続けての増加から減少に転じた。国内生産量は3.2%増加したが、末端消費の低迷により輸入量は3.3%減少した。なお、BSE発生前の2000年と比べ牛肉の供給量は25%減少したままとなっている。
 豚肉は3.4%増の241.4万tと前年に続いて増加した。国内生産量は0.1%減とわずかに減少したが、輸入量は7.5%の増加となった。堅調な国内需要と中国産の代替需要により輸入増拍車がかかった。鶏肉は5.1%増の180.8万tとなり最も高い伸びを示した。堅調な国内需要と中国産の代替需要で国内生産量は1.1%増加し、輸入量は20.6%も増加した。そのほか、羊肉は前年の急減から1.3%増とわずかながら増加に転じ、原料事情の悪化が続いている馬肉は20.6%減と大幅な落ち込みとなった

国産の安物に押され輸入チルド豚肉在庫滞貨、投げ物や凍結回しも
末端消費の冷え込みを反映して食肉の需要は単価の安いものにシフトする傾向が強まっているが、3月に入って輸入チルド豚肉は荷動きが悪化し、ここへきて在庫圧迫から投げものや凍結回しの動きが出ている。末端の特売が相場安の国産物にシフトしていることに加えて、年度末を控えて国産部分肉の安いものが出回っているためで、輸入チルド豚肉は2月までの好調続きから一転し苦戦が強いられている。3月に入って末端の特売は枝肉相場が400円台前半の安値で推移している国産品にシフト。中旬以降は、年度末の決算期を控えて中間流通段階では、パーツの売値を下げて在庫を回避する動きとなっているため、輸入チルドは苦戦を強いられている。国産ロースで600円台のものも出回っている。このため末端からの輸入チルドの引き合いは鈍く、商社筋、問屋筋のキャリーオーバーは2週間分もあり、キリングの古いものは投げ売り(ロース600円台、カタロース、バラは400円台)や凍結回しの動きも出ている

学給休み、年度末で豚価400円割れに、月内は400円前後の推移か
3月中旬までは比較的堅調な相場を続けてきた豚枝肉相場だが、連休明けの23日の東京市場相場は前市比31円値下がりして397円と400円(安定基準価格)を割り込んだ。関東周辺市場、大阪市場も400円がらみの相場となっている。当初予想通り学校給食休み、年度末の在庫調整などで相場は下げに転じたものとみられる。月内は400円を挟んだ相場展開となりそう。 3月に入って末端の販促は、相場が400円台前半で安定推移していた国産豚肉が中心となったため売行きは好調で相場も堅調に推移してきたが、連休を境に相場は下落に転じた。学校給食需要が止まりウデ、モモの需要が鈍ったこと、年度末の決算期を控えて問屋筋で在庫調整の動きが強まったことによるもの。学校給食需要が止まったことでウデ、モモの動きが鈍りややダブつき感も出て、カタロースの動きもいま一つという状況だが、ロース、バラなどの動きは悪くない。月内については、問屋筋の買いは当用買い中心となりそうだが、量販店での売れ行きが順調なため中間流通段階での在庫は少なく、今後の市場の上場頭数も少なめの予想にあるため相場の大きな下げはなく、400円を前後した相場展開となりそうだ

2月の豚肉輸入5.8万t、牛肉3.4万t、鶏肉2.2万t前後?輸入速報
財務省が25日発表した2月の貿易速報によると、同月の肉類の総輸入量は16万3,003t(前年比2.1%増)となった。地域(国)輸入量は、米国3万8,823t(同0.5%増)、EU1万239t(同24.2%減)、アジア2万3,193t(同20.1%減)、その他9万748t(同15.6%増)となっている。また、同月の動物検疫数量は牛肉が3万7,225t、豚肉6万6,594t、鶏肉1万6,183t、鶏肉調整品1万9,533tとなっている。この数字と1月末の未通関在庫量を勘案して品目別の輸入量は、牛肉が3.4万t前後(豪州2.8万t、米国3,500t、NZ2,000t、その他500t前後)、豚肉は5.8万t前後(米国2.5万t、カナダ1.4万t、EU1.1万t、その他8,000t前後)、鶏肉は2.2万t前後(ブラジル2.0万t、米国1,500t、その他500t前後)、鶏肉調整品は1.9万t前後と想定される。鶏肉は、動検数量が1.6万tと少なかったが、1月末の未通関在庫が高水準にあったため、その未通関分が上乗せされた可能性がある

地域肉豚の生産者負担軽減など重点活動項目を決議?JPPA
日本養豚生産者協議会は21日、総務企画委員会を開き、養豚経営が厳しい状況にあることを踏まえ、今後の重点活動として肉豚価格差補てん事業制度の生産者負担軽減や国産飼料用米の利活用拡大など4つの項目を決めた。
 今月上旬に1,901億円に上る09年畜産物価格関連対策が決定されたところだが、養豚関係は生産高5,200億円に対して予算措置されたセーフティネット関係の予算が43億円(0.83%)と、肉用牛経営(生産高4,800億円に対して492億円を措置=10.25%)に対して低いため、今後、09年度1次補正予算をはじめ今後の畜酪対策に向けて“肉用牛経営並みのセーフティネット”を確立できるよう政府・与党に要請していく考えだ。

モス 国産肉100%第2弾 「安心・安全」こだわり勝負
モスフードサービスは23日、国産肉を100%使用した「とびきりハンバーグサンド」の新商品2種類を全国のモスバーガー店舗で24日から発売すると発表した。昨年12月に発売した人気商品の第2弾。
 契約農家が生産した旬のトマトとレタスを具材に使用し、ハンバーグとの味わいを最大限に引き出すオリジナルの照り焼き風ソースを絡めて、春夏向けのあっさりとしたサラダ風味の商品に仕上げた。
 既販の「とびきりハンバーグサンド」は具材にキャベツとチーズを使い、昨年12月27日に発売した。国産の牛と豚の合いびき肉100%のハンバーグや、契約農家ができるだけ農薬や化学肥料を控えて生産した野菜を使用するなど、安全・安心な国産食材にこだわったのが特徴だ。
 輸入食材への不安が高まる中、消費者に支持され、2カ月で約640万個販売と当初計画を約3割上回るヒット商品となった。同日、発表会にゲストとして登場した料理研究家の平野レミさんは新商品を試食し、「新鮮なレタスとトマトにソースがからみ、あっさりとしているがコクがあっておいしい」と感想を述べていた。
 新商品の「とびきりハンバーグサンド トマト&レタス」は420円、「同レタス」は390円。5月11日までのキャンペーン期間中に、500万食の販売を目指している。

21年度は191円で決着 卵価基金基準価格
 政府の平成21年度畜産物支持価格と関連対策が自民党と農林水産省の間で検討されてきたが、3月5日の同党畜酪対策小委員会と農林部会、総合農政調査会の合同会議で卵価安定基金の補てん基準価格は現行191円を据え置くことで決着した。両基金の評議員会と理事会は全国鶏卵価格安定基金が3月12日、全日本卵価安定基金は翌13日に開き、基準価格や積立金の据え置きを決め、農林水産省に申請した。

カップヌードルの“肉”変更に賛否、ファンからは「改悪」の声も
日清食品は3月25日、同社主力商品「カップヌードル」の進化&品質向上策の一環として、具材を強化する方針を発表した。これに伴い、4月20日から新開発の「コロ・チャー」(本格的な角切りチャーシュー)を採用した新しい「カップヌードル」が店頭に並ぶことになったのだが、誕生から37年に渡って愛されてきた歴史ある商品だけに、こだわりを持つファンの間では今回の具材変更を巡ってさまざまな意見が飛び出している。
 同社の説明によると、「コロ・チャー」は「ジューシーな豚肉のうまみが特徴の本格的な角切りチャーシュー」。これまで「カップヌードル」の具材に採用されてきたダイスミンチに代わり、今後は「コロ・チャー」が肉のパートを担うことになった。従来よりもチャーシュー感を高めたことで、おいしさをアップさせるのが狙いだ。
 ところが、「カップヌードル」のダイスミンチにはファンが多く、中には「ダイスミンチを食べたいからカップヌードルを買っている」という人もいる。それほど規模は大きくないが、mixiには「日清カップヌードルの肉」なるコミュニティ(メンバー数271人/3月25日現在)が存在しているほか、2ちゃんねるには「カップヌードルの肉を腹いっぱい食いたい」「カップヌードルの謎の肉うめぇwwwwwwww」といったスレッドが立つことがあるほどだ。お笑い芸人のほっしゃん。もダイスミンチファンの一人で、かつてブログに「夢はカップヌードルの肉つくる事」と書いていたことがある。そのため、今回の「コロ・チャー」への変更について、ネットでは「改悪だ」「そんな肉感はカップヌードルに求めていない」といった声が続々。ダイスミンチを、ひいては「カップヌードル」を愛しているからこそのガッカリ感が広がっているようだ。ただ、一方でダイスミンチにはアンチも存在しており、Q&Aサイトなどにはたびたび「カップヌードルの肉が嫌い」という声が投稿されている。そうした人たちにとっては、今回の「コロ・チャー」への変更は期待できるものと言えそうだ。事実、「コロ・チャー楽しみ」「やっと肉っぽさが楽しめる」と歓迎する声も少なくない。

小型食品スーパー、イオン、埼玉に開業、都市部強化
 イオンは二十四日に埼玉県川口市に小型の食品スーパー、マックスバリュエクスプレス川口末広店を開業すると発表した。これまでのマックスバリュに比べ、売り場面積が半分前後と狭いのが特徴で、機動的に出店できる。手薄だった東京都心部など大都市部での店舗網を広げる。川口末広店は売り場面積が九百二十七平方メートル。通常のマックスバリュは千五百―三千平方メートルで千平方メートル前後の店舗はほとんどなかった。一人暮らしが多い都市部での出店を考慮し、生鮮品や総菜で小容量の商品を増やすなど商品構成を工夫する。小型店ながらセルフレジを四台導入して、運営コストも抑える。
 イオンは国内で大型ショッピングセンターの出店による成長戦略を転換しようとしている。特に首都圏の都市部は店舗網が薄い。今期(二〇一〇年二月期)はコンビニエンスストア型のスーパー「まいばすけっと」を増やすほか、小型ディスカウント店の「アコレ」も本格出店の可能性を探る。今後、マックスバリュエクスプレスを含め、都市部の事業を強化する考えだ。

なぜ、セブン―イレブンでバイトをすると学生でも3カ月で経営を語り始めるのか
発注分担といって、バイト学生も担当商品ごとに自分で仮説を立て、発注し、結果を検証する最後は部下の育て方について考えよう。
セブン―イレブンでは学生アルバイトでも始めて3カ月も経つと、経営について一家言を持つようになるといわれる。発注分担といって、バイト学生も担当商品ごとに自分で仮説を立て、発注し、結果を検証する。日々の実践が自信を植えつけるのだ。欧米の経営学者も注目する。時給が特に高いわけではない。それでも各自が力をつけ、育っていく理由をこう話す。「人間にとって大切なのは、やはり、仕事のしがい、働きがいです。給料の高い会社は社員が定着し、給料が少しでも安かったら、離職率が高まるかといえば、必ずしもそうではなく、逆の場合もあります。要は自分の存在価値がそこにあるかどうかです。人間は善意の生きものですから、自分を啓発する力を誰もが秘めています。それを引き出すきっかけや仕かけがその場にあるか。セブン―イレブンの場合、自分で責任を任され、成果を出していく経験が自己啓発力を引き出しているのです」
ザ・プライスでも同様のことがあった。1号店の西新井店での話だ。前は店歴の古いヨーカ堂の店舗だった。07年、近くに大型商業施設が開店。ヨーカ堂の新店舗を核に専門店などが出店した。西新井店の売り上げは激減。パートたちも活気を失った。
店はザ・プライスへと業態転換する。ローコストで運営するには、パートが主戦力になり、自ら進んで仕事に取り組まなければならない。職場の環境は一変する。開業1カ月後には人が変わったように生き生きと働くパートたちの姿があった。
対照的なのが中国・北京での話だ。北京に進出したヨーカ堂の店舗では現地の中国人社員が次々育ち、競合から破格の給料で引き抜かれるようになった。ところが、転職先には力を伸ばせる環境がなく、契約を打ち切られるケースが相次いだ。「重要なのは個人と環境のマッチング」だと鈴木氏はいう。「本人に責任を持たせると同時に、失敗してもそれを活かせるようにする。部下は自己啓発力を持つ一方で、自己正当化を図る存在でもあります。失敗すると理由を並べ、つじつまを合わせようとします。それを鵜呑みにしたら部下は育ちません。教育とは答えを教えることではなく、気づきを与えることです。部下が自己正当化を始めたら、限界意識が芽生えている表れで、あえて部下を追い詰めて今の方法では駄目だと気づかせ、殻を破らせる。限界を突破できれば、自信がつきます。上司が仕方がないと思ったら、部下も自己啓発力を引き出せず、組織は活力を失っていくことでしょう」
鈴木流経営の最大の特徴は、人間の本質に目を向け、当たり前のことを当たり前に徹底して実行することにある。不透明な時代だからこそシンプルな発想と行動で壁を突破してはどうだろうか。

減反「大幅見直し・廃止」農家6割超 朝日・東北大調査
日本のコメどころ農家の約半数が減反政策に大幅な見直しが必要だと考えており、廃止を望む農家も16%に上ることが、朝日新聞と東北大学が共同で実施したアンケートで分かった。農政への不満も強い。かつての保守地盤にも自民党離れが進みつつあり、民主党への親近感が増している様子が浮かぶ。
 アンケートは宮城、秋田、山形、新潟4県の農業者800人を対象に2月下旬から3月上旬にかけて行った。県ごとに一つのサンプル地点を抽出し、その地点で農業者200人を無作為で抽出。配布した質問票を郵便で返送してもらった。回収率は74.3%。 減反について「大幅な見直しが必要」とする意見が49%を占め、「廃止されるべきだ」も16%に上った。「若干の見直しが必要」は23%、「維持されるべきだ」は9%だった。減反は「協力しない人が得をし、不平等」とする回答は7割を超え、「どちらかといえば」を含めると90%を超えた。
 農林水産省が進める農業の大規模化については意見が割れた。「賛成」「どちらかといえば賛成」は合わせて42%で、「反対」「どちらかといえば反対」が計48%。作付面積10ヘクタール以上の農家には賛成論が強いが、5ヘクタール以下の農家では反対論が過半数を占めた。  農政への不満が募る中、農水省が「信頼できない」は37%で「どちらかといえば信頼できない」を含めると7割を超えた。政治家に陳情を行っても形にならないという不満を「時々聞く」は43%、「よく聞く」も29%あった。 農政不信は自民離れにつながっている。07年の参院選で自民に投票したのは52%で、民主の33%を上回ったが、次の総選挙後の望ましい政権は「民主党中心の連立政権」が30%に上り、「民主党単独政権」を合わせて43%を占めた。これに対し「自民党中心の連立政権」が15%、「自民党の単独政権」を合わせても20%だった。民主政権を望む農家では大規模化への反対論が5割を超え、公共事業の減少については賛否が分かれる。自民政権を望む農家では大規模化で賛否が伯仲するのに対し、公共事業の縮小反対派が約7割に上った。大規模化の推進が自民離れを生み、公共事業の縮小が自民離れを加速しかねない状況が浮かぶ。
 一方、民主が戸別所得補償制度を提唱したことが農民票獲得につながったとされる07年の参院選で自民に投票した農家と民主に投票した農家では、戸別所得補償制度の賛否の傾向に違いがなかった。ところが、大規模化では民主に投票した農家で反対論が賛成論を大きく上回ったのに対し、自民では賛否が伯仲していた。大規模化を促す政策に対する反発が投票行動に影響した可能性がある。 共同調査した東北大の河村和徳准教授(政治意識論)は「自立した農家が多いコメどころでは、農政不信に対する受け皿としての地位を民主党が築きつつあることが裏付けられた」と分析する

2月全国百貨店売上高は‐11.5%、特殊要因除くと下落率は最大
日本百貨店協会が発表した2月全国百貨店売上高は、店舗数調整後で前年比11.5%減の4695億円となり、12カ月連続のマイナスとなった。1月の前年比9.1%減から下げ幅は拡大。消費税率引き上げの特殊要因を除けば、1965年1月の統計開始以来最大の下落率となった。
 景気低迷や消費マインドの冷え込みに加え、全国的な暖冬で冬物の動きが鈍く、高額品や衣料品を中心に全ての商品分野で厳しい状況となった。日本百貨店協会では、前年のうるう年と比べて営業日が1日少なかった影響を除くと「基調的には昨年末からほぼ同水準で推移している」と説明している。調査対象百貨店は90社278店舗。
 2月の東京地区百貨店売上高は前年比11.7%減となり、12カ月連続で減少した。
 BNPパリバ証券・経済調査本部・エコノミストの白石洋氏は「特に高額商品の扱いが多い百貨店では、他の小売業種と比べて売り上げの落ち込みが激しい。目先は、定額給付金の効果で消費が一時的に浮揚する局面も予想されるが、家計の所得環境は一段の悪化が見込まれ、消費活動は長期的に低迷する」と分析している。
 景気ウォッチャー調査など、一部のセンチメント関連の指標には下げ止まりの兆しが出ているが、景気や雇用環境に対する不安感は依然として強く、消費を抑制する動きが続いている。

地方スーパー「鮮力」充実、地場の良質食材を低コストで調達、高い利益率
 輸出比率の大きいグローバル企業の業績が急激に落ち込む中、株式市場では内需関連銘柄が持ちこたえられるかに注目が集まっている。特に安定的な需要が見込める食品スーパーには期待が高まる。けれど、これだけ雇用・所得環境が悪化してくると、食品スーパーの収益基盤も盤石とは言えないだろう。日経ヴェリタスの記者に「しぶとい食品スーパー」の条件を聞いてみよう。
首都圏は利益率低く
業績が堅調なのはどんな食品スーパーですか。
 総務省の家計調査によると、2008年の食料の消費指数(2人以上の勤労者世帯、05年を100として算出)は100。衣料品や住居関連に比べ比較的変動が少なく、安定した需要を維持しています。しかし、すべての食品スーパーが業績堅調なわけではありません。各社の差がはっきり表れているのが、売上高営業利益率です。上位のオオゼキ(7617)が09年2月期に7.8%(単独ベース)を見込んでいる一方、エコス(7520)は0.6%にとどまります。店舗の集客力を高めながら、低コスト運営できるか否かで差が付きます。
 全体の傾向としては、地方に営業利益率の高い食品スーパーが多いようです。沖縄が地盤のサンエー(2659)は地元で圧倒的なシェアを誇ります。北海道のアークス(9948)は道内の有力スーパーが統合しました。マックスバリュ東海(8198)は破綻したヤオハン・ジャパンが前身です。和歌山のオークワ(8217)なども高水準の営業利益率を確保しています。
 逆に首都圏ではエコスなど営業利益率の低い食品スーパーが目立ちます。埼玉が地盤のマルヤ(9975)は09年2月期に営業赤字になったとみられます。同じ埼玉のマミーマート(9823)は09年9月期に売上高営業利益率が1.7%にとどまる見通しです。利益率が低いと新規出店に注力しにくく、成長性で見劣りします。
 食品は地域ごとに消費者の嗜好(しこう)性が強く、地場の野菜など新鮮な生鮮品を調達するうえでも地域密着の方が有利とされます。「地域でのシェアが高く、強い顧客基盤を持っている地方スーパーは競争力がある」(野村証券の正田雅史消費産業調査室長)といえそうです。首都圏の食品スーパーは競争が激しいうえ、店舗の賃貸コストや人件費などの負担が重いことも不利に働いています。
ヤオコー、総菜がけん引
地域性以外に差が出てくるのはどこでしょう。
 首都圏の食品スーパーの中にも売上高営業利益率が高水準だったり、上昇傾向にある食品スーパーがあります。これら企業にはいくつかの特徴があります。まず、利益率の高い総菜が充実しているスーパーです。代表例は埼玉県を地盤とするヤオコー(8279)です。同社は単身者や高齢者向けなどに総菜販売を伸ばしており、総菜関連の売上高構成比が08年4?9月期に13.9%と、前年同期に比べ0.1ポイント上昇しました。総菜の売上高総利益率も0.5ポイントアップし48.6%に達しています。売上高総利益率は加工食品(21.0%)、住居関連(24.1%)、生鮮食品(28.7%)など他分野を圧倒しています。
 生鮮食品の販売力も食品スーパーの業績を左右します。青果や精肉などの生鮮食品は売れ残りなど廃棄ロスが出やすいうえ、店内に調理場を設けるなど店舗運営にノウハウが必要ですが、同分野を強化すれば安定した集客が見込めます。オオゼキの生鮮食品の販売比率は08年8月中間期に47%と、前年同期に比べて0.2ポイント上昇しました。
 日本の場合、健康志向の高まりもあり、生鮮食品のうち特に鮮魚は消費者から重視されます。マルエツ(8178)は生鮮食品の販売構成比(単独)が08年8月中間期に32.8%と前年同期比2.8ポイント上昇、そのうち鮮魚は9.2%と0.3ポイント上昇しました。08年は魚価の上昇で鮮魚が調達しにくく、大半の食品スーパーが鮮魚を減らして精肉を増やしただけに、同社の鮮魚重視の姿勢は目立ちます。鮮魚販売が好調な企業は「仕入れなどで競争力がある」(大手食品スーパー幹部)との指摘もあります。同社の売上高営業利益率も09年2月期見通しで2.3%と改善傾向にあります。
経営体制の変更など注意
営業利益率が高い食品スーパーの株価は、やはり堅調なのですか。
 食品スーパーは収益が安定している一方で高い成長性が見込みにくいため、内需関連の中ではこれまでPER(株価収益率)が上がりにくいとされ、一般的に12?13倍台が適正とされています。年初以降、景気悪化の影響が内需関連銘柄にも波及するとの見方が強まり、衣料品や家電量販店、百貨店などの株価が下落傾向にある中、食品スーパーではオークワのPERが13倍台、ヤオコーやカスミ(8196)が12倍台を確保するなど比較的底堅く推移している銘柄が少なくありません。 オオゼキ、ヤオコー、オークワの株価は年初以降、日経平均を上回って推移しています。PBR(株価純資産倍率)で見ても、高島屋など百貨店株は1倍を大きく割り込んでいますが、ライフコーポレーション(8194)は2.1倍、ヤオコーは1.8倍を確保しています。
 今後の注目点は、各社が毎月公表している月次の既存店売上高の動向です。オオゼキ、ヤオコー、マルエツが前年同月を上回って推移しています。デフレ色が強まれば販売単価の下落が進み、昨春までの原材料高に伴う商品の値上げ効果がはがれ落ちます。足元では来店客数は堅調に推移しており、顧客当たりの買い上げ点数をどう伸ばすかがカギとなります。マルエツ、いなげや(8182)、ベルク(9974)などが強化しているPB(プライベートブランド)商品はその方策の一つです。マルエツは10年2月期末にPB商品の売上高構成比を前期末比2倍の10%に引き上げようとしています。ただ、食品スーパーは株式の流動性に乏しく、時価総額の小さい銘柄が多いのが特徴です。経営トップの指導力によって業績が左右されやすい傾向もあります。経営体制の変更などにも注意を払っておくことが必要です。
戻る