21年 6月 牛肉と農のクリップボード

産地銘柄牛肉で初の実態調査、全国281ブランドを確認−消費総合C
日本食肉消費総合センターはこのほど、全国の産地銘柄牛肉281ブランドに対してブランド化の現状やブランド化の評価などに関する実態調査をまとめた。それによると、黒毛和種では9割以上がブランドの定義が整備されているものの、全体の3割が名称の商標登録がなされていなかった。また、ブランド化により出荷量の拡大、肉質改善、価格有利性といった各目標について、過半数が目標通りの効果を達成できたと評価するなど、ブランド化によるメリットを享受できていることが分かった。
 調査は、全国の畜産会を通じて227事例に対して実施した。全国に様々な産地銘柄牛が存在するものの、これまでブランド全体の実態は把握されてこなかったため、この調査が初めての取組みとなる。調査では227事例のうち、流通販売で作出されたブランドを除く、黒毛和種155、交雑種66、乳用種358、その他22の計281ブランドを確認した(1銘柄に複数品種を使用するブランドも含む)。

末端需要低迷も出荷頭数少なく枝肉相は場高維持、輸入チルドにシフトの懸念も
末端消費の動向から見て豚枝肉相場は500円割れに転じるとみられていたが、出荷頭数、市場の上場頭数が少なめで推移しているため500円を上回る高値相場の展開となっている。末端消費低迷、枝肉相場高で中間流通の採算は逆ザヤが拡大しつつある。今後の相場動向については、「高値反動で下げに転じる」との一方で「出荷頭数が少ないため堅調相場を維持する」との見方に分かれている。そして、「高値相場が続けば、末端需要は再び輸入チルドにシフトするのでは」との懸念も強く、今後の相場動向が注目されるところ。
 今後の相場動向については、「末端の消費動向から見て今の相場高過ぎ。500円割れに転じる可能性も」(卸筋)との一方で、「夏場にかけて出荷、上場頭数は少なめに推移するためジリ高の堅調相場は崩れない」(市場筋)との見方に分かれている。ただ、最近の枝肉相場高・パーツ安でカット筋の枝肉手当て買いが鈍ることや、末端小売の利益率が悪化し、特売も組み難い状況となるなど、需要低迷の要因は大きい。そして、この相場高が今後も続くようなことになると「末端の特売需要が再び輸入チルドにシフトするのでは」との懸念も強まりつつある

食肉の支出金額減少傾向強まる、特に牛肉の落ち込み大きい−4月6大都市家計
総務省・統計局が発表した4月の家計調査によると、6大都市の一世帯当たりの食肉支出金額は、仙台を除き他の5都市は前年割れに転じ、特に相対的に単価の高い牛肉の落ち込みが目立った。不況感の強まりによる消費の冷え込みが食肉の支出金額にもジワジワと影響してきているものとみられる。
 支出金額が増加したのは仙台の1.6%増のみで、他の5都市は前年割れとなり、特に名古屋と福岡は8%前後の落ち込みとなった。地域経済の悪化が影響してきているものとみられ、名古屋は牛肉、豚肉から鶏肉へのシフト傾向が強まった。大消費圏の東京は前月までの増加推移から1.3%減、大阪も3.2%減と減少に転じた。品目別では、札幌を除き牛肉の落ち込みが大きく、仙台、名古屋、福岡は2割前後の大きな落ち込みとなった。節約ムードの強まりを反映して、食肉の支出金額は抑制の傾向にあり、これが今後の食肉の相場にも影響してくるものとみられる

7−9月期の配合飼料価格 値上げの可能性も
 今年1月と4月に値下げされた配合飼料価格は、トウモロコシや大豆価格、フレートが底を打って上昇気配をみせているため、7月に再値上げされるのではないかと心配されている。
 配合飼料価格は今年1月に約1万1900円、4月に約3600円値下げされ、現在の全畜種平均価格は約5万2100円。ただ、これは値上がりが始まった平成18年10月の約4万2600円と比べると、まだ約1万円高い。養鶏・畜産生産者は、配合飼料価格のさらなる値下げを期待していたが、最近の情勢は、穀物価格をはじめ、高止まりのまま底を打ち、徐々に再値上がりの様相をみせている。
 主原料のトウモロコシのシカゴ相場は、米国のバイオエタノール向け需要の増加などから昨年6月に1ブッシェル7ドル55セントの最高値をつけ、その後は急落。大豆も同様な相場推移をたどった。ただ、今年に入って米国の作付け減少意向や、政府によるエタノール使用義務量の引き上げなどから、トウモロコシ価格は底を打ち、4ドル台で推移している。また、大豆の相場も底堅く10ドル台をキープし、たん白源の大豆かすは、搾油メーカーの稼働率減少などもあって需給がひっ迫、トン5000円ほど値上がりしている。フレートも、世界経済の不況から急落していたものの、最近ではトン40ドル前後で動いているほか、為替の推移も不透明のままとなっている。
 鶏卵、鶏肉価格ともコストを下回る相場で推移し、厳しい養鶏環境下で、配合飼料価格が7月から再び値上げされる可能性が高くなっており、さらに経営を圧迫することが懸念される。

肥料価格交渉/原料、運賃が下落 値下げで大詰め
 JA全農と肥料メーカーとの2009肥料年度価格交渉が、年度初めの7月を前にヤマ場へ差しかかった。主原料となる尿素、リン安や海上運賃などの下落を受けて全農は大幅引き下げを要求。難色を示すメーカー側と攻防が続いているものの、「値下げ要因を最大限反映させたい」として、下げの方向で詰めの交渉をしている。
 肥料価格は原油高などに伴い5年間、値上げが続き、値下げが実現すれば6年ぶりとなる。

農林漁に2548人就職 求人率は低水準/厚労省4月調査
 全国の公共職業安定所(ハローワーク)を通じた4月の農林漁業への就職者(パートを含む)が2548人に上ることが、厚生労働省の調べで分かった。前年同月比で38%増加。3月に引き続き、月別に調査を始めた1995年度以降で最多を更新した。ただ、求職者1人当たりに何件の求人があるかを表す農林漁業の有効求人倍率(実数)は0.54倍で、3月から0.04ポイント悪化、約6年ぶりの低水準となった。
 4月のハローワークでの農林漁業への紹介件数は1万1448件で、前年同月の2倍超に上る。それに伴って就職者も伸びた。だが、製造業をはじめとして、求人数は低迷している。4月の全職業の有効求人倍率も0.42倍(実数)と、3月からさらに0.1ポイントも低下し、過去最悪を更新した

国内生産量を下方修正 09/10年の米国トウモロコシ
 米国農務省は5月12日、2009/10穀物年度(09年9月〜10年8月)の主要農作物の需給見通しを公表した。米国のトウモロコシ生産量は、120億9000万ブッシェル(前年度比0.1%減)の予想となった。これは3月上旬の生産者意向調査の結果、予測作付面積が前年度比1.2%減の8500万エーカーに減少したことに加え、東部コーンベルト地域での播種の遅れにより、単収見込みが1エーカー当たり156.9ブッシェルから155.4ブッシェルに引き下げられたことなどが要因。
 一方、国内消費量は、106億6000万ブッシェル(同2.6%増)と見込まれた。用途別では、エタノール向けが連邦政府による使用義務量の引き上げを反映して41億ブッシェル(同9.3%増)と大きく増加、飼料向けなどは家畜飼養頭数の減少などから52億5000万ブッシェル(同1.9%減)と減少する見込み。輸出向けは、国際市場で安価な飼料用小麦の供給が減少することなどにより19億ブッシェル(同8.6%増)に増加すると見込まれている。このため、期末在庫数量は、生産量が伸び悩む一方、需要量の拡大が見込まれるため、11億4500万ブッシェル(同28.4%減)まで減少すると予測されている。
 トウモロコシの年間平均生産者販売価格は、ブッシェル当たり3.70〜4.50ドルと予測され、高値で推移した前年度や前々年度とほぼ同程度となる見込み。
 大豆生産量は、31億9500万ブッシェル(前年度比8.0%増)の予測。予測単収は1エーカー当たり42.6ブッシェル(同7.6%増)で、2月の予測と同じ。
 これに対し、大豆の総消費量は、31億700万ブッシェル(同2.0%増)と見込まれ、用途別では、前年度に大きく減少した国内搾油向けが16億7500万ブッシェル(同2.1%増)に増加し、輸出向けも干ばつによる南米の供給減の影響から、12億6000万ブッシェル(同1.6%増)に増加する見込み。
 この結果、大豆の期末在庫数量は、生産量が前年度を大きく上回ることもあり、2億3000万ブッシェル(同76.3%増)まで回復すると予測。生産者販売価格は、ブッシェル当たり8.45〜10.45ドルになると予測され、前年度(9.85ドル)や前々年度(10.10ドル)の価格にせまると見込まれている。

6月の牛肉需給展望 出荷増予想と梅雨の不需要期で枝肉相場はジリ安推移
4月から5月のゴールデンウィークにかけて末端の需要は上向きに転じたが、GW後の中旬以降は、再び低迷状態に戻り、枝肉相場は和牛を中心に反落に転じた。不況による消費の冷え込みで、外食需要が落ち込み、小売市場でも単価の安い部位が売れ筋の中心となり、ロイン系の高級部位は苦戦が強いられた。6月は、和牛、交雑種を中心に出荷増が予想される上に梅雨の不需要期に入るため、需要好転、相場上げの材料はなく、前月以上に供給過剰感が強まりそうだ。
[価格見通し]例年、6月の枝肉相場は前月比で値下がりの展開となっている。今年は、出荷増予想にあることや、末端消費は例年以上に悪化する可能性があるため、枝肉相場の下げは避けられない状況にある。特に出荷増が予想されている和牛と交雑種は、供給過剰感が強まり、相場の下落は避けられない状況にある。これに対して乳雄は、出荷が少ない分、相場の下げ幅は小さいものとみられる。6月の相場は、出荷の動向と天候によっても左右されるが、現状では一段安。部分肉ベースでは、在庫消化するためにさらに価格対応が迫られるものと想定される。

6月の豚肉需給展望 出荷頭数の減少も消費の低迷で相場の上げは期待薄
5月の豚枝肉平均相場は450〜460円水準とみられていたが、結果的には予想を大幅に上回る490円(東京市場)となった。その要因は、全国出荷頭数が当初予想より少なかったことと、市場の上場頭数も少なめに推移したことによるもので、末端の需給の実勢からみても高めの相場となった。また、大阪市場は434円と東西格差が出た。これは新型インフルエンザの感染者が多発したことで学校給食、外食を中心に需要に影響したためである。6月は、出荷頭数が減り、相場もジリ高となる時期だが、今年は消費の動向から見て例年のような大幅な上げはないものとみられる。
[価格見通し]5月の豚枝肉相場は、予想より少ない出荷頭数、新型インフルエンザなどの影響により当初予想より高値の推移となったが、6月は、新型インフルエンザの影響も薄れ、平常の需給動向を反映した相場展開となりそうだ。農水省の出荷予想からみると枝肉相場はジリ高の展開となってもおかしくないが、末端の消費動向を勘案すると月平均相場は470〜480円水準とみられる。一時的には500円を上回ることも考えられるが、500円相場が続いた場合、末端の特売需要が一気に輸入チルドにシフトし、その反動で枝肉相場急落というケースも考えられる。5月低迷した関西市場の相場も、新型インフルエンザの影響が薄れ、需要の回復とともに枝肉相場も関東並みの水準に戻ってくるものとみられる
6月の鶏肉需給展望 モモ正肉は一段下げ、ムネ正肉はジリ高の推移
5月の鶏肉需給は、20日ごろまではモモ正肉、砂肝、手羽先が堅調で、相場もジリ高で推移したが、20日以降は失速し、代わって、それまで動きが鈍かったムネ正肉の動きが好転した。個人消費の冷え込みから、低価格の部位に需要がシフトしてきた。前年は、中国産の代替え需要で、モモ正肉、ムネ正肉ともに右肩上がりの相場展開となったが、今年は前々年並みの相場に戻っている。6月から7月にかけては梅雨の不需要期に入るため、モモ正肉はジリ下げ、値頃感が出てきたムネ正肉は堅調な相場となりそうだ。生産コストとの対比で厳しい相場となりそうだ。冷凍品は、輸入、国産とも在庫過剰感があるため、相場の上げはなさそうだ。
[価格見通し]5月の鶏肉相場は、モモ正肉は前半の需要好調で反発に転じ、ムネ正肉はジリ安となった。6月は、最近の末端の消費動向からみて、モモ正肉は一段下げの570円、ムネ正肉は一段上げの230円前後と想定される。モモ正肉は異常高値となった前年より170円安、前々年の603円をも下回る見通し。ムネ正肉も同様に前年比110円安となるが、前々年の211円を上回る見通しである。中国産の代替え需要がなくなり、相場は平年並みの水準に戻ってきた。輸入品は、在庫調整が進み、現物相場も輸入コストにスライドして値上がりに転じるとみられていたが、6月の輸入量が急増に転じ、在庫積み増しの状況が出てきたため、当面の相場上げはなく、様子見の相場展開となりそうだ。

苦戦続く食鳥需給 食鳥協理事会
 (社)日本食鳥協会(芳賀仁会長)は5月15日、東京・新橋の航空会館で理事会を開き、5月27日の通常総会に上程する議案を承認したほか、各部会から最近の鶏肉の需給動向について報告された。
 ▽小売部会=ゴールデンウイーク以降、売れ行きが悪化しており、値下げしても物量が全く増えない。ブラジル産もも肉が、安いところでは100グラム当たり30円台、京都のスーパーでは28円で販売されているとのことで、考えられない値段に足を引っ張られて苦戦している。業務用では、鶏肉の単価があまりにも安くなりすぎたため、食材卸や食肉卸と競合することになり、大変厳しい状態である。
 ▽荷受部会=ゴールデンウイークの需要は、地域によって天候やイベントなどに左右され、総じてあまり良くなかった。部位別では、ほとんどの物が良くない。もも肉は特売対応で何とかさばいているが、むね肉、ささみ、手羽元、肝は加工用や凍結用に回っている。加工用には凍結を避けるために回しており、採算は度外視。
 外食向けが非常に悪く、客の入りや客単価が落ちていることが要因として考えられる。商品別では、単価の高い地鶏や銘柄鶏などが敬遠されている。一方、こにくなどの焼き鳥原料は順調に伸びているようだ。
 輸入関係では、ブラジル物の解凍品の販売は一部の売り場で増えたものの、ピークは越えたとみられる。国産もも肉の特売とにらみ合いの様相だが、極端な安値で販売されているところもあるようだ。
 3月にブラジルから3万9900トンの鶏肉が輸出されたと報告されている。それまでは2万トン台で予想よりも多いが、2月の船積みを遅らせたのかもしれない。現地では中小規模での減産は報告されているが、大幅な減産は行なっていない模様で、5月末には日本に入ってくるのではないか。国産の期末在庫の正確な数量がなかなか把握できないため、見えない物に対する心理的な不安がある。梅雨明けから夏ごろまでは苦戦が続くのではないか。
 ▽生産加工部会=各社の生産農家によってバラツキはあるが、育成成績は総じて順調に推移している。飼い方の問題もあるが、最近の種鶏の能力向上がだいぶ寄与しているのではないかとの意見が多い。出荷日齢を短縮して体重を抑える工夫をしているものの、日増体が想定を上回り、3キロをはるかに超える鶏が出てくるとの話も多かった。
 むね肉やささみ、手羽元、肝の動きが悪いことに対して、育成成績が良くて生産量が多いことが、必ずしも業界の幸せにつながっていない。特に付加価値の高い銘柄鶏や地鶏については、どうしても値段的な面から売れ行きが落ちている。多少明るい話としては、ケンタッキーの動きが良く、冷凍物の積み増し在庫が減ってきたこともあってか、一部の生産者は大雛から中雛にシフトしている。 現在のコスト相場では運営が非常に厳しいことに変わりはない。このような中で、為替の動向によっては今後の飼料価格が上げに転じる危険性もあり、憂慮している。

国産牛のBSE検査緩和、厚労・農水省検討 米産輸入対象拡大も
厚生労働省と農林水産省は27日、国産牛のBSE(牛海綿状脳症)対策として実施している検査を緩和する検討に入った。検査対象の牛を「生後21カ月以上」から「生後30カ月以上」に減らすとともに、生後24カ月以上の死亡牛の検査も見直す方向だ。日本は厳しい国内基準を背景に米国産牛肉の輸入を制限しているが、検査の緩和を受けて輸入対象の拡大に向けた交渉が加速する可能性が高まる。日本では2001年9月、国内初のBSE感染牛が見つかった。厚労省は同年10月から、すべての牛にBSE検査を実施。05年8月からは生後21カ月以上の牛を検査対象としている。

国際獣疫事務局、国産牛の安全性認定 BSE問題
食肉貿易の安全基準などを定める国際獣疫事務局(OIE、本部パリ)は26日、日本産牛肉のBSE(牛海綿状脳症)の安全性について「リスクを管理している国」に認定することを決めた。国産牛のBSEに関する安全性が国際的に認められたことを示す。これを受けて農林水産省は牛肉の輸出拡大に乗り出す。OIEは世界各国で生産される牛肉の安全性を、BSEの発生が無い「リスクを無視できる国」、適切に生産管理をしている「リスク管理国」、その他の「リスクが不明の国」の3つに分類している。日本政府は昨年12月に「管理国」への認定を申請し、同日開かれたOIEの総会で承認された。28日に正式採択される。「管理国」には米国やフランスなどすでに31カ国が認定されている。

OIE総会〜存在問われた科学集団(1) BSEめぐり思惑にズレ
国際獣疫事務局(OIE、本部・パリ)の第77回総会が24〜29日、パリ市内で開かれた。無条件物品のひとつである「骨なし骨格筋肉」(牛肉)について、「30ヵ月齢以下」の条件削除や、骨由来ゼラチンについて、せき柱を使えるように条件を緩和するなど、OIEコード(規則)が大幅に改正された。また、日本にとっても、BSEステータス評価で「管理されたリスク」国に認定され、失墜していた農政の威信回復を図る契機となった。
 ただ、コード改正をめぐっては、北米、EU(欧州連合)など先進国の大半が賛成に回った一方、日本は最後まで反対を貫き、先進国の中で孤立的な存在となった。今総会で議長を退任するバリー・オニール氏は「OIEはサイエンスの集団ではないか」と、国内政策に左右される言動を痛烈に批判し続けた。その思いが実ったのか、改正に後ろ向きだったEUは結局、賛成票を投じることになった。BSE問題について一定の方向付けをするなど、科学集団OIEの存在意義を示す結果となった。

豚肉に赤身増加の禁止添加薬 中国紙が報道、広東で中毒も
23日付の中国紙、南方週末は、中国内の養豚場で、使用が禁止されている動物成長促進薬クレンブテロールやラクトパミンが飼料に混入されていると報じた。2つの薬物は中国で「痩肉精」と呼ばれ、脂身を抑え、赤身を増やす効果がある。今年2月に広東省広州市でクレンブテロールが残留した豚肉を食べた70人が食中毒となる事件が発生したが、同紙は一般の養豚場でも広く使用されていると示唆。有害物質メラミン混入で健康被害を起こした粉ミルクと同様に社会問題となる可能性もある。小規模の養豚農家ではクレンブテロールを、大規模養豚場ではラクトパミンを飼料に混入させているという。ある養豚業者は同紙の取材に「(痩肉精の使用は)業界の隠れた常識」と語った。

中国産野菜 輸入が2年7カ月ぶりに増加 安さに魅力で



 中国産野菜の輸入が今年3月、06年8月以来2年7カ月ぶりに前年同月比で増加に転じたことが、農林水産省がまとめた輸入検査実績(速報値)でわかった。3月は10%増、4月は5%増と2カ月連続で増え、回復傾向が鮮明になっている。残留農薬の規制強化や中国製冷凍ギョーザによる農薬中毒事件の影響で減少傾向をたどってきたが、景気悪化などを背景に、安価な食材として需要が再び高まっているようだ。
 3月の検査実績は2万7867トン、4月は3万910トンだった。厚生労働省は06年5月、食品への残留基準を設ける農薬を限定し、それ以外には一律0.01ppmという厳しい基準を課す「ポジティブリスト制」を導入。その影響で中国産野菜の輸入は同年9月から減り始め、08年1月30日に発覚したギョーザ事件も加わって、同年2〜5月は32〜50%の落ち込みを見せた。
 しかし、昨年秋以降の世界的な景気悪化で消費が低迷し、外食産業や食品メーカーもコスト削減のため安価な食材の調達を重視する傾向を強めている。果実・野菜輸入大手のローヤル(京都市)は「ギョーザ事件を契機に中国もトレーサビリティー(生産流通履歴の追跡可能性)を強化している。消費者のマイナスイメージも薄まっており、中国産野菜の人気は当分、続くのではないか」と話している。
 輸入検査実績は、国内にない病害虫の侵入などを防ぐため農水省が植物検疫を行った数量。野菜はすべて対象になるが、検疫の結果、輸入が認められない場合もあり、実際の輸入量とは必ずしも一致しない

米国産牛肉、中東市場で弾み
これまでは牛レバーを中心にバラエティーミートが好調だった中東市場で、最近は良質な米国産牛肉に人気が集まっている。今年の第1四半期、マッスルカットの輸出量は前年同期比で84%、輸出高は40%以上も伸びた。USMEFによると、最近ドバイやサウジアラビアなどで、高品質の米国産牛肉の利用が、ホテルやレストラン等の業務用から一般の小売市場へと拡大しているのが好調の一因だという

米国・EUが牛肉貿易で合意
米国とEUは5月2週、成長促進ホルモン剤を使った米国産牛肉の禁輸措置をめぐる貿易紛争で、暫定合意に達した。米国はEU製品への関税拡大を見送り、EUは米国産牛肉のEU市場へのアクセスを拡大する。これで1980年代から続く紛争案件が、解決に向けて前進した。これまでEUは、ホルモン剤を含まない米国産牛肉(年間1万1,500トン)を20%の関税で輸入を認めていた。今後はフェーズ1として、それとは別に今後3年間毎年2万トンの免税枠を設ける。双方の合意があればフェーズ2に進み、4年目は輸入枠を4万5,000トンに拡大し、米国はEU製品の関税撤廃を追加する。フェーズ2期限終了までに、両国は合意の期間延長を検討する。

小売店満足度 総合1位はコストコ
 民間の市場調査会社、「TNSインフォプラン」(東京都千代田区)がまとめた約2万人を対象にした小売店の満足度調査によると、米系の会員制卸売店「コストコ」が全業態で1位になった。
 この調査は、食品や生活消耗品に対する買い物客の意識の把握などを目的に、首都圏と関西圏に住む18〜64歳までの男女約2万2000人を対象にインターネットで実施した。
 55店の小売店を対象に、「店の全般的評価」「友人・知人への推奨意向」「今後の利用意向」「他の店に比べての利点」の4項目を調査。その結果を「RSI(小売店満足度)」と呼ばれる数値で表し、6つの業態別に比較した。
 スーパーマーケット部門でトップだったのは、店の信頼性が評価された高級スーパー「成城石井」。コンビニ部門では、オリジナル商品の品ぞろえが好評だった「セブン−イレブン」が首位を獲得した。100円ショップ部門は「SHOP99」。また、ホームセンター・会員制卸売店部門ではコストコが1位となった。
 コストコは、試食などの店頭プロモーションなどを通じた「買い物の楽しさ」に対する評価が抜きんでていることや、PB(プライベートブランド)の品ぞろえや品質の良さに対する評価が高く、全55店中総合1位に輝いた。

世界的に需要急増!“魚食ブーム”のウラ事情さ
る3月、FAO(国連食糧農業機関)は「世界漁業・養殖業白書2008」を発表した。それによれば、2006年時における世界の水産品輸入額総計は過去最高額の約8兆7000億円。10年前と比べると、国別の伸び率はロシアが3.6倍、韓国が2.7倍、中国・スペインが2倍と、魚食文化の意外な世界的拡大を示している。水産事情に詳しい政策研究大学院大学・小松正之教授は、その理由をこう分析する。 「たとえば、中国の魚介類消費量は80年代前半に1人当たり年間5kgだったのに対し、06年には27kgまで急増。所得向上でコイ、ソウギョといった淡水魚から、より高価な海水魚へ消費がシフトしているんです。また、ニシンやタラなどはロシアも含めたヨーロッパの国々が好んで食べる魚。こうした土壌にBSEや鳥インフルエンザの影響が加わり、健康食としての魚需要が増加したという背景もあります」
 もちろん、食べ方は国によって異なる。生鮮マグロの仕入れ販売会社、トライ東京社長代行・林 弘二さんは言う。
「魚介類を刺身で食べる文化があるのは日本、韓国、中国ぐらい。アメリカは年間約6万トンのマグロを消費しますが、大半はステーキ用。また、ロシアやスペインなどは、原料を輸入して冷凍食品や缶詰などに加工する産業がとくに盛ん。こうした加工技術の進歩によって、これまで獲っても捨てていた魚種にも商品価値が発生し、全体的な消費量アップにつながっています」
ところで、こうした世界規模の魚ブームは深刻な問題もはらんでいると、前出の小松教授は指摘する。
「乱獲による絶滅の危惧です。日本近郊のマイワシはほとんど獲れなくなっています。一番危ないのはクロマグロやミナミマグロなどの高級マグロで、20年後には絶滅するという試算もあるほど」


牛肉需要の低迷続く
年間で最も需要が高い月を控え、牛肉売り上げの伸び悩みが続いている。牛肉の最大の問題は他の食肉と比べて価格が高いことだ。米国消費者は1ドルで買える量を基準に肉を選んでいる。そのためスーパーが積極的な販促活動を実施しても、消費者は限定量しか購入しない。さらに新型インフルエンザ(A/H1N1)の発生で、豚肉は輸出が減少し国内市場の流通量が増えたため、卸売り段階で牛肉より低価格になっていることも一因だ。
5月2週、パッカーの間では「5月中は週5日操業とし、土曜は肥育牛の処理なし」が話題となった。そうなると5月末の連休まで、週間処理頭数を昨年(71万頭)より大幅に下回る65万頭以下に抑えることになる。しかし、5月上旬から6月中旬にかけては肥育牛の出荷頭数が最多になるため、週間処理頭数は65万頭よりもっと増やす必要があるとアナリストは見ている。

成豚・豚肉価格が徐々に回復
新型インフルエンザの豚肉業界への影響はまだ続いているが、ここ数日は成豚・豚肉価格が上昇して回復の兆しが見えている。5月納入分の豚赤身肉の先物相場は、4月5週前半に新型インフルエンザの混乱で20%近く下落したが、後半は3日連続で値上がりした。水曜の豚肉販売量は955万ポンドにも達し、1日の販売量では2002年1月以来の高水準だった。同じ週に豚肉卸売価格は2日間で4.2%値上がりした

北米3ヵ国、「不当な」禁輸の解除を要請
米国、カナダ、メキシコの貿易最高責任者は4月30日、豚肉輸入に対する「科学的根拠のない禁輸措置」の解除を求める共同声明を発表した。3ヵ国の担当者は、「世界の主要な保健機関はいずれも、食品によるインフルエンザウイルス媒介の証拠はないと説明している」と言及した。これに先だって米国議会の有力議員数名が、米国産豚肉貿易の保護を強化するよう、オバマ政権に要請している。

牛と畜ピッシング 全施設が中止/BSE対策万全 輸出増に期待
牛海綿状脳症(BSE)対策として政府の食品安全委員会が中止を求めていた、と畜方法の一つ「ピッシング」が、今年度から国内すべてのと畜施設で中止されたことが19日、分かった。特定部位の除去や飼料規制、サーベイランス(監視)など、国際的にも厳格なBSE対策と併せて国産牛肉の安全性がさらに高まったことで、輸出の拡大にも期待がかかる。厚生労働省の調査によると、昨年10月末現在では、全国154のと畜施設のうち、と畜頭数の多い東京都や大阪府など全国5自治体6施設がピッシングを中止していなかった。どの施設も代替設備の試運転や施設の改修工事を進め、3月末までに中止の準備を整えた。

肉牛 竹パウダー飼育 増体、食いつき良好/島根県中山間研究センター
 島根県中山間地域研究センターは竹林の有効利用を図るため、肉牛への竹パウダーを添加した飼料による飼育結果を明らかにした。餌の食いつきが良く、給餌開始後7カ月間の増体量は市販肥育用配合飼料とほぼ同じだった。
  竹パウダー飼育は2006年度から取り組み、最終年の今年2月に肉質評価を行った。

飼料用稲「中国飼198号」開発 もみ少なく高栄養/近中四農研センター
 農研機構・近畿中国四国農業研究センターは、牛の消化が悪いもみが少なく、稈長(かんちょう)が長い飼料用稲の系統「中国飼198号」を開発した。もみ数が従来品種より7割少ない分、茎葉部の栄養価が高まり、稲発酵粗飼料(ホールクロップサイレージ=WCS)に向く。
 新系統の稈長は、120〜93センチと従来品種「クサノホシ」より1、2割長い。試験では、茎葉の乾物収量が10アール当たり1.5トンで、「クサノホシ」より0.5トン多く、もみを含んだ全体の収量も5%程度増えた。

肉食には未熟果リンゴ 肥満抑える効果/明大と企業研究
 肉を食べ続けても、未熟果(摘果)リンゴを食べると、肥満が抑えられることが、明治大学農学部とエバラ食品工業研究所の実験で分かった。20日から長崎市内で開かれている日本栄養・食糧学会大会で発表された。
実験では、完熟リンゴに比べて細胞の酸化を防ぐ働きなどがあるポリフェノールと食物繊維が豊富な未熟リンゴに注目。野球ボールより小さい摘果した果実を使った。

消費の冷え込みで和牛の末端需要不振強まる、売れ筋は価格訴求品の部位のみ
5月の連休前後にかけて好調に転じた牛肉の末端需要だが、先週から今週にかけて不振感が強まり、特に和牛は不振の度合いを強めている。末端での需要は価格訴求品にシフトする傾向が強まっていることに加えて、今後、梅雨の不需要期にかけて出荷増が予想されることから、和牛の消化に苦慮しそうだ。5月の連休前後は末端からの引き合いが好調で、連休後もこの流れが続いたが、先週から動きが極端に悪くなっている。末端からの引き合いは価格訴求品のみとなり、和牛、ロイン系の引き合いは止まった状態となっている。「和牛、高級部位の販促を組んでもらえない」(問屋筋)という状況だ。単価の安い交雑種と乳雄は、悪いながらもそこそこの動きにあり、和牛の不振が顕著となっている。今後は、梅雨の不需要期に入り、和牛、交雑種の出荷増が予想されていることから、和牛をどう消化するかが大きな課題となってきそうだ。市場上場頭数の減少により枝肉相場は比較的堅調相場を維持しているが、末端の実勢とかい離してきているため中間卸にとっては、一層厳しい状況となってきている

肥育牛緊急特別対策事業の概要説明、販促目的の生産者拠出金創設も
農水省の「平成21年度肥育牛経営等緊急支援特別対策事業(ステップ・アップ奨励金事業)等に係る全国推進会議」が19日開かれた。同会議は、生産性を高める畜舎づくりや、飼料自給率の向上、環境対策などに取り組む肥育牛経営者を対象に、肉用牛肥育経営安定対策(マルキン事業)と連動する形で支払われるステップ・アップ奨励金事業の具体的内容を理解してもらおうと開かれたもの。都道府県の畜産担当者や畜産協会担当者ら約110人が参加した。
 事務局は問答集に基づき、具体的な事例を交えながら事業概要を説明。参加者からは、交付対象となる要件の定義、対象範囲について、想定されるケースを提示しながら質問する場面が見受けられた。また、牛肉の消費低迷が続く中、販売促進活動を自主的に取り組むのを目的に、生産者拠出金(基金)制度を創設する考えも示された。同省では、都道府県単位など各地域の事情に合わせ、生産者団体単位での活動を想定している。拠出金は1頭当たり約1,000円程度を目安にしている、という

廃棄物飼料で育てた豚、ファミマ、弁当類に使用、千葉限定、今月下旬に販売。
 ファミリーマートは店舗から回収した食品廃棄物を使用した飼料で育てた豚を販売する取り組みを始める。まずは、今月下旬に千葉県限定で販売する弁当類に今回飼育した豚を使用する。食品リサイクル強化の一環で、環境負荷軽減の姿勢を消費者に訴えるのが狙いだ。
食品リサイクルの循環網である「リサイクルループ」と呼ばれる仕組みで、東京都内の約百二十店から回収した食品廃棄物を千葉県旭市と同県匝瑳市の飼料メーカーに搬送。出来上がった飼料を千葉県内の養豚農家で使ってもらい、飼育された豚をファミマが買い取り、弁当に使う。第一弾は二十六日に発売する「豚焼肉丼」(四百三十円、)。豚焼肉丼は千葉県内の店舗のみの販売だが、今後は同様の取り組みを全国に広げる考えだ。
シンガポールへの牛肉輸出3施設、豚肉1施設が認定され輸出可能に
農水省は14日、シンガポールへの牛肉と豚肉の輸出が解禁されたことを発表した。農水省はこの間、日本産牛肉と豚肉について、シンガポール政府と輸出条件について協議を行ってきたが、同日からシンガポール政府に認定された施設からの輸出が可能となったもの。輸出認定施設は、牛肉は群馬県食肉卸売市場(群馬県)、南九州畜産興業(鹿児島県)、サンキョーミート有明ミート工場(鹿児島県)の3施設。豚肉は、南九州畜産興業(鹿児島県)の1施設となっている。日本産牛肉については、平成13年9月に我が国でBSEが発生したことから、シンガポール政府から輸入を禁止されていたもの。このため、日本産牛肉の輸出再開について、シンガポール政府と協議し牛肉の輸出条件について合意に達し、シンガポール政府から輸出可能な施設として3施設が認定されたもの。また、同時に協議してきた日本産豚肉の輸出についても合意し、1施設が認定された。
 輸出の条件は、シンガポール政府から認定された施設で処理されたもので、牛肉については、日本で生まれ、飼育された牛由来であること、30ヵ月齢未満の牛由来の脱骨したもの(とさつ、解体の過程で、扁桃、回腸遠位部、脳、目、せき髄、頭蓋及びせき柱が除去されていること)。豚肉については、同様にシンガポール政府が認定した施設で処理されること、日本で生まれ、飼育された豚由来であること、冷凍豚肉であることが主な条件となっている。

肉専用は補完マルキン1.4万円増、緊急対策5千円付加も−1〜3月期マルキン
農水省畜産企画課は13日、09年1〜3月期の肉用牛肥育経営安定対策事業(マルキン事業)および追加緊急対策である肥育牛生産者収益性低下緊急対策事業(補完マルキン)にかかわる平均推定所得等の算定結果と補てん金単価を公表した。それによると、マルキンによる補てん金単価は、肉専用種が5万9,500円、交雑種が3万3,000円、乳用種が2万2,700円で、全畜種とも前期(08年10〜12月期)と同額となっている。
 枝肉価格の下落などで収益性が悪化している肉専用種は補完マルキンが前期に比べ1万4,200円増えて、3万2,400円と算定された。一方、収益面で若干の改善が見られた交雑種、乳用種については、補完マルキン単価が前期に比べ下がり、それぞれ5万5,200円(前期5万8,400円)、1万1,800円(1万2,100円)となっている
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