「世界と戦える和牛海外輸出の仕組みの確立を」
―――「和牛・交雑ロイン」のマカオ輸出解禁をうけて―――

1.和牛のマーケットは世界中に無限ある

日本の「不景気感」・「可処分所得激減感」蔓延の中で、「国産牛肉消費」が減退してきており、生産者・加工業者・流通の末端・消費者までもが疲弊してきている。
このままでは、和牛の生産基盤までもが失われる可能性が大きい。
それを回避するためにも、高級和牛を購入できる世界の国々に、日本産ロインを中心とした、「輸出」はこれからの日本の畜産にとっては重要な課題である。
日本は、もともと「輸出産業」の組織として高度な経済成長を継続してきた。
その中で、農業・漁業は、輸出で高度経済成長を続ける、国内マーケット向けを中心に、成長してきた。
それは、輸出成長と合わせて、国内成長が連動して起こり、国内成長に合わせて農業・畜産を行っていれば成長が継続できたからである。
しかし、国内成長が停滞してきており、今後の大きな日本国内の成長が期待できない中で、これまで通りの「国内需要頼り」で、畜産の生産基盤が維持できるかと言えば、それは、かなり難しいと思われる。
現実、酪農を始め「離農」が相次いでおり、牛乳・牛肉消費ばかりでなく、豚肉消費・鶏肉消費も減少してきているからである。
日本の農業・畜産業はもはや、日本をマーケット相手だけで商売をしていては、将来展望が出来ない状況になっているとも言える。
日本の和牛や豚肉の評価は、香港を中心に非常に高いものが有る。
世界で最も品質の良い牛肉・豚肉は、「日本国産」なのである。
これは、「競争の優位性」として、最大限に活用しようではないかと思う。
そこで、重要なのは、「世界とどう戦うか?」、「世界ブランド」をどのように確立するか、「和牛を含む国産牛肉・国産食肉の輸出体制」をどのように確立するか、が重要な課題になる。
世界を相手とする競争を仕掛けて、世界のマーケットを相手にし、高級部位を中心に高価格帯で販売をしていかないことには、日本の畜産のグランドデザインは画けないと言える。
日本の「米」を含む農産物、特に「果物」などは、「世界とどう戦うか?」と言うのが課題となっている。
世界に通用する、「世界ブランド」の農産物でなければ、日本の農業も生き残れない。
「コシヒカリ」・「甘王」・「二十世紀」・「サンフジ」・「和牛」・「黒豚」などは、すでに世界ブランドになっている。
「鹿児島」・「宮崎」・「北海道」などの県も、すでに世界ブランドと言える位に世界で知名度が高くなっている。
重要なのは、これらを含めて、行政の支援も受けながら、輸出を実現化することである。
特に畜産は、1アニマルが高価で、現状の、お金に余裕がない日本国内の消費を当てにしていては、高級部位が高値で販売出来ないので、輸出が進まない現状では、将来は生産基盤を失っていくことになる。
日本のマーケット、日本の消費者を、日本の景気回復を、もはやあてにはできないからだ。
何時か、経済・景気が回復するときまで待とう、というのであれば、日本の畜産も先が無い。
日本の畜産にとって、有利なのは、「和牛」を中心に、「世界で一番美味しく、安全な牛肉」が「日本産和牛・交雑牛」であるということだ。
 世界と戦える「武器」で世界相手に、存分に戦ってみたいものである。
 「ナンチク」・「ミヤチク」・「サンキョー」・「タマムラ」、も世界ブランドとして通用するブランドといえる。
 日本の和牛・交雑牛、日本の黒豚・赤豚・白豚は、注目度は高い。
 日本で売れ残っている豚肉のレバーやハツなどは、香港・中国市場では、ロインと同じ価格で販売されている。安く販売されているのでは何のだ。
 日本の内臓肉も、癖がなく、美味しく食べられる。一端、日本の内臓を食べれば、NATIVEの内臓を食べなくなる可能性が高い地域は世界に沢山ある。
 牛肉・豚肉・鶏肉・内臓肉、日本産全てが世界に通用するブランドになれるのである。
 世界をマーケットにした、MDingを展開する時が来たように思う。

1.「雪龍黒毛牛」は、兼松とカミチク49%で当初大連に設立。その後、中国サイドに経営が引き継がれる。和牛の人気はメインランドで非常に高い。美味しい牛肉を富裕層を中心に需要が伸びている。 2.雪龍牛カルビ焼肉セット。上海の焼肉のレベルは非常に高く、良品を求める消費者が多く、その消費のレベルアップと比例して、外食がレベルアップしてきている。

3.雪龍黒毛牛 カルビ焼き用。1人前250元。上海では日本の焼肉屋以上に高級店では品質を重視していることが判る。

4.上海 虹橋地区の豪州産和牛牛タン焼肉用。1人前180元。盛り付けも日本以上に繊細に、レモンなども、ケチらずに提供してくる。

5.火鍋(HOT POT) 
焼肉より大きなマーケットが存在する。火鍋は、1人前の鍋で個々に調理する。2人で調理したりするスタイルがある。

6.上海 火鍋高級店での「豪州産和牛タン火鍋」1人前150元。ここでも、トップブランドは「和牛」のメーミングが有るもの。


2.増大する和牛輸出

香港、米国、中東、東南アジア、向けは、セット販売よりはまだまだ、「ロイン」中心の販売が多い。それは、現場で、日本の和牛の精肉処理技術の経験が乏しいからである。
従って、処理技術の簡単な「ロイン」からの料理になることが多い。
もちろん、処理加工技術の指導を行いながら、技術者の育成。技術がなくとも処理できる料理用途別スペックの開発などが、次の課題となる。
輸入国の、お客様も同じで、「和牛」と言えば、「ステーキ」を中心に料理を行うことが多いので、和牛の美味しい食べ方を、他の部位で紹介する作業も、コツコツ、行っていく必要がある。
現状、2008年の財務省の「貿易統計」によると、牛肉輸出量は冷蔵・冷凍合計585.1トン、輸出金額四十億七千三百四十一億円と、前年比それぞれ2.2倍、2倍の伸びを示している。
輸出部位は金額を逆算すると7000円近くなるので、殆どがロイン中心の輸出と思われる。
2009年は世界経済の減速を受けて前年比70%で進捗してきたが、旺盛なアジア経済の復興で、輸出のオファーも急速に増え、芝浦市場では、サーロインだけが品薄状態になってきている。
これは、購入意欲旺盛な海外バイヤーが、サーロインを中心に購入しているからで、サーロインばかりでなく、「リブロース」・「テンダーロイン」から、「ランプ」・「肩ロース」へと、需要を拡大していきたいものである。
そのためには、精肉技術者・料理人、商品化に必要なスライサー等の機械と、そのメンテナンスのバックアップ、スパイスやソース、トレイなどの小物等、総括的に、その地域で販売を継続拡大できるための仕組み作りが、行政の協力や、新しい組織の組み立てが必要である。
そうすることで、スピードアップが進み、生産農家や、食肉流通に携わる人々全てが、食肉を通じて、生活の糧と夢を持つことが出来るのではないかと思われる。

3.「マカオ牛肉輸出が可能に」

21年7月28日に牛肉の輸出が解禁になった。
輸出条件は以下の条件である。
  1. 本日付で厚生労働省から都道府県等に、マカオ向けの牛肉の輸出条件を以下のとおり通知しました。
    (と畜場等(と畜場及び食肉処理場)の主な条件)
    • と畜場等がと畜場法及び食品衛生法に基づく許可を受けており、と畜場法及び食品衛生法等の関係法規を遵守していること
    • 食肉処理場がと畜場に併設されており、とさつ・解体から分割まで一貫して行われていること
    • 当該施設を所管する都道府県等による選定手続きを経て、厚生労働省による確認後、同政府に通知されていること
      (牛肉の主な条件)
    • 30か月齢未満の牛由来であること
    • 骨なし肉であること
    • 特定部位(SRM)を含んでいないこと
  2. 今後、マカオ向けに牛肉の輸出を希望する施設は、施設を所管する都道府県等への申請後、都道府県等による輸出施設の選定、厚生労働省から同政府への通知などの手続きを経て、当該施設で生産された牛肉を輸出することができるようになります。
    なお、同政府への通知後、牛肉を輸出する際には、上記の牛肉の条件を満たすとともに、動物検疫所で輸出検疫を受ける必要があります。
と、なっています。
これは、各都道府県のトチクと、枝肉処理が一体となっている施設で有れば、30か月齢以内の牛肉で有れば輸出可能ということで、香港や米国輸出よりは簡単に、ベトナム輸出よりは正確に管理され、マカオには輸出出来るということである。
処理施設も、香港・米国向けの4施設から、大幅に増えることになる。
ただ、マカオはマーケットとして「カジノホテル」中心の販売になるので、さらに「ロイン中心」の販売になると思われる。
しかし、ラスベガスは飛行機で2時間圏内で商圏が三億人。マカオは十五億人と言われており、カジノ人口が高く、ラスベガス以上に潜在需要が高いと思われる。
それだけに、このマカオ輸出を契機に、牛肉輸出が促進され、牛乳を含め、酪農・畜産製品の輸出が増大することが望まれる。
2010年5月1日から、6ヶ月間上海万博が開かれ、その日本パビリオンも9年9月から建てられる。
日本にとって最大の和牛市場は「中国・メインランド」であることは間違いないが、日本と中国の間では和牛ばかりでなく、豚肉の輸出も許可されていない。
出来れば、上海万博に合わせて、日本の和牛・豚肉を、日本のパビリオンで提供し、広く中国の方にも認知して頂ければ、和牛や日本産食材の販路も広がると思うが・・・・。

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