3倍強化で3倍の売上げ確保・精肉コーナー売場見直し術

1. 精肉部門の売場構成
●売場構成
精肉部門で商品の品揃えについては各企業で商品リストや陳列台帳で管理されていることが多い。
しかし、この商品リストが未だにない企業や、商品リスト・陳列台帳があっても店舗で、基準の品揃え、陳列管理を全く無視して売り場展開している企業については、再度品揃えについて企業として考え直す必要がある。
また、商品リストのある企業でも10年前と内容が同じでは、時代のニーズに本当にマッチしたリストなのか、どうかを、再検討をすることが必要だ。
 商品リストや陳列台帳は、作成することがゴールではなく、それを活用することが目的である。
特にこれから、原料のデフレと不景気の波で、軒並み売り上げが伸び悩むことが予想される。
不況の波が量販店にも押し寄せているだけに、再度、商品一つ一つをもう一度見直して売場作り、商品作りの再検討を図り売上UPにつなげていきたい。
最初に、精肉部門として売場を作るに当たり、どのような商品構成にしていくのか、その基準を明確にしなくてはならない。
 精肉のカテゴリーをコーナー化してみると、「生食、牛肉、豚肉、鶏肉、挽肉と加工品(ハムソーセージ)」のコーナーに大きく分けられる。
最近ではこれに「半製品、ミートデリカ、キット商品(メニュー訴求商品)」または、「味付けコーナー」が加わってくる。
現状は精肉の売場面積が10年前と同じであるにも関わらず、カテゴリーが格段に多くなっている。現に以前の商品構成のまま新たに加わったコーナーを無理やり埋め込んでいる店舗は、売場を客観的に見たとき、結局何が売りたいのか全く分からない売場になってしまっていることが多い。
精肉コーナーの大きさや、作業場の設備、センターの加工設備によっても品揃えは左右するが、店舗の大きさが500坪(精肉日販50〜60万程度)以上の売場と300坪(精肉日販25万〜30万)では品揃えは変わってくる。
特に半製品やミートデリカ商品に関しては、300坪クラス以下の店舗では精肉の生肉売場が30尺程度であるので、売場を作ることが困難となる。
また設備ばかりでなく、人員が整っていなければ、計画した売り場展開は出来ないことになる。従って、同じ企業でも売り場規模によってカテゴリー(コーナー作り)を変化させて効率的に売場作りを行うようにしていかなければならない。

畜種・カテゴリー 主な商品展開 500坪以上 300坪以上 300坪以下
生食 牛たたき、ローストビーフなど
牛肉 和牛、交雑、ホルス、輸入牛など
豚肉 黒豚、銘柄豚、通常豚、輸入豚など
鶏肉 地鶏、赤鶏、ブロイラーなど
挽肉 牛豚ミンチ、豚ミンチなど
半製品 衣付きとんかつ、カツレツなど
キット 商品 個食鍋セット、野菜入り焼肉セットなど
ミートデリカ・ミート 惣菜 コロッケ、餃子、ミートボール、焼豚など ×
加工品 ハム、ソーセージ、ベーコンなど

さらに、「ディスカウント販売」の拡大で、新たに超特価商品を無理やりコーナー化し、販売し始めている店舗は、どんどん「安売り、もしながら」、「品揃え、もしながら」、「ロス、も出しながら」の「ながら売場」になってしまって、売り場全体の統一感が無く、来店されたお客様に返って、購入したいという、強いインパクトを与えていないのが現状である。

●価格帯別構成
価格帯別に商品グレードを分類すると、SM店舗では特売の激安の商品の展開もしながら、100g1000円以上の和牛などのハイグレード商品まで品揃えしている。
商品展開は幅広く、品揃えとしては満足感があるかもしれないが、限られた売場の中では、「ごちゃごちゃした」買いたいものが明確に判らない売場になってしまう。

SMの位置付け 主な商品 価格帯(牛) 価格帯(豚) 売場構成比
ハイグレード 和牛、黒豚など 700円〜 250円〜 10%
アッパーグレード 銘柄牛、銘柄豚など 500円〜800円 200円〜350円 20%
通常商品 ホルス、通常豚など 300円〜600円 100円〜250円 30%
低価格商品 輸入牛、輸入豚など 100円〜400円 〜120円 30%
激安商品 結着商品、冷凍商品など 〜200円 〜100円 10%

一方、最近店舗数を増やしているDS形態の「ザ・プライス」などは和牛なども品揃えはしているものの、低価格商品をメインに、激安商品をSM店舗のワンランク、ツーランク下の価格帯で販売をしている。
しかも、アッパーグレードの商品を展開しているにも関わらず、低価格商品をメインにし、陳列フェイスを広げているため、売場はすっきりとシンプルに見える。
これだと、お客様は、売り手が売りたいものが良く分かり、購入しやすくなると言える。

DSの位置付け 主な商品 価格帯(牛) 価格帯(豚) 売場構成比
アッパーグレード 和牛、黒豚など 500円〜800円 200円〜350円 10%
通常商品 銘柄牛、銘柄豚など 300円〜600円 100円〜250円 10%
低価格商品 ホルス、通常豚など 100円〜400円 〜150円 50%
激安商品 輸入牛、輸入豚など 〜200円 〜100円 30%

DSが安く商品を販売していることに対抗していては、SM店舗の利益圧迫だけが先行してしまうことは目に見えている。
そもそもDSの粗利(企業によっても違うが)は15%〜20%で、SMが25%〜35%確保しなければならない形態とは全く違う。
したがって、SM店舗は
・銘柄食肉を中心としたアッパーグレードの強化(銘柄をより訴求)
・交雑牛、ホルス、輸入穀物牛、通常豚、ブロイラー、など日常買いできる商品を低価格で販売
・銘柄食肉を売り込むためにハイグレード商品の品揃え
に絞った売場作りを強化し、売りたい商品の陳列を増やしていく必要がある。


2. インストア商品とアウトパックの使い分け
精肉コーナーでは人員減や作業軽減の面から、フルインストア加工からセンター加工のアウトパック商品の導入を検討している企業も多い。
フルアウトパック商品の導入にしてしまうと、夕方からの商品欠品によるチャンスロスの発生や、鮮度劣化からスライス、切落し関連のロス率UPにつながってしまう。
そこで、作業性を考えたインストアとアウトパックを使い分けた効率化を考える。

@ 時間帯による使い分け
フルアウトパックによるデメリットは、チャンスロスと鮮度。
夕方のチャンスロスを減らすためには、店舗作業は必要となる。
したがって、朝一番の品揃え+昼のピークまでの品揃えをセンター加工のアウトパック商品で展開する。店舗作業を減らし、作業時間短縮による人件費削減が可能となる。
昼からの品揃え+閉店までの品揃えをインストアで商品化してチャンスロスを削減する。

A 商品化による使い分け
店舗によってはすべての商品化ができる人員がいない場合も増えてきている。
特にパート社員だけで運営している店舗も中にはある。
この場合でも対応できるようにするためには、商品化が容易なものに関しては、インストアで作業して効率化を図ることを考える。
鶏肉に関してはすでにパート社員やアルバイトが作業しているケースが多い。
牛肉、豚肉に関しては社員がこだわりを持って作業している店も多く、暗に聖域な部分も秘めている。
しかし、「切落し」や「小間切れ」に関しては少し指導すれば誰にでも簡単に作業することができる商品化である。これらは、パート社員・アルバイトに任せていかなくてはならない。
細かく商品について見てみると、牛肉豚肉に関しては商品化の方法として次の大きく6種類(生食、半製品は除く)に分類される。

商品化 厚み 主な用途 商品化場所
ブロック - ローストビーフ、煮豚など インストア
切り身 10mm〜15mm ステーキ用、とんかつ用など アウトパック
厚切りスライス 3mm〜8mm 焼肉用、生姜焼用など アウトパック
スライス、薄切り 1mm〜2mm すき焼き用、しゃぶしゃぶ用など アウトパック
切落し 1mm〜2mm 煮物用、しゃぶしゃぶ用など インストア
小間切れ 約2mm 煮物用、肉じゃが用など インストア

切落しや小間切れに関しては納品のスペックのまま、スライサに入れて作業をすることができるので、インストアで十分対応可能な商品化である。
またブロックに関しても、カットの仕方と多少のトリミング知識さえあれば商品化できるのでインストアとした。


3. 切落とし商材の商品化
≪納品形態≫
インストアで対応する切落とし商材の商品化については、「納品形態」が最重要となる。
牛肉に関しては作業性を考えて真空を開けて、トリミングなしで作業にかかれるスペックがよい。作業時間の短縮だけでなく、商品劣化を少しでも軽減することが可能となり鮮度維持にも好都合で
ある。また、1回で使いきれる量を1パックに収める容量の工夫も必要だ。

豚肉に関しては、トリミング済みのスペック納品は難しいので現状の分割スペックでの対応を行う。トリミングに関しては、牛肉ほど難しくないので指導してインストア対応できるようにする。

牛肉切り落とし3-1パターン1
特売、店内スポット用の平ケースでは、アイテムを絞って多アイテム展開せず、大・中・小で売り込みたいサイズを拡大陳列する。
3-2牛切り落としパターン2
売り込みアイテムを定番で展開する場合は、フェイスを3倍に広げて、3倍の売り上げ増を目指す。
3-3.牛切り落としパターン3
多段ケースも、下段は平ケースと思ってフェイスを拡大し販売する。
豚切り落とし3-1パターン1
多段ケースで豚切り落とし売り込む場合は、下段ばかりでなく、2段目3段目も使ってフェイスを広げてコーナー化する。
3-2豚切り落としパターン2
価格訴求用の通常豚をフェイスを、高品質豚肉の切り落としアイテムと、比較させながら、売り込みたいアイテムのフェイスを増やして展開する。
3-3.豚切り落とし
ロース・バラ・カタロースなどの部位別の切り落としを売り込む場合は、通常のスライス化した商品化を無くし、部位別の切り落としアイテムを多フェイス展開し、「切り落とし」をアピールしたフェイスで展開する。

≪インストア商品化部位≫
牛肉部位別インストア加工とセンター加工(アウトパック)の使い分け
部位 インストア加工 センター加工
ヒレ - ステーキ
ロース - ステーキ、スライス
サーロイン - ステーキ、スライス
肩ロース - 焼肉、スライス
ネック 小間切れ -
切落とし -
トウガラシ ブロック -
ブリスケ 切落とし -
前スネ 小間切れ -
外バラ - 焼肉
中バラ 切落とし -
カイノミ - 焼肉
フランク - 焼肉
外モモ 切落とし -
ウチモモ 切落とし -
ランプ - ステーキ、焼肉
マル - ステーキ、焼肉
トモスネ 小間切れ -

豚肉部位別インストア加工とセンター加工(アウトパック)の使い分け
部位 インストア加工 センター加工
ヒレ ブロック -
ロース - スライス、切身
肩ロース ブロック、切落とし -
バラ - スライス、焼肉
切落とし -
モモ ブロック、切落とし -
スネ - 挽肉

≪商品化≫
切落としでの商品化でポイントとなるのは、「小間切れ」と「切落とし」の区別が出来ているかである。
「切落とし」は、単一部位からで、縦横整然と並んでいることがポイントとなる。
「切落とし」でも「しゃぶしゃぶ用」で訴求する場合はトレーの色を木目に変更したりするだけでも売場での映え方が変わる。
また銘柄を販促シールで訴求することで、より切落としが魅力的な商品へと変化する。

4. 加工品売場の絞り込み
加工品(ハム・ソーセージ)コーナーのアイテムの見直しも精肉同様に行なう必要がある。
店舗の大きさや形態によってアイテム数も変わるが、一般的に300坪〜500坪クラスの店舗の大きさのSMの加工品のアイテム数は90アイテム/月である。
売場には90アイテム並んでいない場合が多いが、月間でみたとき、広告商品や入れ替わり商品を含むと100アイテムを越える店舗は多い。
しかし、きちんと管理し始めると加工品で90アイテムを越えるアイテム数に関しては、「月間ABC分析」を行なったときにCランクの商品で、売上にはあまり貢献していないことがわかる。
アイテム数を絞ることによって、1アイテムに対する発注の精度が格段に上がり、日付管理も容易になるので、ロスの発生も減る。
アイテムの絞り方であるが、ABC分析で売上に貢献していないCランクの商品を減らすことが、最も良い手段の一つである。
ただ、育成アイテムなどは、ABC分析を検討しながらの調整が必要になる。
また加工品には「JAS特級」などの規格が明記されているので、「JAS」などにこだわった売場作りも“こだわり”のある売場になる。

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