1. 売上のとれる売場を作る
しばらく続いているデフレの影響もあり、精肉は売上が伸び悩み、利益確保が厳しい情況が続いている。
総務省家計調査の消費支出を見てみると、肉類では2010年(9月速報まで)は一度も前年以上に消費された月は無かったことからも、売場の改革の取り組みを行わなかった精肉コーナーでは売上が伸びていないことが裏づけされる。
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肉 類 計 |
| 2010年 |
金額 |
前年比 |
| 1月 |
6,162 | 96.7% |
| 2月 |
5,796 | 97.1% |
| 3月 |
6,180 | 95.1% |
| 4月 |
6,000 | 96.3% |
| 5月 |
6,321 | 94.3% |
| 6月 |
5,882 | 93.9% |
| 7月 |
6,133 | 97.6% |
| 8月 |
6,235 | 94.9% |
| 9月 |
6,038 | 99.6% |
表1.肉類消費支出金額(資料:総務省家計調査)
各畜種別に見てみると、9月に豚肉100.8%、鶏肉102.5%と前年越えをしている部分を除いて軒並み金額ベースで売上を落としていることが分かる。
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牛肉 |
豚肉 |
鶏肉 |
合挽き肉 |
| 2010年 |
金額 |
前年比 |
金額 |
前年比 |
金額 |
前年比 |
金額 |
前年比 |
| 1月 |
1,579 | 95.6% | 2,002 | 95.2% | 1,068 | 96.0% | 156 | 95.1% |
| 2月 |
1,361 | 97.2% | 1,943 | 95.0% | 1,009 | 98.2% | 160 | 98.8% |
| 3月 |
1,517 | 93.6% | 2,009 | 93.6% | 1,041 | 97.7% | 168 | 91.8% |
| 4月 |
1,462 | 96.9% | 1,923 | 95.5% | 1,023 | 99.0% | 165 | 91.7% |
| 5月 |
1,575 | 89.2% | 1,977 | 95.6% | 1,014 | 95.8% | 174 | 93.5% |
| 6月 |
1,349 | 88.1% | 1,872 | 93.4% | 944 | 96.2% | 175 | 96.2% |
| 7月 |
1,504 | 99.3% | 1,909 | 97.2% | 903 | 95.3% | 158 | 89.8% |
| 8月 |
1,606 | 86.4% | 1,953 | 97.7% | 877 | 96.2% | 156 | 94.5% |
| 9月 |
1,442 | 95.3% |
1,973 |
100.8% |
986 |
102.5% |
160 | 94.7% |
表2.畜種別消費支出金額(資料:総務省家計調査)
さらに、数量ベースでは2010年前半は昨年を大きく上回る伸びを見せていたものの、徐々に失速し金額のみならず、数量までも前年よりも売れなくなっていることが伺える。
しかし、鶏肉に関しては、ほぼ前年越えしていることから、販売して数量が伸びているのは単価の安い鶏肉であることがわかる。
|
牛肉 |
豚肉 |
鶏肉 |
合挽き肉 |
| 2010年 |
購入量 |
前年比 |
購入量 |
前年比 |
購入量 |
前年比 |
購入量 |
前年比 |
| 1月 |
557 |
106.7% |
1,539 |
102.2% |
1,181 |
105.4% |
151 |
108.6% |
| 2月 |
534 |
107.7% |
1,531 |
101.2% |
1,152 |
109.7% |
160 |
110.3% |
| 3月 |
583 |
104.7% |
1,566 | 95.4% |
1,176 |
102.3% |
160 | 98.2% |
| 4月 |
563 |
101.3% |
1,509 | 99.1% |
1,150 |
107.0% |
157 | 95.7% |
| 5月 |
581 | 95.4% | 1,510 | 98.1% | 1,128 | 97.7% | 163 | 93.1% |
| 6月 |
521 | 95.9% | 1,435 | 95.4% |
1,088 |
100.3% |
172 |
103.0% |
| 7月 |
551 | 97.0% | 1,447 | 97.6% | 1,015 | 97.7% | 146 | 89.0% |
| 8月 |
593 | 91.8% |
1,503 |
101.8% |
992 |
100.8% |
150 | 96.8% |
| 9月 |
554 | 98.1% |
1,528 |
101.9% |
1,115 |
101.5% |
152 | 94.4% |
表3.畜種別消費支出数量(資料:総務省家計調査)
つまり、“鶏肉は安価で買いやすく消費者にも受け入れられたため、鶏肉の消費数量は伸びた。しかし、精肉全体としてみたとき、売上金額の前年を上回るほどの数量が売れたわけではない。”ということである。
このまま、同じ現状が続けば2011年も精肉は売上が確保できない部門というレッテルが貼られてしまうことになる。
現状分析から、鶏肉だけでは精肉は『商い』が難しい、「額」というものが確保できないということがわかった。
売上UPを図るためには、「牛肉と豚肉を販促の中心」に仕掛けていく必要がある。
「鶏肉」は、夏場の猛暑で生産量が落ち、12年度の春まで、数量が十分供給されず、相場高騰ばかりでなく、量の確保も難しいので、鶏肉が売れると踏んでも販促であれば、12年は当初から売上・利益面で苦しい展開になってしまうからだ。
「挽肉」に関しても前年割れしているが、牛肉の売上の10分の1の影響力であるため、まずは、影響力の大きい牛肉と豚肉を売る仕掛けから行なう必要がある。
2. 年始商戦後の対策
成人式、バレンタインの売上基盤はステーキ
1月と2月の大きなイベントは、「成人式(1月10日)」、「バレンタイン(2月14日)」の2回。
このイベントは、1月と2月の売上高に大きく関わってくる。
このため、事前準備を行って売上確保できる環境作りをしておかなければならない。
“ハレの日ならではの売場作り”がポイントとなる。
「成人式、バレンタイン」のステーキは当たり前で、ないがしろにされがちであるが、売上に貢献する大きなイベントであるので、売り方をもう一度見直す必要がある。
香港のSMでステーキが最も売れるのは、年の暮れ、春節ではなく、「バレンタインデー」である。どういうわけか、バレンタインデーにステーキを食べるようになっており、日本からの輸入黒毛和牛ステーキを、香港の皆さんは奮発してこの日に買い求めてくれる。
日本では、成人の日は通常友達と集まって外食をすることが多い。
そのため、成人の日よりも前の『8日、9日』の土日で訴求を強めることが重要。
バレンタインは14日当日だけが売り込みポイントになる。
デフレの影響で売れないから、消極的な売場作りをしていることが最も売れない情況を作り出しているので、大々的に売り込みをかける。
商品は無理に売上に意識した、グレードの高い和牛などの拡販よりも、手軽に食べることが出来る「ホルス・輸入牛肉」を提案する。
部位はロイン系での訴求。売込む部位を絞り単品大量販売することで、分かりやすい売場作りをして売上確保を狙う。「和牛・交雑牛」を販売する場合は、単価は低めでも量を食べることができる、「モモ・肩系」を「サイコロステーキ・ミニステーキ」として提案する。
「ホルス・輸入牛肉」は、牛肉の中でも価格訴求商材として提案できる。
部位はサーロインやロース(キューブロール)などロイン系を提案する。バルク販売することでイベント性も高く買上点数も上がる。
生鮮肉の鮮度や衛生管理を徹底するため、バルク販売でもエコ透明袋や、手板、ラップで包装して衛生面には十分気をつける。
オントレー商品はファミリー対応で、4枚980円で販売。納品単価と粗利予算で設定が変わるが、1枚100〜120gで980円〜1,000円で販売すれば、量目が多くボリューム感がある商品に見える。
100g程度のステーキは厚みがあまりないので、あえて大きなトレーを使用せず、やや小さい目のトレーでボリューム感を出すとよい。
輸入牛肉のロイン系は、ピーク時には年間10万トン近く輸入されたがその多くはアメリカ産「ステーキレデイー」のストリップロインで、週末はステーキさえ平場で展開すれば売り上げ確保が出来た時期が4,5年続いたこともあった。円高でもあり、再度、「ステーキレディー」にチャレンジする良い機会である。
「和牛、交雑牛」のモモ系部位は、年末・年始には比較的あまりがちな部位である。
大量に安く仕入れて大量販売をすることで、ロス率を改善することができる。
また、外食焼肉店の「表示問題」から牛モモ肉をカルビとして販売していた焼肉店が、バラ系へシフトすることを想定するとモモ肉は今後余剰部位となり、安価商材として出回ることが予想されるので、牛モモ肉を売る企画は今後、今までよりも利益確保につながる。
関連販売では牛ステーキと合うワインの紹介も行なう。
ステーキソースも一ランク上級の赤ワインソースやペッパーデミグラスソースなど、一味違った訴求方法がアイキャッチとなる。また、最近人気のワサビやおろしポン酢の販売もする“とさっぱり味”のステーキ提案ができる。
販売アイテム一覧
| 商品名 |
量目 |
売価 |
100g単価 |
| 国産若牛サーロインステーキ用 |
160g |
880円 |
550円/100g |
| 国産若牛赤身モモステーキ用 |
320g |
880円 |
275円/100g |
| 米国産牛サーロインステーキ用 |
400g |
980円 |
245円/100g |
| 米国産牛サーロインステーキ用 |
1枚 |
250円 |
バルク |
| 国産牛豚ハンバーグステーキ用 |
120g |
198円 |
165円/100g |
| 国産豚骨付きロースステーキ用 |
100g |
298円 |
298円/100g |

米国産牛サーロインステーキ(400g980円)
肉の旬セット商品で定番も拡販
すき焼きは高級で食べられないと思われがちなメニューであるが、すき焼き用スライス肉だけでなく、「牛切落とし・小間切れ」ですき焼きをする家庭も多い。
「牛切落とし」関係の売上を伸ばすことで、牛肉の売上にも大きく貢献できる。
牛切落としを伸ばすために、“肉の旬”を意識した野菜入りキット商品を提案する。
すき焼き用の野菜入りセットを980円(2人前)で用意。2人前でもこたつで、カセットコンロにすき焼き鍋を置いて、野菜入りすき焼きセットを入れるだけで簡単にすき焼きが出来上がる。商品化は専用トレーに野菜ほか、しらたきや豆腐、すき焼き割り下(個袋)をセット。別のトレーに「牛肩ロース」をスライスし、盛り付けるだけの簡単な商品化。人参で花やハート型など型抜きするだけで見た目にも可愛い商品になる。
注意が必要なのは野菜。「カット野菜」の鮮度は肉よりも早いので、基本的には当日製造、当日販売で回転させる。無くなってから、新しい商品を製造するスピードで回転させることで、遅いように思われるが適切な回転率になる。
以前キット商品はあまり売れにくかったが、高齢者が増えたことと、20代〜30代で料理が苦手な人が家庭を築くようになったことで、野菜入りキット商品やタレ漬け商品の動きがよくなってきている。今一度、簡便メニューの提案で売上確保を狙うことが出来る時期に来ている。
この「旬のセット」を中心に、すき焼き用として「牛切落とし・牛小間切れ」を拡販する。また、この冬に人気の出ていている「塩すき焼き」「トマトすき焼き」「豚すき」も提案して売上UPを狙う。
「牛切り落とし」は、単一部位を中心に1枚を小間切れよりも大きく商品化。「牛小間切れ」は、複数部位ミックスで、「切り落とし」よりも小さ目の大きさで商品化し、区別を明確にしておく。
販売のタイミングは、平日に豚すき用や輸入牛切落としで提案し、休日にホルスなど国産牛肉切落とし、小間切れですき焼き提案を行なう。
【内容スペック】
豪州産牛肩ロース200g 白菜、えのき、ねぎ、春菊、しらたき(マロニー)、豆腐、すき焼き割り下

簡単すき焼きセット(980円)
レイアウト案
| |
牛すき焼き用580円 |
トレンドすき焼き |
| 上段 |
US牛もも切落としすき焼き用 |
簡単すき焼きセット |
| 規格 |
350g |
580円 |
1P |
980円 |
| 3段目 |
US牛肩切落としすき焼き用 |
国産豚ロース切落としトマトすき用 |
| 規格 |
300g |
580円 |
300g |
580円 |
| 2段目 |
国産若牛肩バラ切落としすき焼き用 |
国産豚バラ切落とし豚すき用 |
| 規格 |
300g |
580円 |
250g |
380円 |
| 最下段 |
国産若牛肩切落としすき焼き用 |
国産若牛肩ロース塩すき用 |
| 規格 |
250g |
580円 |
200g |
580円 |
単品商品で売場作り『豚ロース拡販』
豚ロースは商品化しやすいだけでなく、売上にも貢献している部位である。
豚ロースのメニューは、「トンカツ、生姜焼、しゃぶしゃぶ」の3種類がほとんどであるが、最近ではB級グルメの話題が旬ということもあり、「トンテキ」や「豚丼」の提案も多く行なわれている。
商品化はほとんどの場合、『15mmのトンカツ用』『3mmの生姜焼用』『1mmのしゃぶしゃぶ用』の3種類と、2mmでスライスした通常の豚ローススライスの、合わせて4アイテムでそれぞれSKUを作っている。
輸入豚肉に関しても同様の商品化が行なわれていたが、国産豚肉の価格低下に伴い、輸入豚ロースを100g100円で販売しても売れないので、販売を見合わせている店舗も多い。
『国産豚ロースの商品化』
国産豚ロースは分割する部分は基本的になく、背脂肪は5mmアンダーでトリミングして整形を行なう。リブ側から10cm程度ランプ側の部分と、ランプ側の中央は脂肪が厚くなっているのでしっかりとトリミングを行ない、オニスジを筋引きする。
内側は骨肌を除去し、軟骨が13本目の肋骨部分とランプ側にも付いている場合があるので注意してトリミングを行なう。
リブ側にカブリが付いたスペックで納品されるので、カブリ部分の5cm程度は分割して豚ロースカブリ焼肉用で付加価値提案して販売する。
@ リブ側から10cm程度までの版の広い部分(骨3本目〜4本目まで)を15mm厚で6枚程度は、B級グルメでも話題の「トンテキ用」として商品化する。
ロースの中でも肩ロース側に近いので、味がありステーキなどで塩コショウだけで食べる提案が美味しい。カブリを付けたまま商品化すると1枚180g〜200g程度の重量となり、100g150円程度で販売すると1枚300円程度で販売できる。銘柄豚の場合は100g258円近くで販売するので、1枚500円を超える場合もある。この場合は生姜焼きやスライスで提案して価格を抑える必要がある。カブリ付きの場合は10mm厚で商品化を行ない、1枚150gを目処とする。カブリ側はスジが入っているので包丁でスジきりを3箇所行なう。肩ロース側であるのでロースの中でも味がある部分である。
A次の10cmまでは「トンカツ用」のメニュー提案を行なう。10mm厚で10枚程度商品化する(ロースの半分まで商品化)。リブ側に比べてロースの版が狭くなっているので、1枚90g〜100g程度の商品となる。

B中央からランプ側にかけては「生姜焼用」ではなく、B級グルメ「豚丼」で商品化する。ここからはロースをスライサーに入れての商品化を行なう。スライサーのタンクに入れる方向は包丁で切った断面を当て板側にする。厚みを5mmで設定してトレーのふちに平行に且つ均等にスライスを行なう。商品は1パック2枚(1人前)、8枚(4人前)など枚数で商品化することがポイント。売場でお客様が生姜焼きの枚数を数えているのは、金額ではなく『1人あたり何枚必要か』という部分で購入しているからである。生姜焼きもトンカツ用と同様に、枚数で販売することが今後のポイントとなってくる。

C「スライス・切落とし」はロース生姜焼用を商品化した後に行なう。単なるスライス・切落としではなく、「豚すき用」「トマト豚すき用」など、今話題のトレンドメニューで提案することがポイントである。商品化は、ロースの版が一番狭く切落としやスライスに最適であるからである。スライスはトレーのふちに平行になるようにロースの中央で折り曲げて商品化を行ない、切落としは「ふわっ」と空気を含む感じで盛り付け、ボリューム感を出した商品化を行なう。また半月トレーや丸皿での商品化は定番の「しゃぶしゃぶ用」「冷しゃぶ用」で商品化し、売場の活性化になる。
 
D「カレー・酢豚用角切り」を最後に商品化する。スライサーでは最後までとらずランプ側の2cm手前で終了する。スライサーで最後まで商品化しようとすると、刃に付いてタンクから飛ばされてしまうか、押しつぶされて挽き材用になってしまうかである。挽き材になると100g98円など安価な売価設定となってしまう。スライスを最後2cm手前でやめることで、豚角切りとして1パック商品化することが出来る。豚角切りの価格評価は「豚ロースカレー・酢豚用」と表記することで100g198円でも充分に売ることが出来る。また角切りの形がしっかりとしていれば、「ポークサイコロステーキ用」でも販売することができるので、スライスの一番最後は注意して商品化を行なう。
Fその他メニュー提案型商品として、「えのき豚ロース巻き」「ミルフィーユカツ」「チーズ挟みカツ」「カツレツ」など豚ロースを使ったメニューを強化することで、ロース絞込みの売場作りを1日だけのスポットにすることなく、平日5日間日替りでロース売り込み週間など設けることが可能となる。
『売価設定』
国産豚肉の価格低下に伴い輸入豚肉の販売が難しくなってきている。それぞれの、グレードで価格差を50円/100g程度はつけて販売することでそれぞれの特徴を生かした、価格設定となる。銘柄豚と通常豚の価格差が10円/100g程度であれば、価格競争に巻き込まれる通常豚を淘汰して、銘柄豚に絞った展開をすることが望ましい。
| グレード |
とんかつ・トンテキ |
スライス |
切落とし |
角切り |
ブロック |
| 国産黒豚 |
298円 |
298円 |
298円 |
258円 |
288円 |
| 国産銘柄豚 |
258円 |
258円 |
248円 |
198円 |
248円 |
| 国産通常豚 |
198円 |
198円 |
158円 |
148円 |
158円 |
| 輸入豚 |
128円 |
128円 |
98円 |
88円 |
88円 |
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