| 食肉店「三毛作売り場」でミート惣菜攻略 |
1. 「三毛作」で食肉店の売場を改善する
食肉店の惣菜は、「精肉+惣菜」で、販売している食肉と連動した惣菜アイテムを中心に販売することが多い。
販売しているブランド食肉のイメージアップを惣菜でさらにアップすることが出来る大きなメリットがある。
また、食肉店が製造販売する「手作りコロッケ・メンチカツ」は、「専門店の原料があるだけにさらに美味しい」というのが評価の定番になっている。
食肉店での惣菜は、原料の調達がしやすい点や、精肉でのロスを最小限に抑えられ、精肉原料のイメージアップと、惣菜の差別化に繋がりやすい。
同じく、SMでの精肉原料(ブランド食肉含め)を使った惣菜のアイテムは、食肉・惣菜両方のイメージアップに繋がる。
SMの精肉でも、「ミートデリコーナー」を設けて、精肉部門からのミートデリの提案を強化することも多くなった。これは、食肉店での惣菜と同じく、「肉のプロショップ」としての商品化、プロショップとしての打ち出し方がポイントになる。

2-1.精肉で取り扱いの食肉を使ってのミートデリが、惣菜との差別化につながる

2-2.精肉部が取り扱うミートデリだからこそダイナミックにミートデリを演出できる。
食肉店の惣菜売上をUPするためには、売場の什器や配置がポイントになる。
通常、フライ・揚げ物――――フライヤー
焼き物(ローストビーフ・ローストチキン・ローストポーク)――――ロースター
焼き鳥――――焼台
煮物(シチュー・煮込みハンバーグ・煮豚)――――グリル台
が、食肉店の基本的な惣菜什器になる。
これに、SMで活用している「コンベクションオーブン」や、急速チラーなどがあれば、食肉店もいろいろな惣菜を、タイムリーに製造販売できるが、簡単に売場の什器変更が出来るわけではないし、バックヤードも大きく変更する必要がある場合が多いので、むやみやたらと改装をするわけにもいかない。
そこで、時間帯別の売上に貢献する商品の品揃えを変更して、「三毛作売り場」で売上UPを図る。
実際のオペレーションとしては、3つに分類されたカテゴリーを「時間帯別スペースアロケーション」によって効果的に販売につなげる。
分類は通常惣菜コーナーでは「揚物、寿司、米飯」などのカテゴリーで分けられるが、精肉のプロが行なう食肉店のミート惣菜のカテゴリーとしては、シーン別のカテゴリー分類で挑戦する。
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カテゴリー |
ターゲット |
時間帯別構成比(カテゴリーで100%) |
| 〜13時 |
〜17時 |
17時〜 |
| 一毛作 |
あっさりサラダ感覚商材 |
主婦 |
80% |
20% |
0% |
| 二毛作 |
ガッツリ夕食メイン商材 |
家族 |
0% |
80% |
20% |
| 三毛作 |
ビールに合うおつまみ商材 |
会社員 |
0% |
20% |
80% |
それぞれ表のように時間帯別に品揃えを変えて展開し、売場構成を変更することによって売上を戦略的にUPさせていく。カテゴリーごとにターゲット層が「どのお客様なのか?」を把握して、そのお客様にあった商品を展開することが一番のポイントとなる。
一毛作:あっさりサラダ感覚商材
主婦などヘルシー意識の高い女性をターゲットにして昼食にも食べることができる商品群を展開。
単品商品は少量パックでお手ごろ価格の200円未満の価格帯で品揃えを行なう。
昼食メニューの一つとしての品揃えを行なうため、商品のピークは昼食時間の13時までとなる。
具体的メニューとして『棒々鶏(バンバンジー)』『蒸し鶏ほぐし』『ねぎチャーシュー』

ねぎチャーシュー
二毛作:ガッツリ夕食メイン商材
家族で食べるガッツリ夕食メニューの商材を販売する。夕食メニューのメインとなる商材であるので、夕方のピーク時間の前の17時には一番の売上が確保できるように陳列量を最大にしておく。
具体的メニューとして『お肉屋さんのこだわりとんかつ』『黄金コロッケ』『コロコロカツ』『骨付きモモ焼き』
三毛作:ビールに合うおつまみ商材
夕方17時からのピーク時間に合わせて一番美味しい状態でおつまみ商材を“もう一品”商材として売場で拡販する。ターゲットは近年SM買上金額が上昇している会社帰りのサラリーマン。平日の夕方からは主婦層だけでなく、多くのネクタイを締めたサラリーマンが目立つようになってきた。この潜在需要を開拓して売上をさらに伸ばしていくことが出来る。美味しいものにはこだわりを持った男性も多く、美味しい出来立て商品を食べてもらうことがリピートにつながるポイントである。
具体的メニューとして『お肉屋さんの美味しい焼鳥』『お肉屋さんの牛たたき』『王様のローストビーフ』

ねぎチャーシュー・ローストビーフセット
この三毛作の方法は、効率的に売れる商品の売場を拡大して戦略的に販売を強化する方法である。
元来惣菜コーナーでは、品揃え重視で販売を強化してきているため、まず店舗開店前にすべての商品を品揃えし、なくなった商品を随時補充していく方法をとってきたが、人件費と作業効率を考えると精肉専門店では多くの人件費を投入することは困難である。
売れるものを売れる時間に集中して販売をする方法で、作業効率も大幅にUPして売上も効率よく稼ぐことが出来るようになる。
また、必要な分だけを効率よく製造することで無駄なロスも削減することが出来る。
「三毛作」による人件費削減
常に補充をしていた今までの惣菜の方法では、揚物担当やサラダ担当、焼鳥担当、店だし担当など3人〜4人が同時に作業を行なってきた。
しかし、時間帯で売れるものと売れないものがあることは考えずに品揃え優先で作業をしているため、この方法をとらざるを得なかった。この方法を採用することで、ミート惣菜担当者一人で十分一日の作業をこなすことが可能となる(あくまで精肉専門店のミート惣菜コーナーであることが前提)。
ただ、デメリットとしては、単純に同じ商品だけを作業として揚げ続けたりするわけではないので、臨機応変に売場の変化を察知して売場変更をする技術、売上を予測するレベルまで達したベテランと、単に指示されて動くアルバイトでは売上が大きく変わってしまう可能性があるということも理解しておかなければならない。
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| 2. お肉屋さんこだわりの逸品 |
単にミート惣菜コーナーを設けるだけでは、通常の惣菜コーナーとの差別化はできない。
お肉屋さんならではの“こだわり”の部分を売場で表現する必要がある。
今回は毎日売れるベーシックな定番メニューである『やきとり』と『お肉屋さんのこだわりとんかつ』を徹底分析
『お肉屋さんの美味しいブランド鶏焼鳥』
焼鳥は今までも精肉コーナーや惣菜コーナーでも販売されてきた商品で、マンネリ感がすでに出始めている。
しかし、よく売れる商品であるにも関わらず、ほとんどの店舗でいい加減な作り方、並べ方をして、自ら売れない方向へ向けているのが現状である。
竹串に鶏モモ肉とシャキシャキの葱を通して塩で食べると本当に美味しい。
美味い焼鳥屋は目の前で焼鳥を一本一本手で焼いてくれる。
これぞサービス業の原点である。
よく売れると言われている惣菜の焼鳥コーナーの焼鳥は、焼き上げのタレの付いた冷凍焼鳥ではなく、バックルームで焼いて販売をしている。
本当に美味しい商品であれば、少し高い商品でも購買率は下がらない。
しかし、冷凍商品を単に並べておくだけでは、坪単価は下がる一方である。どちらが効率的に、売上が上がるかは一目瞭然である。
アイテムの量目と価格
商品はブランド鶏、銘柄鶏を使用することで、鶏肉そのものにもこだわりを持っていることをアピールし、安全性や安心できる鶏肉であることを訴求する。
この銘柄鶏を使って売れる焼鳥串はどうやって作るか。
今回はビールのおつまみに最高の焼鳥であるので、1本約40g(部位と原価によって調整)の焼鳥がベスト。ジャンボ焼鳥串なども存在するが、おつまみというよりもメインの料理になってしまうので、小型の焼鳥串を提案する。価格は一本一本手焼きで丁寧に作っていくので、最低でも100円、高くても200円前後で設定し、こだわりの中にもお手ごろお値打ち価格という部分を出して販売する。
100円で売価設定した場合、100本販売すれば10,000円の売上になるので、馬鹿には出来ない。
| 商品名 |
量目 |
売価 |
100g単価 |
| 国産炭火焼鶏モモ串 |
35g |
100円 |
286円/100g |
| 国産炭火焼鶏ムネ串 |
40g |
100円 |
250円/100g |
| 国産炭火焼鶏モモネギ串 |
30g |
100円 |
333円/100g |
| 国産炭火焼鶏ムネネギ串 |
40g |
100円 |
250円/100g |
| 国産炭火焼鶏皮串 |
45g |
100円 |
222円/100g |
| 国産炭火焼鶏つくね串 |
40g |
100円 |
250円/100g |
| 国産炭火焼鶏なんこつ串 |
45g |
100円 |
222円/100g |
| 国産炭火焼鶏砂肝串 |
40g |
100円 |
250円/100g |
| 国産炭火焼鶏肝串 |
40g |
100円 |
250円/100g |
商品化のポイント
焼き方が上手くなると売上も上がってくる。
このときに問題になるのは「タレの味」である。
焼鳥のタレは甘さやしょっぱさ、粘度など様々な角度から研究がなされており、タレメーカーからの仕入れに満足できなければ、独自のタレを調合してオリジナル焼鳥秘伝のタレを作るのもこだわりの一つとなって面白い。
焼き上がりをすぐに提供できれば最高であるが、少し時間がたったものに関しては“照りとつや”が損なわれていく。
商品化したときに一番気をつけなくてはならない点はこの部分で、まず見た目で美味しくなさそうな商品は作らないということである。
焼鳥でポイントとなるのは焼き方で、美味しそうな焦げ目が売上を左右する。
ここはやはり、店頭で夕方のピーク時に焼いている姿を見せながら販売することが、専門店ならでは、であり、こだわりの部分である。業務用の焼鳥器を使用して見た目の楽しさから演出をしていく。さらに香ばしい薫りも漂い購買意欲を掻き立てられる。
鮮度の良い串はそのまま焼いて塩で食べることをオススメする。
肉が冷凍の場合、前日からの仕置きであれば焼く前に料理酒(日本酒)を霧吹きで吹きかけておくと臭みを抑えることができる。
また「塩焼き」の時も料理酒をかけると一味違った旨味が出てくる。
「タレ焼」にする場合は、漬け込みダレに10分ほど漬け込むことで旨味が浸透する。
焼鳥を焼く場合のテクニックであるが、業務用の焼鳥器であれば串が焼けて折れることは無いが、上火式の魚焼き器などを使うと串が燃えて折れてしまうことがある。この場合、串に予めアルミホイルを巻いておくと燃えない。
さらに売るためのテクニック
店頭実演販売で演出しながらの販売に加えて、セルフ販売も同時に開催する。
たくさんのお客様が来店するのでお客様の性格も十人十色。
店員さんがいるから話しかけられるのが嫌だから買わないという人も中にはいるので、同時にばら売りやトレー販売も行なうことがポイント。
必須となるアイテムは主力のモモ串、モモネギマ串、皮串、肝串などは常時セルフ用で品揃えしておく。ばら売りであれば、バンドルセールにして1本100円、4本380円などの設定でお買い得感のある販売方法を実施する。

焼き鳥セット
『お肉屋さんのこだわりとんかつ』

「揚物の王道」の「とんかつ」。
惣菜揚物コーナーといえばとんかつに「コロッケ、天ぷら」があるが、このなかでしっかり売上に貢献するのがとんかつである。
コロッケや天ぷらは単価が低く売上になかなか貢献しないので、効率よく売上を伸ばすには、「とんかつ」を戦略的に販売することがポイントとなる。
しかも、とんかつは誰もが食べたことがあり、他店でも販売している。
したがって、他店よりも品質、味、価格、ボリュームすべてにおいて勝たなくてはならない要素である。
世の中の商品や情報が豊かになっていけばいくほど、この基準は高く高度な要求として跳ね返ってくる。
デフレの今、より他店よりも安くて美味しいものが求められているので、肉屋ならではのこだわった商品でトンカツを販売して売上につなげたい。
アイテムへのこだわりを追求
肉屋ならではのこだわりとして、まずは肉が他店とは違うことをしっかりと訴求する。
こだわりその1 『豚肉は三元豚使用』
精肉では当たり前の豚肉の三元豚であるが、一般の人は知らない。
『当店のとんかつは三元豚です』3種類の品種を掛け合わせた三元交配豚で雑種強勢効果と、繁殖性、産肉性、肉質のバランスをとるために、3種類の純血種を掛け合わせたこだわりの豚肉を使用。繁殖性の優れたランドレース種と大ヨークシャー種を掛け合わせた豚に、肉質の優れたデュロック種(黒豚)を掛け合わせた三元豚。などの謳い文句でこだわりの豚肉を店頭でも訴求する。もちろん黒豚や銘柄豚でも同様に他店とどの部分が違うのかを、打ち出すことが重要である。
こだわりその2 『商品作りにこだわり』
売れる商品化のポイントをPOPで紹介する。たとえば、売れるトンカツの要素6項目
1.1枚1枚当店手作りです
2.パン粉は荒めでサクッと美味
3.豚肉は鮮度抜群の三元豚
4.ボリューム満点の120g
5.柔らかさに挑戦!
6.安さに挑戦!
など、HITには欠かせない要素をしっかりと打ち出してアピールする。
その他にも、二度揚げや生パン粉使用などもこだわりの商品としてアピールできる。
他店に負けないHIT商品販売
こだわりの商品もトンカツだけでなく、メンチカツやヒレカツなども販売して相乗効果を出すことが出来る。単に販売するのでは、惣菜コーナーと同じであるので、『超鮮度!国産三元豚使用』や衣にこだわりをもっていれば『お肉屋さんの黄金衣を使った揚物工房』など、揚物すべてがこだわりを持って製造しているということを売場で紹介することで、トンカツ以外の商品も次回買ってもらえるように提案することも大事である。
お肉屋さんの黄金コロッケ |
| 3. お客様のニーズとウォンツを把握 |
お客様にとって買って帰ってそのまま食べる惣菜商品は「買う気にさせる」魅力的な商品化をすることがポイントとなる。
商品が雑然と並んでいる、ハエがたかっている、ような売場では買いたいと思わない。
商品はきちんと美しく陳列されており、買いたい気分になる商品化を心がけなければならない。
特に、女性は汚いものより美しいものが好きである(当然)。
綺麗な新しい冷蔵ケースを使用していても、商品が綺麗に盛付けられていても雑然と並んでいては売れるものも売れなくなってしまう。
つまり
丁寧な商品化+買いやすさ+美しい陳列+品質=売上
というような、方程式が成り立つ。これに力を貸してくれるのが、販促物でポスターやパネル、ライナーベルトは見た目の美しさや訴求力がUPする。草花を使った装飾は季節感を出してくれるので、こちらも一緒に効果的に利用することがポイントとなる。
お客様が求めているものは何か?を追求することで、売場と商品が決まる。常にお客様の動向と声に耳を傾けている売場は常に売場の最前線で売上を伸ばしているのである。
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