ディスカウント成功法5つのポイント
1.ディスカウントには仕組みが不可欠
そもそもディスカウントスタイル業態で営業してきた企業にとっては、不景気やデフレは追い風となっており、売上も利益も右肩上がりに伸びているところが多い。
しかし、もともとSMとしてやってきた企業がデフレで売れないから、価格競争に走ってしまったため、売上が前年を下回ったという話をよく耳にする。
安い方が売れているように思い、競合店との価格競争で優位差をつけようと、100g10円でも安く販売した、単に見た目の価格優位差だけで売上を作ってきたわけである。
SM業態は常に精肉で粗利率が30%前後残しておかなければ、販管費や人件費が賄えない業態である。
一方、DS業態では粗利20%でも軽くやっていけるシステムが構築されているので、SM業態とは中身が違う。
DSとSMが価格で勝負すれば、同じような価格に設定をすることが出来る。
しかし、中身を見てみるとDSは通常通りの仕事を行なっているが、最終は、SMは、売上は価格競争をしたため激減し、利益も予算に届かない状態になってしまうことが多い。

2.ディスカウント店のあるべき姿
DSは地域の食品スーパーよりも圧倒的に安く販売しているから価値がある。
競合店と「100g10円安いからディスカウントしている」という甘い認識では、本物のディスカウント店とは戦う土俵があまりにも違いすぎる。

【販管費が圧倒的に少ない】
DSを具体的に見てみると、内部的なところでは、販管費を限りなく最小限に抑えている。
広告も打たなければ、サービスカウンターも設置していないのは普通である。
精肉はセンターで一括製造して、店内製造はほぼ0の状態にすることで、人件費とロスが発生しないようにしている。
このため、精肉でも粗利20%で、値入を低く抑えてもやっていけるのである。
自社のセンターパックで納品している店舗は、もちろん精肉作業場もない。
その分、売り場面積を広くして坪効率を上げている。
センターがない企業は、アウトパックでの対応を行なっている。
以前は、アウトパックの商品化もよくなく、アウトパックに変えたがインストアに戻したという企業も多かったが、最近は、商品化も通常のSMレベルにまで改善され、配送段階での温度管理も以前に比べて格段に改善されている。
必要な商品を必要な分だけ、ロス無く発注できるため、インストア作業よりは全体的にコストダウンとなる。
その代わりに、SMで必要な細かな対応には答えることができない。

【マス化による絞込み】
企業によっては、顧客の8割の人に満足してもらうことに特化して、品数を極限まで少なくし、SMの必須アイテムのみで売場を作っているところもある。
お客様からの要望があっても、毎日使うものでなければ、品揃えしない方針で売場作りをしている。
この部分で、SMとDSで大きな差が生まれているのである。
毎日使うものを大量発注し大量販売を行なう。だから安い。
ELDPは毎日が圧倒的に他社よりも安い状態が続かなくては、消費者にはELDPではない。
ELDPなので売価が変わらないのも特徴である。
いつも同じ低価格だから、広告が無くても売れる。このマス商品をいかに多く作るかがDSの特徴である。

●牛肉をマス化
一つのブランドやグレードに特化することがポイント。
黒毛和牛に特化すれば、半頭セットで納品することになる。
半頭セットだからロースや肩ロースも低価格で販売することが可能になる。
A4黒毛和牛サーロインステーキを600円/100g以内で常時販売している企業もある。
この価格はスポットではなく定番価格である。
おそらくデパ地下の半額以下の価格であるが、売上も利益も右肩上がりの企業である。

牛肉の販売用途の絞込み一覧

  ブロック ステーキ 焼肉 すき焼き 切落とし 煮込み
ヒレ          
リブロース          
サーロイン          
肩ロース      
ウデ        
トウガラシ          
ブリスケ        
三角バラ          
前スネ          
外バラ          
ナカバラ        
カイノミ          
ササニク          
外モモ        
ランイチ        
ウチモモ        
シンタマ        
トモスネ          


●豚肉をマス化
SMでは定番になっているカテゴリ陳列はせず、必須の商品群のみ品揃えをする。
豚ロースは「しゃぶしゃぶ、スライス、生姜焼、トンカツ」と用途多彩だが、豚バラは「ブロック、スライス」のみに絞って商品化することで、無駄な作業を削減。
また、ゴミの削減にもつながり、トレー代1枚6円~8円を確実に削減することの出来るノントレー商品で展開することもポイントとなってきている。
昨年、ノントレー(深絞り)自動包装機が登場し注目を集めている。
まだこの機械を導入している企業は少ないが、ノントレーを採用している企業は年々増えてきている。


豚切落とし袋入り


豚モモスライスラップ巻き


豚バラスライスラップ巻き


豚肩ロースブロック深絞り


豚肉の販売用途の絞込み一覧

  ブロック とんかつ 焼肉 スライス 切落とし しゃぶ 挽肉
ヒレ            
ロース        
肩ロース        
ウデ          
バラ          
ウチモモ            
外モモ          
シンタマ            
スネ            

●鶏肉をマス化
鶏肉は基本7部位を中心に主要なモモ切身などを加えた商品に特化する。こちらも、DSではノントレーが主流になり始めている。特に鶏肉は切身を唐揚げ粉や生姜焼のタレをもみ込んだ味付け商材も人気を集めている。
唐揚げや竜田揚げは家でビニール袋に入れて粉をまぶす作業が入るので、予め粉にまぶされている、半製品の方が使いやすいためである。


鶏手羽先袋入り


鶏もも切り身袋入り


鶏ムネ切身カレー香草味袋入り

【総合的な計算の強さ】
当然なことであるが商品の値入計算だけでなく、販管費、損益分岐点などの緻密な計算が必要となってくる。
すべての数字をコントロールできなければ、最後に利益が残らなくなってしまう。
DSのバイヤーとSMのバイヤーの違いはここにあるといっても過言ではない。
提案や販促企画も含めてバイヤー自ら考えシビアに計算している。
業者からの仕入原価はSMでもDSでもほとんど変わらない。にも関わらず、低い粗利予算で、最終的に利益が出ているのである。
また、アイテムの絞込みと価格ラインの設定もバイヤーの力量が問われる部分で、DSのアイテムはSMの半分、価格ラインは同じ商品を比較したとすると、和牛でSMよりも100g300円、国産豚肉で100g50円、国産鶏肉で100g30円程度は下回っているイメージである。

3. ディスカウント5か条
ディスカウントを成功させるための5か条
(1)品質の良い商品が基本
(2)毎日がお買い得
(3)他店よりも圧倒的に安い
(4)超目玉商品を必ず品揃え
(5)販売管理費を劇的に圧縮
ディスカウントをするために、上記5か条がクリアできなければディスカウントは出来ない。

(ア)品質の良い商品が基本
食品を扱うお店として、品質や鮮度が管理されていることが大前提である。
安かろう悪かろうで販売していると、消費者のリピートはあり得ない。
温度管理や商品管理は徹底して、お客様の口に入るまで責任持って販売を行なう。
特にセンター納品やアウトパックで牛肉や豚肉のスライスを仕入れると、インストアよりは鮮度劣化が早くなる。店頭で退色した商品が並んでいれば、買う気が起きない。

(イ)毎日がお買い得
EDLPが基本。いつ来店しても同じ価格で販売され、地域No.1の低価格で販売されていることがディスカウントである。
絞込みはされつつも、必要な商品は最低限そろうことがポイントである。
そのためには、ABC分析などPOSデータの徹底した分析を行なう必要がある。

(ウ)他店よりも圧倒的に安い
競合店よりも100g10円安いだけでは、魅力あるDSと消費者は思ってくれない。
競合店よりも圧倒的に低価格であることが重要。圧倒的に安いにも関わらず、利益が残る仕組み作りがなされているのがDSである。
牛肉・豚肉の場合、半頭セットでの納品をすることで、高級部位を低価格で販売することが可能となる。

(エ)超目玉商品を必ず品揃え
ELDP以外に特売品として破格値のSPOT商品を品揃えしている。
単品大量に仕入れた商品は、薄利でも売上に変えて売り切る。
POPには何故その価格で販売できているのかを記入すると、消費者も安心して購入することが出来る。

(オ)販売管理費を劇的に圧縮
無理無駄は徹底的に排除しローコストオペレーションに特化する。DSは設備投資金額がSMの半分程度に抑えられいるので、SM体質ではDSにはなりえない。


(販売革新2月号より)
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