ロピア、オーケー、あおば、進化した戦争、新時代の幕開け

衝撃の新御三家三番勝負

首都圏で今注目の量販店、ユータカラヤが社名も変更し開発した次世代型フォーマット「ロピア」。
徹底した、最安値創造追究を目指す、ディスカウント店「オーケー」。
「より良い品をより安く」をモットーに地域一番店を目指す「食品館あおば」の精肉部門は、新時代の幕開けといっても過言ではない熾烈な売場作りを展開している。
3店舗に共通して言えることは、ディスカウントの業態でありながら、3等級以上の、高品質の黒毛和牛、高品質の国産豚肉、なども多く品ぞろえし、高品質商品を安く提供し、ベーシックな商品を普通の食品SM出しえない価格で、トコトン安値で販売している。
特に注目するポイントは、日常使う食肉の「牛小間切れ・豚小間切れ」や「豚ローススライス・鶏モモ肉」などの「ケ型商品」、ベーシックな精肉売れ筋アイテムを、原価に近い価格訴求で販売し、底値の価格を競っている点にある。
この、底値の価格をお互いが競い合うことで、さらに、価格創造に拍車がかかっている。
また、単価ダウンを、大型化パックにすることで、1品単価を落とさない商品作りで、売上を作り、その大型パックに安さとお買い得感を与えることで売り切っている点にある。
日本の少子高齢化や世帯人数の減少で、量目を減らした商品化が増える中、全国でも世帯人数が極めて少ない地域で世の中の流れとは逆行した販売方法で売上を伸ばしている店舗には並外れたパワーを感じることが出来る。

  1. 精肉売場の作り方

    ●ロピア



    「ロピア」の入口を入って最初は、集客の目玉となる、季節感のある青果コーナー、次に売上構成比の伸びている惣菜、鮮魚。そして、家計調査でも魚と肉の消費金額が逆転したことを反映しての並びか、精肉が3番目の並びに配置されている。
    「ステーキ」や焼肉の売場は低多段で作業場と窓越しに見えるようになっているので、オーダーカットなど随時行えるようになっている。
    豚肉から挽肉に続く壁面は多段ケースで十分に商品を陳列し、大量に押し寄せてくる消費者に対応している。
    平台は、冷凍商材やタレ漬け商材、大型パック商材などを中心に量販している。全体的にも競合他社よりもパックは大型パックが多い。
    販促物にこだわっているのもロピアの特徴。独特の筆文字で「うまい やすい たのしい ロピアのお肉屋さん」などプライスPOP以外にも、ちょっとしたコメントのPOPなどが随所に掲示してあり楽しませてくれる。


    オーケーストア



    オーケーストアは従来の量販店の並びで、生鮮食品は「野菜→魚→肉→惣菜」の順に配置されている。
    畜種別の並び方も牛肉からスタートし「豚肉→鶏肉→挽肉→冷凍→加工肉」が配置され、従来通り消費者には馴染みのある売場作りがなされている。
    オーケーストアの豚肉はグレードごとに売場作りがされていることがポイント。
    「琉球長寿豚、国産豚、輸入豚(アメリカ産)」で「スライス切落しコーナー」は分けられており、ブランド別での販売を意識した売場作りとなっている。
    オーケーストアが注目されるようになったノントレーは現在も販売は続き、特に日常商品である、「牛小間切れ・豚スライス、鶏、挽肉」などすべてのカテゴリでノントレー商材を展開している。
    量目は大型パックも販売しながら、中型パックも比較的多く、幅広く買い周りが出来るようになっている。
    販促物は基本的には設置しないのがオーケーストア。あまり販促物が付いていないので、出来るだけ正確で正直な商品情報を伝える「オネスト・カード」の効果が発揮されている。


    あおば



    あおばの生鮮食品の並びは、野菜の次に「精肉、魚、惣菜」と続く。
    量販店では珍しく平台を中心とした販売がポイント。
    精肉売場の「生肉」が平台のみで展開されているので、一見すべて特売のように勘違いしてしまうことを狙っているのかもしれない。
    平台は奥側に棚を作り、アイテムを多く置けるように工夫しているが、狭いスペースで色んな商品を置いているので、雑然と並んでいるように感じる。競合他社に比べると大型パックの構成比は低く、中型パックの構成比が高く、小パックの品ぞろえはあまりない。
    販促物はプライスPOP以外に、ブランド豚の紅豚のミニのぼりやのぼり、パネルなど定番のものを設置している。

  2. 商品の売価
    それぞれに商品化に特徴がある。また、価格帯は似ているものの、差別化を図るための工夫がみられる。
    ●ロピア

    商品名 強調表示 量目   売価
    北海道産国産牛サーロインステーキ 4等級 約750g 100g 498
    山形県産黒毛和牛みなもと和牛サーロインステーキ 5等級 約700g 100g 698
    山形県産黒毛和牛みなもと和牛リブロースステーキ 5等級 約200g 100g 598
    北海道産みなもと牛リブロースステーキ 4等級 約300g 100g 398
    国産牛切落し(バラ、もも)    約300g 100g 298
    国産牛切落し 大売り価格    100g 198
    アメリカ産牛肩ロースステーキ(ザブトン) 大売り価格    100g 198
    アメリカ産牛肩ロースステーキ 大売り価格    100g 128
    アメリカ産牛肩ロースカルビ焼肉用 夏得祭 500g    980
    オーストラリア産鳴尾牛モモ焼肉用 号外特売品 500g    780
    オーストラリア産牛プルコギ味付 月間特売    100g 100
    国産豚切落し かた、もも、ばら 今がお買い得 約700g 100g 58
    千葉産さわやかポーク 国産豚ローススライス     100g 99
    国産豚ロース切身 大売り価格 約400g 100g 99
    国産豚肩ロースしゃぶしゃぶ 大売り価格 400g    498
    国産豚モモしゃぶしゃぶ用 大売り価格    100g 88
    国産豚バラしゃぶしゃぶ用(解凍) メガパック 約650g 100g 98
    カナダ産豚ロース切身   約500g 100g 88
    カナダ産豚ロース生姜焼用(解凍) 大売り価格    100g 78
    国産若鶏もも肉 号外特売品 3枚2枚 100g 68
    国産若鶏ムネ肉 号外特売品 3枚2枚 100g 28
    国産若鶏ささみ 号外特売品 約500g 100g 39
    国産若鶏手羽先 青森県、岩手県産   約900g 100g 58


    ロピアの牛肉は黒毛和牛の「みなもと和牛、みなもと牛、国産牛、アメリカ産牛、オーストラリア産牛」と幅広く品ぞろえしている。和牛に関しては5等級や4等級など表示することで差別化を図っている。
    100g単価が安いこともあり、超厚切りステーキや200g×2枚入りなども多く販売している。
    大容量パックはシステムトレーなどで販売し、魅せる商品については、黒トレーや変則トレーで差別化を図っている。
    関東の量販店では珍しく、生の牛内臓関係の品ぞろえが豊富でリピートする消費者も多い。競合店にはない商品群を品揃えしているため、買い物が楽しめる。ちょっとした、一工夫が消費者の心をとらえている。
    ステーキや焼肉など店内加工している商品も一部あるが、国産豚ローススライスなど定番商品はプロセスセンターからのアウトパックで作業を効率化している。


    ●オーケーストア

    商品名 強調表示 量目   売価
    和牛 黒毛 A4 サーロインステーキカット   約350g 100g 439
    米国産牛(チョイス)リブアイロールステーキカット   約500g 100g 250
    和牛 黒毛 A4 肩ロースうすぎり   約350g 100g 366
    和牛 黒毛 A4 切落し(もも・肩・バラ)     100g 241
    豪州産牛 肩ロースうすぎり 短期穀物肥育   100g 135
    沖縄産 琉球長寿豚 ロースうすぎり     100g 198
    沖縄産 琉球長寿豚 肩うすぎり   約300g 100g 135
    沖縄産 琉球長寿豚 ロースステーキカット     100g 198
    千葉産 国産豚 ロースうすぎり 大     100g 102
    国産豚 肩ロースうすぎり     100g 102
    千葉産 国産豚 バラうすぎり 大   約400g 100g 101
    国産豚 小間切れ 特大   約700g 100g 72
    国産豚 ロース厚切り   約600g 100g 102
    アメリカ産 輸入豚ロースうすぎり     100g 93
    アメリカ産 輸入豚バラうすぎり     100g 93
    アメリカ産 輸入豚肩ロースうすぎり     100g 93
    宮崎産 霧島鶏 もも肉   1枚2枚 100g 145
    宮崎産 霧島鶏 ムネ肉   1枚2枚 100g 82
    国産若鶏 もも肉   1枚2枚3枚 100g 69
    国産若鶏 ムネ肉   1枚2枚3枚 100g 37
    国産若鶏 手羽先     100g 58


    黒毛和牛が格安で販売されているだけでなく、グレードをしっかりと打ち出している。A4に絞って販売することで仕入れから販売までのシステムが出来ており、利益を残しつつ安く品のよい商品を提供している。A4黒毛和牛の価格は競合よりも安く品ぞろえも豊富。
    A4サーロインステーキ100g419円(税別)で販売されていたが、これは、2週間前に、芝浦市場で1500円余りの価格で競り落とされた牛肉であった。A4サーロインをこの価格で販売している企業は日本には無いであろう。想像を絶する「安さ」といえる。
    (芝浦市場で筆者が主催する東日本産直ビーフ研究会、の共励会があり、その中から2頭のA4がオーケー用に購入され、その枝肉が視察日に販売されていた)
    トレーなどはシステムトレーに統一化することで、無駄な経費を抑えている。商品には細かく商品説明がJANコードシールに記入されている。商品特長や食べ方に加えて、生産者の名前も書いていることで競合他社との差別化を図っている。
    また、ノントレーに最もこだわっているのも特徴。ビニール袋販売を行うことで消費者のニーズをとらえている。
    商品は大型パック~中型パックをメインに品揃えしているが、小パックの品ぞろえも豊富なため、買いやすい売場作りとなっている。


    ●あおば

    商品名 強調表示 量目   売価
    国内産黒毛和牛サーロインステーキ(福島産) 4等級 約400g 100g 499
    国内産黒毛和牛肩ロースステーキ(茨城産) 4等級 約200g 100g 459
    国内産黒毛和牛肩ロース切落し(茨城産) 4等級 約350g 100g 499
    国内産黒毛和牛バラ肉すき焼きしゃぶしゃぶ用 超特価   100g 333
    国内産黒毛和牛切落し 超特価タイムサービス 1kg   1680
    国内産黒毛和牛切落し   400g   980
    国内産牛切落し 広告の品   100g 89
    アメリカ産牛肩ロースステーキ     100g 138
    アメリカ産牛肩切落し(国産牛脂入り) 日曜朝市 1kg   699
    国内産若鶏もも肉 広告の品   100g 69
    国内産若鶏ムネ肉 大特価   100g 38
    国内産若鶏手羽先 タイムサービス 1kg   499
    国内産若鶏ササミ肉 お買い得品   100g 55
    鹿児島県産黒豚切落し 本日の特売品 500g   599
    沖縄産紅豚切落し 大特価 400g   598
    筑波あじわいポーク 国内産上豚切落し     100g 98
    国内産上豚ローススライス メルマガ配信の品   100g 99
    国内産上豚バラ肉スライス 大特価   100g 99
    アメリカ産・カナダ産豚肩ロース切落し 大特価   100g 98


    「あおば」は、様々な商品を取り扱うことで、価格メリットを出している。
    和牛4等級などのグレードも打ち出しながら価格訴求しているが、商品化の面でやや劣る。
    競合のロピアはトレーなども工夫していることに対して、あおばはシステムトレーで経費節減での販売。プライスPOPなどもシンプルであるが、大特価や本日の特売、お買い得、タイムサービス、広告の品などほとんどのPOPが特売を示すものでわかりにくい。
    やはり、美しく、美味しく、食肉は盛り付けることで消費者の購入が進むということを実践しているのがロピアが、頭一つ精肉では抜き出ている要因の一つである。


  3. 競合店との差別化をいかにつけるかがポイント
    いずれの店舗も中型~大型パックをメインに品ぞろえしており、パック単価は思っている以上に高いがよく売れている。
    また、和牛はA4以上の品ぞろえ、豚肉も銘柄豚肉を売場で打ち出し販売しているところも共通している。
    商品やトレーなどの効率化を図ることで経費管理を行っていることも、売場商品をみるとわかる。この部分では、今後の量販店の経費意識を変えていく必要があることが伺える。商品は同じ牛豚鶏を使っているわけであるが、ロピアは品ぞろえ、オーケーはSKU、あおばは商品を絞り込み中型パックを多く販売することでそれぞれの特徴を生かした売場となっている。
    それぞれの独自性が売場の活性化と売上につながっているといっても過言ではない。
 
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