ラクトパミン

英語:Ractopamine豚や牛などの飼料添加物として用いられる化学物質。
ラクトパミンには興奮剤・成長促進剤としての作用があり、飼料添加物として用いることで、肉の赤身が増えると
いう。しかし、人体に対しては有害な影響を及ぼすことがある。2011年3月30日付けの記事で、上海でラクトパミンを摂取した豚の肉を食べた300人あまりが中毒を起こす事例がおきたことを伝えている。
中国および台湾ではラクトパミンの摂取による健康被害が問題となっており、ラクトパミンを含有する米国の食肉
などを禁止または制限している。ちなみに、日本ではラクトパミン含有量が一定基準を上回る場合に輸入を制限する。
牛や豚などの筋肉の成長を促進する動物用医薬品。家畜の体重増、赤身肉割合の向上、飼料の節減などを目的とし
て、飼料に添加して使用される。米国・カナダ・メキシコ・オーストラリアなどでは広く使用されているが、人体に影響があるとしてEU・中国・台湾などでは使用を禁止し、輸入肉についても厳しく規制している。日本では、国内での使用を認めていないが、輸入肉については残留基準値を設定して対応している。

塩酸ラクトパミンって何? 健康への影響 日本の基準 世界で起きてる事 ラクトパミン牛肉
豚の仕上げ期に3-4週間(5-10ppm)飼料に添加する動物薬で、飼料の中の栄養成分を有効に利用し、生産性を改善させる。世界の主要な養豚生産国では豚の飼料節減を可能にする畜産資材として高く評価されている。1頭あたり、飼料12Kg節約、窒素排泄20%減少、糞量12Kg減少することができる。
日本では当初、厚生労働省が食品衛生委員会に諮問し残留安全性評価を行ったが、米国FDAの残留基準は妥当であると結論している。その後、食品安全委員会―厚生労働省が再度科学的評価を行い、残留基準値を設定しているが、
これはCODEXで検討された残留基準値とも一致している。一方、CODEXでの審議は上部委員会であるCACにおいて、中国より反対意見があり最終決定は来年まで持ち越されている。
ヒトがラクトパミンを使用して育てた豚の肉を食べて何らかの異常を起こすには、一日に豚の肝臓を14Kg、豚肉であれば100Kg以上食べる必要がある。今回、中国等で問題になっているクレンブテロール(中毒事故が起きたことがあり、化学構造がラクトパミンと似ている)は通常の豚肉摂取量で中毒が起こる。

EU、中国、台湾では使用が禁止されている
EUでは 1980年代後半〜1990年代初頭、喘息の薬だったクレンブテロールを違法に豚の餌に混ぜて使ったことで食
中毒が発生した。同様の違反が繰り返され、クレンブテロールの属するβ作動性物質はすべて包括禁止となっている。
中国では 2002年、β作動性物質、性ホルモン等について、家畜の生産資材としての製造・販売・不法使用が禁止さ
れた。2007年のメラミン事件により中国製品が米国からボイコットされたことに対応し、塩酸ラクトパミンが使われ
ている米国産豚肉の輸入を大幅に制限した。しかし、中国では現在でもクレンブテロールやラクトパミンのコピー商
品が違法に作られ、広範に使われている。
台湾では 2007年、塩酸ラクトパミンの残留基準値設定の動きがあったが、選挙に絡んで反対運動が起こり作業は中
断しており、米国などの豚肉は輸入禁止となっている。

ロシア ラクトパミン問題で米国からの肉の輸入を禁止
ロシアは2013年2月11日から、米国からの肉及び肉製品の輸入を事実上完全に禁止する。ロシア農業監督庁が伝えたところでは、飼育のさい成長促進剤ラクトパミンが使われた豚や牛の冷凍肉、七面鳥肉、そうしたものを使った肉製品などの輸入制限が、11日から効力を発する。なおすでにラクトパミン問題により、米国からの生肉の輸入制限措置は2月4日から効力を発している。
なお鶏肉に関しては、輸入禁止措置は導入されていない。
米国以外でも、ラクトパミンは、カナダやメキシコ、ブラジルで積極的に使用されているが、これらの国々からの肉類の輸入は続いている。これは、これらの国々が、ロシア側の要求を受け入れる事に合意したため。ロシアは各国の業者に対し、輸出品にラクトパミンが含まれていないことを証明する文書を添付するよう求めた。しかし米国だけは、ロシア農業監督庁の再三の求めに応じず、証明書を準備しなかった。

ロシア、米国産牛豚肉の禁輸か
2012年8月12日米国食肉輸出連合会は、9日からロシアに米国産豚肉、牛肉の輸出を禁止する可能性があることを明らかにした。米国食肉輸出連合会はこの措置について、ロシアがラクトパミンの混入しない飼料で育てた牛豚の食肉供給を求めたことに関して出されたものと説明している。ラクトパミンは食肉用の動物の筋肉を肥大させるために使われているが、ロシアでは消費者の健康に否定的影響を及ぼす恐れがあるとして、その使用が禁止されている。同時に米大統領府はロシア政府との間にこの問題の調整を図るため交渉を行なう構えを明らかにしている。交渉開始は来週にも始まる見込み。ロシアは米国産の牛豚肉の輸入量では世界第6位を占めている。

米国産豚肉、ラクトパミンの残留検査を求める(中国)
中国政府は2013年2月18日、米国産豚肉の規制強化を打ち出した。3月1日以降に輸入される米国産豚肉は、認定された検査機関が発行するラクトパミンの残留検査証明書の提出が求められることになり、この検査で、ラクトパミン未検出が輸入条件となる。
ロシア政府も同様の対応を要求しているが、米国政府はラクトパミンの安全性は科学的に証明されているとして、双方の意見が対立している。

吉野家、米牛肉問題で牛丼の販売停止
台湾吉野家は、牛肉の調達で十分な量を確保するのが困難だとして、牛丼など牛肉を使ったメニューの販売を停止。
吉野家、米牛肉問題で牛丼の販売停止[食品]
台湾吉野家は2012年3月8日、牛肉の調達で十分な量を確保するのが困難だとして、牛丼など牛肉を使ったメニューの販売を停止した。 飼料添加物ラクトパミンを含んだ米国産牛肉への不信感が高まったことを受けた措置。
米国産牛肉の輸入解禁問題を受け、供給量不足を理由に関連商品の販売を全面的に停止したのは同社が初めて。
台湾吉野家がNNAに対して明らかにしたところによると、同社が使用する牛肉は全て米国産。
条件付き輸入解禁で不信感が高まる中、今月5日から輸入業者に対して検査を実施、 安全で十分な量の牛肉を仕入れることは難しいと判断した。 豪州やニュージーランド産への切り替えも検討したが、すでに仕入れが困難な状況となっている。 これを受け、域内54店舗で牛肉を使った全てのメニューの販売を8日午後から停止することを決めた。
販売再開のめどはたっていない。今後は、豚肉や鶏肉、野菜などを使ったメニューを強化する方針。
新たな商品の開発も進めている。
政府がラクトパミン入り牛肉の輸入を条件付きで解禁する方針を固め、 米国産牛肉の安全性への不安が高まってからは客足が2割ほど減っている。 実際の損失額の見通しについては「試算中」(管理部門幹部)としている。

  1. 塩酸ラクトパミンとは
    豚の仕上げ期に3-4週間(5-10ppm)飼料に添加する動物薬で、飼料の中の栄養成分を有効に利用し、生産性を改善
    させる。世界の主要な養豚生産国では豚の飼料節減を可能にする畜産資材として高く評価されている。1頭あたり、飼料12Kg節約、窒素排泄20%減少、糞量12Kg減少することができる
  2. 塩酸ラクトパミンの安全性
    日本では当初、厚生労働省が食品衛生委員会に諮問し残留安全性評価を行ったが、米国FDAの残留基準は妥当であると結論している。その後、食品安全委員会―厚生労働省が再度科学的評価を行い、残留基準値を設定しているが、これはCODEXで検討された残留基準値とも一致している。一方、CODEXでの審議は上部委員会であるCACにおいて、中国より反対意見があり最終決定は来年まで持ち越されている。ヒトがラクトパミンを使用して育てた豚の肉を食べて何らかの異常を起こすには、一日に豚の肝臓を14Kg、豚肉であれば100Kg以上食べる必要がある。今回、中国等で問題になっているクレンブテロール(中毒事故が起きたことがあり、化学構造がラクトパミンと似ている)は通常の豚肉摂取量で中毒が起こる。
  3. 経緯
    1999年 米国で承認された後、メキシコ、オーストラリア、カナダなどEUと中国を除く主要養豚国で承認され
    て広く利用されており、日本国内でも利用したいと考えて2006年から、国内で効果試験、残留性試験を実施、2008年1月に農林水産省に資料が提出された。
    2008年6月、ヨーロッパや中国等で事故を起こしたクレンブテロールと類似するとの理由で、塩酸ラクトパミンを使った豚肉の輸入を阻止しようとする動きがあり、農林水産省の審議がストップしたままである。
    2008年8月、農林水産省と協議した結果、以下の点が指摘された。
    ・新しい物質には消費者が抵抗感を持つのが普通なので、まず関係者の理解を進める。
    ・日本の豚肉の差別化の方向の中で飼料添加物のニーズは低いのではないか。
    ・政治的に不安定な時期でもあり、輸入豚肉にまで問題が波及することも懸念される。
    2008年10月、養豚生産者、獣医師、流通、学識経験者等を集めラクトパミン研究会を立ち上げ、客観的に日本での必要性について検討した。
  4. 懸念が起こった背景
    EU、中国、台湾では使用が禁止されている。
    EUでは
    1980年代後半〜1990年代初頭、喘息の薬だったクレンブテロールを違法に豚の餌に混ぜて使ったことで食中毒が発生した。同様の違反が繰り返され、クレンブテロールの属するβ作動性物質はすべて包括禁止となっている。
    中国では
    2002年、β作動性物質、性ホルモン等について、家畜の生産資材としての製造・販売・不法使用が禁止された。2007年のメラミン事件により中国製品が米国からボイコットされたことに対応し、塩酸ラクトパミンが使われている米国産豚肉の輸入を大幅に制限した。しかし、中国では現在でもクレンブテロールやラクトパミンのコピー商品が違法に作られ、広範に使われている。
    台湾では
    2007年、塩酸ラクトパミンの残留基準値設定の動きがあったが、選挙に絡んで反対運動が起こり作業は中断しており、米国などの豚肉は輸入禁止となっている。
  5. クレンブテロールと塩酸ラクトパミン
    両者の構造は類似し、ともにβ作動物質である。しかし、塩酸ラクトパミンは動物での残留性が低く、ヒトや動物に対する作用の仕方や活性の強さが大きく異なる。
  6. まとめ
    ラクトパミン研究会の見解
    ・ラクトパミンの利用は生産者が決めるべきで、使ってみたい養豚業者もいる。
    ・海外で利用され、日本にも残留基準があることを市民に知らせるべきである。
    ・世界的に食糧の生産性改善が必要になっている。
    ・審議に科学的な評価以外の要素が入っているのは問題あり。

日本イーライリリー社からの意見
・日本の考え方をひとつにまとめてほしい(国内品と輸入品の考え方に格差がある)。
・国際競争力を保ち、安全を守りながら生産性を改善するには、ラクトパミンは必要である。
・動物薬や飼料添加物の審議は政治と分離し、科学的な基準で行ってほしい。

質問1:審議ストップに対して農林水産省はどう説明しているのか。
→日本の養豚生産者のコンセンサスがないので、審議ができない。日本の生産者の半分以上から使いたいという要望がないので、不要であるというのが農水の見解。
→ある議員が生産者グループにこの薬の危険性と不使用を働きかけたので、団体のトップはそういったものであれば現状では日本の養豚には不要と回答した。
質問2:塩酸ラクトパミンを使うとどのくらい生産改善するのか。 
→日本で一年間に生産される豚は1600万頭で、体重の約3倍の餌を食べる。塩酸ラクトパミンを使うと、同じ頭数、同じ餌の量で豚肉を多く生産できる。
質問3:この薬はホルモンなのか。肉に影響はないのか。
→体内で作用するがホルモンではない。アドレナリンと同じ種類の物質である。ホルモンはそれを使うとフィードバック(脳から投与したときにホルモン分泌を抑える働き)があるが、塩酸ラクトパミンにはフィードバックは起さない。一方、ラクトパミンを使い続けると、感度が鈍くなる(脱感作が起こる)。
質問4:筋肉増強剤のようなイメージだが、ドーピングのような良くない作用が豚に生じないのか。
→日本では5ppmが使用の限界で、この量では赤身肉は増えない。諸外国ではこれより多い10ppmも認められているが,この場合赤身肉の増加が起こってくる。
反対に実験動物(ラット、マウス)で長く使った場合、スリムになって寿命が延びるという結果であった。

2012.02.15
ラクトパミン食用の米国産豚21万頭以上 病気か死亡
懸案となっている米国産牛肉輸入問題をめぐり、農業委員会防疫・検疫局は繰り返しラクトパミン(ペーリン)の安全性を強調してきた。ところが、アメリカのマスメディアで最近発表されたリポートによると、この9年間、アメリカでは、ラクトパミン添加の飼料を食べた豚が21万頭も病気にかかったり、死亡したりしたことが分かった。
アメリカのマスメディアの指摘によると、食品医薬品局(FDA)が発表した報告書では、2002年から2011年3月まで、ラクトパミン添加の飼料を食用したため病気たに罹ったり、死亡したりした豚の数は21万8000頭に上り、動き回りすぎる、身震いする、歩けないなどの症状が出ていたという。致死率または罹患率がその他の動物用薬品よりずっと高いことも明らかになった。
これに関連して、農業委員会防疫・検疫局の許天來局長は、国内外の実験結果によると、決められた用量のラクトパミンを添加した飼料を食べた豚は、人間が近付くと警戒心を示しやすいといわれる、また、赤み肉部分が著しく増えると同時に体重も増加するため、「少しでも歩くと体を休めがち」になるが、歩けないわけではないと指摘した。
許天來局長はさらに、防疫・検疫局は早ければ今日中にアメリカのFDAに公文書を送り、米国メディアの報道が確かであるかどうかを確認すると述べた上で、ラクトパミンの副作用で豚が急死したり、飼育管理が難しくなったりするようなことはまだないと強調した。
一方、林口長庚病院臨床毒物科の林杰樑主任の指摘によると、米国Purdue大学の実験では、ラクトパミン添加の飼料を食べた豚は、興奮しやすい上に血圧も高くなり、心臓の鼓動も激しくなることが確認されたので、「ラクトパミンを食べた豚は急死する確率が高いとの推論は理屈に合っているという。
林杰樑主任はさらに、Purdue大学は2003年『動物科学雑誌』(Journal of Animal Science)81号に「行動と生理におけるラクトパミンの影響」と題する論文を発表し、1キロあたりの飼料に10ppmのラクトパミンを添加し、4週間連続食べさせると、豚は興奮しやすくなり、その体重を量るのに費やす時間は普通の豚より83%も増えたことを指摘したと述べている。
2012年12月15日
食品の分野でもアメリカとロシアのバトルが繰り広げられています。ロシアはアメリカ産の有毒肉の輸入を暫定的に禁止しました。アメリカの見解では、アメリカによる対ロシア当局者の制裁に対するロシアの政治的な報復だと見ていますし、ロシアはただ単に有毒な添加物が使われている肉の輸入を一時的に禁止すると弁明しています。一時的とはなんぞや?その後はどうするのでしょうか?日本でもアメリカ産の牛肉、豚肉そしてカナダ産の豚肉が多く輸入されています。一応、日本政府はラクトマミンを使用した肉は輸入していないようです、が。さて、本当のところはどうでしょうか。どれほど、きちんと検査が行われているのやら。
 では、ラクトパミンの使用を許可している国とは:
米国、カナダ、メキシコ、ボリビア、ブラジル、パナマ、コロンビア、コスタリカ、ドミニカ、グアテマラ、エクアドル共和国、エルサルバドル、ホンジュラス、ニカラグア共和国、ペルー、ベネズエラ共和国、バルバドス、豪州、ニュージーランド、インドネシア、フィリピン、マレーシア、タイ、韓国、香港、南アフリカです。
 どうやら日本産の牛肉や豚肉には使用されていないようです。やはり、日本産の肉は他国のよりも案外、安全、安心かもしれません。日本産が一番ですね。
 オーストラリア産の牛肉も市場に大量に出回っていますが、オーストラリアでもこの添加物が使用されているので驚いています。オーストラリアは動物愛護国と言っていいほど動物を大事にしており、また、肉牛には草を与えて育てていると、過去に聴いたことがありましたが、実際は、そうではありませんね。
以下のサイトは参考になります。
http://www.fsc.go.jp/fsciis/foodSafetyMaterial/show/syu03560430365
(概要) ロシアはアメリカ産の肉を輸入禁止にしました。アメリカとロシアの肉に対する評価基準が異なっています。ロシアはアメリカ産の肉にラクトパミンが含まれているので輸入を禁止にしたと説明しています。一方、アメリカは、ロシアの輸入禁止措置は、12月6日にアメリカ議会で通過したマニンスキー法(セルゲイ・マニンスキーを死に追いやったロシア当局者のアメリカへの入国を拒否するもの)に対するロシア側の報復であり、WTOのルールに反するものだと反論しています。 12月7日、ロシアの農業管理局は、添加物のラクトパミンが含まれる牛肉と豚肉の輸入を禁止しました。ラクトパミンは、脂肪よりも赤肉を多く増やすために使われる食品添加物です。専門家によると、この添加物は人間の心臓血管システムに悪影響を与えたり、食中毒の原因となるとのことです。世界の160ヶ国(EU、中国、ロシアも含む)がこの添加物の使用を禁止しています。そして世界の24ヶ国(カナダやアメリカを含む)では今でもこの添加物が使用されています。
 2012年7月にローマで開かれた186ヶ国によるWHOの国際食品規格会議ではこの添加物の使用を許可しました。ただ、ロシアは恒久的にアメリカからの牛肉と豚肉の輸入を禁止したというわけではありません。ロシアは、アメリカを含む複数の国に対して、肉の輸出の際にはロシアで使用禁止となっているラクトパミンが肉に使用されていないことを証明する必要があると言っています。ラクトパミンを使用している国々(アメリカ、カナダ、ブラジル、メキシコ、その他)にはこの添加物についての専門知識がありません。ロシアの農業管理局は、輸入禁止対象国に対して、来年1月まで暫定的に輸入を禁止することを決定しました。しかし、なぜ暫定的に輸入禁止するかの具体的な理由は不明です。
ロシアのこうした輸入禁止処置によりアメリカは大きな痛手を被ります。アメリカにとってロシアは第4のアメリカ産肉輸入国であり、年間5億ドルもの輸入量があります。ロシア市場では、アメリカ産の全牛肉の0.6%、全豚肉の1.4%が消費されています。 また、約2000万ドルに値する、少なくともコンテナ200台分のアメリカ産の肉がロシアに向けて丁度出荷されたところでした。アメリカ産の肉がロシア市場から消えることはロシア経済にとっても痛手となります。アメリカはロシアのこのような処置は政治的な意図があると考えています。つまりアメリカ議会がマニンスキー法を制定したことに対するロシアの報復処置であると専門家はみています。この法律により、ハーミテージ投資資金の弁護士、セルゲイ・マニンスキーを死に追いやったロシア当局者に対する入国拒否と金融制裁が行われることになります。
 ロシア当局は、ロシアによるアメリカ産の肉の輸入禁止処置がマニンスキー法の制定に起因するとするアメリカの味方に驚いています。そして輸入禁止処置の理由は、ロシアで使用が禁止されている添加物が肉に使用されているからだと説明しています。
ラクトパミンの許容基準値「10ppb」未満
(台北 7日 中央社)行政院が5日夜、条件付で「ラクトパミン」(肉の赤身を増やすための飼料添加物)」入り米国産牛肉の輸入を解禁すると発表したのを受け、行政院衛生署は6日、3カ月以内にも同添加物の残留基準値を設定し、その上限は2007年に予告した「10ppb」より厳しくなるとの見方を示した。
 衛生署は2007年に練った草案の中で牛の筋肉に含むラクトパミンの残留量について10ppb(10億分の1)とする許容基準を設けていた。しかし、これは1993~1996年の国民の栄養調査に基づき算出した値で資料が古すぎるほか、国民の牛肉の摂取量も当時より増えているという背景がある。
 これらを踏まえて衛生署は、2003~2006年までの栄養調査をもとに、異なる性別・年齢層・心臓病患者の牛肉摂取量などを算出後、肉類のラクトパミン残留基準値を設定する方針。
日本、韓国、カナダ、マレーシア、FAO(食糧農業機関)/WHO(世界保健機関)合同食品添加物専門家会議では、牛の筋肉のラクトパミン残留基準値を10ppbに定めている。 政府の輸入解禁方針に対し、消費者団体などは強く反発、各種抗議活動を計画しているほか、ラクトパミンの使用禁止を法制化すべきだと訴えている。
ラクトパミン含有の豚肉食べ 上海で300人中毒
中国食肉大手・双匯集団が生産した有名ブランドのハムから、中国で使用禁止されている化学添加物「痩肉精」が検出された問題が更に拡大している。広東省従化市動物衛生監督所が行った豚の通例検査で23日、同一ロットの24頭の尿から「痩肉精」の一種であるラクトパミンが検出された。広東省の地方紙「羊城晩報」が報道した。
 その3日前の20日には、河南省の大手精肉製造メーカーの豚肉からも同様も検査結果が出て問題になったばかりであった。また最近では、ラクトパミン混入飼料で飼育され、検疫証明書が付けられた豚の関連製品を食べたことによる中毒事件が、上海市内で相次いで起きている。中毒者は300人以上で、全市18区のうち半数の9地区に被害が広がっている。数年前に中国社会を大きく揺るがしたメラミン混入の粉ミルク事件のように、中国各地で相次いで発見された「痩肉精」含有の豚肉問題が、再び国民の不安を引き起こしている。
 羊城晩報によると、中国では豚肉の脂身を減らすために「痩肉精(赤身肉にするエッセンス)」と呼ばれるものが多く使われているという。これまで塩酸クレンブテロールが使われていたが、毒性があるために使用禁止となった。そこで、同様な作用を持つラクトパミンは、検査を行う地区が少ないことから、塩酸クレンブテロールの代わりに使用されるようになったという。また、サルブタモール、テルブタリン硫酸塩等の薬品も使用されるケースがあるという。
 動物用の薬品である塩酸クレンブテロール、ラクトパミン、サルブタモール、テルブタリン硫酸塩等は、人体に入ると吐き気、目まい、無気力、手が震えるなどの中毒症状が現れる。特に心臓病や高血圧の患者への影響が大きく、長期にわたり摂取すれば染色体の変異をもたらし、悪性腫瘍を誘発することもある。ここ数年間、中国各地でこれらの薬品を含む豚肉関連製品を食用したことによる死亡事故が発生しているという。
 実際、ラクトパミンに限らず、中国の僻地の農家では、豚の肌艶をよくし、一時的に生育効率を高めるために、安眠薬やホルモン剤などを飼料に添加している。それによって、通常では出荷までに1年以上を要する飼育期間が短縮され、3~4カ月で数百キロにまで成長するという。
 報道によると、今月、南京市当局はある屠殺場に対して豚肉の抜き取り検査を行った。保管されていた河南省産の豚について、その尿20検体の全てから陽性を示す結果が出た。さらにその後、南京市の市場に流通した豚肉関連製品について抜き取り検査したところ、24のサンプルのうち5検体が陽性であったという。
 禁止された「痩肉精」混入の豚肉は、どのように市場に流入したのか。
 中国国内メディアの報道によると、河南省孟州市、沁陽市等の養豚農家では、これら問題のある成豚について、一頭あたり2元(約26円)で地元当局が発行する検疫合格証明書を入手し、100元(約1300円)で省境界の検疫所を通過させてもらい、南京市の屠殺場に入荷させる。さらに、10元(約130円)で動物製品検疫合格証明書を入手して、一般市場に送り販売するという流れで行っているという。
「ラクトパミン検出の豚肉、輸入しない方針を堅持」=経済部
「ラクトパミン検出の豚肉、輸入しない方針を堅持」=経済部
経済部は、ラクトパミンが検出された米国産豚肉の輸入をしない方針を堅持するとあらためて表明した。写真は台湾産豚肉を販売する売り場。(中央社)
Publication Date:03/04/2013
経済部は飼育の過程でラクトパミンが含まれる飼料を摂取した豚の肉の輸入について、「牛豚分離政策(ラクトパミンが検出された食肉用動物の肉の輸入制限の緩和は米国産牛肉に対してのみで、豚肉にはこれを適用しない)」に変わりはないことをあらためて表明した。これに関し江宜樺行政院長は2月にも、自身の任期内にラクトパミンが含まれる米国産豚肉の輸入は決してしないという明確な政策的立場を示した。
経済部は、国民の豚肉の消費量が牛肉の7倍であることに加え、内臓も好んで消費されていることから、各方面がラクトパミン含有の豚肉について極めて高い関心と疑惑の念を寄せていると指摘。現時点では、欧州連合(EU)や中国大陸、ロシアなどが依然としてラクトパミン含有の豚肉の輸入を禁止していることから、中華民国(台湾)政府も昨年3月5日、米国に対し、「安全許容量以内、牛豚分離、表示の強制、内臓は除外」との明確な立場を表明した。経済部はまた、米国側も政府の現行の政策と立場を理解していると説明している。

ラクトパミン入り米産牛肉輸入解禁、台北で反対デモ
行政院が5日夜、条件付でラクトパミン(肉の赤身を増やすための飼料添加物)を使用した米国産牛肉の輸入を解禁する方針を明らかにしたことを受け、中華民国養豚協会が8日、台北市内で大規模の反対デモを行った。 政府は、明確な規定のないラクトパミン残留量について一定の基準を設け輸入に踏み切る構えで、現在のところ牛肉のみを対象とする方針だが、養豚業者の間には、一度基準を設定すればラクトパミン使用の豚肉輸入が開放されるのも時間の問題との懸念が出ている。 このため、政府の解禁方針に反対する台湾各地の養豚関係者8000人以上(主催者発表)がきょう午前11過ぎ、台北市内の立法院(国会)に集結し、「解禁反対」、「国民の健康を守ろう」、「陳冲行政院長、退陣しろ」などと訴えた。デモ参加者のほか、一部の立法委員(国会議員)や、複数の民間団体による「反米牛連盟」も姿を現し、声援を送った。
デモ隊は午後には立法院から南に約1.5キロ離れた農業委員会に到着しスローガンを連呼、警察との間で小競り合いも起こったが、デモは無事に終了した。 政府は5日、輸入解禁の政策方針として「安全許容量のみ」、「牛肉のみ」、「標示の義務化」、「内臓は排除」の4原則を確認した。豚肉および、ラクトパミンを除く肉の赤身を増やすための化学物質は対象外とされている。
http://fukushimak.iza.ne.jp/blog/entry/156308/
中華料理で肉(ロウ)といえば、おおむね豚肉をさす。中国人が最も好む肉だろう。しかし、昔は、豚肉は卑しい肉でもあった。たとえば、宋代の詩人、蘇軾の「豚肉の詩」(猪肉詩)。

「黄州のよき猪肉(豚肉)、価銭は糞土のごとし、
貴者はあえて食わず、貧者も煮ることをあたわず、
よわき火、すくなき水、火力たりるとき、それ自らうまし
毎日起きて一碗をもり、飽きて自家君をかまうことなかれ
(黄州好猪肉,価銭如糞土;
富者不肯喫,貧者不解煮
慢著火,少著水,火候足时它自美
毎日起来打一碗、飽得自家君莫管)

黄州の質のよい豚肉は、値段はくそみたいにやすく、身分の貴い人は食べず、貧乏人は料理する腕がない。でも少ない水でじっくりにこんで、火がよーくとおると、うまくなるんだよ。毎日おきると茶碗に一杯、自分でつくって自分で満足しているのだから、あなた、あれこれいわないでね。

■宋時代、豚肉は猫のエサくらいにしからない、下等な肉だった、と「中華料理の文化史」(張競著、ちくま新書)にもある。豚は残飯や人糞などなんでもたべる汚い動物。毛並みだって薄汚れている。いまでも、農村にいけば落とし式便所のしたに豚を飼い、汚物をたべさせる家はたくさんある。しかし、蘇軾は、卑しく汚い醜いこの動物の肉の美味なる本質を見抜き、礼賛した。そう、食材なんて、見栄えがわるくても、新鮮でおいしくて、最終的には衛生的に処理されれば、それでいいのだ。
■ところが、現代人ときたら、虫食いはダメ、形や色のわるいものは受け付けない。その結果、豚肉を美しいピンク色にする「痩肉精」なる化学薬品などまで出回ってしまった。これで育てた豚の肉は、みためは確かに食欲をそそるが、きっと蘇軾は礼賛しないだろう。これは、食べたらヘタすれば20分ー4時間後に身体がふるえ、めまいや吐き気など中毒症を起こす危険性があるからだ。まくらがながくなった。今回は1998年以降、わかっているだけで2000人以上の中毒者をだした豚肉の痩肉精汚染の状況を紹介する。


■狂牛病より、口蹄疫より、鳥インフルエンザより
こわい痩肉精中毒
ピンク色の美しい肉ほどあぶない
五輪選手が食べれば薬物違反で失格だ!


■「痩肉精」といわれても、ピンこない人が多いかもしれない。では塩酸クレンブテロールといえば?スピロペント錠といえば?お医者さんなら知っているだろう、ぜんそく発作の薬、気管支拡張剤だ。「痩肉精」とはこの塩酸クレンブテロールを主成分とした化学薬品。
この薬物は単純にいえば交感神経を興奮させる作用があり、これをエサにまぜられた豚は、興奮するから?脂肪がへり、筋肉に赤みが増す。つまり肉色が鮮やかなピンクになり、肉を商品化したとき見た目がよくなるそうだ。
■薬物だから当然副作用がある。まず手のふるえ、めまい、動悸、不整脈。いまでは治療にもあまりつかわれない。それほど、慎重に取り扱う薬である。その薬をとくに量もさだめず、豚に食わせた結果、その薬が肉や内臓にのこり、それを食べた人間が中毒になるという事件が、1998年ごろから全国的に多発。当局の不完全な統計では2006年までに1700人以上(1人死亡)の被害はでている。最近では2006年9月に上海市で浙江省海塩県産の豚肉を食べた336人が中毒を起こす事件が記憶にあたらしい。
■痩肉精を発明したのは、周勍著「民以何食為天」によれば米国人らしい。80年代初めのこと。で、世界で最初に「痩肉精」中毒事件が出たのは実は中国ではなく、スペインだ。1990年3月、牛肝スープを飲んだ43家庭135人がふるえ、悪寒などの集団中毒症状を訴えた。その後、7月までに125件の同様の集団中毒事件が発生、いずれも牛肝、豚肝を食べたあとだ。
■さらにスペイン、イタリア、フランスで同様の事件があり、欧米では痩肉精の危険性を警告するようになった。ちょうどその頃、中国の一部科学者が、これを中国国内に持ち込み、「豚の赤身率をあげる科学研究成果」として発表、化学飼料として沿海地区の飼料加工工場や養豚家に普及させはじめた。海外でその危険性が問題視されているものを、さも独自の研究成果のように発表し、平気で国内で普及させようとするあたり、中国人とは恐ろしい。
■しかし、90年代後半から、中国沿海地区を中心に痩肉精問題がじわじわ表に出始めた。報道ベースで最初に中国で痩肉精中毒が確認されたのは1998年。広州市で豚肝の生姜炒めを食べた一家六人が、食事後、ふるえ、頭痛などの中毒症状を起こし、医者にいったところ化学物中毒と診断された。家族が豚肝炒めを疑って広州市検疫当局に検査を依頼したところ、結果として、塩酸クレンブテロールが検出された。
■1999年4月、上海のスポーツ選手2人が豚肉を食べたあと、尿から塩酸クレンブテロールが検出され薬物検査で失格になる事件もあった。この例から、たとえ中毒にならなくても、北京五輪のとき五輪選手などが中国の豚肉を食べて、ドーピング検査にひっかかる可能性だってまったくないとは言えないことがわかる。五輪関係者の方には、くれぐれも選手の食事には注意してほしいものだ。
■2000年1月には浙江省杭州市で数十人が紅焼肉をたべて集団中毒を起こした。2001年3月には広東省順徳市杏雲鎮である養豚家が屠殺した豚9頭の肉をたべた村人約630人以上が集団中毒を起こした。同年8月26日の広東省信宜北界で約530人の集団食中毒がおこったときには、この肉を売った養豚家も公安当局に取り調べられる大事件に発展した。
■このとき、痩肉精を含む飼料を押収、その飼料の仕入れもとをたどって四川、浙江、広西などの地下飼料工場が摘発され、「痩肉精」問題が全国的に食品安全問題として意識されるようになった。
■ちなみに、痩肉精問題について最初に危険を注意喚起した地方政府高官は、浙江省書記だった習近平氏だといわれている。2001年1月27日のCCTVの番組で習氏はこういっている。「私の友人のある画家は、酒の肴に豚肝をよくたべるが、しばらくして手が震えて絵筆がもてなくなった。これはどういう原因かと、医師にいくとクレンブテロール中毒だという。のちに豚肉をたべなくなると、症状が改善した。このことから(痩肉精は)明かに危険だ」「われわれは外国から20万元もする機械を購入した。これで判断すれば、痩肉精を使用しているかすぐにわかる。…これは全国で初めて豚屠殺の現代化を進めた例だ…」
習近平氏は最近、上海市党委書記になり、出世街道ばく進中だが、こういう面をみると、やはり有能な人らしい。地方高官には養豚場の株をもっているゆえ、痩肉精使用の被害がでても隠蔽してしまう人もいるのだから。
■しかし、なぜ養豚家は危険とわかっていても「痩肉精」を使うのか。「民以何食…」中、こんな記述がある。
「農業省高官が養豚場を視察にいったとき、毛並みがつややかでまるまると太った豚が目をひいた。普通の豚とはあきらかにちがうので、高官が不思議におもってきくと、養豚場の農民が答えていうには、見目よい豚は痩肉精をエサにくわせている。屠殺して肉にしたとき、色がきれいで、よくうれるので都市部向けに準備しているのだ、普通の豚は農村用だ、と。高官が、痩肉精は人体に害は無いのか、ときくと農民は、どっちにしても都市民は医療費が公費だから、問題ないでしょう、といった…。」
■これは著者・周氏が、農業省高官に随行した食品安全官僚の知人から聴いた逸話として紹介している。当局が痩肉精について本格的に調査しはじめたのは2001年以降だから、これはその前の時期の話しだろう。
■痩肉精を食べさせた肉の方が都市で高く売れる。利益率にして、普通の豚の3倍と、同書は指摘する。それが身体に害があったとしても、どうせ、医療システムの整った都市の人たちが食べるんだからかまわない、という。この口ぶりに、農民の都市民へうらみや憎しみを感じてしまうのは私だけだろうか。
■貧富の差の激しい中国で、農民にとって実は未だに肉類は貴重だ。毎日肉を食べる農民なんて、まだほとんどいないだろう。農民がつくる肉や野菜の一番よい部分、最上の部分は全部都市へいく。だから、家畜が病気で死ぬと、農家の子供たちは喜ぶのだ。死んだ家畜は都市で売れないので、自分たちで食べることができるからだ。それで、食中毒になったりすることもある。(だから、中国の農村で鳥インフルエンザの人への感染が心配されるのだ。死んだ鶏をすてろ、といっても、そんなもったいないこと農民にできるわけがないのだ)
■その一方で、都市の飽食が急激にすすんでいる。それも中途半端にぜいたくに目覚めてきているので、きれいな色、きれいな包装、高い値段のものがよいもの、という大いなる誤解をしたうえの飽食。そんな都市民の贅沢を満足させるために、痩肉精をつかうことなど、農民にとっては、たとえ人体に有害なものだとわかっていたとしても、後ろめたさはないかもしれない。そこに生産者としての誇りとか、モラルとか、そういったものはみじんもないようだ。
■さて、痩肉精中毒が多発するようになると、確かに取り締まりも厳しくなり、食品また被害者が養豚家を訴えるなどの法的措置もおこり、痩肉精を食べた豚を売ることが有毒食品販売罪として実刑の対象になってきたことから、痩肉精使用は全体的には減ってきたようだ。
■2001年、北京で行われた調査では市場の豚肉や豚内臓の18・8%が痩肉精に汚染されていたが、2005年には0・08%までに減少している。さすがに五輪をひかえて、こんなこわい豚肉が市場にでまわっていては大事だから、北京市当局は必死だ。
■しかし、痩肉精使用が減ってきたのは、養豚家ら生産者の意識が高まったわけではなく、当局側が検査検査検査、で厳しく取り締まり、発覚すれば思い罰金、実刑を与え始めた結果だ。
■検査、取り締まりの手をゆるめると、彼らはまた痩肉精を使い出すかもしれない。ちなみに、痩肉精検査は一頭の豚あたり、100元プラス4、5時間の検査時間がかかるとか。もっと手軽な検査法も開発中らしいが、中国農村に豚を買っている家は約一億戸。これらすべてに目を光らせることは、難しい。
■痩肉精など食品安全の問題は、生産者のモラルの問題が大きいが、その背景には教育不足や単なる拝金主義だけでない。都市の発展が農村の搾取の上になりたち、食の消費者である都市と食の生産者である農村の間に、深く暗い敵意がよこたわっている、ということも関係あるのでは。冗談でなく、食品安全の問題は、農村の都市への未必の故意の報復のような気もする。
■私の親は、米一粒でも残せば、「農家の人が一生懸命つくったご飯をムダにするな」と怒ったものだった。日本の家庭は、だいたいそうではないかな?今年2月、日本に帰ったら、実家でつかっていた野菜のパックに生産者の名前と顔写真つきの「私が作りました」シールがはってあって、びっくりしたが、こういうのは、とても日本人的と思う。
■消費者は生産者に感謝するし、生産者は消費者に喜んでもらうことを誇りにする。中国で本当に食品安全を確立するのはそういう消費者と生産者の健全な関係を育てることだろう。その一歩は、農村と都市のいびつな関係を健全なものにすることではないか。
■冒頭の詩は蘇軾、つまり蘇東坡は、詩文で政治を誹謗したという讒言をうけ、投獄後左遷された湖北省黄州で、農民においしい豚肉料理・トンポーロウ(東坡肉)の作り方を教えたときに吟じたといわれる。当事、卑しい肉と言われた豚肉を、こんなにおいしんだよ、と礼賛した蘇軾。それは貧しく搾取とさげすみの対象であった農民への肯定と思いやりでもあったのでは。
見栄えやイメージに惑わされることなく、その本質を賞味し感謝し礼賛する、そういう蘇軾の「猪肉詩」にあるような精神こそ、食の安全の確立に必要なのではないかと思う、というと、ちょっとこじつけっぽいか。

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