「食のクリップボード」2006年6月
2.流通情報

 
第39回日本の小売業調査――利益重視路線強まる、大手企業比較、コンビニ
店舗飽和で成長鈍化

 二〇〇五年度はコンビニエンスストア各社の成長鈍化が顕著になった。成長性を示す全店売上高の伸び率を前回調査と比較すると、最大手のセブン―イレブン・ジャパンが一・八ポイント低下して二・四%。成長性でトップだったファミリーマートも三・三%と、前回から一・三ポイント低下した。サークルKサンクスは全店売上高が一・〇%減と、二年ぶりのマイナス成長。〇五年度末時点の店舗数は〇・五%増の五千百五十四店。加盟店のオーナー不足などで年間の純増数が二十六店にとどまり、既存店売上高の低迷(前年比三・三%減)を補えなかった。コンビニの店舗数が四万店を超えて店舗の飽和感が強まるなか、全体収益の拡大を前提とする成長戦略は限界にさしかかっている。大手各社は「生鮮コンビニ」などの新業態で市場の拡大を目指す一方、既存店では粗利益率の高いファストフード類やメーカーと組んで独自開発商品を増やすなど、利益重視の姿勢を強めている。

 大手四社の経営指標を比較すると、セブン―イレブン・ジャパンの優位は変わらず、成長性を除く四項目で二位以下を大きく引き離した。効率性を示す売上高経常利益率は三七・七%。前回調査より一・四ポイント悪化したものの、他チェーンの二倍以上の高い水準を保っている。
 商品開発や調達力で大手に劣る中堅以下はさらに厳しく、デイリーヤマザキ(千葉県市川市)、スリーエフ、エーエム・ピーエム・ジャパン(東京・港)などの全店売上高は軒並み前年を下回った。限られた市場を巡って、資金力の乏しい中小チェーンのシェアを大手が奪う構図が鮮明になってきた。


【表】2005年度バイイングパワーランキング                        
(順位のカッコ内は昨年掲載ベース順位。百万円、売上比率とカッコ内の前年度比伸び率%、▲は減)

順位 社名 業態 売上高 売上比率
【衣料品】
1(1) 高島屋 435,228(▲0.9) 52.3
2(2) 三越 371,262(▲4.5) 47.6
3(3) イオン 363,365(2.7) 21.0
4(4) ファーストリテイリング 350,838(8.5)
5(7) しまむら 325,838(10.0) 100.0
6(5) イトーヨーカ堂 307,314(▲2.3) 20.9
7(6) 丸井 307,083(2.1) 70.4
8(8) 大丸 271,967(2.3) 57.9
9(9) 伊勢丹 264,422(5.2) 59.5
10(10) そごう 247,631(3.4) 53.7
【食品】
1(1) セブン−イレブン・ジャパン 1,811,596(1.4) 72.5
2(2) ローソン 1,144,084(3.0) 84.1
3(3) イオン 956,806(3.2) 55.3
4(4) ファミリーマート 692,457(3.1) 67.1
5(5) イトーヨーカ堂 669,373(0.9) 45.5
6(6) サークルKサンクス 584,320(―) 65.0
7(7) ダイエー 522,107(▲9.9) 59.5
8(8) ユニー 394,958(0.4) 57.4
9(9) ライフコーポレーション 303,179(3.5) 80.7
10(10) マルエツ 275,888(▲4.4) 91.5
【住関連品】
1(1) ヤマダ電機 1,100,811(17.4)
2(2) ヨドバシカメラ 601,235(3.5) 100.0
3(3) コジマ 497,369(1.5) 100.0
4(−) ビックカメラ 418,323(−) 100.0
5(4) イオン 376,825(2.4) 21.8
6(5) ベスト電器 359,371(▲0.2) 100.0
7(6) カインズ 288,446(11.3)
8(8) コーナン商事 268,167(10.0) 100.0
9(7) イトーヨーカ堂 257,465(2.2) 17.5
10(12) コメリ 193,780(9.2) 100.0
(注)イオンは2006年2月期より商品分類を変更、ヤマダ電機は直営店舗のみの数字、カインズは直営店舗のみの数字

 衣食住の分野別売上高を算出した「バイイングパワー」ランキングでは、衣料品は高島屋、食品はセブン―イレブン・ジャパン、住関連はヤマダ電機がそれぞれ首位になった。衣料品では、しまむらが前年より順位を二つ上げ、専門店の強みを発揮。住関連では家電量販店が上位に並ぶなかで、ホームセンターのカインズ(群馬県高崎市)やコメリがベストテンに入った。

西友仙台泉店、月末に開業、ウォルマートに近い売り場設計
 西友は二〇〇六年十二月期に三店を予定する新規出店のうち、第一弾となる西友仙台泉店(宮城県仙台市)を六月二十八日に開業する。同じ日に、仙台市内に「ザ・フードファクトリーSEIYU」ブランドで営業している食品スーパー十六店のうち七店舗を改装オープンする。仙台泉店は、〇五年九月にダイエーが閉店した店舗の居抜き物件。三井不動産が開発した「仙台泉ショッピングセンター(仮称)」の核テナントとして入居した。売り場面積は約一万七千平方メートルで、西友が全国に持つ三百九十八店の中でも上位に入る大型店。店のテーマとして「べんり・あんしん・やさしい」を掲げる。一階は食品・日用品を、二階は衣料品・生活用品を置く。青果や水産売り場では、地元産の品ぞろえを充実させた。三十五店の専門店も招致した。

 通路間隔を広めにとったうえ、買い得商品を積み上げて大きく価格を提示するじゅう器を並べ、親会社の米ウォルマート・ストアーズが得意とするスーパーセンターに近い設計とした。営業時間は朝九時から深夜零時まで。二十四時間営業も視野に入れる。

 周辺にはイオンやイトーヨーカ堂の総合スーパーがある。同店の開店に合わせ、台原店、北仙台店など七店の食品スーパーも売れ筋商品を拡充するなどして改装。集客力向上を目指す。

コンビニ業界、レジ袋35%減――2010年度使用量、容リ法改正控え計画
 大手小売り各社がレジ袋を減らす取り組みを強化する。コンビニエンスストアの業界団体は二十九日、一店当たりの使用量を二〇一〇年度までに〇〇年度水準から三五%減らすと発表した。スーパーは買い物袋を持参する顧客にポイント加算するなどの方法で有料化せずに削減を目指す。

 レジ袋対策として、一定規模以上の小売店に削減に向けた取り組みを義務づける容器包装リサイクル法改正案が今国会で可決、成立する見通し。各社はこれに対応する。業界別で最も使用量が多いコンビニでは、主要各社が加盟する日本フランチャイズチェーン協会が削減目標を決めた。業界の〇四年度の使用重量(全四万四百六十六店)は約三万三千トン。一店当たり八百十三キログラムで、〇〇年度の九百三十七キロから約一五%減ったが、これを一〇年度までに六百九キログラムまで削減する。

 エーエム・ピーエム・ジャパン(東京・港)はレジ袋削減に協力した顧客に対し、電子マネー「エディ」のポイントを提供することを検討している。年間約一万一千八百トン使用する最大手のセブン―イレブン・ジャパンもこれまでのレジ袋を薄くすることと併せ、顧客優遇策を検討中だ。

 スーパーではイオンが六月一日から三十日まで買い物袋を持参するなどレジ袋を使わない顧客へのポイントを二倍にし、買い物袋や風呂敷などと交換できるようにする。〇五年度に一五%だったレジ袋の辞退率を一〇年度に五〇%まで引き上げたい考え。イトーヨーカ堂は五月末にオリジナル買い物袋を発売する。スーパーが加盟する日本チェーンストア協会は来春までに削減策をまとめる方針。レジ袋の有料化は義務づけが見送られたため、当面各社は無料配布を続ける。また、容器包装使用量を一〇年までに〇〇年比で二五%削減する方針を決めている百貨店業界では、伊勢丹が六月から各売り場での包装方法を統一し、包装紙の削減につなげる。

コンビニ「店内飲食」目玉に――ファミマ、ローソン、集客・収益率向上ねらう
ファミマ、ラーメン・パスタ  ローソン、うどん・そば。

 店内に飲食コーナーを併設した新型のコンビニエンスストアが増えつつある。ファミリーマートはラーメン、パスタなどを飲食できる実験店を開設。ローソンもうどん、そばが飲食できる店舗を増やしている。ファストフード店などとの競合でコンビニの既存店売り上げは低迷しており、各社は「店内飲食」を、収益率向上と集客の目玉に位置付けている。

 ファミリーマートは東京・千代田の直営店(百八十平方メートル)内にカウンター式の客席(八席)を設け、ラーメンなどの試験販売を始めた。厨房(ちゅうぼう)を含めた飲食コーナーの広さは二十平方メートル。ラーメンはしょうゆ、塩など四種類で価格は二百五十―三百五十円。注文を受けてから、麺(めん)をゆで上げ、五分程度で提供する。メニューにはパスタ(三百六十円)、ギョーザ(三個百二十円)もそろえ、オフィス街のビジネスマン層の昼食需要などを取り込む。郊外の幹線道路沿いの店でも実験したうえで多店化を検討する。粗利益率の高いファストフード類を販売することで収益率向上にもつながるとみている。

 ローソンもうどん、そばの飲食コーナー(七席程度)を併設したコンビニを地方の幹線道路沿いなどで展開中。うどん、そばの価格は二百十円。かきあげ(七十四円)などトッピングメニューも設けた。ミニストップも店内に客席を設け、二十品以上の軽食・デザートを提供している。

 飲食事業のノウハウを生かし、コンビニ市場に参入する外食チェーンも登場した。ハンバーガーチェーンのフレッシュネス(東京・港)は七月、ハンバーガーを店内で飲食できるコンビニ「フレッシュネス・ナチュラル・マーケット」の出店を始める。食品や雑貨などの売り場にハンバーガーやケーキの飲食コーナーを併設する形態。東京・渋谷に一号店(二百三十平方メートル)を開くのを皮切りに、三年間で首都圏に百店前後を出店する計画だ。日本フランチャイズチェーン協会によるとコンビニ(主要十一社)の総店舗数は約四万店に達し、「飽和感が強まっている」(業界関係者)。四月の既存店売上高は前年同月比四・九%減で過去最長の二十一カ月連続で前年割れが続いている。

鮮魚・総菜部門、カスミが社内資格制、昇格条件へ検討も
 イオングループの食品スーパー、カスミは店舗従業員を対象に社内技術資格制度を導入した。鮮魚と総菜部門の従業員が年一回、魚のおろし方や野菜かき揚げの調理法などの技術試験を受ける。制度創設で従業員ごとの技術レベルにばらつきをなくす。来春をめどに資格取得を昇格条件に加えることも検討する。

 二〇〇五年九月からパートとアルバイト従業員を対象に資格制度を導入し、二月から正社員も対象に加えた。資格は「鮮魚士」と「総菜士」の二種類があり、それぞれ一級から三級まである。

 まず各部門の責任者である「チーフ」とその補佐役の「サブチーフ」から制度を適用し、来年からそれ以外の現場社員に対象を広げる。一級と二級の資格は毎年の更新制とし、時間経過に伴う技術力の低下を防ぐ。

 テストでは指定された数の食品を制限時間内にどれだけうまく作れるかなどを審査する。例えば鮮魚士三級では十二分以内に四尾のいわしを手開きにしたり、二十分以内にスルメイカの皮をむいて刺し身にするなどの作業を行う。

 パート・アルバイトには合格するたびに時給が上がるインセンティブ(動機づけ)を提供する。社員は今のところ認定証を渡すだけだが、早ければ今夏の賞与額に資格取得の有無を反映させたい考えだ。来年四月にも昇格条件として加えることを検討している。

お得意様には割引拡大――関西スーパー、ライフコーポ
関西スーパー、購入額に応じ翌月安く
ライフコーポ、ポイント導入店を倍増
 食品スーパー業界で購入実績に応じた割引サービスを拡充する動きが広がっている。関西スーパーマーケットは九月をメドに、毎月の購入金額によって翌月の割引率が決まるサービスの対象店舗を拡大。ライフコーポレーションは八月末までにポイントサービスの実施店を現在の二倍強に増やす。イオンやダイエーなど大手スーパーが食品部門を強化していることに対抗する。関西スーパーは落合店(神戸市須磨区)と七月開店予定の舞多聞店(神戸市垂水区)で、電子マネー「Edy(エディ)」を利用した「おさいふカード」を発行する。店内に設置した現金入金機にあらかじめ入金しておけば、支払い時にカードを読み取り機にかざすだけで決済できる。お釣りなどを手渡す必要がないため、レジでの待ち時間短縮にもつながる。割引率は五段階で、月間の購入金額が一万円以上二万円未満だと翌月に〇・五%、五万円以上だと同二・五%となる。食品スーパーで購入金額に応じて現金割引を実施する例は珍しい。「ポイントカードとは異なるため引当金を積む必要がないのも魅力」(北野裕昭常務)という。同社は二〇〇五年七月から他店との競合が厳しかった名谷店(同)で、このサービスを試験導入。割引による利益率低下の懸念もあったが「優良顧客の固定化は、長い目で見れば採算改善につながる」(北野常務)として、まず二店について新規導入を決めた。効果をみながら他店舗にも広げていく。

 ライフコーポは〇六年八月中間期末までにポイントサービス導入店舗を現在の四十店舗から二倍強の八十―百店舗に拡大する見通し。購入金額百円につき一ポイントを付与し、五百ポイントたまったら五百円として使える仕組み。

 同社は生鮮三品の鮮度向上などに取り組んでおり、さらにポイントサービスを拡充し集客力を引き上げる。下期以降も実施店舗を増やす計画。特に他店との競合が激化しているエリアの店舗が対象になるとみられる。

 ほかにオークワが百円あたり一ポイント(一円換算)のポイント制を取り入れているが、生鮮品、酒類といった特定商品や販促催事などに絞って、ポイント還元率を引き上げている。

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