これでいいのか飽食の日本
 食の安全が脅かされている。

 牛丼販売の「なか卯」、「すき家」を展開する「ゼンショー」、牛めしの「松屋フーズ」も販売を休止、牛丼を食べられないことが一種の社会問題と化している。

 敗戦後の日本は食糧事情が悪く、国民はやせ細っていた。それが、経済成長とともに飽食となり今や肥満、糖尿病、高脂血症などが国民病といえるほどだ。

 古くからの和食そのものは健康食といえるが、一九七一年の豚肉、九一年度以降の牛肉の輸入自由化を経て、日本人はいつの間にか輸入肉にどっぷりつかる食生活になってしまっていた。

 一九六○年代初め、日本の海外からの肉輸入量は約四万トン。それが二○○二年度は約六十五倍の二百五十八万トンという。

 しかも、各食品とも国内の自給率は低く、〇二年度の国内消費量に対する輸入量は、牛肉が57%、豚肉が46%、鶏肉が29%。いかに海外に依存していることか。

 さらに、牛肉は輸入量の45%が米国産、鶏は同じく三分の一がタイ産。米国、タイからの輸入が止まると、国民の食卓にもろに跳ね返る。

 食の不安と裏腹に日本人はあまりにも飽食に慣れ切っていないだろうか。

 世界の人口は約六十三億人。しかし、この中には、満足な食事どころか水すら飲めない最貧国が数多くある。

 日本は男性が七八・三歳、女性八五・二歳の世界最長寿の国である。一方、世界最短命はアフリカのシエラレオネで男女平均三四・〇歳。全世界の平均寿命は六五・二歳。六十三億人のうち約八億人は食料が乏しく、栄養不足の状態だという。

 私たちの食生活を顧みて、無駄はないだろうか。子供たちに「食事は残さず食べなさい」と言う親は少なくなったと感じる。

 大皿料理がはやりだが、誰が幾ら食べたか分からないし、食べ残しも多い。コンビニエンスストアや、デパート地下の店舗から廃棄される賞味期限切れ・売れ残りの弁当、総菜。まだ、食べられそうなのに、惜しげもなくごみとして大量に捨てられる。

 農水省の調査によると、宴会場で16%、結婚披露宴で24%の食べ物が廃棄される。 環境省の推計では二〇〇〇年度の一般家庭からの食品廃棄物は約千二百万トン。

 農水省によると、〇二年度の食品産業全体の廃棄食品は約千百三十一万トン。単純に足して二千三百万トンもの食品が残飯として捨てられている。

 食品産業からの廃棄約千百三十一万トンの食品は、世界の食料援助の総量に匹敵するという。日本は世界最大の残飯大国、と警告する専門家もいる。

 長寿食ともいえる日本食の良さを見直すべきだし、食料を大切にする「食」に対する教育が問われる。

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