このまま使える販促企画書 12月
(株)月城流通研究所
月城 聡之
1. 12月の販促ポイント
12月商戦は、12月売上げの折り返しになる19日、20日、21日までと、(店によって違う)

・クリスマス商戦、
・年末準備
・年末商戦
・年始商戦
大きく4つにわけられる。

12月は始めから、年末商戦に向けた商品提案とテリーヌ、生ハム、ピッツァなどの試食をわすれずに行います。また、クリスマス年末年始商戦の綿密な計画、発注確認は第1週までに終わらせます。
多くの店舗で売上げの折り返しになる19日までは売上確保が難しいのでしっかりと利益確保を行います。
販売の中心は日常生活の根幹を支える必需品中心の「牛切り落とし、豚切り落とし」を販売していきます。
豚肉鶏肉で「鍋特集」や「大パックお買い得セール」「お肉よりどりセール」、牛肉では「安心・安全」をテーマに「切落とし肉均一セール」ですき焼き、薄切り焼肉の提案を行います。
22日から24日はクリスマス商戦を短期決戦で売り込む。
クリスマスは「チキン商材」・「ローストチキン」のイメージが強いが、売上を稼ぐには「スペアリブ」・「ステーキ」・「焼肉」・「味付き焼鳥串セット」をメインに売り込むほうが売上げ増につながろます。
特に23・24日は「パーティー」を打ち出し、ステーキは銀色ステーキ皿で洋風のイメージを作り、和牛・交雑牛を中心に、値ごろを「オージー・米国産牛肉」で作り、量を販売すします。
25日から28日は、売上は低迷するので、クリスマスから年末への体制を立て直し在庫の最終確認を行う。
29日から31日が売上げの中心となり、和牛、交雑牛の「すき焼き用」をメインに高級部位を売り込みます。
年末は牛肉仕入原価も国産は高くなっていんますが品質を落とさないように気をつけ、マージンミックスして利益も確保できるように綿密な売場作りと商品作りを計画しておくようにします。
年末はご馳走メニューに目が行きますが実際は日常的な料理を提案して買上単価、点数を落とさないようにしていきます。日ごろから簡単な焼肉、すき焼き、カレー、炒め物、ハンバーグと売場に変化をもたせながら販売します。単品量販で、コーナー化で粗利確保しましょう。
12月は仕入れ量も多くなるので、冷蔵庫の整理整頓、クリンリネスには充分に気をつけ、過剰在庫にならないように毎日在庫チェックし、棚卸し・発注変更はこまめに行います。
2. 12月の週間販促ポイント
第1週
大パックお買い得セール  〜大パックで人気鍋の打ち出し強化〜


12月商戦はクリスマスまでは、売場に「活気」と「販売力」が弱いと売上が低調な成績になりがちであるので「大パックお買い得セール」を人気の鍋と絡めて開催。ラベルに大パックお買い得の印字を入れ、各商品のSKUで大パックのみを低価格で訴求し、売上高向上・客単価UPを狙う。売上と共に食に対する安全性や健康に気をつけながら売場を作っていく。
牛肉コーナーでは「切り落とし牛肉」を中心に「大パックセール」を開催し単価UPを図る。「すき焼き」の訴求を中心に、比較的気温の高い日には「薄切り焼肉」の提案で目先を変えた展開を行います。
国産牛肉では「交雑牛:和牛」を使用し国産牛肉の品質を確保したい。
輸入牛肉では、肥育期間がミドルからロングの比較的肉質のよい商品を提供し、輸入牛肉の商品力強化を図っていく。
豚肉コーナーでの訴求は、「しゃぶしゃぶ」「鍋用切り落とし豚肉」を軸にします。
関西風豚水炊き、キムチ鍋、豚味噌鍋を打ち出し大パックセールを行う。
それぞれ関連販売のポン酢やキムチ鍋スープ、味噌鍋の素を関連販売させ商品力強化を図る。しゃぶしゃぶには「柚子胡椒」でさっぱりと一味違った打ち出しも必要。
鶏肉コーナーでは鍋物訴求での手羽元は1kgパック480円、ホワイトシチューの訴求でムネ肉6枚480円、ささみ600g480円など大パックお買い得セールを開催する。

「肉鍋」アイテムの位置付け
定番 肉鍋 ご馳走 肉鍋 育成 肉鍋
すき焼き 寄せ鍋 しゃぶしゃぶ ポトフ
キムチ鍋 おでん・牛スジ ちゃんこ鍋 豆乳鍋
シチュー 餃子鍋 すき焼き はりはり鍋
よせ鍋 肉団子鍋 鴨鍋 霜降りネギマ鍋
もつ鍋 トン汁
水炊き きりたんぽ鍋
鶏つみれ鍋 煮込み鍋


第2週
切り落とし肉均一セール  〜すき焼き・牛丼・薄切り焼肉強化〜


セット分で入荷している和牛や交雑種牛肉の年末に売れにくい部位はこの時期に「切り落とし肉」で先行販売する。
年末年始を見越した商品化と冷蔵庫の整理整頓、年末に向けた在庫調整を開始する。
販売方法として「切り落とし牛すき焼き」「薄切り焼肉」「牛しゃぶしゃぶ」「牛丼」を打ち出し、均一セールを行う。メニュー提案を行うことで、カテゴリーを確立させ切り落とし肉の商品力を強化させる。
売上が伸び悩むクリスマス直前は低価格訴求で売上を確保していく。
平日の売込みでは「牛肉100g100円均一セール」で価格訴求をする。
オースト産牛切り落とし肉で「すき焼き、しゃぶしゃぶ」を中心に「サイコロステーキ、焼肉、カレー、ハッシュドビーフ用」などSKUを増やして訴求し集合陳列する。システムトレーにこだわらず、鰻トレーや扇型、桶トレーなどを用いると売場に変化が出て活性化する。


2-2. 平日は牛肉の価格訴求として「牛肉100円の市」などの企画で、週末は自社ブランド牛の打ち出しで年末に向かって準備する。

第3週
お洒落なクリスマスパーティー  〜赤ワインにステーキでセレブ気分〜


22日まではクリスマスに向けてチキン商材を販売し、クリスマスが近づいていると思わせる展開を行います。
味付けレッグ、丸鶏、テリーヌ、生ハム、ピッツァ等をコーナー化します。他の部門と関連陳列によって買上点数を上げていきます。試食を平日から出して味をわかってもらうことの重要です。レッグ、丸鶏に関しては焼くだけではなく煮物料理の提案(韓国風)によって販売数量が異なります、早めに仕掛けるのも売上につながります。
22日は冬至です、鍋訴求はクリスマス前まで一層の強化を行う。
23日24日は週末なので「赤ワインにステーキ」でお洒落にパーティーを行う提案をしましょう。
和牛・交雑種ロースステーキ・ヒレステーキをメインに販売し、輸入牛サーロインステーキは1枚500円や厚切りステーキ1枚980円で提案。
「山賊焼き」「スパイス焼き」「香草焼」も品揃えし量販する。平台のある店舗は平台で販売します。
POPやディスプレイで赤ワインとグラス、クリスマスツリーをテーブルクロスを敷いた上に置いておくだけでもイメージが変わります。飾り付けでクリスマスらしさを演出した売場を作りだし、商品を買う楽しさと、親子の笑顔があふれた地域密着型店舗を作り出したいと思います。
鶏肉コーナーでは輸入チキンレッグやローストチキン、丸(中抜き)や鶏唐揚げセットなども品揃えする。唐揚げ用若鶏モモ肉切身はパーティーシーンをイメージし大容量パックも販売します。


2-3. クリスマスの売上げUPと年末の売上げ確保準備のための「ステーキ」のコーナー化を行う。

第4週
年末感謝セール 「和牛・晩餐パーティー」


年末は「和牛、交雑種牛」を中心に売上を確保するので「銘柄牛、自社ブランド牛」を中心に「安心・安全」をアピールしながら信頼感を与える売場作りを行う。
25日にはクリスマス商戦から年末商戦に切り替わり28日までは消費が鈍る。
28日までに「牛肉の端材の処理」や、低級部位の在庫整理を行い年末に残さないように原材料や加工品の整理整頓をしておく。
29日からは「すき焼き用牛肉スライス」をメインに販売する。
最上段、平台では「すき焼きセット」を販売し白菜、白ねぎなど野菜を使った商品を展開。
すき焼きのイメージと購買意欲をそそる売場にしていく。
「和牛・交雑牛すき焼きセット」「和牛肩ロース、肩すき焼きセット」など牛すき焼きセット商品はコーナーを設けて販売し、5〜6人前で4980円5980円の高単価商品も品揃えする。
和牛肩ロース、ロース等はスライスの一部を残し、「肩ロース・ロース・もも」の「和牛三昧焼肉セット」などを作る。4980円などの高金額のプライスラインで黒金筆蓋付きトレー販売するとよく売れる。
29日は前年売上実績と比較して売場の展開方法の検証を行い、最終の棚替えを行う。
31日大晦日は「すき焼き」はもちろんであるが、「合鴨・鶏モモ肉」で「年越しそば」の売込みを強化する。
特に昼から夕方にかけてはPOP、声掛け販売で売り込みましょう。
鶏肉コーナー(鍋コーナー)は年末には縮小されるが下段での展開で大晦日の売上に大きく貢献する。日配の夕方から夜にかけての売り切りに応じて日配平台で「1人前そば」の横で販売すればなお相乗効果が発生すること間違いなし!
年末の販売動向によって今年の成果がわかります。来年度の課題として実績、お客様の声等を残して反省点とします。



2-4. 価格の高い、銘柄和牛のカタロースなどは、変色を防ぐ「ミートセロファン」などのシーチで1枚ずつ巻いて商品化すると、高級感も出て、ロスも防げ、「切りたて感」を維持できる。
3. 重点販売商品とその売り方
「野菜とセット」で販売する「カセットコンロとホットプレート用」のアイテム

12月は家族や友人と集まり食事を楽しむ機会を増やせるようなアイテムをしっかり提案する。

「鍋対決」で「肉対魚」、「テーブルクッキング対決」で「カセットコンロ対ホットプレート」などのテーマで定番としての売り場を確保する。

パーティーメニューとしても家庭で手間ヒマかけずに食べられるように、「野菜とセット」で商品化することがポイント。このような商品がコンスタントに販売できるようになると、アップグレードの商材も良く売れるようになり、年末やお盆などに売上げが伸びる要因にもなるからだ。

1. カセットコンロで食べる家族の焼肉

野菜とセットで、1パック完結できる商品として販売する。
 「肉も野菜もタップリ」がキーワード。貧弱な商品化は、かえって売り場のイメージダウンにつながる。
焼肉は、「一般的な牛肉、カルビ中心にイロイロな部位も味わえる焼肉・牛肉、豚肉など盛り合わせの焼肉」などの野菜はしいたけを多く入れ、野菜も焼肉と同じくらいの厚さで切り込む。
「ジンギスカン、ラムなどの焼肉・サムギョプサル、プルコギなどの韓国風焼肉で野菜を多く食べる焼肉」などの野菜はきのこを増やし、また形体はスライスを多くする。など、焼肉によっても取り扱う野菜の量と形体を分けて用い、アイテムの専門性をアピールする。
12月はクリスマスセールまでは1480円から1980円で、それ以降はごちそうお肉を入れて3980円、4980円まで価格を上げて展開したい。


2. カセットコンロで作るパーティーメニュー

「鍋セット」が12月は中心であるが、冬季は「個食鍋」ばかりではなく肉で200gから入れて食べられる数人前の「家族のお鍋」を野菜とのキットで商品化する。
鍋用の野菜もポイントの一つで、白菜を中心に「きのこ鍋」など、5種類位の野菜で、「野菜もたっぷり」の印象を与える商品化をする。
価格の安い、「水炊き・ツミレ鍋・肉団子・もつ鍋」などは980円から1480円で販売し、高価格で販売できる「すき焼き、しゃぶしゃぶ」などは1280円から1980円以上で販売し1パックでの価格は場を広く持つようにする。
クリスマス以降は、和牛や交雑種の「すき焼き・しゃぶしゃぶ」で1パック単価を上げるが、盛り合わせの中に餅や葛きりなどを入れたり、野菜に「水菜」などを盛り合わせ、肉以外で変化もたせる。
4. MDの最新情報
畜肉加工食品の原料・原産地表示の義務化

平成18年10月1日から原産地表示対象が拡大され、以降の製造、加工又は輸入される加工食品から実施されます。来店される消費者の世帯構成の傾向をつかんで安心感を持ってもらう努力が必要で、顧客との接点を大切にし、信頼関係を作ることが今後の売上になっていきます。

消費者に「加工地=原産地」の誤認をさせないことを目的とし、加工地を原産地と混同させるような不明瞭な原産地表示を一掃し、生鮮品に近い扱いをするものは、すべて表示の対象となり、畜肉加工品にも7つのカテゴリーで新たに原産地表示が必要になってきます。

  1. 調味した食肉
    味付け、タレ付き焼肉、香辛料や調味料を加えただけの生ハンバーグなど、例蔵ケースで販売されうものが表示対象。
    冷凍したものは、凍結が持続する状態で販売するものには含まれない。

  2. 茹で、又は蒸した食肉及び食肉鶏卵
    ゆでモツ、蒸し鶏、ミミガー、ゆで卵は表示対象商品。これらがレトルトパックになっていると対象外であり、モツが煮込まれていたり、蒸し鶏にタレがかかっていても対象外。

  3. 表面をあぶった食肉
    牛のタタキ、鶏のたたき。ただし、「肉の内部にまで火が通っていないものが対象」ということで、ローストビーフは対象外。内部にまで火が通っている焼豚、煮豚も対象外。

  4. フライ種として衣を付けた食肉
    とんかつ用に衣が付いた豚肉、唐揚げ用の唐揚粉が付いた鶏肉は、対象。
    上記を揚げる、焼きなどの調理を行ったもの、チーズなどの加工品が挟んでいるササミチーズカツなどは、表示対象外。

  5. 合挽肉やその他異種を混合した食肉
    牛豚合挽ミンチ、成型したサイコロステーキなどは対象。複数畜肉を盛り合わせた焼肉セット(味付けは対象外)

  6. 生鮮食品を異種混合したもの
    焼き鳥の「ネギマ」の場合、ねぎが50%以上であればネギの原産地表示をする。

  7. バックヤードで加工したものには、表示義務は生じない。