新業態「スーパーセンター」の行方 〜流通業界の覇者となれるか〜
 
スーパーセンター、イオン、関西に的――年間10店ペースで出店
 イオンは食品スーパーとディスカウントストアを組み合わせた戦略業態「スーパーセンター」の出店地区を関西に広げる。これまでは東北・九州地区を対象にする方針だった。二十九日に奈良市内にオープンした「イオンスーパーセンター大安寺店」で都市型店舗の運営実験を重ね、二〇〇五年以降の集中出店に備える。

 大安寺店の売り場面積は一万四千五百二十二平方メートル。食品・日用品・実用衣料に加え、建築資材、園芸用品、補修用品・工具など十五万品目をそろえた。初年度売上高目標は直営部分で六十五億円。奈良県天理市、愛知県弥富町など郊外で展開する従来のスーパーセンターに比べ、奈良市中心部という「商圏に合わせて住居・生活関連商品を強化した」(中村邦生イオン常務執行役) 関西地区でのスーパーセンター出店は東北・九州と同様の年十店ペースとなる見通しだ。今秋には大安寺店に続き、岩手県の一関、金ケ崎にスーパーセンター二店を出す。

 イオンは二〇〇五年二月期中に店舗運営、商品政策、物流ネットワークの整備などスーパーセンターのモデル構築に必要な実験を続ける方針。 七月には社内で選抜したメンバーを集め、スーパーセンターの店長育成研修もスタートさせる。〇五年以降、イオン本体の出店の大半をスーパーセンターが担える体制を築く

スーパーセンターに死角、先進地新潟のPLANT、ベイシア――「広すぎて疲れる」
 1階1万平方メートル超「どこに何が」 「広すぎて疲れる」(四十二歳女性) 「どこに何があるかわからない」(五十六歳男性) 「また近所の食品スーパーを使うようになった」(四十一歳女性) いずれもPLANT見附店の来店客の声だ。日本の通常のスーパーを使い慣れた消費者ほど、スーパーセンターの売り場に違和感を覚えるようだ。 売り場はワンフロアだけで一万六千五百平方メートル。店舗の端から端まで歩くと、ゆうに十五分はかかる。通常は売り場ごとに分散しているレジも集約しており、入り口付近に四十六台がずらりと並ぶ。 これらはすべて、建築コストや店舗の運営コストを圧縮し、低価格販売を実現するための手法だ。低コストと買い物のしやすさを両立するため、PLANT、ベイシアともに様々な工夫をこらしている。 「ショートタイム・ショッピングを徹底する」と言うのはベイシアの須田伸太郎執行役員。豊栄店では陳列棚の高さを抑え、店全体を見渡せるようにした。ひとつ一つの陳列棚が島のように独立しているため、来店客は縦、横どちらにも自由に動ける。食品だけ、文房具だけ、肌着だけといった目的買いもしやすい。 難点は客一人当たりの買い上げ点数が上がりにくいこと。ベイシアのスーパーセンターでは平均で一人当たり十三・五品目となっており、PLANTの十五―十六品目より少ない。

 地方を中心にスーパーセンターが登場して80店程度になった。ベイシアグループの21店を筆頭に、トライアルカンパニーの16店、ニシムタの11店、PLANTの7店、イオングループの6店などが続く。米ウォルマートの傘下にある西友も静岡県沼津市に1号店を開業した。 軒並みGMSが苦戦をするなか、流通業界の新たな覇者となれるのか?各企業の思惑が入り乱れるなか、消費者にはどのように受け止められているのだろうか。

スーパーセンターとは
 スーパーセンターとは非食品中心の総合ディスカウントストア(DS)と食品スーパーが融合した店舗である。地価が安い米国の田舎で発達したため、通常は1階建てで1万2000平米から2万平米もの広大な売り場面積を持っている。1カ所ですべての買い物ができるワンストップショッピングのニーズに対応する点も特徴である。

 スーパーセンターは世界最大の小売業である米国の総合DS、ウォルマート・ストアーズが1988年に1号店を出店した。米国での約1260店を展開しており、いずれも24時間営業している。全米ではウォルマート、ターゲット、Kマート、マイヤー、フレッド・メイヤーの大手5社を中心に、スーパーセンターの店舗数は約1750にも及び、この広がりは、スーパーセンターの成功を物語っている。

 エーシーニールセンの「Ratail Outlook 2003」によれば、全米の世帯の63%で、家族のうちの誰かが2002年中にウォルマートまたはターゲット、Kマートのスーパーセンターで買物をしているという。同調査で昨年は60%、1999年は52%という数字からみてもスーパーセンターを利用する人が増加していることがわかる。

 独自の店舗フォーマットの発達、積極的な価格追求、データに基づくエスニック・マーケティング、そして商品開発がこのチャネルに成長をもたらした。 今のところ、日本での代表的な事例としては地場の小売業、みった(福井県坂井町)がある。同社はもともとプロパンガスの専門店として設立されたが、93年から福井県でスーパーセンターの展開を始め、現在7店舗。同社によると、「自動車で25分の距離に人口5万人」が出店の基準となっている。米国と同様、日本でも田舎で威力を発揮する業態といえそうだ。

スーパーセンターの流通業界への影響
 スーパーセンターはこれから先の日本の流通業界に大きなインパクトを与えようとしている。現在、スーパーセンターは北陸、九州、東北といった地方を中心に出店が進んでいる。一部の地域ではすでにスーパーセンター間で競合状態に入っているところもある。

 今後のスーパーセンターの展開について、各界からの批判を恐れずに、列記してみたい。
 ・ イオングループによるスーパーセンターの展開
 ・ 外資グループ(西友&ウォルマート、テスコ等)による展開
 ・ ホームセンター核企業の新業態としての展開
 ・ 地元SM企業の新業態としての展開
等々

 イオングループは、ウォルマート日本進出への対策として、デイスカウントストア事業・メガマートとSM事業・マックスバリュをつなぎあわせることからスタートした。本格的な業態開発と実験は奈良県のイオン天理スーパーセンターから始まる。イオンはスーパーセンターの開発を加速するために、グループのホームセンター・ホームワイド(九州)を九州ジャスコと合併させ、イオン九州として再出発することになった。また、ホームセンター・サンデーとの業務資本提携による東北地区でのスーパーセンター事業開発を進める。イオングループでは、グローバル10戦略の一翼として2005年度から出店を急速に拡大し2010年までにグループで全国180店舗にするといわれている。

 一方で、ベイシア・グループ(群馬県)はカインズホームセンターと提携し、スーパーマーケット・ベイシアとカインズホームを合体させた展開している。スーパーセンターは地方から出店が始まったが、ベイシアグループでは、首都圏から中部圏へと都市近郊に出店していこうとしている。2005年2月期までに約50店舗をオープンさせる計画だ。

 ローカルではあるが、北陸地区でスーパーセンターを展開するプラント(旧みつた)は、ますます規模と展開地域を拡大し、新潟県見附市に最大のプロットタイプ店舗PLANT5をまもなくオープンさせた。PLANTの展開は、鳥取県へも飛び火するが、山陰や東北などの人口の少ない地域を中心に約40店舗を計画、滋賀県・岐阜県下にも計画が進んでいるようだ。

 外資の参入という視点で考えると、西友・ウオルマートスーパーセンターが沼津に1号店を開業。今後、着実に出店数を拡大することは確実である。一方、シートゥーネットワークを買収したテスコは、コンビニから都市型SM、ハイパーマーケットまで各種業態を運営しており、ホームデリバリーでも米国の大手SMセーフウエイと提携しノウハウを提供している。これらの事業経験をもとに、各地の企業との提携を進めながら、日本でのスーパーセンターを展開することもそれほど先の話ではないだろう。

 また、各地にはスーパーセンターという業態の区分はされていないが、これと似通った発想の店舗が以前から存在していた。特に、ホームセンターが郊外の小商圏で占拠率を高め、ロープライスでボリュームマーチャンダイジングを行い、広い駐車場を持ちワンフロアで少ない投資とローコストオペレーション、ワンレジで食品・衣料・雑貨を一度に精算できる日常生活必需品を取り揃えた非常に繁盛した店舗を志向している。また、SMやGMSの展開に限界を感じた企業がスーパーセンター的な店舗を目指すという選択肢もある。いずれにしても各企業のグループをまとめシナジーを生かして小売業界の勝ち組(生き残り)に入ることができるかどうかは経営トップの舵取り次第である。

得られるか消費者の支持
 スーパーセンターが次々と開業する新潟県。広大な平地、真っすぐに伸びる道路など米国に似た条件がそろっているにもかかわらず、滑り出しは一様に厳しい。現地ルポや近隣の消費者を対象に実施したアンケートなどからは専門店などとの競合、売れ筋商品の欠如、慣れない消費者という三つの死角が浮き彫りになった。

 PLANTが新潟県見附市にスーパーセンターを開業して八カ月。日経MJが市内の消費者を対象に実施したアンケートからは、地元スーパーや専門店との競合で衣料品を中心に苦戦している現状が明らかになった。「毎日の生活に必要な商品を買っている店」を複数回答してもらったところ、衣料、食品、住関連(日用品)のいずれもトップになれなかった。

 本来、スーパーセンターは商圏人口が少ない地域に大型店を構え、衣食住全般をとりそろえることで、生活消費をがっちり掌握するのが強みだが、占有率は理想とはほど遠いのが現状だ。多くの消費者は品質や価格で強みを持つ店を商品別に使い分けている。PLANTにとって、立地が良い分、競合も多かったことが誤算となった。 「日本には(米国でスーパーセンターが成功したような)本当の田舎は存在しない」。日本リテイリングセンター(東京・港)の渥美俊一コンサルタントは指摘する。都市と都市の間の距離が短く、車で四十分も走れば小売店の集積する地域に行けるため、スーパーセンターといえども商圏の独占は難しい。仮に競合のない地域に出店しても、他の専門店の進出の呼び水となる――。日本のスーパーセンターは競合から逃れられない宿命を背負っている。

 格安商品を大量に陳列することで競争力を高めてきたスーパーセンターだが、幅広い品揃えが災いし、一つ一つの商品の良し悪しまで目が行き届きにくい。それが、消費者の目から見れば、「似たような商品ばかり」「欲しいものがない」と写っているようだ。

 加えて、ワンフロアー1万平米超の面積は、「広すぎて疲れる」「どこに何があるかわからない」といった指摘を生む。店舗の端から端まで歩くと、ゆうに15分かかる。レジは一ヶ所に集約されているため、清算にも時間がかかる。これらはすべて、建設コストや運営コストを圧縮し、低価格販売を実現するための手法である。そこで、低コストと買物しやすさを両立させるために、各社は様々な工夫をこらしている。

 今、スーパーセンターについては実験段階にある、と言えよう。現在の小売業態はそのほとんどが米国生まれである。しかし、GMS発祥の地である米国では食品を扱っていなかった。GMとは、衣料品や耐久消費材を意味するものだからだ。しかし、日本ではGMSに食品を織り込んで日本独特の業態として作り上げた。

 それと同様にスーパーセンターについても、米国からヒントを得た日本に合わせたアレンジが必要だろう。こうして作り上げられた日本版スーパーセンターが評価される日が来れば、流通業界を圧巻する可能性がないとも言えない。

新潟スーパーセンター間競走をどう見るか?
 新潟県長岡市周辺で、“新潟流通戦争”のど真ん中。小千谷市など周辺人口18万人を巡っての戦い。いや、ココの地域だけではないので、やはり新潟県全体が“価格戦争”地帯か。

 事の発端は、2003年3月に下越地方でオープンした『PLANT−4聖籠店』<http://www.plant-co.jp/>
から始まる。ご存知のように、“日本流スーパーセンターの本命”は、ここでも「缶飲料:38円、豆腐:10円、納豆3P:28円、サンダル:50円(つまり、全部で126円)…」をやった。これに地場で25店舗を展開するSSM『ウオロク』<http://www.uoroku.co.jp/>が真正面から迎え撃ったので、周辺の価格水準が一気に低下したのだ。そこへ何と、PLANTから5分の場所に2003年10月、新潟県1号店の『ベイシア豊栄店』<http://www.beisia.co.jp/>が出来てしまった。後は、想像の通り。新潟県は、今や、日本有数の低価格地帯となったのである。さて、今回は更に進化した地域だ。
1.『スーパーセンターPLANT−5見附店』(2003年10月18日オープン)
2.『ベイシアスーパーセンター小千谷店』(2003年11月26日オープン)
3.『ウオロク長岡店』(2003年10月18日オープン)に、
4.『原信西小千谷店』<http://www.harashin.co.jp/>(2004年3月27日改装オープン)
5.『ジャスコ小千谷店』
を加えた5店舗の競合地帯である。
勿論、駅前には『イトーヨーカ堂』も『ダイエー』もある。

 さて…ココでの価格常識がある。それは、何処へ行っても税込「日清カップヌードル:78円」「キューピーマヨネーズ500g:148円」「ペット飲料500ml:78円均一」「スナック袋菓子:88円均一」「牛乳1L:145円」「食パン1斤:88円」「豆腐:10円位」……これからの競争は、こんな世界になるのか。どの店も一歩も引かない様子。しかも、PLANTの20万アイテムを筆頭に品揃えも豊富。特にウオロクは、「今期、来期は利益を度外視しても、競合に絶対一歩も引かずに真っ向勝負をする。そして、この2年で生き残る術を見つけていく」とコメントしている。このように、これからのSSMはスーパーセンター業態も含め、「品揃えが良くて価格の安い店」が主力になるのは間違いない。

 が、しかし、今回紹介した店舗が、「品揃えが良くて価格の安い店」の代表であるが、実は、私が考える「これからの食品(生活)売場」に欠かせない“もうひとつのファクター”も今回の5店舗は備えている。何か?ズバリ!「店舗力」。

 例えば『PLANT』だが、「聖籠店」からは、以前の“何もしない”内装ではない。いや、むしろグレードの高い店舗である。特に、食品売場ではそれが顕著に出ている。更に、「見附店」では、外装にもイメージをアップさせた。他店も同じ方向なのだ。『ウオロク』は、今やアップ・グレード内装で有名だ。また、100円ショップの各企業も同じ。かの『ダイソー』の新店を見たら、納得が行く。つまり、これらの企業が伸びているのは、「品揃えが良くて価格の安い店」だけでは、限界がある事さえ、知っている点なのだ。そこに、「気持ちの良い環境」を加味する事で、「安い商品」に「価値」が出てくると。“100円のネクタイ”がワゴンで売っているのは当然、それを1本ずつ巻いて、ケースの中で販売した時、この商品が“バリュー”になる、その環境が差別化なのだ。

スーパーセンターPLANT−5見附店
  □所在地 :新潟県見附市上新田町725番1
  □電話番号:0258−61−4400
  □オープン:2003年10月29日
  □売場面積:1万7000平米
  □営業時間:9:00〜22:30
  □駐車場 :1755台
  ■ベイシアスーパーセンター小千谷店


  □所在地 :新潟県新潟県小千谷市大字三仏生字上林3489-2
  □電話番号:0258−83−1177
  □オープン:2003年11月26日
  □売場面積:10050平米
  □営業時間:10:00〜20:00
  □駐車場 :803台
  ■ウオロク長岡店


  □所在地 :長岡市日赤町2-6-1
  □電話番号:0258−38−8800
  □オープン:2003年10月29日
  □売場面積:6600平米
  □営業時間:9:00〜24:00
  ■原信西小千谷店


  □所在地 :新潟県小千谷市城内2丁目10番27号
  □電話番号:0258−83−5656
  □オープン:2004年3月27日
  □売場面積:2300平米
  □営業時間:9:00〜24:00
  ■ジャスコ小千谷店


  □所在地 :新潟県小千谷市大字平沢新田字荒田339
  □電話番号:0258−83−1155
  □オープン:2004年3月27日
  □売場面積:2300平米
  □営業時間:9:00〜22:00(食品24時間)