「消費者ニーズの変化と食肉小売店のマーチャンダイジング」
「04年からの食肉販売4つのMDingのポイント」
株式会社 月城流通研究所
経営コンサルタント 月城 聡之(つきしろ としゆき)
食肉に対する消費者意識の変化
 食肉に対する消費者の意識は、「高コレステロールで、健康に良くない食べ物」という観念から「食肉摂取は健康に良い」という考え方に変わりつつある。

 これは、テレビを中心に「豚肉のビタミンB1 は疲労回復に効果的で、豚肉摂取は長寿に有効である」とか、「牛肉摂取は、老化を防ぐ」という「食肉摂取の正しい効用」の情報がもたらせた結果である。

 また、食肉摂取は、若い世代の魚離れと米の消費の減少を受けて、40歳以下の世代での消費量が多くなってきているだけに、これからの牛肉を中心とした食肉消費の拡大が期待される。

 それだけに、食肉や食肉加工品の表示やトレサビに消費者は神経質になってきており、、これからの食肉販売には、「安全で美味しい」というだけでなく、「流通経路が明確で安心して食べられ、食べることが健康の維持に不可欠」 といった訴求方法が有効で必要になってくる。

 04年からは、牛肉ばかりでなく、豚肉にも生産JASが導入される。

 これは、食肉販売にとっては、販売している食肉のブランド・産地・こだわり、が打ち出しやすくなり、牛肉・豚肉といったくくりよりも効果的な訴求や販促が打ちやすくなり、生産者にとっても、流通に携わっている関係者にとっても大きなチャンスと捉えることが出来る。

 04年からの食肉販売のポイントを以下のように4つにまとめてみた。

1.「牛の個体識別表示」で牛の差別化を静かに訴求
 牛肉トレビ法が03年12月から施行された。

 04年12月からは、小売業者にも牛の個体識別番号表示が義務化される。

 イギリスで1986年に確認されたBSEは、2002年になってもイギリスでは消滅せず、1122頭も確認されている。 

 日本で発見された8頭目は肉骨粉使用禁止後の牛で「新型BSE]が発生した。

 まだまだ、牛のBSEへの警戒は緩めることが出来ないのが世界的状況である。


 従って、牛の個体識別やトレサビの表示をを販促のツールとして利用することが商品力強化につながる。

 トレサビが明確に打ち出せない食肉は販売できないということにもなる。

 「牛の個体識別表示」は、ラベルプリンターの中に書き込むのが一般的に普及することになるが、それまでの間は10ケタ耳標を大きく表示することで信頼感をアピールすることも戦略として効果がある。

 この方法の方が費用が掛からず、消費者にトレサビを行っていることのアピール度が大きいからだ。

 パネルやパソコン画面、SPシールなどトレサビの店頭表示方法にイロイロ取り組んでもらいたい。

2.「ブランド豚肉」は飼料まで遡って「健康食品」でアピール
 8月から豚肉に牛肉と同じくトレーサビリティJAS(生産情報公表豚肉の日本農林規格)が施行される。
細目はこれから審議されるが、豚肉の場合は一貫生産が主力なので生産流通の経路を明確化することが容易である。

 最近の豚肉はテレビからの情報で、「体に良いもの」という健康食品としてのイメージが大きくなってきている。
 豚肉の特徴である、ビタミンB−1・オレイン酸などは、飼料の配合によって増加する。

 豚肉の特徴は「飼料」と「生産者」によって決定付けられるといっても過言ではない。

 従って、豚肉のJAS導入を契機に「黒豚」依存のブランド豚から特徴のある生産者・飼料メーカとの取り組みで自社のコンセプトにマッチした新しいブランド豚肉の開発に取り組むことが必要である。

 また、其のブランドの定着と拡販のために生産者・飼料メーカー・パッカー、屠畜業者までも含めて販促に取り組んで、トレサビを店頭やネットなどを利用し販促ツールとして活用したい。

3.「切り落としコーナー」のカテゴリー強化で「すき焼き」の提案
 「切り落とし肉」は牛肉・豚肉を問わず、作業性が良いということと、料理の汎用性が高いということで、商品化が年々増えているアイテム。

 04年は、「切り落としコーナー」の充実を「縦割り陳列」の中で料理用途の最重要なカテゴリーとして確立させたい。

 やはり、これからは中分類の一つとして「切り落としコーナー」を打ち出していく。

 其の中で特に、「切り落とし・すき焼き用」として、「すき焼き」を「切り落とし肉」で提案していきたい。

 「すき焼き」は特定牛肉料理(焼き肉・ステーキ・シャブシャブ・すき焼き)の中で最も外食より家庭料理としての出現回数が多いからだ。

 それだけに攻める売場のアイキャッチとしても、改めて新しいコーナーカテゴリー展開が必要である。

4.ミートデリ「グリル台」の活用等で新しい活路を開く
 中食の普及や、家庭料理の回数が減るに従い、精肉部門の役割も変わってきている。

 包丁を使わない主婦が増えたというが、毎日包丁を研がない精肉担当者も増えている。

それは、研ぐ必要がないオペレーションが増えているということと同じで、我々の日常業務も大幅に見直す時期に来ている。

 特に、「ミートデリ」を併設し、肉惣菜を強化する食品SMは増えているが成功率は数パーセントといわれるくらい、ミートデリは飾りだけでコンセプト倒れになっているところが多い。

 それは、店内の惣菜や、冷凍調理食品をダブっている提案が主力で精肉のデリとしての独自性がないので、長続きしないからだ。

 フライの揚げ物や、サラダなどでは、ミーチデリは成功しない。

 そこで、精肉のデリや調理・試食は、「電磁グリル」を活用し、新しいアプローチとして「香り出し・動き・音・視ずる感・喜ばれる接客・提案」を行っていく。

 また、煮込み料理を作りながら、牛タタキのブロックを作りながら試食販売するとか、いろいろな活用方法がある。

 本当に美味しい、ミートデリを調理まじえフレンドリーな接客でファンを増やしてもらいたい。

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