「肉鍋」メニュー新時代・提案の方向性
(株)月城流通研究所
代表 月城 聡之
 
今年の「肉鍋」の傾向は、米国産牛肉のBSEによる輸入禁止措置で牛肉価格の高騰し牛肉をふんだんに使用した商品化が出来にくくなっている。また、景気の低迷もあり、豚や鶏肉を使った鍋や、価格が安く、食べやすい肉ダンゴ鍋や水餃子などの加工品が注目されている。
 牛肉は米国産が解禁になる来年まで高値が続き(国産牛の出荷頭数が前年比90%で年内は推移する)、また解禁後も外食中心に在庫の手当てから仕入れが始まるのでしばらくは、輸入も高値で推移すると予測される。牛肉消費は戻ってきてはいるが、豚肉・鶏肉の伸びは依然好調を維持しており牛肉以外の売上を確保することが精肉部門全体の売上を押し上げるポイトとなる。
 また、国産食肉の相場の高値安定の中で利益確保をどうするかがポイトにもなる。
 そこで、今回は、国産牛肉のトレサビ強化と、豚鶏肉を中心に内臓肉を含めて売上・利益確保 のための攻める鍋料理提案を考えてみたい。

表@のように、「鍋」は昔のように魚中心ではなく、家庭で食べた鍋料理や、これから食べたい鍋料理の材料に「肉」が年々多く使われるようになってきている。最近の傾向は、若い人を中心に誰デモが食べやすく、料理や保存が簡単で便利な食肉を 「寄せ鍋」や「チャンコ鍋」など、本来は魚を多く使用していた鍋料理にも、豚肉・鶏肉を中心に、手軽で経済的で食べやすい食肉に振りかえられるようになってきている。
「つみれ」も、従来は「イワシ・サンマ」であったものが、変色がしやすいとか、魚離れから鶏肉が「つみれ」として鍋に多く使用されるようになってきている。
「肉」材料を多く活用する鍋に期待をかけて商品つくりの強化をしたいものである。

表@ 家庭で食べた鍋ランキング
  01年 02年 03年
1 おでん おでん おでん
2 すき焼き すき焼き すき焼き
3 寄せ鍋 寄せ鍋 寄せ鍋
4 湯豆腐 湯豆腐 湯豆腐
5 水炊き 水炊き 水炊き
6 キムチ鍋 しゃぶしゃぶ キムチ鍋
7 しゃぶしゃぶ キムチ鍋 しゃぶしゃぶ
8 肉だんご鍋 肉だんご鍋 肉だんご鍋
9 うどんすき ポトフ うどんすき
10 ちゃんこ鍋 うどんすき ちゃんこ鍋
11 ポトフ ちゃんこ鍋 ポトフ
12 かきの土手鍋 もつ鍋 かきの土手鍋
13 かにすき かきの土手鍋 かにすき
14 餃子鍋 石狩鍋 もつ鍋
M社調べ N=400

表A 増えたと思う鍋
    02年 03年
1 キムチ鍋 25.3 26.3 0.9
2 おでん 16.3 17.8 1.5
3 寄せ鍋 15.0 15 0
4 湯豆腐 11.3 11 -0.3
5 すき焼き 11.5 10.8 -0.8
6 しゃぶしゃぶ 9.5 9.8 0.3
7 肉だんご鍋 6.5 8.5 2
8 水炊き 8.5 7.3 -1.3
9 うどんすき 3.5 5.5 2
10 ちゃんこ鍋 4.5 4.5 0
11 かきの土手鍋 3.5 3.8 0.3
12 豆乳鍋 2.3 3.8 1.5
13 もつ鍋 3.5 3.5 0
14 ポトフ 4.5 -1.3 -1.3
M社調べ N=400

最近は「冬ソナ」ブームで夏場も「キムチスープ」や「チゲ」などの「キムチ鍋」が人気でまだまだ、「辛・カプサイシン・健康・美肌効果」といった食の韓国ブームは続いていく。
また、「ちゃんこ」に「つみれ」を中心に具材が「肉チャンコ」が増えており、「肉団子鍋用スープ」などが販売されるようになり、価格が安くて食べやすい新しいジャンルの「鍋」が出現し定着したといえる。

1.「牛個体識別と豚肉トレサビJASを販促に活用」
 12月1日から小売りでは販売するすべての国産牛肉に10桁の「個体識別番号」を表示することが義務付けされる。また、7月25日からは、豚肉のトレサビJASが実施され、ロットで管理された豚肉の生産履歴の表示が始まった。これらを活用し、「安心・安全」を強調した牛肉・豚肉の販促の1つの手法としたい。

 牛肉・豚肉をミックスで売るには、「シャブシャブ」で商品化する。
国産牛肉は、値ごろ感がある「ホルス」で(部位は薄切りであれば使用部分が広がるので使いやすい)、晴れの日には「交雑・和牛」と、生産履歴が明確な「豚肉ロース・カタロース部位」中心でそれぞれ150gで2人前300g780円(ホルス使用・値入率35%) から980円(交雑種 使用・値入率35%)で販売したい。

 商品化には、ボリューム感を出すために「白菜」や最近ブームの「水菜」などを下に盛り付ける。

 夏は「冷シャブ」としても定番化できるので通年の「鍋」として位置づける。

 豚肉がブランドとして確立しているkとが重要で、輸入ポークと一線を画すアイテムに育てることがポイント。



2.「地産地消のご当地鍋」
 大手と差別化するには、商材へのこだわりが必要。

 食品SMを中心に「地産地消」で、食肉は地元の商材を中心の品揃えが多いと思うので、それらを「牛・豚・鶏肉」を「水炊き」などで、ライナップし銘柄・地元の安心感をアピールする。

 国産牛肉は、個体識別番号。豚肉はロット管理している、という訴求も消費者には安心感を与え、こだわりのブランド化をしていることを強調したい。

 牛・豚・鶏肉とすべてが地元中心であればトレサビも身近で非常に訴求しやすい。

 「ホルス」を使用すれば豚肉・鶏肉それぞれ100gを入れて、300gで 580円。(値入率30%)

 「交雑種」であれば、680円(値入率30%)、「和牛」であれば780円(値入率 30%)で「お試し価格」ということで、買い求めやすくすること。

 夏はこれを「冷シャブ」や商品化を「焼肉」tpしたりしてアピールし、このタイプのアイテムは銘柄とトレサビ訴求のために定番化したい。

3.「個食鍋は4・5種類で選択ができる品揃えを」
「一人前お鍋」は便利性が高く、ニーズも高いはずであるが、実際は品揃えだけで、売れ残ることが多い。

 それは、価格を追えばボリューム感が無くなり、ボリュームを追えば値ごろ感が無くなるからだ。

 食肉を素材に使い、野菜・スープなど、また容器によっては1パックで完成品として販売するだけに1パック 298円で無理してそろえずに、398円にして、クォリテイーの高い、選択幅の広いバラエテイーな、食べて満足感のある「個食鍋」の品ぞろえで勝負して欲しい。

 
4.「鶏肉タタキの水炊き用鍋」
  「鶏肉タタキ」は鶏ミンチで商品化されているので味付けしやすく、どのような味付けにもなじみやすく、価格が安いので最近は非常に増加している。豚肉を入れて作る「肉ダンゴ」と区別して商品化することがポイント。 豚肉を混ぜた「肉ダンゴ」は味が濃厚になるので牛肉や豚肉などを入れた鍋に使いたい。

 ミンチの材料は「モモ肉」と「ムネ肉」を半分ずつにする。

 冷凍でも構わないが、鮮度落ちと、ドリップが出やすいので注意する。

 市販のツミレの素を地元の味に手直しし、味噌や柚子をたしたり、ネギなどの薬味をプラスするのも良い。

 ダンゴばかりだと楽しみが無いので同じ大きさに鶏肉のモモを水炊き用にカットして、写真のように具材だけでの販売。このトレイに野菜をプラスして D のように販売する鍋とあわせて陳列する。

 「タタキ」と「モモ肉」あわせて300gで398円。(値入率 30%)

5.肉ダンゴ鍋
 「肉ダンゴ鍋」は、経済的で、子供から肉が苦手な人まですべての人に食べやすい鍋である。

 「いわしのツミレ鍋」よりは臭みが無く食べやすい鍋として需要が増えている鍋である。

 ミンチにする「つくね」は、「豚モモ:鶏ムネ」が「50:50」の割合がもっとも良い。

 また、「ムネ肉」だけで商品化する場合は、「トリ皮」を20%程度加えて商品化かすると良い。歯ごたえを出すために「軟骨」を加えて2度引きにして混ぜ込むのも良い。

 盛り付けは、写真のように、家庭でダンゴにして楽しみながら「つくねダンゴ」を作ってもらう商品化や、20~25グラムで肉ダンゴにしてトレイに盛り付けても良い。

 また、鶏肉モモ肉などとあわせた商品化や、豚肉のスライス(バラ肉がよい)にして、「ちゃんこ鍋」として商品化するのもよい。

 参考売価 肉ダンゴ鍋  肉・ミンチ それぞれ150g  野菜 300g で1パック 680円
(値入率  30%)



6.牛タンシャブシャブ
 牛タンのシャブシャブの商品化は、商品価値を高めるために、「タン先」をシチュー用に、「ボデイー」部分を「シャブシャブに商品化する。

 「ボデイー」部分のスライスは、写真のようにサイドからスライスする。

 スライサーでの切り残しは柔らかい部分なので、スライスの残り部分は1センチくらいにカットして串にさして販売すると値入れも高く良く売れる。

 100g 680円売りの、(チルド)「牛タンシャブシャブ用」(値入率 30%)。または、

 1パック 150g 980円(値入率 27%)の定量定額での販売。

7.鶏シャブシャブ (鶏鍋)
 食肉原料高の状況の中で、ブロイラーの「ムネ肉」だけは安値が続いている。

 本年度の東京相場も年末まで相場は軟調に推移すると思われる。

 鶏のシャブシャブは、「ムネ肉」で商品化するほうが鍋だしと馴染みやすい。

 また、「皮ナシ」で商品化するので、「トリ皮」の売価から考慮すると、極めて歩留まりが良い。

  シャブシャブは、1枚1枚の大きさと、重量をそろえるようにカットする。

 写真の盛り付けは、内容量で250グラムである。

 トレー・シール・添付のたれを含めて、トータルコストは1パック当たり100円強で納まる。

 また、銘柄鶏などのセット仕入れの「モモ肉」との利益バランスを取るために、このようにムネ肉を活用することがポイントである。

 この場合、シャブシャブの売価設定の目安としては、銘柄鶏のモモ肉に、ムネ肉の売価をあわせるほうが良い。

 1パック 350円 (値入率 70%)



8.鶏肉水炊きセット鍋
 「トリ 水炊き用セット」は、副産物と添付用のたれをセットして販売する。

 イロイロな味が楽しめ、栄養のバランスもよい。

 銘柄鶏や特殊鶏のセット仕入れのバランスで副産物が余る場合など、売り切るには不可欠なアイテムである。

「とりすきセットの内容」  参考売価(合計 220グラム・合計価格)
モモ切り身 80グラム4切れ  ブロイラー  1パック 298円(値入率33%)
ムネ切り身 80グラム5切れ  銘柄鶏    1パック 398円(値入率33%)
レバースライス 30グラム
砂肝 20グラム  2個分
ハート 10グラム 2個分
添付スープ     1袋



9.合鴨鍋の商品つくり
 合鴨は、冬場は鍋材料として非常に良く売れている。(夏場は焼肉用)

 合鴨の場合、若鶏と違って「モモ肉」は「ムネ肉」より価格が安いので、「つくね」や「合鴨だんご」を作り「鍋セット」の中に入れて商品化すると利益の取れるアイテムとなる。


 合鴨鍋を強調する場合は、写真のように「ムネ肉(ロース肉)」を使用するが、このときに脂肪をトリミングし過ぎないように注意する。

 また、1枚1枚のスライスの大きさを一定にし、野菜を入れて販売するほうがボリューム感が出来てよい。合鴨単独で売り込むよりは「きのこ鍋」など、白菜ベースの野菜セットに「エノキ・シメジ・しいたけ・エリンギ」などで他の野菜鍋との違いを強調するのも「合鴨鍋」を売り込みやすい方法である。

合鴨1人前鍋セット  合鴨 80g 野菜200g 1パック 398円(値入率30%)

10.ヘルシーちゃんこ鍋
 鶏肉ササミと、砂肝、鶏肉ダンゴとスープのセット。
 アッサリ系で、ヘルシーで安価なことがアピールのポイント。
 ササミ 80g・砂肝 60g・ 肉団子 140g で1パック298円(値入率40%)



11.「もつ鍋」
 牛豚のホルモンは原料も豊富で安価なため、ぜひ売り込んで行きたい商品である。

 生の白物ホルモンは、ボイルすることで商品の鮮度劣化を抑えられ、取り扱いがしやすくなる。

 柔らかく、臭いも抑えられるので、「煮込み」料理のバリエーションとして提案していく。

 「もつ鍋」ブームも定着し、BSE禍での中断はあったが、牛・豚それぞれの「もつ鍋」が定着し手着ている。   商品そのものには、味が無いので味付けの強いメニューで提案していく。

 豚ボイルホルモンは、4センチにカットし、煮込み野菜とのセット。また、ダイコン・コンニャクなどを加えた名古屋スタイルの「ドテ鍋(もつ鍋)」をベースに同じ大きさに切りそろえて使用する。「ドテ鍋」の味ベースは味噌。

 ボイルモツ150g 野菜150g  スープを添付  1パック398円(値入率 40%)

12.鍋の具材セット
 アジのバリエーション。食感の違いを味わえる具材をセットで販売する。

 この場合は野菜セットでの「鍋」シリーズと併売するほうが効果が上がる。

 基本は、つくね・肉だんご・ミニロールキャベツ、などの一口サイズが中心であるが、夏によく売れた「牛肉サイコロステーキ」や「チキンサイコロステーキ」なども、結着したものがスープでばらけることなくジューシーに食べられるので鍋に入れても面白い。

 すべて1種類100g平均に品揃えをして

 1パック 5種類500グラム入り 598円 (写真の内容で値入率 35%)


以上。