07年世界の牛肉需給予測

輸出755万d、輸入537万d、生産5千472万d  米農務省

 BSEと口蹄疫関連の貿易制限からの悪影響のため、世界の牛肉供給はタイトな状態が続いている。
 2007年、主要国の総牛肉輸出は前年比7%増の754万5千dと予測されており、これはアルゼンチン、豪州、インド、NZなどが動物疾病による影響を受けなかっただけでなく、ブラジル、米が動物疾病がらみでの貿易制限から回復しているため。
カナダと米の牛肉輸出はBSE発生のため、失った市場を完全には回復させていない。2007年、カナダ牛肉輸出は2002年比28%減、米は39%減と予測されている。しかし、米産牛肉の輸出は引き続き回復しており、2007年の輸出は前年比30%増の68万dと予想されている。
 2007年、主要国の牛肉生産と消費は前年比2%増と見られている。中国、ブラジル、米がもっとも生産を伸ばすと見込まれている。 中国の牛肉生産は2002年以来、年間で5-7%伸びており、飼育頭数増のため、2007年は5%以上増の791万dとなりそうだ。中国での生産増が続いているのは、可処分所得が増え、家禽インフルエンザ懸念のため、消費者が家禽から他の食肉へシフトしているため、国内需要が高まっていることが要因。
 2007年、ブラジルの牛肉生産が前年比3%増の912万dとなる予測はブラジル産牛肉の輸出禁止が完全に、または一部解除となっているだけでなく、国内需要が高まっているため。ブラジルはいまだに口蹄疫発生を抑えようとしているが、ブラジルの牛飼育頭数は拡大し続けており、精子への投資と政府の生産手法改善援助により、2007年には前年比ほぼ4%増になると見られている。
ブラジル
2007年、ブラジルの牛肉輸出は前年比2%増の198万5千dと予測されている。これは口蹄疫発生での輸入禁止を数か国が完全に、あるいは一部解除したため。2006年上半期、ブラジルは主要輸出先国であるロシアへの輸出がかなり減少し、チリ、EUへの輸出も減少した。しかし、主要輸出先国への輸出減をエジプト、サウジアラビア、イスラエル、ルーマニアや他の小規模輸出市場と米へ調理済み製品の輸出が増加したことで補い、2006年上半期のブラジル牛肉輸出は安定していた。2006年下半期から2007年にかけて、ブラジルの小規模新市場に重点を置く輸出は継続しそうだ。
日本 
日本の牛肉輸入は2006年、前年比1%減の69万3千dだったが、2007年は前年比10%以上増の76万5千dになると見られている。2006年、高い牛肉価格が消費に悪影響を与えた。米産牛肉の当初の輸出は、高い価格と消費者懸念、厳しい通関チェックのため、急増していない。さらに、日本へ輸出できる牛肉が21か月齢以下からだけのため、米産牛の輸出は伸びておらず、これらも急増するとは思われない。米産牛肉の輸入再開で、米産牛肉の日本市場でのシェアは回復し始めるが、豪産牛肉の対日輸出は減少しそうだ。

豪州

厳しい干ばつで、今後数年、生体供給に影響も

現在の干ばつは厳しい。
 豪州気象局によると、夏から秋に降雨が不足し、記録的な暑さが続き、干ばつ状況が拡大している。
この干ばつは家畜飼育業者に金銭的、社会的な困難を与えており、今後数年に渡り、牛、羊、ラムの供給にかなりの影響を及ぼす恐れがある。8月から10月、南オーストラリアではもっとも乾燥した状態となっており、ビクトリアでは過去2番目にひどい干ばつ状態、ニューサウスウエルズでは過去3番目に厳しい干ばつ状況となっている。
 11月2週の降雨はクインズランド南東部とニューサウスウエルズ北部では多少の恵みの雨とはなったが、ビクトリア、南オーストラリアでは絶望的な状況を救うまでには至らなかった。この干ばつは広範に渡る4年の干ばつをさらに拡大させるもので、本来なら現在の干ばつに投入するはずの農場用水、干草、穀物、預金をすでに使い果たしてしまっている。このため、10月のラム出荷は前年同月比48%増、羊は35%増、牛は31%増となっている。出荷急増に加え、労力不足による処理能力の低下、飼料穀物相場の80-90%高が重なり、生体市場価格は牛・ラムとも20-30%安と落ち込んだ。
 生体の多くが完全仕上げ前に出荷されてしまい、また恵まれた2-3の地域では素牛として放牧場に戻されたり、穀物の刈り株や未生育の穀物といった補助飼料が与えられたりしている、と伝えられており、と畜の伸びが比較的緩やかなことだけが励みとなっている。

豪州の牛■  生産は7%増、輸出は3%増  米農務省07年見通し

2007年の飼育頭数は前年比3%増2千860万頭になると予測されている。もし、この頭数となった場合、1977年以来最多となる。
 2007年、過去の平均と比べ、生体価格が高いまま推移していることと、羊毛製品の利益が少ないことで、飼育頭数の拡大は継続することになりそうだ。しかし、夏前には生体価格が下がり、また干ばつのため、飼育拡大はある程度制限されることになると思われる。
 夏前の月間と畜データによると、カウと若齢雌のと畜頭数は過去の平均と比べ低水準で、2004年から始まった飼育拡大傾向が継続していることを示しているが、干ばつが継続した場合、この傾向は見直される可能性もある。
一方、業界は2007年の飼育頭数は2千940万頭と見ている。豪州のフィードロットは施設での飼育可能頭数(110万頭超)、フィードロット飼育頭数(2006年6月現在で、94万頭)ともに記録的な水準となっている。
 業界筋によると、施設での飼育可能頭数は05年9月-06年8月、前年同期比10%増。
フィードロット飼育頭数は8月現在、前年同月比7%増。生体価格が高いことと元来豪産ロングフェッドの主要輸入国である日本の米産牛肉輸入が少ないことが、豪州のフィードロット飼育頭数を記録的な水準とした。短期的には干ばつと牧草状態の悪化でフィードロット飼育頭数が増加するかもしれないし、長期的には夏の穀物生産減で、フィードロット飼育頭数減につながるかもしれない。干ばつが大規模となった場合、2006年末までにフィードロット飼育頭数は急増すると思われるが、2007年には通常の飼育頭数となるだろう。
 いずれにしろ、フィードロット飼育頭数が増加し、これからも一段と対日輸出が増えるはずだ。最近のデータによると、フィードロット飼育頭数の約60%が日本向け。2007年、牛生体輸出は前年比9%増の64万頭と見られている。予測は増加しているにも関わらず、輸出増が実現したとしても、この頭数は過去10年平均の輸出頭数73万7千頭を13%下回ることになりそうだ。
 生体輸出頭数は国内での高価格と生体供給が高価格の牛肉処理部門へシフトしていることで、抑えられており、豪j高と原油価格の上昇も生体輸出に悪影響を与えている。「民間の検疫施設基準」の最終規定が2006年5月24日に発表された。この規定の実施により、豪産素牛は米へ輸出できるようなり、民間の施設で検疫ができるようになるだろう。
 2007年のと畜頭数は前年同期比約7%増の940万頭と予測されている。
 2006年6-9月の干ばつが牧草、干草と夏の穀物生産に打撃を与えることになりそうだ。この影響は2007年も継続しそうで、出荷が増すことになりそうだ。業界によると、8月、生体の出荷が急増した。主要なクインズランド生体市場での出荷は前月比40%増、南オーストラリアでの出荷頭数は前月比2倍。2007年、牛肉生産は前年比6.5%増の229万dと予測されている。これはと畜頭数が前年比7%近く増加すると見られていることが要因。2006年から続いている干ばつで軽量化した生体のと畜で多少枝肉重量は軽くなったと見られている。
 2007年の牛肉輸出は前年比3%増の149万5千d(枝肉重量)、生産が増加することで、輸出用牛肉が増加すると見られている。もともと、豪州の輸出は総生産の2/3で、国内消費の伸びはそれほど高くなりそうにない。
 業界は2006年、日本への輸出は前年比2%減と見ており、2007年は4%減少すると予測している。しかし、パッカー部門は2007年日本への輸出はさらに減少することはないとしている。1-8月、米への牛肉輸出は前年同期比多少減少した。韓国への輸出は前年同期比26%増。干ばつが続く可能性があることで、米向けのと畜が急増するかもしれないため、2006年末から2007年にかけて、米への輸出は増加すると予測されている。 
 パッカーはここ数十年、過剰生産に苦しんでおり、このため小規模工場は廃業し、大規模工場は生産を増加させた。すべてのパッカーは特に地方での労働力不足で生産が抑えられている

豪州■ 9月期、フィードロット飼育頭数は11%増

豪フィードロット生産者協会(ALFA )/MLAによると、豪州のフィードロット飼育頭数は6月期(4-6月)に過去最多となったが、9月期(7-9月)は通常の季節的なパターンとなり、6月期比6%減。9月期のフィードロット飼育頭数は88万1千281頭で、前年同期比では11%増、9月期としては過去最高となった。前年同期比ほぼ倍の54%増で、2万7千33頭となった南オーストラリアを除き、すべての州で、フィードロット飼育頭数は6月期比減。もっともフィードロット飼育頭数が減少したのは、全国のフィードロット飼育頭数の53%を占めているクインズランドで、6月期比8%減の46万6千466頭。しかし前年同期比では8%増。
 9月期、施設での飼育可能頭数は若干だが増加し、113万頭。2003年12月のBSEの発生で米が主要アジア市場へ輸出が出来なくなって以来、施設での飼育可能頭数は25%伸びた。
 9月の出荷頭数は72万3千97頭となり、6月期比10%増、前年同期比5%増。
 豪産グレーンフェッドの海外市場での高い需要が続いている。9月期、韓国へのグレーンフェッド輸出は1万4千38d。6月期比では63%と大幅に増加した。日本への輸出は6月期比4%増の4万9千156dで、9月期としては過去2番目に多い輸出量。飼料穀物価格が03年初頭以降の最高値に急騰し、9月期からフィードロットの利益はかなり圧迫を受けている。素牛価格が下落したが、薄い利益を埋め合わせるまでにはならなかった
カナダ

生産は3%減、輸出は2年連続での減少  米農務省07年見通し

 2006年上半期、カナダの牛業界は飼育頭数減、と畜頭数の激減、牛肉輸出の低迷、主に米からの牛肉輸入増などが目立った。この状況は、2003年5月に発生した1例目のBSE以降、カナダの牛業界が飼育頭数増から抜け出そうとしていることが背景となっている。
 2006年、牛肉生産は前年比約10%減の137万5千dと推定されている。BSE発生後、牛生体輸出市場を失ったことで、2003年から2004年にかけ、と畜施設が拡大した。しかし、2005年7月、米がカナダ産30か月齢以下の生体輸入を再開し、米へのと畜用生体輸出と拡大したと畜施設の利用率が高まった。カナダのパッカーは米、メキシコ、アジア市場でのカナダ産牛肉需要低迷に直面しており、この状況はカナダj高によってさらに悪化している。通常の牛生体流通がBSE発生で国内の流通・輸出でも中断したことで、2003年5月以降、カナダの肉用カウの飼育頭数は急増。
 BSE発生以前は米へ生体を輸出していたカナダのパッカーが国産カウのと畜水準を高めるよう、調整するまで、カウの飼育頭数は過去最多まで増加した。2005年中頃、カナダのカウ飼育頭数では肉用カウが約550万頭と最多となった 。
 これ以降も、カウのと畜は増加し続けており、2006年のカウと畜頭数は80万頭に達すると見られている。カウのと畜が急増していることで、2007年の子牛生産は前年比6%減の500万頭となると見込まれており、長期的にも牛肉生産が減少すると見られる。2007年年末飼育頭数は、前年同期比3%減の1千400万頭に減少すると見られている。この飼育頭数はBSEで年末飼育頭数が最多となった1千510万頭に比べると100万以上頭も少ないことになりそうだ。
 カナダ統計局の最新データによると、2006年7月1日の飼育頭数は前年同期比約5%減の1千620万頭 。この飼育頭数減は、2005年中ごろ、米がカナダ産のと畜用生体と素牛の輸入を再開した後、生体輸出が増加したため。カナダの飼育頭数統計によると、すべての州で飼育頭数減となったが、もっとも減少したのは草原地帯で、マニトバ、サスカチュアン、アルバータ合わせた飼育頭数は61万に急減、飼育頭数減の3/4は2006年6月いっぱいまでの1年間で起こった。
 前年同期と比べ、最多飼育頭数だったアルバータは6.0%減、サスカチュアンは4.8%減、マニトバは2.0%減、Bコロンビアは9.3%減、ケベックが1.0%減、オンタリオは4.2%減。 2007年、カナダの牛肉生産は3%減の133万5千dと予測されている。飼育頭数減と、2006年の子牛生産が少ないこと、米への生体輸出増が牛肉生産減予測の要因。
 2003年第2四半期(カナダでBSEが発生した)以前の27か月、四半期当りの平均牛肉輸出は枝肉重量で14万8千552d。カナダの牛肉輸出は96%以上が3つの市場に依存しており、米が82%、メキシコが11%、日本が4%。米とメキシコは2003年5月20日、1例目のBSE発生直後にカナダ産牛肉(30か月齢以下からの)の輸入を再開、2003年第4四半期までには、輸出はBSE発生以前に近い水準で推移した。
 しかし、2005年7月、米がカナダ産生体輸入を再開以降、カナダ産牛肉輸出はBSE発生以前の20%以下まで下落。05年7月から06年3月までの9か月間、牛肉輸出減は、米への牛肉輸出が少なかったことが一因だが、主な要因はメキシコへの輸出が急減したこと。日本への輸出は2005年12月に再開したが、2006年8月現在、日本への輸出は2006年1-6月の総牛肉輸出の1%未満。2007年、主要輸出先市場の需要が低迷しそうなことと、カナダjが高いことが予測され、カナダの牛肉輸出は2年連続の減少(2006年の牛肉輸出は前年比18%減の45万5千d、
2007年は前年比3%減の44万d)と見込まれている。
 生体と30か月齢以上からの牛肉輸出は、今後の米政策(最小限リスク規定)次第

カナダ  飼料価格上昇で、生産者利益減

業界筋によると西部カナダで飼料価格が上がり、牛生産者利益が徐々に低下している。カナダ肉牛業者協会副会長のデニス・レイクラフト氏は「西部カナダで生産者の利益を削る2つの要因があり、それはカナダj高と飼料コスト。カナダjは昨年からかなり上昇し、生産者利益を減らしている。カナダは米市場に依存しているため、カナダj高となれば、米に比べ、カナダ産素牛価格は安くなる。
 飼料コストが上がったことで、子牛価格は下落した。また今年、飼料価格が上がったことで、素牛の平均価格はかなり下落した」としてる。アルバータ州で、181`から272`級の生体価格は前年同期比ポンド当り約20k下がり、枝肉換算で127カj(1カj80円換算で1円)。
サスカチュワン州での価格は前年同期比ポンド当り約26カk(21円)下がり、122カj(9千760円)、マニトバ州の価格は前年同期比ポンド当り14カk(11円)下がり、約123カj(9千840円)。 
 価格の下落は飼料コストが上昇したことが直接の要因と  レイクラフト氏。
アルバータのファーム・センス・マーケティングの畜産アナリスト、ハーブ・ロック氏は「飼料コスト上昇で生産者が受けた損害の範囲を知るにはまだ早い」としているが、穀物コストが上がるに従い、生体重増のコストが上がり、その結果、成牛に対する素牛の割安感がなくなる、ということをよく知っている。
 「大麦ブッシェル当り4カjぐらいで、素牛・成牛・子牛単価はいずれもほぼ同じになる。西部カナダの飼料用穀物供給がタイトで、しかも生産者が飼料用小麦・大麦を貯蔵することにしたわけでもないようだ。飼料の保存は多少進んでいるかもしれないが、エタノール業界の拡大を考えてみれば、飼料供給はかなりタイトとなっている。しかし、エタノール業界の需要は固定しており、同業界にとって穀物価格はそれほど重要ではなく、価格次第で消費が落ち込むということもない。消費は最終的には畜産業界が処理しなければならない問題」と同氏
中国

生産は6%増だが、輸出は6%減

2006年の牛肉生産は前年比5%増の750万d、2007年の牛肉生産は前年比6%増の791万dと予測されている。
 米海外農業局は口蹄疫の発生にも関わらず、牛肉生産は消費者需要が高まっていることで、今後3年間は年に5%と着実に増加し続けていくだろうとしている。 総食肉生産のうち、牛肉のシェアは2001年が8%、2005年は9%と増加してきている。高病原性家禽インフルエンザの発生で、消費者が家禽から他の食肉へとシフトしていることで、牛肉生産増の傾向は2007年も継続すると見られている。現在、主要な牛肉生産省は、河南、河北、山東、安徽、吉林、遼寧、黒竜江の7省。2006年上半期、これら7省でのと畜頭数は中国の総と畜頭数の62%を占めている。
 また、中国の5大牛生産の放牧地方は内蒙古、新疆、甘粛、青海、寧夏。ここ数年の牛肉生産増は主に飼育頭数が増加しているためで、枝肉重量が増加しているためではない。中国の平均枝肉重量は、先進国をかなり下回っている。
 牛飼育業界によると、総肉用牛のうち国内種も輸入種もわずかに5%だけが、高品質肉用牛。このため、高品質肉用牛市場の需要は輸入に頼っている。
肉用牛の品種を改善する必要はあるが、政府は肉用牛の飼育頭数が多く、牛乳よりも牛肉は優先順位が低いことで、乳用牛生産と同じような支援事業は実施してない。
 2006年、2007年、口蹄疫の発生で牛生肉の輸出が制限されることになりそうだ。2005年には10例の口蹄疫が、2006年1月から8月下旬には12例が発生したと報告されている。しかし、2006年、口蹄疫がもっとも多く発生しているのは、中国西部の遠隔地で、山東省、河北省のような肉牛飼育頭数の多い地域での脅威とはなっていない。 
2007年の牛肉消費は前年比6%増で、過去最高の782万9千dに達すると見られている。
2007年、牛肉輸入は前年比33%と大幅に増加し、4千dになると予測されている。これは消費者需要が高いため。しかし、2007年の牛肉輸入量は
2004年比では20%下回っており、2001年から2004年の平均輸入量を59%下回っている。BSEや口蹄疫がらみでの貿易制限や、世界での牛肉供給がタイトとなったことで、国際的に牛肉価格が上がったことが要因。
 貿易予測によると、米産ボンレスの輸出だけで、初めて3千d(額ではFOB建てで、約1千万j=11億5千万円)に達し、中国の総牛肉輸入がさらに75%増え、7千dになることもあり得るとしている。
 米中が中国の輸入とすべての米産牛肉製品(ボンレス、ボンイン、内臓)の輸出協定に合意した場合、米産牛肉の対中輸出はさらに5千d増加するかもしれない。中国の牛肉総輸出のうち66%を香港、韓国、日本が占めている。香港、日本の米産牛肉輸入再開、香港とマカオのカナダ産牛肉輸入再開、
中国元高、などの要因のため、2007年牛肉輸出は前年比6%減の8万5千dと見込まれている
韓国

輸入は19%増、豪産牛肉のシェアアップ

2003年12月から実施されていた米産牛肉の輸入禁止は2006年9月11日に解除。36か所の米処理工場がボンレスの対韓輸出を認可された。検疫検査が厳しくなり、牛肉消費のパターンが変化したことで、米産牛肉の輸入は急激には増加しそうにもないと見られている。
 この夏、韓国税関は箱と同様に、内部のプラスティック袋にも原産国表示するよう米に要請の予定、と発表した。食肉業者が原産国名を表示した箱だけを廃棄し、中の肉を国産品として違法販売するのを防ぐことが、今回の表示義務変更の理由。
 牛肉消費がもっとも高くなる期間のひとつ、10月1週,韓国の感謝祭の間、輸入業者は豪州、NZからの輸入を控え、米産牛肉輸入が再開されることを見込んでいたため、2006年の牛肉輸入は前年比11%減の19万3千dと推定されている。
 当初の厳しい検疫検査が通常の無作為検査に戻り、さらに多くの処理工場が対韓輸出を認可された場合、2007年、米産牛肉の対韓輸出は増加すると見られているが、2003年の輸出量に戻るには、何年かかかると思われる。
2007年の牛肉輸入は豪産牛肉の品質がかなり改善されたことで、前年比19%増の23万dと予測されている。
約200日間飼育の豪産のグレーンフェッドは韓国で入手でき、以前よりも霜降りが多いため、韓国の消費者はさらに購買意欲を見せている。 豪産牛肉の価格は米産よりも安くなり、現在の高値が下落すると見られていることで、豪産牛肉のシェアはさらに増加すると予測されている。

韓国の豚■  米産牛肉輸入再開で、豚肉輸入は21%減

韓国の豚市場は米産牛肉輸入禁止以降、好調を維持してきたが、2007年はターニングポイントとなるかもしれない。
牛肉価格が高く、輸入牛肉の安全性と家禽インフルエンザ発生で家禽に懸念があり、豚肉が好まれているため豚肉には高い需要があり、生産者は徐々に飼育頭数を増加させて、強い需要を取り込んできた 。
 国内豚生産増とチェックオフ事業から拠出された積極的な豚肉消費キャンペーンはテンダーロインのような人気のない部分肉の消費を増加させたばかりではなく、輸入も減少させた。米産牛肉の輸入が食肉需要の一部を取り込むと見られており、2007年の豚肉輸入は前年比21%減の20万dと見込まれている。
 豚肉需要の低迷は生産者に飼育頭数減を強いることになりそうなため、2007年のと畜頭数は増加すると思われる
インド

飼育頭数微減にも関わらず、生産は5%増、輸出は9%増 米農務省07年見通し

 2007年、インドの牛飼育頭数は前年比0.1%減の2億8千200万頭と予測されている。しかし、牛肉生産(大半がカラビーフとして知られているバッファロー)は国内と輸出の需要がともに高いため、高いと畜率が予測され、
前年比5.2%増の250万dと見込まれている。農作業ではトラクターが雄牛に取って代わっており、このためますます牛の飼育頭数が減少している。
 また、酪農生産者は生産性の低い在来種カウを、混雑やバッファローに少ない頭数ながら入れ替えている。
バッファローはミルク生産が多く、高脂肪ミルクが含まれており、食肉部門では肉用牛として流通できることで、
生産者にとってカウよりもさらに魅力的になっている。
 宗教的な理由でカウのと畜が禁止されているが、バッファローのと畜には規制がない。
 牛肉生産用の雄バッファローの契約飼育はインド数州で一般的になってきている。牛肉品質が改善し、高い価格が可能となるため、牛肉輸出業者の一部は生産者にフィードロットでの牛飼育を奨励している。
 家畜は一般的に地方自治体が認可したと畜場や小都市の小規模商店でと畜され、生肉が好まれている国内市場へと出荷されている。
 インドの南部と西部には大規模で近代的な輸出市場用のと畜場が2-3か所ある。食肉業界に従事しているのは1千900万人で、家畜部門は総国民所得の約16%を占めており、その額は34億j(1USj115円換算で3千910億j)と見られている。畜産部門における政府事業は牛肉生産ではなく、大半が酪農に重点が置かれている。食肉輸出業者は、動物衛生管理、栄養、品質認知、マーケティングなどのさまざまな事業を通し、食肉部門を開発する負担を負っている。しかし、このような事業を行ったことで、雄子牛の死亡率が低下し、食肉生産高が改善した。
政府の動物衛生管理と疾病管理事業は、カラビーフの輸出業者がと畜用動物を疾病ゼロとすることに役立っている。 

 2005年5月、インドは牛疾病ゼロとし、輸出を禁止されていた数か国へ輸出を再開することができた。
 2002年から2007年の第10回5か年計画で、インド政府は主要な食肉輸出処理工場がある3地区を動物疾病ゼロとするための口蹄疫管理事業に着手。しかし、他の地域から疾病ゼロを目指す地域への移動制限がないことで、
この事業に関し、業界筋は懐疑的だ。

 政府輸出促進庁である家畜と処理食品輸出開発局(APEDA)は輸出志向のと畜場、食肉処理工場を査察、承認、牛の健康管理などを行うことで、衛生基準を改善するための事業を実施している。
2006年4月以降、政府はHACCP (危機分析重点管理制度)とISO 9000を取得しているAPEDAが承認した14か所の処理工場からのみ、食肉の輸出を認可している。
 2007年、カラビーフ輸出は現在の輸出市場での需要が伸び続けており、新たにパキスタンへの輸出が出来ることで、前年比9%増の75万d(枝肉重量)と予測されている。
 2006年の輸出は前年比11%増の69万d。輸出増の大半はアンゴラ、コンゴ、ガボン、コートジボアール、ガーナなどアフリカの新興国、アゼルバイジャン、ジョージア、ウズベキスタンなどの旧ソ連とマレーシア、フィリピン、中東などの元来の市場に限られている。
 2005年10月、パキスタンがインド産食肉輸入を認可したことで、陸路でのフローズン枝肉重量輸出が限られる結果となった。市場筋は2006年、パキスタンへのインド産食肉輸出は6-7%増加すると見ている。
 低価格、輸出業者による品質向上努力、またEUのBSE懸念で、インドの食肉輸出は増加しつづけると見られている。貿易筋によると、インド産カラビーフ輸出の約90%がボンレスで、10%が枝肉。相手国先仕様牛肉の主要市場はマレーシア、フィリピン、ヨルダン。
 今年夏頃のカラビーフの小売価格は`当り約1.1j(1USj115円換算で127円)。これに対し、家禽肉は`当り1.9j(219円)、山羊/羊肉は`当り3.9j(449円)。
 牛肉/カラビーフの一人当り年間の消費量は1.5`、家禽肉は1.8`、山羊/羊肉は750cと推定されている
NZ

2005-06年度、牛肉輸出は37万d

2005-06生産年度(05年10月-06年9月)、NZの牛肉輸出は37万d。
輸出先国第1位は米で、19万3千d。総輸出に占めるシェアは52%。
日本への輸出は前年度比2.5%減の3万8千d。シェアは10.1%。
チルドの輸出は前年度比22.6%増の5千581d。
フローズンは前年度比5.9%減の3万1千951d。
輸出額ベースでの対日輸出は第2位となっている。

NZの牛
と畜は5%増、輸出は7%増の58万d   米農務省07年見通し


 2006年の総と畜頭数は下方修正され、前年比5%減の65万d(枝肉重量)。このため、2006年の牛肉輸出は
前年比6%減の54万dと推定されている。
 と畜頭数減の要因は2006年上半期とそれに先立つ数年、大量の乳用カウが輸出された結果としてミルク生産用に留保が高まり、また、秋に生産を開始する予定の新酪農農場転換85か所用に生体が必要となり、乳用カウと若齢雌と畜が低下した。このため、2006年下半期の牛肉輸出は増加し、輸出も増えると見られる。
2006年1-7月、NZの牛肉輸出は前年同期比9%減となったが、2006年年間での牛肉輸出は前年比6%減でとどまると見られている。業界関係者は2006年上半期生体価格が安かったことで、多くの生産者が出荷を控え、また大半のアナリストが予測しているように、NZjが安かった場合、2007年後半に生体価格は高騰すると見ている。
 NZ食品安全局は現在、NZのBSE分類法の見直しを行っている。この一環とし、NZ食品安全局は2006年4月に審議文(資料)を発表した。これによると、牛肉製品の輸入規定変更を勧告している。また、NZ食品安全局の見直しは、他国でのBSE発生の中で積まれた経験、BSEとその変形であるクロイツフェルト・ヤコブ病についての科学的理解の進行、国際獣疫事務所基準(NZ現行のBSE対策はそれにもとづく)の変更に対応したもの。 米、カナダが日本、韓国などへ輸出再開をしたが、輸出量がそれほど伸びていないことで、NZの牛肉業界は利益を上げ続けている。日本が米産牛肉の輸入を再開したが、マーケットシェアと価格がそれほど落ちていないことで、
NZの牛肉輸出業者への影響はほとんどないと見られる。
長期的に見ると、NZのマーケットシェアは米産牛肉により徐々に減少すると思われるが、米産牛肉を日本が輸入禁止とする以前とは市場状況が異なることで、NZの輸出業者は新規に獲得したマーケットシェアの一部は維持できると期待している。
 NZのグラスフェッドは、米のグレーンフェッドとは異なる品質の製品。
 元来、NZ産牛肉はアジアの消費者からグレーンフェッドよりも品質が劣ると見られてきたが、米産牛肉が輸入禁止となっている間に、アジアの消費者がNZ産牛肉の本来の味を知ってくれたとの期待をNZの輸出業者は持っている。NZの販促プロモーションではNZ産牛肉が自然のままの放牧飼育で、動物疾病はなく、栄養価が高いことを強調していくことになるだろう。
 2007年、と畜頭数は前年比5%増の400万頭と見られている。成牛のと畜頭数増予測は、2004年にと畜用の成雄と乳用カウの供給が増加したため。子牛のと畜頭数は前年並みの150万頭と予測されている。
 2007年に乳用カウ供給が増える見通しは、酪農生産者によるミルク生産用の若齢雌・カウ留保が2006年ほど必要ない、との予測にもとづくもの。 牛肉輸出は前年比7%増の58万dと予測されている。
 NZの酪農業界は拡大し続けており、輸出として供給されるカウと若雄の60%は乳用。1990年に乳用からの牛肉輸出が45%以上だったことから見ると、かなりの増加。肉用の飼育頭数が徐々に減少しているにも関わらず、
牛肉の生産が次第に増加し続けているのは、乳用からの牛肉が増加しているため。
ロシア

牛肉生産は5%減、輸入は1%増 米農務省07年見通し

 豚肉生産微増、牛肉生産激減という傾向は2006年も継続しており、2007年の生産は前年比5%減の138万dと予測されている。2006年1-7月の調理加工肉生産は110万dで、前年同期比12.1%増。ソーセージ生産は前年同期比5.6%増の120万d。ロシア経済開発貿易省によると、食品加工業界と農畜産生産は伸びている。しかし、これらの業界の伸びは顧客需要の伸び率の半分以下のため、輸入需要が増加し、価格が上がっている。2006年8月1日現在、ロシアの牛飼育頭数は前年比5.5%減の2千260万頭。このうちカウは950万頭で、前年比6.4%減。
 小規模農場が全体の46.4%(2005年7月1日は46.3%)を占めている。
ロシア農業省によると、2006年1月から8月1日までの総食肉生産は370万d(と畜時の生体重量)で、前年同期比では3.7%増。豚肉生産は4%増、家禽生産は16.3%増だったが、牛肉生産は6.5%減と牛肉生産だけが前年同期比減。
2006年1-7月、干草生産は前年同期比14.9%減。低水分サイレージ生産は前年同期比6%減、サイレージ生産は5.8%減。 2006年、1月1日から8月1日までの総飼料生産は前年同期比10%減。
 豚肉と家禽業界での飼料消費増、干草と穀物生産が少ないための飼料在庫減、穀物輸出需要増の可能性があることで、
2007年は飼料が不足するかもしれない。このため、2006年晩秋から上がり始めた穀物と食肉価格がさらに上がる可能性がある。国内肉用牛が減少しているにも関わらず、輸入が増加していることで、消費はそれほど減少しないと思われている。
 牛肉消費は2006年が前年比1.4%減、2007年は前年比3%減となる見込み。モスクワ市の食肉消費はロシア総消費に比べ2倍となっている。ロシアの連邦税関によると、2006年上半期、ロシアの食肉輸入は前年同期比29.5%増。
2006年1-6月、フレッシュ/フローズンの食肉輸入は量で51万500d、額では9億3千万j(1USj115円換算で1千70億円)。牛肉の輸入は前年同期比16.9%増、豚肉の輸入は38.6%増、マトンの輸入は310%増。
 昨年、価格が安く、関税が低かったことで、ロシアは低関税枠をかなり超える食肉を輸入、約18万dの牛肉が高い関税を支払い、枠外で輸入された。主要輸入先国は、ブラジル、アルゼンチン、ウルグアイ、パラグアイ。
 2005年10月以来、ブラジルの「レアル」がロシア「ルーブル」に対して安く、口蹄疫の発生で、大半の州からの輸出が禁止されていたにも関わらず、ブラジル産牛肉の対ロ輸出は伸び続けている。ブラジルの大規模牛肉輸出業者は輸出が禁止されていない州へ牛肉生産を移したため、輸出禁止による損害は受けなかった。
2006年8月10日、ロシアはブラジル、マトグロッソ州からの豚肉と牛肉の輸入禁止を解除した。
2006年7月1日以降生産された豚肉と牛肉の輸入は認可されている。
2005年12月13日から行われているブラジル7州からの輸入禁止は依然として継続されている。
輸入、国産の牛肉価格は、2005年の間に約15%上昇。しかし、輸入牛肉価格は安定するか、安くなると見られている。
これはロシア政府がEUの未使用低関税枠割り当てを他の国へ再配分することを認めたため。
2007年の輸入は前年比1%増の72万dと見込まれている。 
ソビエト時代に開発された技術規定に沿って、フレッシュ/チルドの食肉の賞味期間は14日以内と定義されている。
この規定は、最大45日の賞味期限をもつ冷蔵バキュームパック肉はチルドと見なしてもよいと、変更が認められる予定。
この規定はすでに準備されており、秋には発効されると見られている 。
ロシアでは食肉輸送インフラが発達しておらず、このため問題が起こる可能性がある。

ロシア
1-6月、家禽肉輸入は1%増


1-6月、ロシアの家禽肉輸入は前年同期比1%増の58万3千d。輸入の98%がフローズン。
米からの輸入は前年同期比15%増の41万7千dで、ロシアの輸入増の主な要因となった。
ブラジルからの輸入は前年同期比12%減の9万2千d。
ドイツからの輸入も前年同期比44%減の2万4千d。
フランスからの輸入も前年同期比42%減少した。

2007年、牛肉供給は2%増   〜GMC予測〜

 北米の牛業界の市場分析を行っているジョージ・モリス・センター(GMC)によると、牛肉生産が前年比2.7%増の1千220万d(過去最多だった2002年比では1%減だが)、牛肉輸出は30%増、輸入は6%増となるため、2007年の米牛肉供給は前年比2%増となることもあり得るとしている。
この予測は農務省予測とも一致しており、2007年米のカウと畜頭数が増加しないことが予測の一因。しかし、牧草状態が改善しない場合、GMCはこの予測通りにはならないことを認めているが、牛肉生産の1千220万d予測は上回る可能性はあるとしている。
 需要面では、楽観的ではない。2005年の牛肉需要は前年比2%減少し、2006年も低迷したまま推移している。
GMCによれば、2007年の米経済予測と豚肉、家禽の価格に基づくと、2007年の牛肉需要は現在の水準を超えることはなさそうだ。ここ10年間の牛肉需要急増、人気があった高タンパク質/低炭水化物食事が、ここ数年の生体価格上昇の要因だとしている。
 事実、最近10年で需要が急増してきたため、牛価はここ2-3年で50-60%高となった。
需要が過去4年と同じ水準で、牛肉供給が約1千300万dに達するとすれば、2007年の生体価格は前年比4.5%減のポンド当り82k(1USj115円換算で`208円)となるかもしれない

米■ トウモロコシの価格上昇が米の食肉価格に影響

トウモロコシの価格上昇が米の食肉にかなりの影響を与えて続けている。
 9月中旬以降、シカゴ・マーカンタイル取引所(CME)の2007年5月物トウモロコシ先物取引価格は46%上がり、ブッシェル当り2.60j(1USj115円換算で299円)から3.80j(437円)に。
11月4週、アルゼンチン政府は国内トウモロコシ価格を下げるため、トウモロコシ輸出の一時停止を発表したが、
価格は下落しないと思われる。米に次ぎ、世界第2のトウモロコシ輸出国アルゼンチンの輸出停止措置は世界のトウモロコシ価格をさらに上げることとなりそうだ。
 アルゼンチンの輸出停止措置を受け、CMEの2006年12月物トウモロコシ先物取引価格は、取引開始から急騰し、その後、月曜日(11月20日)の取引終了時にはブッシェル当り3.60j(414円)となったが、前週の金曜日(11月17日)比ではブッシェル当り10k(12円)から14k(16円)高となった。
牛価格は高いトウモロコシ価格に反応したが、CMEの2007年1月物の素牛先物取引価格は、それまでの2か月間、フィードロットへの搬入頭数が過去の平均推移を下回っていた9月中旬から13%下落した。
キャトルファクスによると、搬入が前年同月比を下回り続け、出荷が前年同月比約2%多いままだとすると、フィードロット飼育頭数は2007年3月1日までに、前年同月を下回ることもあり得るとしている。
また、グレーンフェッドの供給減と高いトウモロコシ価格は2007年の牛肉価格に影響を与えそうだ。

米■ トウモロコシ在庫が減少、干草価格は上昇見込み  農務省発表

トウモロコシ生産報告によると、2006年のトウモロコシ生産は2006年10月15日現在、収穫が41%完了し、比較的良い状況だが、昨年比と過去5年平均を下回り、109億ブッシェルと予測されており、9月予測の111億ブッシェルからは2%減少したが、それでも過去3番目に多い生産量となっている。
 乾燥し、高温の天候で、収穫総面積は前年同期よりも少ない。予測されている生産は9月よりも減少したが、エーカー当り5.6ブッシュレルで前年同月よりも依然として多い。
 燃料用エタノール生産増のため、食品、種子、工業用(FSI)のトウモロコシ利用は急激に拡大し続けている。FSI用の利用は2004-05トウモロコシ年度(04年9月-05年8月)の27億ブッシェルから2005-06年度は30億ブッシェルに拡大し、2006-07年度は35億ブッシェルになると見られている。年度末トウモロコシ在庫は2年前の21億ブッシェルから2005-06年度は20億ブッシェルに減少しており、2006-07年度末には10億ブッシェル以下になると予測されている。
 2006-07トウモロコシ年度、トウモロコシの予測価格が以前の数値からブッシェル当り、2.40j-2.80j(1USj115円換算で276円-322円)に引き上げられた。これはバランスシートが逼迫し、ここ数週、予測されていたよりも現金価格が高く、先物価格も高かったため。また、2006-07年度のトウモロコシ平均価格は2004-05年度のブッシュル当り平均2.06j(237円)、2005-06年度平均の2.00j(230円)から急騰した。
 大豆作付け面積の69%は収穫されている。生産高は31億9千万ブッシュレルと見られ、昨年比では5ポイント下回っているが、過去5年平均では4ポイント上回っている。大豆粉価格は2年前のd当り182.89j(2万1千円)、2005年の174.17j(2万円)から下がり、平均でd当り147.50jから177.50j(1万7千円から2万円)と予測されている。2006年、干草生産は2005年から2.4%減の1億4千700万dと予測されているが、8月の推定からは上昇した。
 5月1日の干草在庫は前年同月比23%減。この夏、多くの地域では、干ばつで干草給餌が強いられた。昨年は温暖な冬だったが、この冬が寒くなれば、干草供給はかなりタイトになり、この冬は高値になると見られている。他の干草生産は8月の推定から2%増加し、7千250万dと予測されているが、2005年比では3%減。
 アルファルファの生産は8月予測から5%増加し、7千450万dと予測されているが、昨年比では2%減。
 アルファルファ価格は、前年のd当り106j(1万2千円)から上昇し、平均でd当り112j(1万3千円)。 
他の干草の9月生産者価格は前年のd当り78.90j(9千円)から上がり、平均でd当り93j(1万1千円)。牧草状態は徐々に回復し続けているが、冬季放牧でさらに必要な成長をさせるには、適度な温度と降雨がまだ必要とされている。
 カンザス州の10月16日週の作物進捗報告での小麦作付け予定は過去5年平均と昨年より、多少多かったが、テキサス州では過去5年平均と同じで、昨年よりも6ポイント上回っている。しかし、オクラホマ州での作付け予定は過去5年平均より6ポイント低く、昨年を4ポイント下回っている。また、テキサス州での小麦の進捗状況は前年比13ポイント多く、過去5年平均より多少多い。カンザス州での進捗状況は昨年よりも1ポイント多いが、過去5年平均では5ポイント下回っている。オクラホマ州では昨年から12ポイント下がり、過去5年平均からも16ポイント下がり、さらに減少している。昨年は好調に始まったが、ほとんどの地域で小麦の作付けは少ない。
 現在の小麦作付け見通しはほぼ昨年並みと見られており、多くの地域で、昨年は干ばつ状態となったことで、
干草の重要性はさらに増している。

米■ 11月フィードロット:1千2万頭、昨年比4%増、前月比5%増

11月1千頭以上飼育規模のフィードロット頭数は1千195万9千頭で昨年比4%増、前月比5%増。1996年以来、11月としては最多となり、26か月連続で1千万頭台を維持。11月、最多飼育頭数のテキサスは299万頭で、
前年比0.7%増、前月比2%増。テキサス以外、カンザス、ネブラスカ、コロラド、アイオワ、アリゾナの5州も前年比増。カリフォルニアだけは前年比減。10月の搬入は242万5千頭、昨年比13%減、前月比9%増。出荷頭数は177万頭で昨年比2%増。10月の生体重量別搬入は
272`以下=84万頭(全搬入量の35%、9月32%)。
272-317`=64万5千頭(26%、9月19%)。
318-362`=48万5千頭(20%、9月20%)。
363`以上=45万5千頭(19%、9月29%)。
318`以上の重量級が搬入全体の39%で、前月比10%減となっている。
ブラジル

米産牛肉の輸出再開も、懸念なし

 11月29日、サンパウロ市にあるスコット・コンサルテーションの家畜コンサルタント、アルキデス・トーレス氏は「2007年、米産牛肉が世界市場へ復帰することに関し、ブラジルの牛肉輸出業者はそれほど懸念していない」と述べた。
 「日本、台湾、韓国が米産牛肉の輸入を再開し、2007年、米産牛肉は世界市場に全力で復帰するだろうが、ブラジルの主要輸出先国はロシアと中東のため、ブラジルと米は直接競合していない」と述べている。 
 ブラジルはEUへも輸出しているが、EUは牛の成長ホルモンを使用しているため、米産牛肉の輸入を禁止しており、米は大きな競合ではない。
 ブラジル産はグラスフェッドで、発展途上国へは米産グレーンフェッドより廉価な牛肉を輸出できる。
 ブラジルの牛肉輸出拡大戦略は、輸出を伸ばすため、エジプト、イラン、ロシアのような発展途上国市場に重点を置いている。 豪州が米と競合するようになることを察して、そのマイナスを補う目的からブラジルの輸出先であるEUにも進出するだろうから、来年、米の高水準の輸出がブラジルに間接的な影響をもたらすかもしれない。2005年、ブラジルの牛肉輸出は加工品を含め、230万dで、2006年は前年比約2%増となるはず。一方、同社アナリストのファビアーノ・チタ・ロサ氏は「ブラジルは年に2%以上輸出を拡大するため、日本や韓国などの新市場を獲得する必要がある」とし、「米産牛肉の輸出が回復したことで、牛肉価格は安定するだろう。また米産牛肉がロシアへと輸出され、ブラジル製品と競合することになりそうだ。日本や韓国に本気で参入するためには、ブラジルが低コストの生産者であることばかりではなく、ブラジルの牛には疾病がなく、最新のトレーサビリティシステムがあることも示さなければならない」としている。
07年世界の豚肉需給予測

輸出531万d、輸入424万d、生産1億339万d  米農務省

2007年、主要国の豚肉生産は前年比約4%増の1億300万d余りと予測されている。しかし、大半は主要国の総豚肉生産の半分を占める中国での生産増のため。
2006年、豚肉輸出は前年比0.6%減の517万8千dと推定されているが、2007年は前年比約3%増の531万4千dと予測されている。輸出増予測は、米とブラジルの輸出が増加することが要因。

中国
2007年、中国の豚肉生産は前年比5%増の5千580万d豚肉消費も5%増の5千530万dと予測されており、達成された場合は過去最高となる。2006年から2007年にかけて、生産の伸びは低価格のため、近年に比べ大きくはならないだろう。しかし、豚肉消費は都市化と可処分所得が伸びているため、増加し続けている。さらに、豚肉消費は一部の消費者が家禽インフルエンザの発生で、家禽から豚肉へとシフトしたことで増加している。

日本
2007年、日本の豚肉輸入は前年比ほぼ2%減の122万8千dと予測されている。米産牛肉の輸入再開は日本の豚肉輸入に大きく影響しないだろう。在庫は過去の水準と比べかなり多く、不法輸入が厳しく取り締まられていることが輸入減予測の主な要因。
ブラジル 
2006年、ブラジルの豚肉生産は前年比2%減の274万5千dだったが、2007年は前年比5%近く増加し、287万5千dに達すると予測されている。生産増は国内需要が増加し、2005年後半の口蹄疫発生による輸出市場への影響(輸出規制)が回復してきたため。2005年、ブラジル産豚肉の主要輸出先国はロシアで、総輸出の65%を占めた。しかし、2006年1-7月、ロシアへの豚肉輸出は前年同期比44%減。
この期間、ブラジルの豚肉は香港、シンガポール、ウクライナなど新市場への輸出を増加させた。
2006年、ブラジルの豚肉輸出は前年比29%減の54万dと推定されている。新市場への輸出増が主要輸出先国への輸出減を補うことで、2007年の輸出は前年比6%増の57万dと予測されている。


2007年、米の豚肉輸出は過去最高の140万2千dに達すると予測されている。2005年、輸出が総生産に占めた割合はわずかに12.8%だったが、2007年は14.3%を輸出が占めると見られている。
口蹄疫発生のため、ブラジルがロシアでのシェアを維持できないと見られるため、米産豚肉の対ロ輸出は伸びると予測されている。

米 第3四半期の豚肉輸出予測は29万d   農務省発表
農務省「季刊豚レポート」によると、9月1日現在の雌豚飼育頭数は前年比約2%増。
約2%増は、過去8年以上で、雌豚飼育頭数の前年比最大増。
2006年6月1日以来、さらに繁殖豚の飼育頭数が1万9千頭増加したことは、昨年9-11月期から始まった飼育頭数増傾向が継続しており、飼育頭数増は生産者の黒字期間が拡大しているため。

2005年9月1日以来、米の豚肉業界は雌豚を約10万7千頭増加させた。今までのところ、飼育頭数率が緩やかに拡大し、飼育頭数も次第に増えていることは繁殖豚の飼育頭数増が中小規模養豚場で行われていることを示している。大規模養豚場は現存の養豚場を買収することで拡大しているようだ。
たとえば、スミスフィールド・フーズは最近、プレミアム・スタンダード・ファームズを買収する予定だと発表した。買収が完了した場合、スミスフィールドの繁殖豚飼育頭数は50%増加することになるだろう。
しかし、この買収は企業内での拡大であって、全米での雌豚拡大とはならない。

2007年、米の豚肉生産は前年比約3%増の985万5千dと予測されている。
この予測は雌豚飼育頭数、生産者が意図する分娩子豚頭数、雌一頭当りの子豚生産頭数が多いことが背景となっている。 生産予測には2007年、米の仕上げ業者、パッカーがカナダ産雌豚の輸入を増やし、米で生産する豚肉も含まれている。2007年豚肉供給が増加することで、豚肉価格はほぼ間違いなく、下落することになりそうだ。

生体51-52%の赤身豚の価格は今年の価格を11%以上下回り、100ポンド当り平均で40jから43j(`当り101円から109円)と見られている。さらに、豚肉生産を左右するトウモロコシ価格はトウモロコシ生産が少なく、需要が高いことで、2007年は上がると予測されている。

2007年のトウモロコシ生産者価格はブッシュレル当り2.40j(276円)から2.80j(322円)の範囲になると見込まれている。 農務省の2007年価格予測に北中部州の生産から仕上げまで、経済調査局の「利益予測」が利益をシミュレーションするのに使用された場合、2007年の各期は黒字となっている。
シミュレーションでの推定利益は7-9月の夏期にはかなりの黒字で、10-12月の秋期には利益がもっとも少なくなる。米産豚肉の国内外需要は2006年の豚生産者利益がどうなるかを決める主要な要素で、2007年も国内外需要の重要性は変わらないだろう。

国内では、豚肉の供給が多いことで、2007年の一人当りの豚肉消費は前年比0.7`増えると見られている。
このため、2007年の小売価格は平均して、ほんのわずかだが、安いと予測されている。

2007年の小売豚肉価格は平均で、ポンド当り2.70j(`当り685円)台中位となり、2006年の平均予測ポンド当り2.80j(710円)台下位からは下がると見られる。
豚肉供給が多くなると見られているにも関わらず、2007年の豚肉小売価格は牛肉と家禽価格が比較的高いため、
それほど下がらず、卸売-小売の価格差は主に原油価格高のため、2006年とほぼ変わらないと見られている。

第3四半期の豚肉輸出は年間でもっとも少ない傾向があるが、7-8月の輸出はほぼすべての国への輸出が予測よりも少なく、特にメキシコへ輸出が減った。第3四半期に米産ハム価格が高かったことが、メキシコへの輸出減の一因。 7月の輸出が少なかったことで、農務省は第3四半期の輸出予測を2万3千d減少し、29万3千dとした。前年同期比では3%増。第3四半期(7-9月)は一般的に年間で輸出量が少ない。これは季節的に米産豚肉価格が高いため。第3四半期、米産豚肉の月間輸出量は平均で約9万7千dとなり、第4四半期になると、豚肉供給が増加し、価格が季節的な下がるため回復する。
第4四半期の輸出は前年同期比11%増の35万3千dと予測されている。
07年世界のブロイラー需給予測

輸出674万d、輸入534万d、生産6千162万d   米農務省

輸出
主要国のブロイラー輸出、2006年は前年比5%減の647万dと推定されているが、2007年は前年比4%増の673万7千dになると予測されている。2007年、米のマーケットシェアは前年比37%増に、ブラジルのシェアは1ポイント減の38%に、EUのシェアは変わらず10%と見込まれており、主要輸出国のマーケットシェアに大きな変動はなく、輸出は安定しているか、輸出増と見られている。2004年以来、EUのブロイラー輸出は減少しているが、家禽インフルエンザ発生でのフランス輸出禁止が解除されたため、2007年のEU輸出は前年比11%増の68万5千dで、回復すると予測されている。

輸入
2007年、ロシアは前年比7%減の115万d、日本は前年比2%減の73万dと輸入減が予測されているにも関わらず、主要国のブロイラー輸入は前年比3%増の533万7千dと見込まれている。
中国のブロイラー輸入は家禽インフルエンザ懸念の影響がなかった2004年以前の年と同じ水準、43万dまで拡大すると見られている。メキシコのブロイラー輸入は国内での多い生産にも関わらず、前年比6%増の42万4千dと予測されている。国内の家禽処理業界に多額の投資が行われており、国内でのブロイラー使用増がメキシコの輸入を伸ばす要因。

ブラジル
1999年から2005年にかけて、輸出の年間増が継続しているが、主要輸出先市場での需要が低迷することから、
2006年のブラジルブロイラー輸出は減少すると推定されている。これはブラジルのレアルが他の主要通貨に対し高いことと、輸入国の消費者が家禽インフルエンザ懸念のため、他の食肉へ切り替え、ブラジル産の需要が低迷しそうなことが要因。このため、ブラジルの家禽部門は供給過剰に直面している。2007年、ブラジルのブロイラー輸出は前年比2%増の255万dと予測されており、これは家禽インフルエンザ懸念が減り、消費者需要が増加し、ロシアへの輸出が増え、積極的なマーケティングを行っていることが要因。

EU
2006年、EUのブロイラー輸入は前年比15%増の60万d、2007年は前年比8%増の64万5千dと見られている。
EUはブラジル、タイと家禽の低関税輸入枠を交渉しているが、結局関税引き下げにより、ブラジル、タイからの輸入増となりそうだ。

ロシア
ブロイラーの最多輸入国ロシア、2007年の輸入は前年比7%減の115万dと予測されている。ロシアの家禽生産がここ数年着実に増加しており、2007年には過去最高を記録しそうだ。ロシアの家禽輸入需要の60%以上を米が供給し、残りは主にブラジルが供給している。
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