米国SMの対ウォルマート戦略
05年スーパーマーケットトレードショー記念講演
ドロシーレインマーケット
何かあるという期待。
店舗前の駐車場を有効活用し、催事色の強いイベントを展開する。中には商品争奪・赤ちゃんのハイハイ競争というのまである。駐車場にテントを張り、特産品を販売する、魚の買いたい販売を行うなど各種イベントで訪れるお客に楽しみを与えている。

すでに顧客にはドロシーレインマーケットの店舗に行けば何か興味深いことやっているという期待感が根付いている。また、イベントにはお客様参加型のものが少なくない。

例えば、店内にはお客から送られてきた写真を掲示するコーナーが設けられている。店名ロゴ入りのショッピングバッグは日本でもすでに市民権を得ているが、同社ではこのバッグの遣い勝手ての良さも手伝ってか、お客様がバッグを手にしての旅行した写真を送ってくれる。これが広がり、世界各地の名所、果ては北極までお客がバッグを手にした写真が掲示されるようになった。


ここにしかない商品
洋菓子・ブラウニーが同社の看板商品の一つ、その名も「キラー・ブラウニー」、何マイルも車を運転してこの「キラー・ブラウニー」を購入に来るお客様もいる。「ヘブンリー・ハム」はスーパーへの納入実績がなかったこだわりハムで、生産者を説得の末、扱い商品となった。同店の精肉売り場は全商品ホルモンフリーをうたっており、お客の人気も高い。また、精肉売り場などで購入した商品は店内に設けられた「ジャックスグリル」で調理してもらうことも可能。専用のシェフを雇っており調理技術の高さにも定評がある。夕方以降にぎわうコーナー。

また、サービスの一つに、企業への弁当宅配サービスがある。現在では週に1600食を販売するサービスだが、開始当初はデザートに付けた「キラー・ブラウニー」の認知度アップのための方策だった。

いまでは、双方がドロシーレインマーケットの特徴として認知されている。

3店舗。

ユークロップス
日曜休業。アルコール販売禁止
惣菜販売の先駆者
80年代半ば、「加工食品・惣菜の需要拡大」「朝食ニーズの拡大」と言う2点の変化に着目。いち早く対応した。まず、同社が行ったのは
@セントラルキッチンの導入 
A役員にシェフを起用
B調理した商品を夜配送し、翌日店舗で提供する体制を整えること。

米国には「午後4時以降買い物に訪れるお客は夕食のメニューを決めていない」・「外食に出掛ける70%以上がディナーの場所を決めていない」・「単身生活者の増加」といった惣菜需要の拡大を裏付けるでーたーがある。午後5時以降の「C」は「クッキング」ではなく「コンビニエンス」を表すようになって久しい。

ストアデザイン
惣菜需要への対応と並んで、ユークロップスの店舗では店内にカフェや娯楽施設を導入するようになる。同社にとってのストアデザインでは「装飾」・「快適な買い物環境」・「製品の選択とアレンジ」が重視されている。

惣菜類の販売に際しても、ただ商品に数を増加させるのではなく、カテゴリーごとに陳列するなど、本来惣菜の第一義である時間短縮について、買い物の際の時間も短縮できるように配慮している。
お客とかかわる従業員

従業員にはお客の声が聞えているか、常にお客の利便性に気を使っているかを徹底する。お客とのかかわりは従業員全員に求められることであり、お客のライフスタイルを感じ取ることも従業員前任で行うサービスの中に存在する。


何故お客が減るか
ドロシーレインマーケット社のCEOのノーマン・メーン氏は講演の最後に同社が調査をした「顧客減少の要因」を発表した。

1% 顧客の死去
3% 転居
5% 友人の勧誘による他店への移動
9% 競合他社への移動
14% 質の悪い商品を購入した
68% 店員の対応の悪さ
と、なっている。

地域密着型店舗には何より、周辺顧客のニーズを敏感に察知し、即座に対応することが求められる。そのニーズを感じ取るのは日々お客と接する従業員であり、反面、ここが顧客喪失の最大の要因になっている。